2023/06/14(水) - 17:30
第19回Mt.富士ヒルクライムの主催者選抜クラス男子上位トップスリーのバイクをコメントと共に紹介する。日本一の山、富士山を最速で駆け上がったマシンと、詰め込まれた工夫に注目。
金子宗平(群馬グリフィン) キャニオン Aeroad CF SLX
序盤から積極的にレースを作り、逃げ吸収後に再アタックからのスプリント。完璧なレース作りを見せた金子宗平(群馬グリフィン)は言わずと知れた全日本タイムトライアルチャンピオン。もともとヒルクライムを主軸とした頭脳派レーサーは、「思い通りの展開に持ち込めた。大きな目標の一つに掲げていたタイトルを獲得できて嬉しい」と富士ヒルクライム初優勝を喜んだ。
ビッグタイトル奪取を支えたバイクはキャニオンのAeroad CF SLX。一昨年大会で優勝した池田隆人が使用したモデルであり、「彼に憧れてのバイクチョイスです」と意外な選択理由があるそう。「ヒルクライムであっても、富士ヒルクライムのようなハイペースレースであればエアロは重要ですし、軽さとエアロを両立したセッティングにしています」と言う。
コンポーネントは11速のDURA-ACEとULTEGRAのミックスし、Elilee XXEクランクやローターのQRINGSチェーンリング、SIGEYIのビッグプーリーなど金子のこだわりが詰まった仕様。ギアは53/39T、11-32Tで、Lunのホイールに組み合わせるのはヴィットリアのタイムトライアル用タイヤであるCORSA SPEED。23cのチューブレスながら前後6.8BARという高めのエアプレッシャーで栄冠を勝ち取った。
なお金子は表彰式後、修善寺で開催されたJプロツアー第8戦「日本CSCロード」に直行して(会場到着は出走30分前だったという)7位フィニッシュ。地元群馬CSCで開催された次週のJプロツアー第9戦では独走逃げ切り、翌日の第10戦では濃霧キャンセルまで有力候補ばかりが揃った逃げグループに入るなど、調子を高めている様子。全日本選手権でも注目すべき存在となるはずだ。
田中裕士 キャノンデール SuperSix EVO
ベテランヒルクライマー、田中裕士にとっては実に5年ぶりの富士ヒルクライムにして2位入賞。最後こそ金子のスプリントに敗れたものの、その存在感を見せつけた。
5年ぶりに出ただけですが、復活といえば復活ですかね(笑)。金子くんはやっぱり強く、斜度が緩いから抜け出す場所もなく、最後はいつも通り、予想通り負けるっていう...。でも乗鞍はもっと斜度があるし、体重も落として臨めば戦いようがあるかな、と思います」と、公言している乗鞍優勝に向け気合を入れ直している。
田中はバイクをスペシャライズドのAethosからキャノンデールのSuperSix EVOにスイッチ。「軽量モデルばかりだったので、一度はエアロも兼ね備えたバイクに乗ってみたいなと思い乗り換えました。Aethosと比べて600gほど重いんですが、富士ヒルではメリットも大きいと感じています」と愛機の乗り味を話す。
ヒルクライムのみならずロードレースにも積極的に参戦し、開催が迫ったニセコクラシックに照準を合わせる田中だけにバイクのセットアップはかなり標準的だ。ロヴァールのALPINISTホイール、コンチネンタルのGP5000タイヤ、52-36Tのチェーンリング、PROのVIBEエアロハンドルなど、ロードレースでも信頼性の高いパーツチョイスが光る。
「若手が台頭してきてますがおっさんの意地を見せたい。今年は乗鞍狙いを公言しているし、頑張ります」と話す田中。果たして乗鞍でのリベンジ達成となるかに注目だ。
板子佑士(ソレイユ/JETT) スコット ADDICT
山岳スプリット賞の計測開始地点で金子と田中の抜け出しを許しながら、鋭いスプリントで3位銅メダルを確定させた板子佑士(ソレイユ/JETT)。この結果によって男子選抜クラスのトップスリーは昨年の乗鞍HCと同じメンバーが、同じ順序で表彰台に並ぶこととなった。ちなみに板子は2020年大会、2018年でも3位に入っている。
「自分の実力なら(3位は)最高の成績。タイム差は上位2人まであと少しですが、残り5kmくらいから先行されて、僕は集団の頭を取っただけなので」と謙遜するも、富士ヒルクライムでの表彰台獲得は流石。「今年は加藤(大貴)さんがいなかったから展開的にはスローペースでしたね。富士ヒルは注目度も高いし、入賞し続けることに意味がある」と来年もトップレベルで戦うことを誓う。
そんな板子の愛車は今年も変わらず、軽量ロードの代名詞的存在と言えるスコットのADDICTだ。軽量なスラムの機械式REDを筆頭に、ホイールはジップ202、Mcfkのサドル、ウッドマンのシートポスト、フードを剥がしたブラケットなど、教科書通りのヒルクライム仕様。重量は5.6kgほどに収まっているという。
今後は美ヶ原、そして乗鞍を転戦するという板子だが、現在はヒルクライムレースと並行してトラック競技で国体を目指すべくトレーニングに明け暮れているという。その理由は「(ロードで)Jプロツアーと全日本選手権を経験しているので、本気になれて未達な目標は国体かな、と」と言う。「正直トラック競技は得意かと言われればそうじゃないけれど、自分自身へのチャレンジですね。貪欲に、色々トライしてみたいと思いましたので」と意気込んだ。
