2023/09/06(水) - 08:10
第78回ブエルタは今大会唯一の個人タイムトライアルで再始動。25.8kmコースで快走したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がエヴェネプールに16秒差、ログリッチに36秒差をつけ第10ステージを制し、クスが総合首位キープに成功した。
9月5日(火)第10ステージ
バリャドリード〜バリャドリード 25.8km(個人TT)
第9ステージのフィニッシュ地点であるスペイン南部から、選手たちは飛行機でスペイン北西部のバリャドリードに移動。大会最初の休息日を経て臨むのは25.8kmの個人タイムトライアルだ。
コース序盤は15のコーナーに加えて登坂距離600m/平均勾配6.5%の小さな丘が登場。しかしラスト約15kmは直線かつ平坦路、更に追い風がフィニッシュまで続いていくため、TTスペシャリストが活躍するレイアウトとなる。
大会唯一の個人TTのため総合優勝を争う選手たちにとっては重要な日となる。セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)は前回覇者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)に2分22秒差。またチームメイトであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)は2分29秒、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)は2分33秒差の中でのレースとなった。
総合最下位のカラム・スコットソン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)から順に1分間隔(総合20位からは2分間隔)で162名の選手たちがスタートを切る。そして前半に出走した選手の中で良いタイムを出したのはシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)だった。TTヨーロッパ選手権王者を表すジャージを纏い、カブトガニのような特徴的なヘルメットつけたビッセガーは28分58秒でフィニッシュラインを通過した。
平均スピード53.425km/hで駆け抜けたビッセガーを更新する選手はしばらく現れず、全体の69番目で優勝候補筆頭のイタリア王者、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)がスタート切った。
過去TT世界選手権を2連覇しているガンナは第1中間計測(12.5km)でビッセガーを32秒上回り、第2計測地点(19.5km)でその差を52秒まで拡大。その後もスピードを増すガンナは27分39秒、平均時速56km/hに迫るハイスピードで25.8kmコースを駆け抜けた。
その後ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)やマティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が好タイムをマークするものの、ガンナのタイムには1分以上及ばない。そしてホットシートに座るガンナが見守るなか、2分間隔のスタートとなった総合上位勢が続々と走り出した。
その中でも驚きのタイムをマークしたのはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)だった。TTは不得意ではないものの、これまで上位には絡むことのなかったウラソフは平均52km/hで駆け抜けガンナの52秒遅れの暫定2位(最終的に5位)でフィニッシュ。そのタイムをジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が2秒上回り(トップから50秒遅れ)、そのチームメイトであるフアン・アユソ(スペイン)は終始サドルボジションが定まらないなかトップと1分11秒差の好タイムで駆け抜けた。
そして3週間前に行われたツール・ド・フランスの個人TTで驚愕の走りを見せたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がスタートを切る。しかし連戦の疲れからかタイムは伸びず、頭を横に振りながらアユソよりも遅いトップと1分18秒差でフィニッシュ。また総合6位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は第1中間計測をガンナから10秒遅れで通過したものの、後半にスピードが伸びず、トップと35秒差の28分15秒(区間3位)でフィニッシュした。
そしていよいよ8月のTT世界選手権でガンナを退け、アルカンシエルを纏うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がスタート。第1計測地点を11秒差で越えたエヴェネプールは第2計測で18秒差と遅れを取り、終盤で数秒取り戻したもののガンナのタイムには18秒至らず。アルカンシエルでの初レースはステージ2位という結果となった。
レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)が大幅に遅れるなか、総合2位マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)はヴィンゲゴーよりも速い1分12秒遅れと好走。そしてマイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がコースに飛び出し、1分29秒遅れと粘りの走りで総合首位キープに成功した。
この結果、世界選手権でエヴェネプールに敗れたガンナがリベンジを達成。今大会はスプリントでも2位に入ったイタリアTT王者がその力を見せつけた。
「(途中棄権した)ジロ・デ・イタリアの後、ここでの勝利を夢見ていた。コースは僕に向いておりタイムも良かった。また恵まれた天候も味方してくれた」と、ガンナは自身初となるブエルタ区間優勝を喜んだ。
総合では首位を守ったクスから26秒差でソレルが総合2位キープ。エヴェネプールは勝利こそ逃したものの総合3位に順位を上げ、総合4位のログリッチと27秒差、総合7位のヴィンゲゴーとの差を1分13秒まで拡大することに成功している。
9月5日(火)第10ステージ
バリャドリード〜バリャドリード 25.8km(個人TT)
第9ステージのフィニッシュ地点であるスペイン南部から、選手たちは飛行機でスペイン北西部のバリャドリードに移動。大会最初の休息日を経て臨むのは25.8kmの個人タイムトライアルだ。
コース序盤は15のコーナーに加えて登坂距離600m/平均勾配6.5%の小さな丘が登場。しかしラスト約15kmは直線かつ平坦路、更に追い風がフィニッシュまで続いていくため、TTスペシャリストが活躍するレイアウトとなる。
大会唯一の個人TTのため総合優勝を争う選手たちにとっては重要な日となる。セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)は前回覇者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)に2分22秒差。またチームメイトであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)は2分29秒、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)は2分33秒差の中でのレースとなった。
総合最下位のカラム・スコットソン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)から順に1分間隔(総合20位からは2分間隔)で162名の選手たちがスタートを切る。そして前半に出走した選手の中で良いタイムを出したのはシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)だった。TTヨーロッパ選手権王者を表すジャージを纏い、カブトガニのような特徴的なヘルメットつけたビッセガーは28分58秒でフィニッシュラインを通過した。
平均スピード53.425km/hで駆け抜けたビッセガーを更新する選手はしばらく現れず、全体の69番目で優勝候補筆頭のイタリア王者、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)がスタート切った。
過去TT世界選手権を2連覇しているガンナは第1中間計測(12.5km)でビッセガーを32秒上回り、第2計測地点(19.5km)でその差を52秒まで拡大。その後もスピードを増すガンナは27分39秒、平均時速56km/hに迫るハイスピードで25.8kmコースを駆け抜けた。
