2023/06/25(日) - 16:30
全日本ロード最終日の午前中に開催されたマスターズレースは、60代の部では三浦恭資(Tri-X JAPAN)が3連覇を達成。50代で西谷雅史(チームオーベスト)が3度目の挑戦にして初優勝。女子レースでは手塚悦子(IMEレーシング)が制するなど、5人が各年代・性別の全日本チャンピオンジャージに袖を通した。
男子マスターズ60代優勝 三浦恭資(Tri-X JAPAN)
マスターズレース最高齢クラスの60代を制したのは、1983年にこの日本CSCでの全日本選手権ロードに優勝した三浦恭資。昨年までの広島大会での2度の優勝に加算してのマスターズレース年代別の3年連続優勝になる。三浦は今年ニセコクラシックでも年代別4位になっている。
三浦「今日は絶好調じゃなかった。レース中心拍をみたら150BPMでも苦しくて、脚に余裕があっても苦しかった。40年前にここで勝って以来「選手権」では一番悪い成績が2位。今日はそれを下回るかとビクビクしてスタートしたが、勝てて嬉しい。昔ほど乗っていないからいつでも脚は快調。走れるかどうかは心臓の調子次第だった。そして今年はアレルギーで苦しんでいて出場するのは止めようかと思っていたけど、(高橋)松吉さんが「一緒に出ようよ」と言ってくれたから出場を決めた。
いつも思うのは真剣に走るならもっと練習しないとね。でも同時に思うのは今更練習していったい何を目指すのか?って思うよ(笑)。この歳になると毎日練習するのは良くないしね(笑)。
男子マスターズ50-59優勝 西谷雅史(チームオーベスト)
男子マスターズ50-59で独走に持ち込んで勝利したのは西谷雅史(チームオーベスト)。2位の木村博志(イナーメ信濃山形)には24秒の大差をつけての逃げ切りで、ニセコクラシックの年代別優勝に次ぐ勝利を手にした。
西谷「最初から人数を絞ろうと思っていたけど思いのほか皆さん強くて、アタックの応酬でした。疲れの出る2周め後半から一気に行って独走に持ち込みました。優勝は初めてで、3度めの正直です。過去2年は山本敦さん(SBC)が2連覇して僕は2位、3位だったんです。山本さんは平坦系が得意で、もう一人の山本さん(3位の山本裕昭/BONDS静岡サイクルRT)が登りが強いから、長い坂を使って一気に引き離しました。50代で勝つのはまったく簡単じゃないです。やっと勝てました。今年勝てないならもう60歳まで勝てないと思っていました(笑)。
男子マスターズ40-49優勝 高岡亮寛(Roppongi Express)
マスターズ30代との混走となったM40-49。30代の選手で構成された集団にM40-49の選手4人が残り、最後まで争うことに。スプリントを制したのは高岡亮寛(Roppongi Express)だった。2位はニセコクラシックの年代別で優勝した 松木健治(VC VELOCE)、3位は雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド)だった。
高岡「キツかった。最近は長期的な疲労が溜まっているからか調子が低迷していたからまさか優勝なんてまったく考えていませんでした。ただひたすらにキツかった。30代と40代が一緒だったんですが、30代がよく動いていたので40代の選手はそれに乗ってこうという走りでした。中盤過ぎて順当なメンバー4人が残ったので、このまま我慢勝負だと思っていました。6周目ぐらいに脚がようやく動くようになりました。意識したのはニセコで負かされた松木さん。スプリントに持ち込めばなんとか勝てるだろうと思って粘りました。実はマスターズに出るのは初めてなんです。上位に入ってやろうというモチベーションは無かったんですが、マスターズならUCIポイントに関係ないし、UCIグランフォンドと両立できると思いついて出場してみようと思ったんです」。
男子マスターズ30-39優勝 佐々木優也(H.H.C)
マスターズではもっとも若い30代。8kmコースを7周する56kmで行われた厳しいレースだが先頭集団も大きく、最終盤に抜け出しに成功した佐々木優也(H.H.C)が2位に11秒差を着けて逃げ切った。佐々木は過去にチームNIPPO、トレック・マルコポーロ、ヴィクトワール広島で走った経歴がある元選手。近年はレースを離れていたが、今年は西日本チャレンジや伊吹山ヒルクライムE3で優勝している。
佐々木「自分にはスプリントが無いので逃げようと思っていました。一度逃げて捕まり、でもラスト1.5kmの登りでもう一度逃げることができました。京都産業大学自転車競技部の出身で、しばらく自転車から離れていましたが、もう一度やってみようと乗り始めたセカンドキャリアです。今年は真剣に取り組んでみようと思い、トレーニングもしっかりしてレースに臨んでいます。さっそく結果が出て嬉しいです」。
女子マスターズ優勝 手塚悦子(IMEレーシング)
