ワフーが昨年リリースしたミドルグレードのスマートバイク"KICKR BIKE SHIFT"をピックアップ。静粛性に優れる負荷装置、細かなポジション設定ができる調整機構などが魅力の1台をテストした。
ワフー KICKR BIKE SHIFT 冬は寒くて外に出られないし、春は花粉症がひどくて外に出られない。また夏は夏で暑すぎて危険だから外に出られないなど、サイクリングをスキップする理由は幾らでもあるし、実際その言い訳に負けてしまう人も多いだろう。だがせっかく鍛えた身体もサボってしまえば鈍り、いざ気持ちよい天候でサイクリングしたくても、体が追いつかなくなってしまう。
ワイドスタンスの脚によって安定性を高めている バーチャルサイクリングを楽しむためにはスマートローラーが必要になるが、今回はその一つであるワフー KICKR BIKE SHIFTをピックアップする。通常のローラー台はマイバイクを設置するのだが、このKICKR BIKE SHIFTはその名の通りバイクそのもので、自転車とスマートローラーがオールインワンとなっているタイプだ。
デメリットは自転車を1台増やすのとイコールかつ、スマートローラーが常に部屋に設置されていること。動かせないこともないが、非常に重いので現実的ではない。しかしスペースが必要だとは言え、スマートローラーを既にバイクを設置したままの場合を考えれば、それをKICKR BIKE SHIFTに置き換えるだけなので心配は無用だ。
ヘッド周りも調整可能だ wahoo_kickr_bike_shift-9.jpg KICKR BIKE SHIFTの特徴はワフーのエコシステム内にあり、スマホアプリやELEMNT(サイクルコンピューター)と連携すること。スマホアプリからはスマートバイク自体を自宅内のWi-Fiへと接続でき、シフトの形式をシマノDI2やスラムeTap AXSなどから選択が可能。加えて仮想ギア構成の調整が行えるため、理想の状態にカスタムできるのだ。
何よりもKICKR BIKE SHIFTのフィッティングウィザードがあるため、購入した際はワフーアプリを一度チェックしてもらいたい。フィッティングウィザードではRetulなどのサービスで得たデータを元にしたポジション出しの方法、自車の写真を撮って再現する方法、身長と股下の長さから割り出す方法の3種類が用意されており、状況に応じて選択可能だ。
クランク長も5サイズに対応している 今回は自車の写真を撮影する方法と体のサイズから導きだす方法で試してみたが、どちらもポジションを導き出したあとの微調整は必要だった。だがKICKR BIKE SHIFTはBBを中心にシートチューブ角やトップチューブ長まで変更できるほど調整幅が広く、頼りなしに理想のポジションを出すことは難しいため、システムである程度までポジションを出せるのはありがたい。それにフィッティングウィザードの後に調整が必要となったとしても、調整も簡単に行えるので修正も苦ではない。
ポジションを出したらズイフトなどを起動して、ペアリングさせればいつでも走り出せる手軽さが良い。KICKR BIKE SHIFTではハンドリング機能にも対応しており、コントロールレバーの親指シフト用ボタンを押すことでアバターを左右に振ることができるため、ハンドル機能も自動的にペアリングされる。ブレーキ操作も可能。
シフトポジションはELEMNTに表示できる いざ走り出して感じるのは、駆動音が非常に静かであること。KICKR BIKE SHIFTはフライホイールをベルトで回すという構造はKICKRシリーズのスマートローラーと同様なのだが、チェーンやプーリーなどが駆動する時に発生する音がないだけで部屋に響きたる音は遥かに小さい。
ボトルケージも備えられている ギアチェンジも無音。足や手元にシフトチェンジした時のフィードバックが欲しくなる程、スムースに変速していくのはKICKR BIKE SHIFTならでは。本体にギアポジションのディスプレイがないため、あらかじめELEMNTシリーズと連携して表示させておくことが使いこなす上では必要となる。