宮城県亘理郡亘理町で行われたJCXシリーズ第2戦で、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)と渡部春雅(明治大学)が独走勝利を挙げた。マスターズカテゴリーやそのほかのカテゴリーと共にレポートしていく。



ワールドカップに登場しそうなキャンバーの折り返しや登り返しや階段がある「鳥の海公園」特設コース photo:Michinari TAKAGI

AJOCC JCXシリーズ第2戦およびJCFシクロクロスシリーズである「東北CXシリーズ#1”亘理町長杯”わたりラウンド」が宮城県亘理郡亘理町の「鳥の海公園」特設コースで10月29日に開催された。

今年のシクロクロス全日本選手権に出場するためにはJCFポイントを獲得し、ランキング80位以内に入ることが条件。昨年はランキング100位以内が出場資格であり、今年は枠が20人減るという狭き門に。そのためランキング対象レースであるJCXシリーズのポイント争いが熾烈になっている。

路面コンディションはドライ photo:Michinari TAKAGI
キャンバーの連続コーナーで転倒してしまう選手が続出 photo:Michinari TAKAGI

全日本チャンピオンジャージを纏う織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)やワールドカップ参戦の鈴木来人(OenbyESU-ICV)が最前列に並ぶ photo:Satoshi Oda/AJOCC

会場となった宮城県亘理郡亘理町の「鳥の海公園」特設コースは暖かな秋晴れ。最高気温は19℃と日差しが差すと暖かく感じるほど。昼前から雨予報となっていたが、結局路面コンディションはドライに保たれた。

オーガナイザーを務める菅田純也さんが「ヨーロッパレースに近い、テクニカルでハイスピードなコースを意識した」と言うコースは、テクニカルなキャンバーの折り返しや登り返し、砂利、芝、階段、シケインといったシクロクロスに登場するすべての要素を取り入れた、あらゆるスキルとパワーが求められるもの。

ME1:全日本チャンピオンの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が今季初参戦初勝利

ホールショットを決めたのは積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM) photo:Satoshi Oda/AJOCC
序盤に形成された9名の先頭集団 photo:Satoshi Oda/AJOCC
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)と鈴木来人(OenbyESU-ICV)のトップ争い photo:Satoshi Oda/AJOCC


男子の最高クラスであるME1には全日本チャンピオンジャージを纏う織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が今季初参戦し、アメリカで開催されたワールドカップ初戦にも参戦した鈴木来人(OenbyESU-ICV)、東北シクロクロスの昨年のシリーズチャンピオンである加藤健悟(臼杵レーシング)らも出場。14時の号砲とともに積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM)がホールショットを決め、織田は集団内に埋もれてしまう。その後は8名ほどの先頭パックがレースを引っ張った。

先頭2名を追いかける斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)と加藤健悟(臼杵レーシング) photo:Satoshi Oda/AJOCC
単独2位となった鈴木来人(OenbyESU-ICV) photo:Satoshi Oda/AJOCC

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が軽やかなバニーホップでシケインをクリアしていく photo:Satoshi Oda/AJOCC

スタートこそ埋もれた織田だったが、すぐに息を吹き返して持ち前のテクニックとパワーで選手を抜き去り、2周目に入ってトップに躍り出る。織田を追いかけるのは鈴木、そして加藤。しかし全日本チャンピオンの背中は遠くなっていくばかりだった。

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が今シーズン初勝利 photo:Satoshi Oda/AJOCC

ME1の表彰式 photo:Michinari TAKAGI

ホームストレートに戻ってきた織田は大きく両手を挙げながらフィニッシュ。後続を寄せ付けない圧倒的な走りで織田が優勝を決め、全日本チャンピオンの底力を見せつけるレースとなった。

優勝した織田は「スタートをミスしてしまって、7、8番手くらいまで下がってしまいましたが、シクロクロスの初戦でもあったので落ち着いて走りました。徐々に巻き返して2周目には先頭に立ち、そこからは自分のペースで走りました」とコメント。EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントの一員としてロードシーズンを終えた今季は、昨年よりもパワーアップしている印象。次戦は幕張の予定だという。



WE1:パンクから追い上げた渡部春雅(明治大学)が優勝

最前列には前全日本チャンピオンの渡部春雅(明治大学)や世界選手権に出場していた大蔵こころ(早稲田大学)が並ぶ photo:Michinari TAKAGI

女子最高峰であるWE1のフロントローには前全日本チャンピオンの渡部春雅(明治大学)や世界選手権に出場した大蔵こころ(早稲田大学)、小田恵利花(SNEL CYCLOCROSS TEAM)などが並ぶ。

勢いの良いスタートでホールショットを獲得したのは小田恵利花(SNEL CYCLOCROSS TEAM)だったが、アウト側に膨れてしまい、イン側に位置していた大蔵が抜き去って第1コーナーを立ち上がる。その直後の第2コーナーで大蔵の後ろに付けていた渡部が抜き、先頭に立った。

小田恵利花(SNEL CYCLOCROSS TEAM)がホールショットを奪う photo:Michinari TAKAGI

大蔵こころ(早稲田大学)がトップに立つ photo:Michinari TAKAGI
渡部春雅(明治大学)を追いかける大蔵こころ(早稲田大学) photo:Michinari TAKAGI

キャンバーの折り返しを軽々とクリアしていく大蔵こころ(早稲田大学) photo:Michinari TAKAGI
前方の2人を追走する小田恵利花(SNEL CYCLOCROSS TEAM) photo:Michinari TAKAGI

