オルケースやイーボックを扱うインターテックが新たなバッグブランド"ルートワークス”の展開を開始した。ルートワークスの代表作であるThe Handlebar Bagをテスト。非常に扱いやすく、配慮が細部まで行き届いているバッグを紹介しよう。



ルートワークス The Handlebar Bag

ラック+パニアを使用せず、バイクに直接バッグを装着するスタイルのバイクパッキングが盛り上がった、トップチューブバッグやフレームバッグなどが登場し自転車で荷物を持ち運ぶ方法は非常に豊かになった。そして、各ブランドが開発を進めたことで、扱いやすいバッグの選択肢も増えている。

ハンドルバーバッグもその一つで、ドロップハンドル向けのバッグとして幅が最適化された俵型のモデルがポピュラーになってきた。必要最低限の荷物を持ち運べる程度の大きさで、ロードバイクの見た目にも馴染むことから人気が高い。

今回紹介するルートワークスのThe Handlebar Bagは、モダンなドラム型とは対を成すようなクラシックなボックス形状のモデルだ。ハンドルバーの内側の大きな空間を使うため、ボックス型は大仰な感じもしていたのだが、ポケットなども少なくシンプルな見た目に仕上げられているため、ロードバイクにも馴染んでくれたことが好印象だった。

蓋は奥に向かって開くため、信号待ちでもアクセスしやすい

そして何よりも扱いやすいことに驚かされた。様々な理由はあるものの、最も美点と感じたのは、バッグの開口部がライダーから向かって奥側に開くようになっていること。加えて開口部のメカニカルなロック機構がワンタッチで解除でき、素早くバッグを開けるようになっている。

ありそうでなかった設計のおかげでライド中に信号で停止している時でも、乗車ポジションのままストレスなくかつスピーディーにバッグの中にアクセスすることができる。個人的にはジッパーの開け閉めよりは圧倒的に楽。

筆者はもっぱらジャージのバックポケットやツールボトルに荷物を詰めてロードサイクリングしており、ライド中に荷物を出し入れする必要がないように走っていた。しかし、この簡単なシステムを体験したら、今までとは異なるサイクリングを楽しめそうだ。具体的には信号待ちの時にスマホを確認しやすいから未知のルートを走る時でもミスルートが少なくなりそう。

荷室は広くゆとりのある空間となっている

内側には3つのポケットが装備された
バッグのサイドにもポケットが用意された


一眼ミラーレスカメラ(a7iii)がすっぽりと収まる大きさ

そして、ボックス形状の荷室のおかげで型崩れしやすいようなおにぎりやパン類なども持ち運びやすく、携行する補給食のバラエティが増えるはず。350mlのペットボトルも収納できるため、ジュースなどを選んでも良いだろう。もちろん、ライド中にお土産を買うという選択肢も生まれるため、ライドの思い出も残すことができる。

荷室のサイズ感としては、一眼ミラーレスレンズ(ソニーa7iii)のレンズキットがちょうど良く入る大きさ。つまり大きすぎないカメラであれば持ち運ぶことができるため、荷物の出し入れが容易な魅力も相まって、シャッターチャンスを逃しにくい。実際のサイズは145mm x 235mm x 153mmで、容量は3.2L。

バッグ内部にはセパレートもあり、かつカバーに装備されている追加ポーチも用意されているため、カバンの中を整理することもできる。特にペンケースのようなポーチにはファーストエイドキットなど細かいものを収納できるため、ライドに持ち運ぶかどうか悩むものを入れられそうだ。

バッグ下部にもコードが備えられている

またバッグの蓋と下部にはコードが備えられており、そこにウィンドブレーカーを挟み込むこととも可能。雨天などで濡れてしまったものを内部に収納するのは気が引けるが、このように外側に括り付けられるのはありがたい。

ルートワークスのハンドルバーバッグはボックス形状と存在感があるため、混み合いやすいハンドルバー周りのスペースを占有してしまう。そのためサイクルコンピューター、ライト用のカスタムパーツが純正品として用意されている。例えばコンピューターは蓋のブランドマーク部分が取り外し可能となっており、各ブランド用のマウントに置き換えられる。

ハンドルバースタブを用意することでライトの装着も可能となる

それだけではなくアクションカメラマウントが用意されていたり、スマートフォンケースのSPコネクト用アダプターが今後登場する予定となっているため、バッグの蓋を自分の好みにカスタマイズすることができ、より使いやすいハンドルバーを作り出せる。また蓋からケーブルを出すことができるため、バッグに収納したモバイルバッテリーからスマホやライトに給電することも可能となっている。

