国内レースの最高峰に位置付けられるJプロツアーの東日本と西日本ロードクラシックに集った各チームのバイクを連載形式で紹介していく。第3弾は宇都宮ブリッツェン、さいたま佐渡サンブレイブ、VC FUKUOKA、そしてAvenir Cycling Yamanashiの4チームを紹介します。



宇都宮ブリッツェン/メリダ SCULTURA

谷順成(宇都宮ブリッツェン)のメリダ SCULTURA photo:So Isobe

チーム史上初のコロンビア人選手を含め、新規加入6名を加えた11名体制で2024年シーズンを戦う宇都宮ブリッツェン。バイクサプライヤーは継続して台湾ブランドのメリダで、軽量モデルのSCULTURAとエアロモデルのREACTOを、さらに先日MTBアジア王者に輝いた沢田時にはフルサスモデルのNINETY-SIX RCを供給している。

写真のバイクは2023年からメンバーとなった谷順成のSCULTURAだ。シマノのスポンサーチームだけに、ホイールも含めてDURA-ACEのフルセットで構成され、剛性と軽さを両立したPROのVIBE EVO CARBONハンドルをセットしていることも特徴。パナレーサーのAGILESTタイヤ(28C)、プロロゴのサドルなど、極めてスポンサーコレクトなパーツ構成だ。

サドルはプロロゴのSCRATCH M5 TIROX。谷の乗り方に合っているという photo:So Isobe
PROのVIBE EVO CARBONハンドル。チームでも複数のバイクに取り付けられていた photo:So Isobe


コンポーネントはDURA-ACEで統一。ハンドルやボトルケージ、バーテープはPRO製品だ photo:So Isobe

ホイールはもちろんDURA-ACE。パナレーサーのAGILESTタイヤを使い、主にクリンチャーが運用されているという photo:So Isobe
高耐久モデルAGILEST DUROを使用する選手も多い photo:So Isobe



チューブレス化が進むロードタイヤだが、ブリッツェンは多くのメンバーがクリンチャーユースで、ヒルクライムなど軽さが求められる場面ではチューブラーを使用する。谷本人は「僕はノーマルのAGILESTがメインですが、群馬CSCは道が悪いので(耐久性を向上させた)AGILEST DUROを使う選手も多いですね。パンクリスクを避けてLIGHTはあまり使いません」と言う。

そのほか、サイクルコンピューターはワフーのELEMNT BOLT、ボトルケージはプロの「ボトルケージ カーボン」。サドルは振動吸収とポジションの安定性を高めるプロロゴ独自のCPCテクノロジーを搭載したSCRATCH M5 TIROX。「身体を動かすペダリングなので、クッション材がそれぞれ独立して動くスクラッチがいいですね。とてもペダリングしやすくて自分に合っています」と話してくれた。



さいたま佐渡サンブレイブ/ビアンキ Specialissima

宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)のビアンキ Specialissima photo:So Isobe

4月に開催されたチャレンジサイクルロードレースの2日目に吉岡直哉が優勝するなど、幸先良いスタートを切ったさいたま佐渡サンブレイブ。さいたま市を拠点に活動する「さいたまディレーブ」と、2023年4月に設立された「佐渡ゴールデンアイビス」の2チームが連携を組んで誕生した新体制であり、先述の吉岡や、ヨーロッパ帰りの宇賀隆貴も今季から所属している。

機材サプライヤーはさいたまディレーブ立ち上げ初年度からサポートしているビアンキだ。昨年秋にモデルチェンジした軽量モデルSpecialissimaやエアロオールラウンダーのOLTRE XR4などを各メンバーが使用中だ。

ホイールはゴキソのSLPシリーズ。バイクに合わせたチェレステカラーのデカールで化粧される photo:So Isobe

ブレーキはガルファー。プロトン内の使用率は急上昇中 photo:So Isobe
旧型のOLTRE XR4なども運用されている photo:So Isobe



写真は宇賀が乗るSpecialissima。ホイールは名品ハブを搭載するゴキソのSLPシリーズで、パナレーサーのAGILEST TLRタイヤを組み合わせる。波打つガルファーのディスクブレーキローターを採用しているのもポイントの一つ。その他パーツに制約はないが、スペアホイールを鑑みてシマノのコンポーネントで統一されているという。



VC FUKUOKA/ポリゴン HELIOS A8

南和人(VC FUKUOKA)のポリゴン HELIOS A8 photo:Michinari TAKAGI

今年からベンジャミ・プラデス(スペイン)を迎えたことでも話題のVC FUKUOKAは、機材をスペシャライズドからインドネシアのポリゴンにスイッチ。新家工業が長年ポリゴンにホイールリムを供給していたことから日本への輸入販売がスタートし、今年からVC FUKUOKAのサポート体制が始まったという。

チームバイクはHELIOS A8で、ライダーの南和人曰く「剛性が高いのでダウンヒルの安定感がいい」とのこと。ホイールもアラヤ製品を使い、軽量なチューブラーをメインに一部選手がチューブレス仕様でレースを走る。リムハイト38mm仕様のチューブラーホイールは「軽くて長い登りでも全然走れてしまう」と言う。組み合わせるのはトライスポーツがサポートするヴェロフレックスのタイヤだ。

上350-下400mmとフレア量の大きなエンヴィのハンドルを使用 photo:Michinari TAKAGI

ゴルフグリップで定評のあるイオミックの新製品「iB-1」が巻かれていた photo:Michinari TAKAGI
「アウターローにした時の抵抗を感じない」と言うトライピークのビッグプーリー photo:Michinari TAKAGI


ホイールはアラヤ。トライスポーツがサポートするヴェロフレックス Pro Tour RACE タイヤの25mmをセット photo:Michinari TAKAGI

その他パーツに縛りはないものの、コンポーネントはシマノで統一。南のバイクはファベロ ASSIOMAのパワーメーターペダルで計測を行い、「アウターローにした時の抵抗を感じない」と言うトライピークのビッグプーリー、SEMAのセラミックBBなどで回転系をチューニング。上350-下400mmとフレア量の大きなエンヴィのハンドルを使用している。



Avenir Cycling Yamanashi/デローザ 838

仙洞田雄大(Avenir Cycling Yamanashi)のデローザ 838 photo:So Isobe

コンポーネントはカンパニョーロ。CHORUSに旧型のBB386対応クランクをセット photo:So Isobe
見たことのないトップキャップ photo:So Isobe



山梨県に拠点を置く地域密着型ロードレースチーム、Avenir Cycling Yamanashi。今年はMTBの鈴木来人を加入させるなど、水野恭兵代表のもと、昨年よりも幅を広げて活動中だ。

山梨県都留市のプロショップ、NNLLレーシングサイクルが機材サプライヤーを務め、デローザバイク+カンパニョーロのコンポーネントというイタリア色の強い組み合わせを基本とする。写真のゼッケン98はアンダー23の仙洞田雄大のバイク。デローザ838にカンパニョーロのCHORUS(BB386フレームのため、クランクは30mm軸のCOMP ONE)を組み合わせるが、ブレーキキャリパーは「カンパニョーロのブレーキパッドが高価なので」シマノのULTEGRA。パーツ選びも含めて全体的に個性溢れる仕様だ。

text:So Isobe

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