2023/09/02(土) - 08:20
白熱の集団スプリントが繰り広げられたブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージ。オールイス・アウラール(ベネゼエラ、カハルラル・セグロスRGA)の猛追を振り切ったジョフレ・スープ(フランス、トタルエネルジー)が、35歳にしてグランツール初勝利を手に入れた。
9月1日(金)第7ステージ
ウティエル〜オリヴァ 200.8km(平坦)
最終的なマイヨロホの行方が垣間見えた山頂フィニッシュの翌日は、今大会で2番目に長い200.8kmのスプリントステージ。そして7日目にしてようやく今大会初の平坦ステージがやってきた。
コースは内陸のウティエルから東へ進み、72km地点でたどり着く地中海の沿岸に沿ってフィニッシュ地点のオリヴァを目指す。最大-6秒のボーナスタイムが与えられる中間スプリントは残り34km地点に登場。スプリントの舞台となるラストは平坦かつ概ね直線路だが、残り350mに訪れる直角左コーナーでの位置取りがスプリンターの明暗を分けた。
大会史上最年少でマイヨロホを着用するレニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)を先頭に、午後12時57分にスタートが切られる。そしてアクチュアルスタートを示す旗が振られると、ヘスス・エラダ(コフィディス)とアンデル・オカミカ(ブルゴスBH)のスペイン人2名が飛び出し、集団はこれを容認したためすんなりと逃げが成立した。
2021年のプロデビューから3年連続の出場となるオカミカと、今季限りの引退を発表して最後のブエルタに臨んでいる37歳のエラダ。その2人に2分半のリードを許したメイン集団ではスタートから80km地点で落車が発生する。それにイネオス・グレナディアーズのゲラント・トーマス(イギリス)とキム・ハイドゥク(ドイツ)が巻き込まれ、トウモロコシ畑に突っ込んだトーマスは大きな怪我なく集団に復帰している。
レースも中盤に差し掛かり、オカミカのパンクをエラダが待つシーンもありながら、2人は順調に距離を消化していく。しかし地中海沿岸にたどり着いた残り67kmでエラダがプロトンに吸収。その後1人で粘ったオカミカも残り41km地点でアルペシン・ドゥクーニンクの先導するプロトンに捉えられた。
フィニッシュまで残り34km地点に設定された中間スプリントでは、緑色のポイント賞ジャージを着るカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が先頭通過しポイントを上積み。3番手にはボーナスタイム獲得の阻止を試みたフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)をヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がハンドル投げで制し、-2秒を獲得。そのためヴィンゲゴーが総合11位から10位に順位を上げ、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)との差を3秒まで縮めた。
照りつける日差しに晒された選手たちは、この日もコース上に登場した無数のラウンドアバウトをクリアしていく。そして向かい風が吹き付ける残り11kmで発生した落車に、前日勝者のセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)やピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)らが巻き込まれる。素早く自転車に戻ったクスはプロトンへの復帰を果たすなか、位置取り争いが激化した集団では再び落車が起こった。
地面に激しく身体を叩きつけたテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)は起き上がることができずレースを棄権。搬送先の病院で受けた検査を受けた結果、骨折など深刻な怪我はなかったとチームは伝えている。
22歳の若手スプリンターであるユーゴ・パージュ(フランス)のためにアンテルマルシェ・サーカス・ワンティが先導する集団は、大観衆の待つオリヴァ市街地に突入する。エースを引き上げたボーイ・ファンポッペル(オランダ)がフラムルージュ(残り1km)を通過直後に下がっていき、代わって先頭に出たダビ・ゴンザレス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)が残り350mに設定された最終左コーナーをクリアした。
ここまでの集団スプリントで2勝を飾っているカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がリードアウトを見失い番手を下げるなか、ジョフレ・スープ(フランス、トタルエネルジー)が先んじてスプリントを開始。早くもトップスピードに乗ったスープとの差をエドワルト・トゥーンス(ベルギー、リドル・トレック)が縮め、その更に背後からオールイス・アウラール(ベネゼエラ、カハルラル・セグロスRGA)が前に出る。
フィニッシュ手前で驚異的な追い込みを見せたアウラールだったが、スープには届かない。そしてハンドルを投げた35歳のスープが、ブエルタ第7ステージの勝者に輝いた。
コフィディスで長らくナセル・ブアニ(フランス、現アルケア・サムシック)のリードアウトを務め、数多の勝利に尽力してきたスープ。「グランツールでの勝利なんて驚きしかない。常にグランツールでの勝利を味わいたいと思っていた。信じられないし、素晴らしい瞬間だよ。最終コーナーの直後からスプリントを開始し、その後も誰にも抜かれないので驚いた。当初はブエルタに出場する予定ではなく、落車したアレクシー・ヴィエルモの代役として出場した。まさか自分がスプリントステージで勝利を挙げるなんて思ってもいなかったよ」と、スープは戸惑いながらも喜びを語った。