ライトはバッグの側方に取り付けるステーに取り付ける。直径が31.8mmと一般的なハンドルバーと同じサイズのため、ライトの装着には困りにくい。しかし、バッグ側方に30mm張り出すため、自身のハンドルバー幅などを考慮して欲しい。

ボックス形状ながら左右に空間のゆとりがある

今回は400mm幅のハンドルに、カンパニョーロEkarを組みつけたバイクでテストを行った。親指シフトレバーとのクリアランスは極小であり、ハンドルの持ちかえなどは最初戸惑ったが、1時間のライド中で慣れてしまったようだ。2回目のライドではほぼ気にならなかったため多くの場合はストレスなく使えるだろう。

なんでも収納できてしまう懐の深さ、外側にも荷物を積載できる拡張性の高さは裏を返すと、積載重量が大きくなってしまうと言うことでもある。バッグ自体も684g(マウント込み)と軽量では無いため、軽量なバッグを探している場合は違う選択肢がありそうだ。

アルミ製のマウントに固定するためハンドルバーバッグが暴れにくい
赤いレバーを操作するだけで脱着できるクイックリリース式


ボルトクランプ式のマウントとクイックリリース式とされている

ただマウントがステムを挟んで2箇所、ボルトオンで固定する仕様のため、路面からの衝撃や自重に強いことが魅力。実際にグラベルなども走ってみたのだが、バッグがブレて存在感を主張することもなく、満載のバッグがストレスを与えてくることはなかった。

もちろんダンシングなどでは重量感が伝わってくるものの、極端に重さを感じることは少ない。今回テストではオールロード系モデルを使用しているため、ダンシングでの軽快感に特化した軽量クライムバイクでは異なる印象を受けるかもしれない。

バッグのマウントシステムにはクイックリリース機構が備えられており、確かなホールド力を実現しながらも、バッグの着脱を素早く行えることが魅力。さらにルートワークスはマウントから外したバッグのことも考慮しており、あらかじめショルダーストラップを備えた。これによってマウントから外したバッグは肩掛けカバンに早変わりする。

ショルダーバッグとしても使えるように肩紐が用意されている

肩掛けカバンが活躍するのはライドの休憩でコンビニに入る時や、カフェ休憩で長時間自転車から離れる時、輪行ライドで電車に乗っている時。ライド中は貴重品から身を離さなくて済む上に、持ち運びも苦にならないというメリットがある。そして輪行時はバイクバッグをどう持ち運ぶかは悩みどころのため、このように肩掛けカバンとして扱えるのはありがたい。ただ収納した荷物の下にストラップが埋もれてしまうと、取り出すのに苦労するので、あらかじめ対処法を考えるのが吉。

至れり尽くせりの機能を実現しているルートワークスだが、バッグを装着しないライドのことまで考慮し、サイコンやライト用のアウトフロントブラケットまで用意してくれた。ブラケット・マウント部の表側はサイコン、裏側はライトといったように使い分けることができ、ブラケットの機能としても申し分ない。もちろんクイックリリース式なので、バッグとの切り替えもあっという間。

バッグのカバーにはエンブレムとコードが備えられている

バッグの蓋にサイクルコンピューターを装着することができる

ここまでユーザーフレンドリーなハンドルバーバッグはあっただろうかと思わせるくらい多機能なルートワークスのThe Handlebar Bag。価格は32,780円(税込)と高価に設定されているが、その価格に見合った機能や扱いやすさを備えているバッグだった。ライド中にバッグから荷物を出したいと考えている方にはぴったりな一作だ。



ルートワークス The Handlebar Bag
サイズ:145mm x 235mm x 153mm
容量:3.2L
最大積載可能量:4kg
重量: 684g(バイクマウント含む)
カラー:ブラック、オリーブ、グレー
価格:32,780円(税込)

ルートワークス アダプター
ワフー向け:990円(税込)
ガーミン向け:990円(税込)
26.0mm径ハンドル用シム:2,640円(税込)
25.4mm径ハンドル用シム:2,640円(税込)
ハンドルバースタブ:1,980円(税込)

ルートワークス マウント
純正バイクマウント:5,500円(税込)
アクションマウント:2,970円(税込)
アウトフロントマウント:10,560円(税込)
クアッドロック用マウント:5,170円(税込)

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