女子マスターズは各年代の16人の選手が同時に走る4周のレース。1周目から動き独走したのは手塚悦子(IMEレーシング)だった。39歳の手塚の自転車のキャリアは10年。ヒルクライムなどホビーレースを楽しむが、昨年はツール・ド・おきなわの女子レースで金子広美に次いで2位に入賞して周囲を驚かせた。
手塚「スプリントなどで競るのは苦手なので、できれば今日は逃げてゴールしたいなと思っていました。今年はこのレースを狙って登りの力をつけるよう頑張ってきました。登りは得意というほどじゃないけど、その練習が実を結びました」。
日本ロードレース界のレジェンドが揃う
今大会のマスターズレースの話題は往年のレジェンドたちが出揃ったこと。80年代に活躍した高橋松吉、三浦恭資、佐藤稔が揃い、ともにレースを走った。またレースには出場しないが会場入りしたEFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチームのGMである大門宏氏も加えれば1986年のアジア大会ロードレースのチームタイムトライアルで銀メダルを獲得したカルテットであり、日本のロードレースの基礎を築いたビッグネームたち。
第1回ツール・ド・北海道覇者であり、43年前の1980年にこの日本CSCでの全日本選手権ロードレースを制した高橋松吉は、かつて高校生の頃に初めての全国大会としてレースに参加した50年前の記憶を蘇らせるために今回の出場を決めたと話す。十分な走り込みをしてマスターズ60のレースに準備万端臨んだが、三浦の独走優勝を許し、ロードレースの厳しさを改めて実感したという。
高橋はレース後、次のようにコメントした。「レースはやっぱり甘いもんじゃないね。大したもんだよ恭ちゃんは。スタートしてこんなにも違うのかって思った。苦しかった。こんなにも苦しいもんなのかって再認識したね。でも楽しかった。来年もまた日本CSCでレースをやるんだったら鍛え直して出場したいね」。
マスターズ各年代別表彰
男子マスターズ60代優勝 三浦恭資(Tri-X JAPAN)
マスターズレース最高齢クラスの60代を制したのは、1983年にこの日本CSCでの全日本選手権ロードに優勝した三浦恭資。昨年までの広島大会での2度の優勝に加算してのマスターズレース年代別の3年連続優勝になる。三浦は今年ニセコクラシックでも年代別4位になっている。
三浦「今日は絶好調じゃなかった。レース中心拍をみたら150BPMでも苦しくて、脚に余裕があっても苦しかった。40年前にここで勝って以来「選手権」では一番悪い成績が2位。今日はそれを下回るかとビクビクしてスタートしたが、勝てて嬉しい。昔ほど乗っていないからいつでも脚は快調。走れるかどうかは心臓の調子次第だった。そして今年はアレルギーで苦しんでいて出場するのは止めようかと思っていたけど、(高橋)松吉さんが「一緒に出ようよ」と言ってくれたから出場を決めた。
いつも思うのは真剣に走るならもっと練習しないとね。でも同時に思うのは今更練習していったい何を目指すのか?って思うよ(笑)。この歳になると毎日練習するのは良くないしね(笑)。
男子マスターズ50-59優勝 西谷雅史(チームオーベスト)
男子マスターズ50-59で独走に持ち込んで勝利したのは西谷雅史(チームオーベスト)。2位の木村博志(イナーメ信濃山形)には24秒の大差をつけての逃げ切りで、ニセコクラシックの年代別優勝に次ぐ勝利を手にした。
西谷「最初から人数を絞ろうと思っていたけど思いのほか皆さん強くて、アタックの応酬でした。疲れの出る2周め後半から一気に行って独走に持ち込みました。優勝は初めてで、3度めの正直です。過去2年は山本敦さん(SBC)が2連覇して僕は2位、3位だったんです。山本さんは平坦系が得意で、もう一人の山本さん(3位の山本裕昭/BONDS静岡サイクルRT)が登りが強いから、長い坂を使って一気に引き離しました。50代で勝つのはまったく簡単じゃないです。やっと勝てました。今年勝てないならもう60歳まで勝てないと思っていました(笑)。
男子マスターズ40-49優勝 高岡亮寛(Roppongi Express)
マスターズ30代との混走となったM40-49。30代の選手で構成された集団にM40-49の選手4人が残り、最後まで争うことに。スプリントを制したのは高岡亮寛(Roppongi Express)だった。2位はニセコクラシックの年代別で優勝した 松木健治(VC VELOCE)、3位は雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド)だった。
高岡「キツかった。最近は長期的な疲労が溜まっているからか調子が低迷していたからまさか優勝なんてまったく考えていませんでした。ただひたすらにキツかった。30代と40代が一緒だったんですが、30代がよく動いていたので40代の選手はそれに乗ってこうという走りでした。中盤過ぎて順当なメンバー4人が残ったので、このまま我慢勝負だと思っていました。6周目ぐらいに脚がようやく動くようになりました。意識したのはニセコで負かされた松木さん。スプリントに持ち込めばなんとか勝てるだろうと思って粘りました。実はマスターズに出るのは初めてなんです。上位に入ってやろうというモチベーションは無かったんですが、マスターズならUCIポイントに関係ないし、UCIグランフォンドと両立できると思いついて出場してみようと思ったんです」。
