2023/08/10(木) - 18:00
自然豊かな南会津を満喫するロングライドイベント「走ってみっぺ!南会津」が今年も開催された。数年ぶりの夏開催で、緑眩い会津高原の渓谷エリアを五感全てで堪能できる二日間となった。
長かった梅雨も明け、日を追うごとにジリジリとした暑さが増してきた7月中旬。日本列島でも最高気温が35度を超える猛暑日も珍しくなくなり、世界に視野を広げればデスバレーで54℃を越えたなんていう気の滅入るようなニュースが飛び込んでくる。
正直なところ、夏休みに行きたいツーリング先特集!みたいな記事を見てライドに出かけよう、というサイクリストの精神力と自転車への留まることのない愛には感服するよりない。この時期の自転車というのは、遠いフランスの地で過酷な3週間を送るプロたちをクーラーの効いた部屋で晩酌でもしながら無責任に応援するものであって、自ら脳が茹る危地へと飛び込むというのは相当な物好きであろう。
というわけでもう自転車はオフシーズン。31℃以上の環境下では運動は原則中止なのだ。スポーツ庁もそう言っている……、なんてことを編集会議で力説するも、ハイハイ御託は分かったんでこの夏も実走取材は担当してくださいね、とあまりにも非情な意見によってイベント取材の担当は今年も私になるのであった。
はてさて、そうはいっても暑熱馴化も全く行えていない今のコンディションで、いきなり灼熱のライドイベントに参加するのは冗談でなく命が危い。なんとかちょっとずつ身体を慣らしていくのに良いイベントは無いか……と焦る私の前に現れたのが、そう、「走ってみっぺ!南会津」である。
東京五輪の影響もあり、ここ数年秋口での開催となっていた走ってみっぺだが、ついに今年は本来の海の日開催に。海の要素は欠片もなく、むしろ日本有数の高原である尾瀬にもほど近い山間のエリアで行われるロングライドイベントであるのだが、その分標高も高く非常に涼しいのが特徴。
実際、東京に比べると7~8℃ほど気温が低く、過ごしやすいのである。しかも登りも少な目で、折り返し設定のコースなので、体調に応じて距離を調整できるという安心感もある。つまり、夏ライドに向けて身体を慣らしたい人にとってこれ以上ない条件が揃ったイベントだということだ。
というわけで今年もやってきました、走ってみっぺ!南会津。東北道西那須野塩原ICから山を2つか3つばかり越え、1時間ほど車を走らせた先にあるたかつえ高原が、大会のメイン会場となる。さて、大会前日の17時からたかつえスキー場のレストラン「スペーシア」を舞台、人によっては本大会のメインイベントとも言える前夜祭が開催される。
秋開催であった昨年に比べると、まだまだ外が明るいうちから宴はスタート。スキー場のレストランということもあってエアコンが無いため、全員に団扇が配られるのだけれど、それで凌げてしまうくらいの気温でもある。数時間前に出発した東京砂漠からすれば、もはや天国である。
走ってみっぺ名物ともなったMCユニット(?)、棚橋麻衣withB(宇都宮"B"litzenの廣瀬GMとさいたま那須SUN "B"RAVEの若杉GM)が登壇し、会場を温めてくれる。近年では大物解説者がM1に挑戦したりとお笑い方面にも貪欲な輪界だが、トークスキルで言えば棚橋麻衣withBも負けてはいない。
地元の酒蔵"花泉"の鏡開きも見事に成功し、一同待っていましたの乾杯!ずらりと並べられた郷土料理と地酒は最高のマッチングであるのは間違いない。毎年この前夜祭を楽しみにこのイベントへとやってくる方も多いというのが納得できる。
さて、グルメも堪能して満腹になってきた頃合いで、大会当日に共に走ってくれるゲストライダー達を交えたトークショーへ。さいたま那須サンブレイブからは紅一点、滝川選手が登壇。このイベントの印象を問われ、「エイドで出てくるマトン丼がま~とんでもなくおいしいんですよ!」と渾身のアタック。
対抗して登壇した宇都宮ブリッツェンの堀選手は練習中に熊と遭遇したエピソードを披露。「え?やばいじゃん、それでどうしたの?」という廣瀬GMのアシストを受け、「いやー、クマっちゃいました」とスプリントを決める。勢い任せのトークバトルの勝敗は読者の皆さんの心の中でジャッジを下していただければ……。
そうこうして、宴もたけなわに。そんな大盛り上がりの前夜祭のトリを飾るのは大抽選会だ。地元の名物やビール1箱、鏡開きでも使われた「花泉」一升や会津アストリアホテルの無料宿泊券等、数多くの豪華景品が、次々と参加者の手に渡り、前夜祭は幕を下ろすのであった。
