2023/10/24(火) - 18:33
雨のジャパンカップを走ったタイヤセッティングにフォーカス。空気圧4.5は当たり前。4.0、そして3.5気圧の選手も。ディスクブレーキ/ワイドチューブレスタイヤ時代のセットアップを聞いて回った。
世界トップ選手をして「テクニカル」と言わしめる、ジャパンカップの宇都宮森林公園特設コース。30回記念となった2023年大会は終始本降りの雨に見舞われ、タイトコーナーが続く古賀志林道のダウンヒルはレース展開を作るに十分な難易度に仕上がった。
ここでシクロワイアード取材班が注目したのが出場チームのタイヤセッティングだ。
パドックを見て回ると、複数チーム所属選手で構成される日本ナショナルチームを除く18チーム中、最も使用率が高かったのはヴィットリア(6チーム)で、続いてコンチネンタルが4チーム。パナレーサーが3チームで、ミシュランとピレリ、スペシャライズド、IRC、そしてハッチンソンがそれぞれ1チームずつ。道路の舗装事情も関係すると推測されるが、海外チームのスタンダードはチューブレスの28mm幅であり、国内チームよりもタイヤのワイド化は一歩進んでいる。
優勝したルイ・コスタ(ポルトガル)を含め、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティは全員がコンチネンタルの軽量モデルであるGrand Prix 5000TT TR(28、以下TT TR)を使う。帯同メカに聞いたところ、スタンダードモデルのGrand Prix 5000S TR(以下、S TR)を使わない理由は「耐パンク性能も良いし、何よりもパフォーマンスを優先すべきというチーム理念がある」から。帯同した西勉メカニックによれば、公称値183cm/体重69kgのコスタの空気圧は4.7〜4.9だという。
一方同じコンチネンタルサポートチームながら、S TRで揃えたのがバーレーン・ヴィクトリアスだ。ツール・ド・フランスではほとんどの選手がTT TRだったが、聞けば「パンクリスクの増える雨の時にTT TRは使わない」とアンテルマルシェと異なる方向性。チームの中でも一際小柄(168cm/55kg)のハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア)の空気圧は28mm幅で前4.2、後4.4。
タイヤセッティングを聞いた中で、最も低圧だったのはエドワード・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)の前後3.5気圧だ。ジェイコはヴィットリアのCORSA PROを使い、全員が28mm幅。公表データによればダンバーは170cm/57kgだ。
雨タイヤを用意していたのがスーダル・クイックステップだ。クリンチャーのTURBO Cotton(28mm)を使うが、雨レースではスペシャライズドが供給専用品として作るTURBO RapidAir WETを用意する。使用は選手の判断に委ねられており、今回のジャパンカップでの使用率は低め。大逃げでレースを沸かしたジュリアン・アラフィリップ(フランス)はTURBO Cottonを選択していた。
ピレリとパートナーシップを組むリドル・トレックは普段チューブレス(P ZERO RACE TLR)を使うが、今回のジャパンカップでは半数以上がチューブラー(P ZERO RACE TUB SL/26mm)を採用。メカニックに聞いたところ「チューブラーの方が雨での安心感が高いから」との理由だ。
更にチューブレスタイヤ全盛期ながら出場選手全員がチューブラータイヤ(ミシュラン POWER CUP)で揃えていたのがコフィディス。「とにかく重量を軽く抑えたいから」とのことであり、タイヤ幅も25mm(メーカーラインナップには28mmも存在する)。組み合わせるコリマのホイールとの兼ね合いもあるとのことだが、来季はチューブレスで統一する予定、とも。
text:So.Isobe
世界トップ選手をして「テクニカル」と言わしめる、ジャパンカップの宇都宮森林公園特設コース。30回記念となった2023年大会は終始本降りの雨に見舞われ、タイトコーナーが続く古賀志林道のダウンヒルはレース展開を作るに十分な難易度に仕上がった。
ここでシクロワイアード取材班が注目したのが出場チームのタイヤセッティングだ。
パドックを見て回ると、複数チーム所属選手で構成される日本ナショナルチームを除く18チーム中、最も使用率が高かったのはヴィットリア(6チーム)で、続いてコンチネンタルが4チーム。パナレーサーが3チームで、ミシュランとピレリ、スペシャライズド、IRC、そしてハッチンソンがそれぞれ1チームずつ。道路の舗装事情も関係すると推測されるが、海外チームのスタンダードはチューブレスの28mm幅であり、国内チームよりもタイヤのワイド化は一歩進んでいる。
優勝したルイ・コスタ(ポルトガル)を含め、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティは全員がコンチネンタルの軽量モデルであるGrand Prix 5000TT TR(28、以下TT TR)を使う。帯同メカに聞いたところ、スタンダードモデルのGrand Prix 5000S TR(以下、S TR)を使わない理由は「耐パンク性能も良いし、何よりもパフォーマンスを優先すべきというチーム理念がある」から。帯同した西勉メカニックによれば、公称値183cm/体重69kgのコスタの空気圧は4.7〜4.9だという。
一方同じコンチネンタルサポートチームながら、S TRで揃えたのがバーレーン・ヴィクトリアスだ。ツール・ド・フランスではほとんどの選手がTT TRだったが、聞けば「パンクリスクの増える雨の時にTT TRは使わない」とアンテルマルシェと異なる方向性。チームの中でも一際小柄(168cm/55kg)のハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア)の空気圧は28mm幅で前4.2、後4.4。
タイヤセッティングを聞いた中で、最も低圧だったのはエドワード・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)の前後3.5気圧だ。ジェイコはヴィットリアのCORSA PROを使い、全員が28mm幅。公表データによればダンバーは170cm/57kgだ。
雨タイヤを用意していたのがスーダル・クイックステップだ。クリンチャーのTURBO Cotton(28mm)を使うが、雨レースではスペシャライズドが供給専用品として作るTURBO RapidAir WETを用意する。使用は選手の判断に委ねられており、今回のジャパンカップでの使用率は低め。大逃げでレースを沸かしたジュリアン・アラフィリップ(フランス)はTURBO Cottonを選択していた。
ピレリとパートナーシップを組むリドル・トレックは普段チューブレス(P ZERO RACE TLR)を使うが、今回のジャパンカップでは半数以上がチューブラー(P ZERO RACE TUB SL/26mm)を採用。メカニックに聞いたところ「チューブラーの方が雨での安心感が高いから」との理由だ。
更にチューブレスタイヤ全盛期ながら出場選手全員がチューブラータイヤ(ミシュラン POWER CUP)で揃えていたのがコフィディス。「とにかく重量を軽く抑えたいから」とのことであり、タイヤ幅も25mm(メーカーラインナップには28mmも存在する)。組み合わせるコリマのホイールとの兼ね合いもあるとのことだが、来季はチューブレスで統一する予定、とも。
text:So.Isobe
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