2024/01/12(金) - 14:50
ワフーが昨年リリースしたミドルグレードのスマートバイク"KICKR BIKE SHIFT"をピックアップ。静粛性に優れる負荷装置、細かなポジション設定ができる調整機構などが魅力の1台をテストした。
冬は寒くて外に出られないし、春は花粉症がひどくて外に出られない。また夏は夏で暑すぎて危険だから外に出られないなど、サイクリングをスキップする理由は幾らでもあるし、実際その言い訳に負けてしまう人も多いだろう。だがせっかく鍛えた身体もサボってしまえば鈍り、いざ気持ちよい天候でサイクリングしたくても、体が追いつかなくなってしまう。
天候に左右されずにペダルを回せるインドアサイクリングは、トレーニングをメニューが決められているアスリートのみならず、少しだけ運動したいホビーサイクリストにとってメリットのあるフィットネスだ。サイクルコンピューターに表示される数字を追うだけではなく、バーチャル世界を走れるズイフトもあるため、真剣に頑張らずとも、仮想世界の中をなんとなく走るだけでも運動としてはありだろう。
バーチャルサイクリングを楽しむためにはスマートローラーが必要になるが、今回はその一つであるワフー KICKR BIKE SHIFTをピックアップする。通常のローラー台はマイバイクを設置するのだが、このKICKR BIKE SHIFTはその名の通りバイクそのもので、自転車とスマートローラーがオールインワンとなっているタイプだ。
メリットは自転車のメンテナンスが不要かつ、常に乗れる状態のため、ライドへの気が重くても気軽に跨がれる点だ。さらに自転車のドライブトレインやローラー台の回転部分が露出しないため、お子さんやペットがライド中に巻き込まれる心配がない。
デメリットは自転車を1台増やすのとイコールかつ、スマートローラーが常に部屋に設置されていること。動かせないこともないが、非常に重いので現実的ではない。しかしスペースが必要だとは言え、スマートローラーを既にバイクを設置したままの場合を考えれば、それをKICKR BIKE SHIFTに置き換えるだけなので心配は無用だ。
KICKR BIKE SHIFTの特徴はワフーのエコシステム内にあり、スマホアプリやELEMNT(サイクルコンピューター)と連携すること。スマホアプリからはスマートバイク自体を自宅内のWi-Fiへと接続でき、シフトの形式をシマノDI2やスラムeTap AXSなどから選択が可能。加えて仮想ギア構成の調整が行えるため、理想の状態にカスタムできるのだ。
何よりもKICKR BIKE SHIFTのフィッティングウィザードがあるため、購入した際はワフーアプリを一度チェックしてもらいたい。フィッティングウィザードではRetulなどのサービスで得たデータを元にしたポジション出しの方法、自車の写真を撮って再現する方法、身長と股下の長さから割り出す方法の3種類が用意されており、状況に応じて選択可能だ。
今回は自車の写真を撮影する方法と体のサイズから導きだす方法で試してみたが、どちらもポジションを導き出したあとの微調整は必要だった。だがKICKR BIKE SHIFTはBBを中心にシートチューブ角やトップチューブ長まで変更できるほど調整幅が広く、頼りなしに理想のポジションを出すことは難しいため、システムである程度までポジションを出せるのはありがたい。それにフィッティングウィザードの後に調整が必要となったとしても、調整も簡単に行えるので修正も苦ではない。
ポジションを出したらズイフトなどを起動して、ペアリングさせればいつでも走り出せる手軽さが良い。KICKR BIKE SHIFTではハンドリング機能にも対応しており、コントロールレバーの親指シフト用ボタンを押すことでアバターを左右に振ることができるため、ハンドル機能も自動的にペアリングされる。ブレーキ操作も可能。
いざ走り出して感じるのは、駆動音が非常に静かであること。KICKR BIKE SHIFTはフライホイールをベルトで回すという構造はKICKRシリーズのスマートローラーと同様なのだが、チェーンやプーリーなどが駆動する時に発生する音がないだけで部屋に響きたる音は遥かに小さい。
もちろん無音ではなく、ペダリングの回転数が上がると徐々に音量が上がっていくけれど、それでも掃除機や電子レンジの稼働音よりは小さい。例えばKICKR WINDなど送風機を使っていればそちらの方が気なるのではないだろうか。振動もゼロではないがごく僅かのため、トレーニングマットを使用すれば周りに影響を及ぼすことはなさそうだ。
