2023/11/14(火) - 07:44
今年4月のロンド・ファン・フラーンデレンで落車し、脳震盪の影響でそのままシーズンを終えたタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が現状を説明。「目標は冬の合宿への参加」と母国メディアに語った。
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4月のロンド・ファン・フラーンデレンで落車したタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:CorVos
タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が落車に見舞われたのは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が独走勝利を飾った今年4月3日のロンド・ファン・フラーンデレン。ファンデルホールンは落車によって右目の上を切ると共に、脳震盪を起こしてレースを棄権した。
同じレースで落車し、脳震盪に見舞われたビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が2日後にレース復帰した一方で、ファンデルホールンはいまだその後遺症に悩まされている。その状況を「状態は悪くないが、最良ではない。毎日頭痛があり3歩進めば2歩下がるような状況だ。最初は日常生活にも支障をきたすほどで、家でじっとしていなければならなかった。本が読めず、友達と遊びに行くこともテレビを観ることもできなかった。何もすることができないので一日の長さを実感していたよ」と、オランダメディアWielerFlitsのインタビューに語った。
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逃げ屋として知られるタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:Kei Tsuji
ファンデルホールンはオランダ・ロッテルダム出身の29歳。2021年のジロ・デ・イタリア第3ステージでは約180kmを逃げ、追いかけるメイン集団を4秒差で振り切る劇的な勝利を飾る。2022年のツール・ド・フランスでも逃げから勝利に迫るなど、プロトンの新たな”逃げ屋”として存在感を示している。
そんなファンデルホールンは2017年11月にもレース外の落車により脳震盪を起こし、実戦復帰に約7ヶ月を要した過去がある。2度目の長期離脱に対し担当医からは完治すると告げられているそうだが、「数週間後と言われた完治までの日数が、数ヶ月先に長引いてしまうのが頭の怪我の難しいところ。回復への明確なプロトコルがなく、また個人差も大きいのが厄介なところだ」とファンデルホールンは語る。
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トレーニング合宿での復帰を目指すタコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:CorVos
だが着実に回復に向けては進んでいるようで、「いま日常生活での問題はない。ただ心拍数と血圧が上がると様々な症状が現れる。そのため立ち続けたり、ランニングすることにより頭をその状態に慣れさせる必要がある。いまではエアロフォームや機材の改善に努めているよ」と現状を語る。
そして懸命にリハビリを進めるファンデルホールンが掲げる目標は、今冬にチームが行うトレーニング合宿に参加すること。「いまは”回復への正しい道筋を辿っている”と信じるのみ。それが難しいのも事実だが、ここ数週間は自転車に乗ることができている。皆で山岳を6時間走るトレーニングが恋しいよ」と、前向きなコメントでインタビューを締めくくった。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が落車に見舞われたのは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が独走勝利を飾った今年4月3日のロンド・ファン・フラーンデレン。ファンデルホールンは落車によって右目の上を切ると共に、脳震盪を起こしてレースを棄権した。
同じレースで落車し、脳震盪に見舞われたビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が2日後にレース復帰した一方で、ファンデルホールンはいまだその後遺症に悩まされている。その状況を「状態は悪くないが、最良ではない。毎日頭痛があり3歩進めば2歩下がるような状況だ。最初は日常生活にも支障をきたすほどで、家でじっとしていなければならなかった。本が読めず、友達と遊びに行くこともテレビを観ることもできなかった。何もすることができないので一日の長さを実感していたよ」と、オランダメディアWielerFlitsのインタビューに語った。
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ファンデルホールンはオランダ・ロッテルダム出身の29歳。2021年のジロ・デ・イタリア第3ステージでは約180kmを逃げ、追いかけるメイン集団を4秒差で振り切る劇的な勝利を飾る。2022年のツール・ド・フランスでも逃げから勝利に迫るなど、プロトンの新たな”逃げ屋”として存在感を示している。
そんなファンデルホールンは2017年11月にもレース外の落車により脳震盪を起こし、実戦復帰に約7ヶ月を要した過去がある。2度目の長期離脱に対し担当医からは完治すると告げられているそうだが、「数週間後と言われた完治までの日数が、数ヶ月先に長引いてしまうのが頭の怪我の難しいところ。回復への明確なプロトコルがなく、また個人差も大きいのが厄介なところだ」とファンデルホールンは語る。
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だが着実に回復に向けては進んでいるようで、「いま日常生活での問題はない。ただ心拍数と血圧が上がると様々な症状が現れる。そのため立ち続けたり、ランニングすることにより頭をその状態に慣れさせる必要がある。いまではエアロフォームや機材の改善に努めているよ」と現状を語る。
そして懸命にリハビリを進めるファンデルホールンが掲げる目標は、今冬にチームが行うトレーニング合宿に参加すること。「いまは”回復への正しい道筋を辿っている”と信じるのみ。それが難しいのも事実だが、ここ数週間は自転車に乗ることができている。皆で山岳を6時間走るトレーニングが恋しいよ」と、前向きなコメントでインタビューを締めくくった。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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