そして2位に入ったのは、2019年にマトリックスパワータグで走り、その後カハルラルに移籍したアウラール。3位にはトゥーンスが入り、マイヨプントスを着るグローブスは5位。第5ステージで勝利に迫ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)は9位だった。
また、マルティネスはマイヨロホのキープに成功。総合上位勢は皆トップと同タイムでフィニッシュしたため総合順位に大きな変動はなかったものの、トーマスが24秒遅れとタイムを失った。
9月1日(金)第7ステージ
ウティエル〜オリヴァ 200.8km(平坦)
最終的なマイヨロホの行方が垣間見えた山頂フィニッシュの翌日は、今大会で2番目に長い200.8kmのスプリントステージ。そして7日目にしてようやく今大会初の平坦ステージがやってきた。
コースは内陸のウティエルから東へ進み、72km地点でたどり着く地中海の沿岸に沿ってフィニッシュ地点のオリヴァを目指す。最大-6秒のボーナスタイムが与えられる中間スプリントは残り34km地点に登場。スプリントの舞台となるラストは平坦かつ概ね直線路だが、残り350mに訪れる直角左コーナーでの位置取りがスプリンターの明暗を分けた。
大会史上最年少でマイヨロホを着用するレニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)を先頭に、午後12時57分にスタートが切られる。そしてアクチュアルスタートを示す旗が振られると、ヘスス・エラダ(コフィディス)とアンデル・オカミカ(ブルゴスBH)のスペイン人2名が飛び出し、集団はこれを容認したためすんなりと逃げが成立した。
2021年のプロデビューから3年連続の出場となるオカミカと、今季限りの引退を発表して最後のブエルタに臨んでいる37歳のエラダ。その2人に2分半のリードを許したメイン集団ではスタートから80km地点で落車が発生する。それにイネオス・グレナディアーズのゲラント・トーマス(イギリス)とキム・ハイドゥク(ドイツ)が巻き込まれ、トウモロコシ畑に突っ込んだトーマスは大きな怪我なく集団に復帰している。
レースも中盤に差し掛かり、オカミカのパンクをエラダが待つシーンもありながら、2人は順調に距離を消化していく。しかし地中海沿岸にたどり着いた残り67kmでエラダがプロトンに吸収。その後1人で粘ったオカミカも残り41km地点でアルペシン・ドゥクーニンクの先導するプロトンに捉えられた。
フィニッシュまで残り34km地点に設定された中間スプリントでは、緑色のポイント賞ジャージを着るカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が先頭通過しポイントを上積み。3番手にはボーナスタイム獲得の阻止を試みたフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)をヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)がハンドル投げで制し、-2秒を獲得。そのためヴィンゲゴーが総合11位から10位に順位を上げ、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)との差を3秒まで縮めた。
照りつける日差しに晒された選手たちは、この日もコース上に登場した無数のラウンドアバウトをクリアしていく。そして向かい風が吹き付ける残り11kmで発生した落車に、前日勝者のセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)やピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)らが巻き込まれる。素早く自転車に戻ったクスはプロトンへの復帰を果たすなか、位置取り争いが激化した集団では再び落車が起こった。
地面に激しく身体を叩きつけたテイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)は起き上がることができずレースを棄権。搬送先の病院で受けた検査を受けた結果、骨折など深刻な怪我はなかったとチームは伝えている。
22歳の若手スプリンターであるユーゴ・パージュ(フランス)のためにアンテルマルシェ・サーカス・ワンティが先導する集団は、大観衆の待つオリヴァ市街地に突入する。エースを引き上げたボーイ・ファンポッペル(オランダ)がフラムルージュ(残り1km)を通過直後に下がっていき、代わって先頭に出たダビ・ゴンザレス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)が残り350mに設定された最終左コーナーをクリアした。
ここまでの集団スプリントで2勝を飾っているカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がリードアウトを見失い番手を下げるなか、ジョフレ・スープ(フランス、トタルエネルジー)が先んじてスプリントを開始。早くもトップスピードに乗ったスープとの差をエドワルト・トゥーンス(ベルギー、リドル・トレック)が縮め、その更に背後からオールイス・アウラール(ベネゼエラ、カハルラル・セグロスRGA)が前に出る。
フィニッシュ手前で驚異的な追い込みを見せたアウラールだったが、スープには届かない。そしてハンドルを投げた35歳のスープが、ブエルタ第7ステージの勝者に輝いた。
コフィディスで長らくナセル・ブアニ(フランス、現アルケア・サムシック)のリードアウトを務め、数多の勝利に尽力してきたスープ。「グランツールでの勝利なんて驚きしかない。常にグランツールでの勝利を味わいたいと思っていた。信じられないし、素晴らしい瞬間だよ。最終コーナーの直後からスプリントを開始し、その後も誰にも抜かれないので驚いた。当初はブエルタに出場する予定ではなく、落車したアレクシー・ヴィエルモの代役として出場した。まさか自分がスプリントステージで勝利を挙げるなんて思ってもいなかったよ」と、スープは戸惑いながらも喜びを語った。