ギアチェンジも無音。足や手元にシフトチェンジした時のフィードバックが欲しくなる程、スムースに変速していくのはKICKR BIKE SHIFTならでは。本体にギアポジションのディスプレイがないため、あらかじめELEMNTシリーズと連携して表示させておくことが使いこなす上では必要となる。
自動負荷調整も非常に穏やか。ズイフト内での斜度変化1%に対してリニアに反応するが、斜度が一気に5%ほど変化しても負荷装置によるブレーキがかけられているような感覚はなく、スムースに走り続けることができる。もちろん脚への負担は増すことになるので、機械がマイルドだからといって、辛さは変わりない。
スプリントをするとハンドル周りが多少ブレるものの、基本的には安定している。そのため思い切りもがいても、スマートバイクがパワーを受けて止めてくれるのは気持ちがいい。これは上位グレードのKICKR BIKEよりも優れている点で、勾配をリアルに表現するスマートバイク自体のチルト機能を省略し、足回りで駆動するものを無くしたためによるメリットだ。
ただバーチャルサイクリング内の斜度を屋内で体感することはできなくなり、バイクが前後左右に揺れてリアル感を演出することはないため、室内でもリアルな環境を構築したいのであれば、KICKR BIKEやKICKR MOVE+CLIMBという組み合わせが適している。
今回のテストではスマートローラーを常設して、いつでもペダルを漕げる状態にしたい方にマッチしていると総じて感じた。それは本格的にトレーニングを行うサイクリストだけではなく、健康維持目的のフィットネスとして体を動かし続けたい方など、ライドの強度ではなく頻度が高い方にオススメしたい。
ワフー KICKR BIKE SHIFT
最大パワー出力:2200ワット
最大シミュレーショングレード:20%
商品重量:36kg
ドライブトレイン:ベルトドライブ
負荷制御方式:電子制御ブレーキ
パワー精度:+/- 1%
接続性:ANT+, ANT+ FE-C, WiFi, Bluetooth, ダイレクトコネクト
クランクアーム長(mm):165、167.5、170、172.5、175
利用者の身長幅(目安):152cmから193cmまで
体重制限:113kg
価格:484,000円(税込)
※ペダルは含まれません
冬は寒くて外に出られないし、春は花粉症がひどくて外に出られない。また夏は夏で暑すぎて危険だから外に出られないなど、サイクリングをスキップする理由は幾らでもあるし、実際その言い訳に負けてしまう人も多いだろう。だがせっかく鍛えた身体もサボってしまえば鈍り、いざ気持ちよい天候でサイクリングしたくても、体が追いつかなくなってしまう。
天候に左右されずにペダルを回せるインドアサイクリングは、トレーニングをメニューが決められているアスリートのみならず、少しだけ運動したいホビーサイクリストにとってメリットのあるフィットネスだ。サイクルコンピューターに表示される数字を追うだけではなく、バーチャル世界を走れるズイフトもあるため、真剣に頑張らずとも、仮想世界の中をなんとなく走るだけでも運動としてはありだろう。
バーチャルサイクリングを楽しむためにはスマートローラーが必要になるが、今回はその一つであるワフー KICKR BIKE SHIFTをピックアップする。通常のローラー台はマイバイクを設置するのだが、このKICKR BIKE SHIFTはその名の通りバイクそのもので、自転車とスマートローラーがオールインワンとなっているタイプだ。
メリットは自転車のメンテナンスが不要かつ、常に乗れる状態のため、ライドへの気が重くても気軽に跨がれる点だ。さらに自転車のドライブトレインやローラー台の回転部分が露出しないため、お子さんやペットがライド中に巻き込まれる心配がない。
デメリットは自転車を1台増やすのとイコールかつ、スマートローラーが常に部屋に設置されていること。動かせないこともないが、非常に重いので現実的ではない。しかしスペースが必要だとは言え、スマートローラーを既にバイクを設置したままの場合を考えれば、それをKICKR BIKE SHIFTに置き換えるだけなので心配は無用だ。
KICKR BIKE SHIFTの特徴はワフーのエコシステム内にあり、スマホアプリやELEMNT(サイクルコンピューター)と連携すること。スマホアプリからはスマートバイク自体を自宅内のWi-Fiへと接続でき、シフトの形式をシマノDI2やスラムeTap AXSなどから選択が可能。加えて仮想ギア構成の調整が行えるため、理想の状態にカスタムできるのだ。
