2023/07/04(火) - 08:00
バスクに別れを告げ、フランスに入国したツール3日目。フィニッシュ手前の緩いS字コーナーで最短距離を行ったヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が、ファンアールトやバウハウスら強豪スプリンターを下した。
大会3日目にしてようやくスプリンターたちの出番がやってくる。と、同時にこのステージを最後にプロトンはスペインに別れを告げる。アモレビエタ・エチャノを出発した選手たちは序盤に3級、4級山岳と立て続けに越え、北大西洋の一部であるビスケー湾沿いへ。中間スプリントでスピードバトルの前哨戦を繰り広げた後、2つの3級山岳をクリアし、いよいよツールはフランスに脚を踏み入れる。そしてフィニッシュ地点はフランス領バスクの中心都市、バイヨンヌだ。
193.5kmコースは後半に登りの登場しない正真正銘スプリンター向きのレイアウト。しかし2,600mを超える総獲得標高差がピュアスプリンターの脚を削るため、登りでの力の残し方がスプリントの大事な要素となる。
マイヨジョーヌのアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)と、例年より落ち着いた緑色が賛否を集めるマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)を纏ったヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)らが先頭でニュートラル走行が開始。その後正式スタートが切られると、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)のニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出し、ローラン・ピション(フランス、アルケア・サムシック)と共にエスケープした。
パウレスが2日連続で逃げた理由はマイヨアポワのキープ。そのため昨年のジャパンカップ覇者は3級、4級山岳と先頭通過してポイントを加算し、中間スプリントは先頭をピションに譲る。アルペシン・ドゥクーニンクやリドル・トレックが牽引に選手を送るメイン集団からは、マイヨヴェール確保のためにラフェが飛び出し、3位通過で15ポイントを上積みしている。
激しいアタック合戦が繰り広げられた初日、2日目からは一転して和やかなムードが包むプロトンは、逃げ集団を2分〜2分半の差でコントロールする。山岳頂上に達する度にガッツポーズでバスクファンを盛り上げたパウレスは、この日最後の3級山岳をトップ通過しメイン集団へと戻っていき、単独となった36歳のベテラン、ピションが母国フランスに入国。敢闘賞を手土産に残り37km地点で集団に飲み込まれた。
22歳にしてアメリカ国内選手権の新チャンピオンに輝いたクイン・シモンズ(リドル・トレック)が集団を牽引し、そこにロット・デスティニーやボーラ・ハンスグローエも協力したため時速55km/hに達するハイスピードでビスケー湾沿いを駆けていく。途中ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)のメカトラやフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)の落車するシーン見られたが、問題なく集団に復帰し、フィニッシュに向けてプロトンの緊張感が高まっていった。
今大会最初の集団スプリントにファビオ・ヤコブセン(オランダ)を擁するスーダル・クイックステップが集団先頭で人数を固める。そこにアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)で勝負したいツール初出場ウノエックス・プロサイクリングチームもトレインを並べながら、いくつものラウンドアバウトをクリア。カスパー・アスグリーン(デンマーク、スーダル・クイックステップ)を先頭にフラムルージュ(残り1km)を通過し、いよいよスプリントが幕開けた。
ヨナス・リカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が集団先頭で速度を上げ、続いて牽引を引き継いだマチュー・ファンデルプール(オランダ)のスピードにはライバルチームもトレインを並べることはできない。そして緩い左コーナーの終わりと共にヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がスプリントを開始し、すかさずワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が横に並んだ。
しかし、フィニッシュライン手前でコースが右にカーブしたため、ファンアールトは右側フェンスとフィリプセンの間に挟まれる。「沿道の観客と接触した」と危険回避のため踏みを止めたファンアールトを尻目に、トップスピードを維持したフィリプセンはフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)を振り切りフィニッシュラインを通過。昨年のパリ決戦の勝者が、今大会最初のスプリントを制した。
レース直後、フィリプセンのファンアールトに対する”斜行”の審議があったものの、コース自体が右に曲がっていたこともあり、暫くした後に正式な勝利が伝えられた。「正直、自分の勝利を疑っていた。(レース主催者は)終わった後でもレースを盛り上げてくれたね(笑)」と皮肉を語ったフィリプセン。
「ヨナス(リカールト)のリードアウトは素晴らしく、続くマチュー(ファンデルプール)も完璧だった。彼をスピードに乗せるスペースさえ与えれば、他のリードアウトが彼を追い抜けるわけないのだからね。最後はトリッキーなS字コーナーだったけれど、最短距離を狙って踏み込んだ。1位でフィニッシュできて本当に嬉しいよ」。
2位にはバウハウスが入り、「最後までスプリントをすることはできなかったものの、幸運にも落車することなくフィニッシュできた」と語ったファンアールトは5位。フラムルージュまでは集団前方にいたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)が19位に沈んだ一方で、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)は6位と次なるスプリントステージへの期待を膨らませた。
大会3日目にしてようやくスプリンターたちの出番がやってくる。と、同時にこのステージを最後にプロトンはスペインに別れを告げる。アモレビエタ・エチャノを出発した選手たちは序盤に3級、4級山岳と立て続けに越え、北大西洋の一部であるビスケー湾沿いへ。中間スプリントでスピードバトルの前哨戦を繰り広げた後、2つの3級山岳をクリアし、いよいよツールはフランスに脚を踏み入れる。そしてフィニッシュ地点はフランス領バスクの中心都市、バイヨンヌだ。
193.5kmコースは後半に登りの登場しない正真正銘スプリンター向きのレイアウト。しかし2,600mを超える総獲得標高差がピュアスプリンターの脚を削るため、登りでの力の残し方がスプリントの大事な要素となる。
マイヨジョーヌのアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)と、例年より落ち着いた緑色が賛否を集めるマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)を纏ったヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス)らが先頭でニュートラル走行が開始。その後正式スタートが切られると、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)のニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出し、ローラン・ピション(フランス、アルケア・サムシック)と共にエスケープした。
パウレスが2日連続で逃げた理由はマイヨアポワのキープ。そのため昨年のジャパンカップ覇者は3級、4級山岳と先頭通過してポイントを加算し、中間スプリントは先頭をピションに譲る。アルペシン・ドゥクーニンクやリドル・トレックが牽引に選手を送るメイン集団からは、マイヨヴェール確保のためにラフェが飛び出し、3位通過で15ポイントを上積みしている。
