渋川をスタートし、前橋、みどりと2つのエイドにたどり着いた赤城一周ライド。ここからは本格山岳区間が登場。黒保根から奥利根、沼田を巡る後半戦をレポートしていきます。(※前編はこちらより



渡良瀬川を渡っていきます

道端に色づく柿が秋を教えてくれました

2つのエイドを経由した時点で、微妙な危機感を感じていた。そう、お腹がいっぱいなのである。厳密に言えば腹八…いや九分目くらいなのであるが、この先もこのペースでご飯が出てくると確実に限界を迎えてしまいそうだ。

ここから先は本格的な登りもあり、消費カロリーも増えることは間違いない。ただ問題は次のエイドが登りの手前にあること……そして例年の実績からすると、かなりボリューミーなものが待っているだろうということだ。

登りの前にがっつり栄養補給!

地元の「水口屋」さん謹製のお弁当には手作りのおかずが盛りだくさん

などという贅沢な悩みを抱えながら、第2エイドを出発。渡良瀬川沿いの道を遡るように走っていくと、第3エイドの「道の駅 くろほねやまびこ」はあっという間に見えてくる。さて、このエイドでは何が待っているのだろうか。

少しドキドキしながら受け取ったのは、なんと立派なお弁当。こちらは地元の「水口屋」さん謹製のお弁当で、この日の為に早朝からせっせと作っていただいているのだとか。うん、これはありがたく頂かざるを得ない一品だ(笑)。沢山のおかずが詰められたお弁当をありがたく頬張り、なんとか完食。周りの皆さんもおいし苦しそうに食べている。とはいえ、ここから先はしばらくの間ひたすら登り。赤城山の東麓を一路北上する。

ここから登るぞ!

道路名で言えば沼田大間々線。この登りは大まかには3つくらいの区間に分かれているような印象だ。最初に現れるのが、農村地帯をどんどん標高を上げていく区間。最初に激坂が登場した後、一気に視界が広がるので景色を楽しみつつ登っていける。途中にはお弁当を作ってくれた水口屋さんもあり、心の中でご馳走様を伝えつつ登っていく。

直登のピークを過ぎると、しばしの下りを挟み、第2ステージへ。谷合を跨ぐような大きな橋をいくつか渡ると、長いトンネルが登場。緩く登るトンネル内をペースで登り、橋を渡った先で一旦また斜度が落ち着き、最終ステージへと突入。

谷を越えるように掛けられた橋

楡高トンネルを抜けていく
一気に森の中に。



黒保根渓谷沿いに標高を稼いでいく

東京電力パワーグリッドの皆さんがエイドでもてなしてくれました
各種のデバイスに充電可能だ



一部の釣り人の間でカルト的人気を誇る黒保根渓流フィッシングを過ぎたあたりから、森が更に深くなってくる。まだ紅葉には少し早かったものの、このレポートが出るころには真っ赤に染まっている頃合いだろう。しばらく行くとTHE峠!といった雰囲気の九十九折れが登場するが、ここまで来ればピークは目前。

峠の頂上となる地点には給水所が設けられている。東京電力パワーグリッドの東群馬変電所への入り口となっていることもあり、同社の方々が自らおもてなししてくれる。PHEVから給電することも可能となっており、ライダーだけでなくスマホやサイクルコンピューターなどのデバイスのスタミナを回復することが出来るのはこのエイドならでは。

南郷の曲屋がエイドステーションに

手作りのすいとんとおにぎり。あったまるんです
なんとも落ち着く空気が流れていました



囲炉裏端ですいとんを頂く

足湯と手湯でリフレッシュ!

さてここからは一路ダウンヒル。落ち葉も多めでキツめのコーナーが続くということもあり、慎重に。根利川沿いを下っていくと次なるエイドの南郷曲家まではあっという間。こちらのエイドでは、昔ながらの竈で煮込まれたすいとんが振舞われる。

風情のある囲炉裏端で、柔らかな日差しが注ぐ縁側で。古民家ならではの穏やかでゆったりとした空気の中で頂く手作りのすいとんは、その素朴さも相まって心から温かくなる。古民家の外には、足湯&手湯スポットもあり、ここまでの疲れを末端から癒すことも。

根利川を渡っていく

一気に望郷ラインで標高を上げていく

一面コンニャク畑が広がる赤城山東側
燃えるようなサルビアが咲いていました



沼田市街を望む絶景だ

さて、ここからは赤城山の西へ向けて走り出す。この先は望郷ラインと名付けられた絶景路。つまり、もう一度登り返す必要があるということでもある。ただ、東側の峠ほどではなく丘、といったところ。一旦登ってしまえば、後は一面に広がるこんにゃく畑の真ん中を貫くような走りやすい道のりとなる。

眼下には沼田の街並みを望む絶景路を走り抜けると、最後のエイドとなる道の駅あぐりーむ昭和が現れる。こちらでは、しっかり味の沁みた玉こんにゃくが待っている。ここまでかなりのカロリーを摂取しており、消費カロリー<摂取カロリーであることは明らかであっただけに、カロリーゼロのこんにゃくは逆に嬉しいくらい。

味の良く沁みた玉こんにゃくを頂きます
昭和と渋川の間はワインディングロードとなる



長い直登区間。1周を目前に立ちふさがる壁だ。

もう少しでフィニッシュと思えば、ペダルにも力がこもる

ここまでくれば、後はフィニッシュへ向かって一直線。と行きたいところだけれど、初めのグンと高度を上げた後には意外に細やかなアップダウンのワインディングロードが続いていく。渋川と沼田を繋ぐ主要な道とあって、テクニカルなカーブが続く道の割に交通量も多いので、特にブラインドコーナーは気をつけて。

ワインディング区間を抜けると、フィニッシュ地点はすぐそこ。朝、出発した赤城総合運動公園へと帰ってきた。ぐるりと赤城山麓を一周した私たちを待ち受けていたのは、渋川名物のホルモン。初代渋川B級グルメ王者に輝いた丸福ホルモンさんがケータリングカーで出店しており、焼き立てのホルモンをその場で頂けるのだ。

群馬名物の丸福ホルモン。なんと社長自ら焼いてくれました!

サイクリングには最高の〆ですね
濃厚な味付けのホルモン



サイン本を掛けたじゃんけん大会が開催

甘辛~いタレが効いたホルモン盛り合わせは、疲れた体にスタミナを急速チャージしてくれる。呑んべえの方であればビールが欲しくなりそうな一品で、なんなら仲間と一緒に車に乗ってきた方であれば、最寄りのコンビニ(ローソン赤城インター店)まで一本買いに行くという手もある。運転手に恨まれるリスクを度外視すれば……ですが(笑)。私は下戸なので、どちらかと言えば白米が欲しい。ホルモン一切れでご飯が2~3口くらいはいけそうだ。

そんな名物に舌鼓を打っていると、この日を締めくくるイベントが。ゲストライダーのハシケンさんと日向さんが手がけた「絶景サイクリング旅」のサイン本が当たるじゃんけん大会が開かれたのだ。熾烈な戦いを勝ち抜いた幸運な10名が貴重なサイン本を手にするのであった。

渋川スタートの皆さん、全員無事にフィニッシュしました

走りごたえのあるコースと、おもてなしに溢れたエイドステーション。更に渋川スタートであれば、ICから2分ほどという圧倒的なアクセスの良さを誇る赤城一周ライド。秋の訪れを感じるロングライドとして、来年の開催が今から待ち遠しい良イベントだった。

text&photo:Naoki Yasuoka

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