何よりもKICKR BIKE SHIFTのフィッティングウィザードがあるため、購入した際はワフーアプリを一度チェックしてもらいたい。フィッティングウィザードではRetulなどのサービスで得たデータを元にしたポジション出しの方法、自車の写真を撮って再現する方法、身長と股下の長さから割り出す方法の3種類が用意されており、状況に応じて選択可能だ。
今回は自車の写真を撮影する方法と体のサイズから導きだす方法で試してみたが、どちらもポジションを導き出したあとの微調整は必要だった。だがKICKR BIKE SHIFTはBBを中心にシートチューブ角やトップチューブ長まで変更できるほど調整幅が広く、頼りなしに理想のポジションを出すことは難しいため、システムである程度までポジションを出せるのはありがたい。それにフィッティングウィザードの後に調整が必要となったとしても、調整も簡単に行えるので修正も苦ではない。
ポジションを出したらズイフトなどを起動して、ペアリングさせればいつでも走り出せる手軽さが良い。KICKR BIKE SHIFTではハンドリング機能にも対応しており、コントロールレバーの親指シフト用ボタンを押すことでアバターを左右に振ることができるため、ハンドル機能も自動的にペアリングされる。ブレーキ操作も可能。
いざ走り出して感じるのは、駆動音が非常に静かであること。KICKR BIKE SHIFTはフライホイールをベルトで回すという構造はKICKRシリーズのスマートローラーと同様なのだが、チェーンやプーリーなどが駆動する時に発生する音がないだけで部屋に響きたる音は遥かに小さい。
もちろん無音ではなく、ペダリングの回転数が上がると徐々に音量が上がっていくけれど、それでも掃除機や電子レンジの稼働音よりは小さい。例えばKICKR WINDなど送風機を使っていればそちらの方が気なるのではないだろうか。振動もゼロではないがごく僅かのため、トレーニングマットを使用すれば周りに影響を及ぼすことはなさそうだ。
ギアチェンジも無音。足や手元にシフトチェンジした時のフィードバックが欲しくなる程、スムースに変速していくのはKICKR BIKE SHIFTならでは。本体にギアポジションのディスプレイがないため、あらかじめELEMNTシリーズと連携して表示させておくことが使いこなす上では必要となる。
自動負荷調整も非常に穏やか。ズイフト内での斜度変化1%に対してリニアに反応するが、斜度が一気に5%ほど変化しても負荷装置によるブレーキがかけられているような感覚はなく、スムースに走り続けることができる。もちろん脚への負担は増すことになるので、機械がマイルドだからといって、辛さは変わりない。
スプリントをするとハンドル周りが多少ブレるものの、基本的には安定している。そのため思い切りもがいても、スマートバイクがパワーを受けて止めてくれるのは気持ちがいい。これは上位グレードのKICKR BIKEよりも優れている点で、勾配をリアルに表現するスマートバイク自体のチルト機能を省略し、足回りで駆動するものを無くしたためによるメリットだ。
ただバーチャルサイクリング内の斜度を屋内で体感することはできなくなり、バイクが前後左右に揺れてリアル感を演出することはないため、室内でもリアルな環境を構築したいのであれば、KICKR BIKEやKICKR MOVE+CLIMBという組み合わせが適している。
今回のテストではスマートローラーを常設して、いつでもペダルを漕げる状態にしたい方にマッチしていると総じて感じた。それは本格的にトレーニングを行うサイクリストだけではなく、健康維持目的のフィットネスとして体を動かし続けたい方など、ライドの強度ではなく頻度が高い方にオススメしたい。
ワフー KICKR BIKE SHIFT
最大パワー出力:2200ワット
最大シミュレーショングレード:20%
商品重量:36kg
ドライブトレイン:ベルトドライブ
負荷制御方式:電子制御ブレーキ
パワー精度:+/- 1%
接続性:ANT+, ANT+ FE-C, WiFi, Bluetooth, ダイレクトコネクト
クランクアーム長(mm):165、167.5、170、172.5、175
利用者の身長幅(目安):152cmから193cmまで
体重制限:113kg
価格:484,000円(税込)
※ペダルは含まれません
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