バイクを持ち上げシケインをクリアしていく渡部春雅(明治大学) photo:Michinari TAKAGI

渡部は後続を突き放し独走態勢に入ったものの、レース終盤にパンクしてしまい、大蔵にパスされ2位に下がってしまう。しかし渡部はピットでスペアバイクに乗り換え、猛追を開始した。

渡部は最終周回に入る手前で大蔵を射程圏に捉えて抜き、再びトップに躍り出る。そしてポジションを落としてもなお落ち着いた走りを見せた渡部が、今シーズン初勝利を飾った。大蔵が2位、小田が3位。

渡部春雅(明治大学)が今シーズン初勝利を飾った photo:Michinari TAKAGI

WE1の表彰式 photo:Michinari TAKAGI

「前半から先行して行こうと決めていました。レース終盤にパンクをしてしまって大蔵選手に抜かれてしまいましたが、バイク交換をしてからは抜き返せて優勝できてよかったです。シクロクロスシーズンは一戦一戦を大切にして、勝ちに拘っていきたいです!来週の幕張シクロクロスも頑張ります!」と渡部春雅(明治大学)がコメントしてくれた。

マスターズカテゴリーのMM1(男子)は生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス)が落ち着いた走りで後続との差を広げて独走優勝。同女子は林口ゆきえ(gufo cycleworks)が制している。

MM1のスタート photo:Michinari TAKAGI
生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス)がMM1で優勝 photo:Michinari TAKAGI

ME2を制した加藤快介(新潟食料農業大学) photo:Michinari TAKAGI
WM優勝の林口ゆきえ(gufo cycleworks) photo:Michinari TAKAGI

WU15を制した皆木海音(AVENTURA VICTORIA RACING) photo:Michinari TAKAGI
キッズカテゴリーのスタート前 photo:Michinari TAKAGI


ME2は加藤快介(新潟食料農業大学)、ME3は岩田聖矢(弱虫ペダルサイクリングチーム)、ME4は土田大史(サガミレーシング)が上位カテゴリーへ昇格している。

また、会場ではミズタニ自転車が展示ブースを出してフィードバックのローラー試乗会やDMTのシューズ試着会などを実施。さらに、スコーンやクロワッサン、コーヒーなどが販売された飲食ブースは大盛況で常に行列ができていた。

ジャイアントブースではTCXユーザーに「TCXトモノカイ」ステッカーを配布 photo:Michinari TAKAGI
DMTシューズの試着会を実施 photo:Michinari TAKAGI

地元の歌手によるライブも行われた photo:Hijiri ODA
フィードバックのローラー試乗会も実施 photo:Michinari TAKAGI

キンダーガーデンは当日エントリーも可能 photo:Michinari TAKAGI
亘理町にある『小さな隠れ家 Ema スコーンの店』のスコーンは人気のため早々に完売していた photo:Michinari TAKAGI

マスターズカテゴリーでは恒例のレース後の集合写真を photo:Michinari TAKAGI

東北シクロクロスオーガナイザーの菅田純也さんのコメント

「亘理での開催は4回目でした。普段から常設コースとしているので、普段から練習しに来ている方が多いんです。そのため地元選手などは環境を活かして、良いリザルトが出たんじゃないかなと思います。

過去にワールドカップや世界選手権を観てきた中で、向こうのレースに近いように、テクニカルでハイスピードなコースになるようにコースレイアウトしました。東北CXのおかげもあってか、東北でもシクロクロス人口が増えています。シクロクロスをどんどん普及できるように今後もレースを開催していきたいと思います。」

東北シクロクロスオーガナイザーの菅田純也さん photo:Michinari TAKAGI
エリート男子(ME1)リザルト
1位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 55:39.4
2位 鈴木来人(OenbyESU-ICV) +0:39
3位 加藤健悟(臼杵レーシング) +1:33
4位 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) +1:59
5位 松田賢太郎(SUPACAZ) +2:50
エリート女子(WE1)リザルト
1位 渡部春雅(明治大学) 39:56.5
2位 大蔵こころ(早稲田大学) +0:19
3位 小田恵利花(SNEL CYCLOCROSS TEAM) +3:36
4位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) +5:39
5位 小林 慧美(SUBARU Cycling Team) +6:12
MM1リザルト
1位 生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス) 38:11.0
2位 中里聡史(Gufo Cycle Works) +1:37
3位 林健太郎(Team CHAINRING) +1:53
その他カテゴリーのリザルト
ME2 加藤快介(新潟食料農業大学)
ME3 岩田聖矢(弱虫ペダルサイクリングチーム)
ME4 土田大史(サガミレーシング)
MJ 水上央渉
WE2+3 三ツ橋美佳(Gufo Cycle Works)
MM1 生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス)
MM35+40 佐藤正輝(Hangover)
MM50+60 滋野春紀(SHIDO-WORKS)
WM 林口ゆきえ(gufo cycleworks)
MU17 松村拓弥(群馬グリフィンエリート)
WU17 小林碧(ProRide)
WU15 皆木海音(AVENTURA VICTORIA RACING)
CK3 飯島大也
CK2 飯島花怜
CK1 鈴木颯太(FAKP Racing Project)
text:Michinari TAKAGI & Satoshi Oda/AJOCC
photo:Michinari TAKAGI