そして2位に入ったのは、2019年にマトリックスパワータグで走り、その後カハルラルに移籍したアウラール。3位にはトゥーンスが入り、マイヨプントスを着るグローブスは5位。第5ステージで勝利に迫ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)は9位だった。
また、マルティネスはマイヨロホのキープに成功。総合上位勢は皆トップと同タイムでフィニッシュしたため総合順位に大きな変動はなかったものの、トーマスが24秒遅れとタイムを失った。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第7ステージ結果
1位 | ジョフレ・スープ(フランス、トタルエネルジー) | 4:56:29 |
2位 | オールイス・アウラール(ベネゼエラ、カハルラル・セグロスRGA) | |
3位 | エドワルト・トゥーンス(ベルギー、リドル・トレック) | |
4位 | フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
6位 | マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
7位 | ダビ・ゴンザレス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | |
8位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
9位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | マテウジュ・ゴヴェカル(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | 26:37:04 |
2位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | +0:08 |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:51 |
4位 | ワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:41 |
5位 | ステフ・クラス(ベルギー、トタルエネルジー) | +1:48 |
6位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:58 |
7位 | ダビ・デラクルス(スペイン、アスタナ・カザフスタン) | +2:23 |
8位 | ジェフェルソン・セペダ(エクアドル、カハルラル・セグロスRGA) | +2:30 |
9位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +2:47 |
10位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +2:50 |
11位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
12位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +2:58 |
13位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | +3:03 |
14位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +3:06 |
16位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +3:17 |
18位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +3:36 |
23位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +5:21 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 158pts |
2位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | 66pts |
3位 | ジョフレ・スープ(フランス、トタルエネルジー) | 61pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー) | 21pts |
2位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 10pts |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 10pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | 26:37:04 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +2:47 |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +3:06 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 79:21:07 |
2位 | ユンボ・ヴィスマ | +0:03 |
3位 | UAEチームエミレーツ | +1:15 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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