ガリウム　液体ワックスで低摩擦性、防汚性、浸透性、耐久性に優れるルブリカントが登場

スキーの日本代表選手も選ぶ国産スキーワックスブランドのガリウムが、自転車用ルブリカントに参入している。液体ワックスによる高い潤滑性、防汚性、高耐久性を備えた5種類のルブリカントを紹介しよう。

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自転車用のワックス系ルブリカントといえば、固形のワックスを溶かしてチェーンをつけ込む決戦用というイメージを持つ方もいるのではないだろうか。近年は溶剤を組み合わせチェーンに塗布しやすいタイプも多く登場し、数多くのサイクリストが使いやすいように進化を遂げている存在だ。

そこに国産スキーワックスブランド"ガリウム"が参入。ガリウムというのは元素の名前であり、半導体や青色発光ダイオードの材料となる物だが、よく延びて水を弾くという性質に気がつきスキー用ワックスに配合したことで"ガリウム"というブランドが誕生した歴史を持つ。

ガリウムのワックスはトップスキーヤーから高い評価を受けており、世界選手権やワールドカップに出場する選手も使用するという。性能への信頼を獲得しているブランドが、最初のプロダクトを1988年に開発して以来培ってきた技術力をもとに、自転車用のルブリカントを手掛け始めている。

ガリウムが展開する自転車用ルブリカント"GIGA Chain Lube"の特徴は、ワックス自体が液体であり、一般的なオイルと同じように塗布することができ、ワックスの性能を自転車に与えられること。一般的なワックス系ルブリカントは溶剤とワックスを配合し、溶剤が渇き個体のワックスが定着した状態で使用するものが多いが、ガリウムの製品は液体のままとどまる。オイル系潤滑剤のベースオイルがそのままワックスに置き換えられたというイメージだ。

潤滑剤そのものが液体のためチェーンのコマまでしっかりと浸透しやすく、潤滑性が発揮されやすいことが魅力だ。また、液体のままチェーンに残ることは、ワックスを固形させてコーティングするタイプとは異なり、走行後にワックスが削れて塵とならないことが魅力。

オイルと比較しても、オイルは摺動するとそれ自体が汚れてしまうが、パラフィンはその心配が無いという。それによってチェーンを綺麗な状態に保ちやすい。さらに空気に触れる状態でも酸化しない、紫外線があたっても変質しないため、安定した潤滑性能と耐久性を発揮することもワックスを使用するメリットだ。

ガリウムの社内測定において、ガリウムのスタンダードモデルLong Rideを100％の動摩擦係数とすると、鉱油製ルブが91％、家庭用潤滑剤が78％という結果を得たという。

そんなガリウムの自転車用ルブリカントは計5種類がラインアップされる。もちろん全てパラフィンを原料とするが、そのパラフィン自体にはいくつかの種類が存在しており、その配合バランスと、添加する素材をモリブデンもしくはPTFEから選択することで、特性の違いを生み出している。

各モデルの特性は製品名に反映されているため、パッと理解しやすくなっている。最も耐久性が高いモデルがLong Rideだ。モリブデンを配合するLong Rideに対して、PTFEを配合することで耐久性とペダリングの軽さの両立を目指したモデルがLong Ride Light 。いずれも400km以上もの耐久性を誇り、長距離レースやサイクリングユースに最適だ。

ガリウムが決戦用ルブリカントとして用意したHill Climbは、Long Rideシリーズよりも摩擦を抑えたモデル。さらに粘度を低くし圧倒的な潤滑性能とペダリングした時の軽さを追求したモデルがSprint。これらは走行距離70km以下を想定しているため、レースなどに適しており、ここぞと言うときに活用したい。

ワックスの低摩擦性をそのままにルブリカントの粘度を高めることで定着性を高めたモデルがRain & Dirtだ。製品名が示すように雨天やマッドコンディションなどルブリカントを流れ落としてしまうようなシチュエーションでも、高い粘土のワックスは落ちにくくライド終盤まで潤滑が維持される。

各製品には容量約100mlと、約30mlという2種類のパッケージが用意されているため、ガリウムの製品に手を伸ばしやすくなっているはずだ。個人タイムトライアルの全日本王者・金子宗平が所属する群馬グリフィンをサポートし、TT巧者の活躍を支えるガリウムを試してみてはいかがだろうか。取り扱いは岩井商会。

ワックスのためチェーンに塗布する前に完全に脱脂する必要があることには気をつけてもらいたい。ガリウムはそのためにディグリーザーや清掃キットなども展開している。こちらについては別記事にて紹介する予定だ。