激しいアタック合戦が繰り広げられた初日、2日目からは一転して和やかなムードが包むプロトンは、逃げ集団を2分〜2分半の差でコントロールする。山岳頂上に達する度にガッツポーズでバスクファンを盛り上げたパウレスは、この日最後の3級山岳をトップ通過しメイン集団へと戻っていき、単独となった36歳のベテラン、ピションが母国フランスに入国。敢闘賞を手土産に残り37km地点で集団に飲み込まれた。
22歳にしてアメリカ国内選手権の新チャンピオンに輝いたクイン・シモンズ(リドル・トレック)が集団を牽引し、そこにロット・デスティニーやボーラ・ハンスグローエも協力したため時速55km/hに達するハイスピードでビスケー湾沿いを駆けていく。途中ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)のメカトラやフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)の落車するシーン見られたが、問題なく集団に復帰し、フィニッシュに向けてプロトンの緊張感が高まっていった。
今大会最初の集団スプリントにファビオ・ヤコブセン(オランダ)を擁するスーダル・クイックステップが集団先頭で人数を固める。そこにアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)で勝負したいツール初出場ウノエックス・プロサイクリングチームもトレインを並べながら、いくつものラウンドアバウトをクリア。カスパー・アスグリーン(デンマーク、スーダル・クイックステップ)を先頭にフラムルージュ(残り1km)を通過し、いよいよスプリントが幕開けた。
ヨナス・リカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)が集団先頭で速度を上げ、続いて牽引を引き継いだマチュー・ファンデルプール(オランダ)のスピードにはライバルチームもトレインを並べることはできない。そして緩い左コーナーの終わりと共にヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がスプリントを開始し、すかさずワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が横に並んだ。
しかし、フィニッシュライン手前でコースが右にカーブしたため、ファンアールトは右側フェンスとフィリプセンの間に挟まれる。「沿道の観客と接触した」と危険回避のため踏みを止めたファンアールトを尻目に、トップスピードを維持したフィリプセンはフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)を振り切りフィニッシュラインを通過。昨年のパリ決戦の勝者が、今大会最初のスプリントを制した。
レース直後、フィリプセンのファンアールトに対する”斜行”の審議があったものの、コース自体が右に曲がっていたこともあり、暫くした後に正式な勝利が伝えられた。「正直、自分の勝利を疑っていた。(レース主催者は)終わった後でもレースを盛り上げてくれたね(笑)」と皮肉を語ったフィリプセン。
「ヨナス(リカールト)のリードアウトは素晴らしく、続くマチュー(ファンデルプール)も完璧だった。彼をスピードに乗せるスペースさえ与えれば、他のリードアウトが彼を追い抜けるわけないのだからね。最後はトリッキーなS字コーナーだったけれど、最短距離を狙って踏み込んだ。1位でフィニッシュできて本当に嬉しいよ」。
2位にはバウハウスが入り、「最後までスプリントをすることはできなかったものの、幸運にも落車することなくフィニッシュできた」と語ったファンアールトは5位。フラムルージュまでは集団前方にいたペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)が19位に沈んだ一方で、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)は6位と次なるスプリントステージへの期待を膨らませた。
ツール・ド・フランス2023第3ステージ結果
1位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:43:15 |
2位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
3位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・デスティニー) | |
4位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) | |
5位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
6位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) | |
7位 | ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) | |
9位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
10位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | |
11位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | 13:52:33 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:06 |
3位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) | |
4位 | ヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス) | +0:12 |
5位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +0:16 |
6位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +0:17 |
7位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | +0:22 |
8位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス) | 80pts |
2位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 80pts |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 52pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 18pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 7pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 4pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 13:52:39 |
2位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +0:16 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 41:38:45 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +0:42 |
3位 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos
photo:So Isobe, CorVos
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