text:So Isobe
金子宗平(群馬グリフィン) キャニオン Aeroad CF SLX
序盤から積極的にレースを作り、逃げ吸収後に再アタックからのスプリント。完璧なレース作りを見せた金子宗平(群馬グリフィン)は言わずと知れた全日本タイムトライアルチャンピオン。もともとヒルクライムを主軸とした頭脳派レーサーは、「思い通りの展開に持ち込めた。大きな目標の一つに掲げていたタイトルを獲得できて嬉しい」と富士ヒルクライム初優勝を喜んだ。
ビッグタイトル奪取を支えたバイクはキャニオンのAeroad CF SLX。一昨年大会で優勝した池田隆人が使用したモデルであり、「彼に憧れてのバイクチョイスです」と意外な選択理由があるそう。「ヒルクライムであっても、富士ヒルクライムのようなハイペースレースであればエアロは重要ですし、軽さとエアロを両立したセッティングにしています」と言う。
コンポーネントは11速のDURA-ACEとULTEGRAのミックスし、Elilee XXEクランクやローターのQRINGSチェーンリング、SIGEYIのビッグプーリーなど金子のこだわりが詰まった仕様。ギアは53/39T、11-32Tで、Lunのホイールに組み合わせるのはヴィットリアのタイムトライアル用タイヤであるCORSA SPEED。23cのチューブレスながら前後6.8BARという高めのエアプレッシャーで栄冠を勝ち取った。
なお金子は表彰式後、修善寺で開催されたJプロツアー第8戦「日本CSCロード」に直行して(会場到着は出走30分前だったという)7位フィニッシュ。地元群馬CSCで開催された次週のJプロツアー第9戦では独走逃げ切り、翌日の第10戦では濃霧キャンセルまで有力候補ばかりが揃った逃げグループに入るなど、調子を高めている様子。全日本選手権でも注目すべき存在となるはずだ。
田中裕士 キャノンデール SuperSix EVO
ベテランヒルクライマー、田中裕士にとっては実に5年ぶりの富士ヒルクライムにして2位入賞。最後こそ金子のスプリントに敗れたものの、その存在感を見せつけた。
5年ぶりに出ただけですが、復活といえば復活ですかね(笑)。金子くんはやっぱり強く、斜度が緩いから抜け出す場所もなく、最後はいつも通り、予想通り負けるっていう...。でも乗鞍はもっと斜度があるし、体重も落として臨めば戦いようがあるかな、と思います」と、公言している乗鞍優勝に向け気合を入れ直している。
田中はバイクをスペシャライズドのAethosからキャノンデールのSuperSix EVOにスイッチ。「軽量モデルばかりだったので、一度はエアロも兼ね備えたバイクに乗ってみたいなと思い乗り換えました。Aethosと比べて600gほど重いんですが、富士ヒルではメリットも大きいと感じています」と愛機の乗り味を話す。
ヒルクライムのみならずロードレースにも積極的に参戦し、開催が迫ったニセコクラシックに照準を合わせる田中だけにバイクのセットアップはかなり標準的だ。ロヴァールのALPINISTホイール、コンチネンタルのGP5000タイヤ、52-36Tのチェーンリング、PROのVIBEエアロハンドルなど、ロードレースでも信頼性の高いパーツチョイスが光る。
「若手が台頭してきてますがおっさんの意地を見せたい。今年は乗鞍狙いを公言しているし、頑張ります」と話す田中。果たして乗鞍でのリベンジ達成となるかに注目だ。
板子佑士(ソレイユ/JETT) スコット ADDICT
山岳スプリット賞の計測開始地点で金子と田中の抜け出しを許しながら、鋭いスプリントで3位銅メダルを確定させた板子佑士(ソレイユ/JETT)。この結果によって男子選抜クラスのトップスリーは昨年の乗鞍HCと同じメンバーが、同じ順序で表彰台に並ぶこととなった。ちなみに板子は2020年大会、2018年でも3位に入っている。
「自分の実力なら(3位は)最高の成績。タイム差は上位2人まであと少しですが、残り5kmくらいから先行されて、僕は集団の頭を取っただけなので」と謙遜するも、富士ヒルクライムでの表彰台獲得は流石。「今年は加藤(大貴)さんがいなかったから展開的にはスローペースでしたね。富士ヒルは注目度も高いし、入賞し続けることに意味がある」と来年もトップレベルで戦うことを誓う。
そんな板子の愛車は今年も変わらず、軽量ロードの代名詞的存在と言えるスコットのADDICTだ。軽量なスラムの機械式REDを筆頭に、ホイールはジップ202、Mcfkのサドル、ウッドマンのシートポスト、フードを剥がしたブラケットなど、教科書通りのヒルクライム仕様。重量は5.6kgほどに収まっているという。
今後は美ヶ原、そして乗鞍を転戦するという板子だが、現在はヒルクライムレースと並行してトラック競技で国体を目指すべくトレーニングに明け暮れているという。その理由は「(ロードで)Jプロツアーと全日本選手権を経験しているので、本気になれて未達な目標は国体かな、と」と言う。「正直トラック競技は得意かと言われればそうじゃないけれど、自分自身へのチャレンジですね。貪欲に、色々トライしてみたいと思いましたので」と意気込んだ。
text:So Isobe
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