さて、そうして迎えた大会当日。初回大会から12回を迎える走ってみっぺ南会津だが、実は完全に雨模様となったことが無いという晴れ大会。そして今年も過去の例に漏れず、気持ちいいほどの快晴に恵まれた。
スタート地点となるたかつえスキー場は標高1,000mという環境もあり、快晴ながらも平野部の茹だるような暑さとは異なる過ごしやすさで、絶好のサイクリング日和となりそうな予感。
開会式には宇都宮ブリッツェンやさいたま那須サンブレイブの選手らや、ゲストらが登壇。各選手の紹介だけでなく、コースや走り方の注意点がアナウンスされたのち、参加者たちはそれぞれのコースに分かれてスタート地点へ。
定刻通り、8時に最長距離の100kmコースの参加者がスタート。15名ほどのグループに分かれ、それぞれのグループをブリッツェンやサンブレイブの選手らが先導しつつ出発していく。南会津のゆるキャラである「んだべぇ」が見送ってくれる中、次々にコースへと繰り出した。
会場からは一旦3kmほどの下り。テクニカルなコーナーなどはないけれど、雪国だけあって路面が荒い箇所もあるので、ゆっくり安全に。ちなみに今回は走ってみっぺ南会津の良いトコどりとも言える60kmコースに参加。このコースを簡単に言えば、ガッツリ下って、右に曲がって、ゆるーく下って、左に曲がって、ゆるーく登って折り返し。あとは来た道を戻っていく、という非常にシンプルなコース。
というわけで、下りきったらメインコースとなる国道352号を右折。谷合に広がる田んぼの中を突っ切るように設えられた走りやすい道を快走していく。朝、そして標高の高さもあって気温も25℃と非常に走りやすく、自然とサイクルコンピューターが示す数字も増えていこうというもの。
そうしているとあっという間に第一エイドとなる舘岩物産館へ到着。スタートから10kmほどのファーストエイドということもあり、軽いお菓子などが振舞われる。スタート前に給水などを忘れていたとしてもこちらでしっかりボトルに水を詰められるのは嬉しいポイント。特に朝はバタバタしがちなだけに、リカバリーが効くのは安心だ。
ここで態勢を整えて、再出発。この先からが走ってみっぺ南会津の本領発揮といったところで後編へと続きます!
text&photo:Naoki YASUOKA
長かった梅雨も明け、日を追うごとにジリジリとした暑さが増してきた7月中旬。日本列島でも最高気温が35度を超える猛暑日も珍しくなくなり、世界に視野を広げればデスバレーで54℃を越えたなんていう気の滅入るようなニュースが飛び込んでくる。
正直なところ、夏休みに行きたいツーリング先特集!みたいな記事を見てライドに出かけよう、というサイクリストの精神力と自転車への留まることのない愛には感服するよりない。この時期の自転車というのは、遠いフランスの地で過酷な3週間を送るプロたちをクーラーの効いた部屋で晩酌でもしながら無責任に応援するものであって、自ら脳が茹る危地へと飛び込むというのは相当な物好きであろう。
というわけでもう自転車はオフシーズン。31℃以上の環境下では運動は原則中止なのだ。スポーツ庁もそう言っている……、なんてことを編集会議で力説するも、ハイハイ御託は分かったんでこの夏も実走取材は担当してくださいね、とあまりにも非情な意見によってイベント取材の担当は今年も私になるのであった。
はてさて、そうはいっても暑熱馴化も全く行えていない今のコンディションで、いきなり灼熱のライドイベントに参加するのは冗談でなく命が危い。なんとかちょっとずつ身体を慣らしていくのに良いイベントは無いか……と焦る私の前に現れたのが、そう、「走ってみっぺ!南会津」である。
東京五輪の影響もあり、ここ数年秋口での開催となっていた走ってみっぺだが、ついに今年は本来の海の日開催に。海の要素は欠片もなく、むしろ日本有数の高原である尾瀬にもほど近い山間のエリアで行われるロングライドイベントであるのだが、その分標高も高く非常に涼しいのが特徴。
実際、東京に比べると7~8℃ほど気温が低く、過ごしやすいのである。しかも登りも少な目で、折り返し設定のコースなので、体調に応じて距離を調整できるという安心感もある。つまり、夏ライドに向けて身体を慣らしたい人にとってこれ以上ない条件が揃ったイベントだということだ。
というわけで今年もやってきました、走ってみっぺ!南会津。東北道西那須野塩原ICから山を2つか3つばかり越え、1時間ほど車を走らせた先にあるたかつえ高原が、大会のメイン会場となる。さて、大会前日の17時からたかつえスキー場のレストラン「スペーシア」を舞台、人によっては本大会のメインイベントとも言える前夜祭が開催される。