男子マスターズ30-39優勝 佐々木優也(H.H.C)
マスターズではもっとも若い30代。8kmコースを7周する56kmで行われた厳しいレースだが先頭集団も大きく、最終盤に抜け出しに成功した佐々木優也(H.H.C)が2位に11秒差を着けて逃げ切った。佐々木は過去にチームNIPPO、トレック・マルコポーロ、ヴィクトワール広島で走った経歴がある元選手。近年はレースを離れていたが、今年は西日本チャレンジや伊吹山ヒルクライムE3で優勝している。
佐々木「自分にはスプリントが無いので逃げようと思っていました。一度逃げて捕まり、でもラスト1.5kmの登りでもう一度逃げることができました。京都産業大学自転車競技部の出身で、しばらく自転車から離れていましたが、もう一度やってみようと乗り始めたセカンドキャリアです。今年は真剣に取り組んでみようと思い、トレーニングもしっかりしてレースに臨んでいます。さっそく結果が出て嬉しいです」。
女子マスターズ優勝 手塚悦子(IMEレーシング)
女子マスターズは各年代の16人の選手が同時に走る4周のレース。1周目から動き独走したのは手塚悦子(IMEレーシング)だった。39歳の手塚の自転車のキャリアは10年。ヒルクライムなどホビーレースを楽しむが、昨年はツール・ド・おきなわの女子レースで金子広美に次いで2位に入賞して周囲を驚かせた。
手塚「スプリントなどで競るのは苦手なので、できれば今日は逃げてゴールしたいなと思っていました。今年はこのレースを狙って登りの力をつけるよう頑張ってきました。登りは得意というほどじゃないけど、その練習が実を結びました」。
日本ロードレース界のレジェンドが揃う
今大会のマスターズレースの話題は往年のレジェンドたちが出揃ったこと。80年代に活躍した高橋松吉、三浦恭資、佐藤稔が揃い、ともにレースを走った。またレースには出場しないが会場入りしたEFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチームのGMである大門宏氏も加えれば1986年のアジア大会ロードレースのチームタイムトライアルで銀メダルを獲得したカルテットであり、日本のロードレースの基礎を築いたビッグネームたち。
第1回ツール・ド・北海道覇者であり、43年前の1980年にこの日本CSCでの全日本選手権ロードレースを制した高橋松吉は、かつて高校生の頃に初めての全国大会としてレースに参加した50年前の記憶を蘇らせるために今回の出場を決めたと話す。十分な走り込みをしてマスターズ60のレースに準備万端臨んだが、三浦の独走優勝を許し、ロードレースの厳しさを改めて実感したという。
高橋はレース後、次のようにコメントした。「レースはやっぱり甘いもんじゃないね。大したもんだよ恭ちゃんは。スタートしてこんなにも違うのかって思った。苦しかった。こんなにも苦しいもんなのかって再認識したね。でも楽しかった。来年もまた日本CSCでレースをやるんだったら鍛え直して出場したいね」。
マスターズ各年代別表彰
男子マスターズ30-39
1位 | 佐々木優也(H.H.C) | 1時間39分10秒 |
2位 | 佐藤駿(TRYCLE.ing) | +11秒 |
3位 | 小林亮(Solieil de l'est) | +12秒 |
男子マスターズ40-49
1位 | 高岡亮寛(Roppongi Express) | |
2位 | 松木健治(VC VELOCE) | |
3位 | 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド) |
男子マスターズ50-59
1位 | 西谷雅史(チームオーベスト) | 58分32秒 |
2位 | 木村博志(イナーメ信濃山形) | +24秒 |
3位 | 山本裕昭(BONDS静岡サイクルRT) | +1分25秒 |
男子マスターズ60-
1位 | 三浦恭資(Tri-X JAPAN) | |
2位 | 岡田幸裕(ぴっとレーシングチーム) | |
3位 | 佐藤稔(スワコレーシングチーム) |
女子マスターズ
1位 | 手塚悦子(IMEレーシング) | 1時間5分06秒 |
2位 | 榎本美帆 | +4分34秒 |
3位 | 佐倉あゆみ(Team Kermis Cross) | +5分13秒 |
photo: Makoto AYANO, Yuichiro Hosoda
text: Makoto AYANO
text: Makoto AYANO
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