その後ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)やマティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が好タイムをマークするものの、ガンナのタイムには1分以上及ばない。そしてホットシートに座るガンナが見守るなか、2分間隔のスタートとなった総合上位勢が続々と走り出した。
その中でも驚きのタイムをマークしたのはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)だった。TTは不得意ではないものの、これまで上位には絡むことのなかったウラソフは平均52km/hで駆け抜けガンナの52秒遅れの暫定2位(最終的に5位)でフィニッシュ。そのタイムをジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が2秒上回り(トップから50秒遅れ)、そのチームメイトであるフアン・アユソ(スペイン)は終始サドルボジションが定まらないなかトップと1分11秒差の好タイムで駆け抜けた。
そして3週間前に行われたツール・ド・フランスの個人TTで驚愕の走りを見せたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がスタートを切る。しかし連戦の疲れからかタイムは伸びず、頭を横に振りながらアユソよりも遅いトップと1分18秒差でフィニッシュ。また総合6位のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は第1中間計測をガンナから10秒遅れで通過したものの、後半にスピードが伸びず、トップと35秒差の28分15秒(区間3位)でフィニッシュした。
そしていよいよ8月のTT世界選手権でガンナを退け、アルカンシエルを纏うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がスタート。第1計測地点を11秒差で越えたエヴェネプールは第2計測で18秒差と遅れを取り、終盤で数秒取り戻したもののガンナのタイムには18秒至らず。アルカンシエルでの初レースはステージ2位という結果となった。
レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)が大幅に遅れるなか、総合2位マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)はヴィンゲゴーよりも速い1分12秒遅れと好走。そしてマイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がコースに飛び出し、1分29秒遅れと粘りの走りで総合首位キープに成功した。
この結果、世界選手権でエヴェネプールに敗れたガンナがリベンジを達成。今大会はスプリントでも2位に入ったイタリアTT王者がその力を見せつけた。
「(途中棄権した)ジロ・デ・イタリアの後、ここでの勝利を夢見ていた。コースは僕に向いておりタイムも良かった。また恵まれた天候も味方してくれた」と、ガンナは自身初となるブエルタ区間優勝を喜んだ。
総合では首位を守ったクスから26秒差でソレルが総合2位キープ。エヴェネプールは勝利こそ逃したものの総合3位に順位を上げ、総合4位のログリッチと27秒差、総合7位のヴィンゲゴーとの差を1分13秒まで拡大することに成功している。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第10ステージ結果
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 27:39 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:16 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:36 |
4位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:50 |
5位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:52 |
6位 | マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | +1:09 |
7位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:11 |
8位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:12 |
9位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) | |
10位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +1:18 |
11位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:19 |
12位 | ジョナタン・カストロビエホ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +1:24 |
13位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | +1:29 |
17位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +1:46 |
30位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +2:29 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 35:52:38 |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:26 |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:09 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:36 |
5位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +2:02 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:16 |
7位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +2:22 |
8位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +2:25 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +2:50 |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +3:14 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 158pts |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 79pts |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 73pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー) | 21pts |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 20pts |
3位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 12pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 35:53:47 |
2位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +0:53 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:07 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 107:06:04 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +0:57 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +7:27 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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