秋開催であった昨年に比べると、まだまだ外が明るいうちから宴はスタート。スキー場のレストランということもあってエアコンが無いため、全員に団扇が配られるのだけれど、それで凌げてしまうくらいの気温でもある。数時間前に出発した東京砂漠からすれば、もはや天国である。
走ってみっぺ名物ともなったMCユニット(?)、棚橋麻衣withB(宇都宮"B"litzenの廣瀬GMとさいたま那須SUN "B"RAVEの若杉GM)が登壇し、会場を温めてくれる。近年では大物解説者がM1に挑戦したりとお笑い方面にも貪欲な輪界だが、トークスキルで言えば棚橋麻衣withBも負けてはいない。
地元の酒蔵"花泉"の鏡開きも見事に成功し、一同待っていましたの乾杯!ずらりと並べられた郷土料理と地酒は最高のマッチングであるのは間違いない。毎年この前夜祭を楽しみにこのイベントへとやってくる方も多いというのが納得できる。
さて、グルメも堪能して満腹になってきた頃合いで、大会当日に共に走ってくれるゲストライダー達を交えたトークショーへ。さいたま那須サンブレイブからは紅一点、滝川選手が登壇。このイベントの印象を問われ、「エイドで出てくるマトン丼がま~とんでもなくおいしいんですよ!」と渾身のアタック。
対抗して登壇した宇都宮ブリッツェンの堀選手は練習中に熊と遭遇したエピソードを披露。「え?やばいじゃん、それでどうしたの?」という廣瀬GMのアシストを受け、「いやー、クマっちゃいました」とスプリントを決める。勢い任せのトークバトルの勝敗は読者の皆さんの心の中でジャッジを下していただければ……。
そうこうして、宴もたけなわに。そんな大盛り上がりの前夜祭のトリを飾るのは大抽選会だ。地元の名物やビール1箱、鏡開きでも使われた「花泉」一升や会津アストリアホテルの無料宿泊券等、数多くの豪華景品が、次々と参加者の手に渡り、前夜祭は幕を下ろすのであった。
さて、そうして迎えた大会当日。初回大会から12回を迎える走ってみっぺ南会津だが、実は完全に雨模様となったことが無いという晴れ大会。そして今年も過去の例に漏れず、気持ちいいほどの快晴に恵まれた。
スタート地点となるたかつえスキー場は標高1,000mという環境もあり、快晴ながらも平野部の茹だるような暑さとは異なる過ごしやすさで、絶好のサイクリング日和となりそうな予感。
開会式には宇都宮ブリッツェンやさいたま那須サンブレイブの選手らや、ゲストらが登壇。各選手の紹介だけでなく、コースや走り方の注意点がアナウンスされたのち、参加者たちはそれぞれのコースに分かれてスタート地点へ。
定刻通り、8時に最長距離の100kmコースの参加者がスタート。15名ほどのグループに分かれ、それぞれのグループをブリッツェンやサンブレイブの選手らが先導しつつ出発していく。南会津のゆるキャラである「んだべぇ」が見送ってくれる中、次々にコースへと繰り出した。
会場からは一旦3kmほどの下り。テクニカルなコーナーなどはないけれど、雪国だけあって路面が荒い箇所もあるので、ゆっくり安全に。ちなみに今回は走ってみっぺ南会津の良いトコどりとも言える60kmコースに参加。このコースを簡単に言えば、ガッツリ下って、右に曲がって、ゆるーく下って、左に曲がって、ゆるーく登って折り返し。あとは来た道を戻っていく、という非常にシンプルなコース。
というわけで、下りきったらメインコースとなる国道352号を右折。谷合に広がる田んぼの中を突っ切るように設えられた走りやすい道を快走していく。朝、そして標高の高さもあって気温も25℃と非常に走りやすく、自然とサイクルコンピューターが示す数字も増えていこうというもの。
そうしているとあっという間に第一エイドとなる舘岩物産館へ到着。スタートから10kmほどのファーストエイドということもあり、軽いお菓子などが振舞われる。スタート前に給水などを忘れていたとしてもこちらでしっかりボトルに水を詰められるのは嬉しいポイント。特に朝はバタバタしがちなだけに、リカバリーが効くのは安心だ。
ここで態勢を整えて、再出発。この先からが走ってみっぺ南会津の本領発揮といったところで後編へと続きます!
text&photo:Naoki YASUOKA
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