2023/05/05(金) - 19:00
栄光のピンク色ジャージをかけた3週間の戦いが、5月6日(土)に開幕する。共に初制覇のかかるログリッチとエヴェネプール、悲願の総合優勝を目指すトーマスらが揃うマリアローザ争奪戦をプレビュー。
イタリア半島の中部、アブルッツォ州フォッサチェジーアで開幕するジロ・デ・イタリア。その栄誉ある総合優勝者が着用するジャージが、1931年大会から続くピンクに彩られたマリアローザだ。
「バラ色ジャージ」と名付けられたマリアローザの由来はガゼッタ・デッロ・スポルト紙の色。今年で第106回目を迎える歴史深い大会を主催するのは、同紙と同じメディアグループのRCSスポルトで、ジャージスポンサーは引き続き元国営の電力会社であるエネル社が務める。
マリアローザはツール・ド・フランスのマイヨジョーヌと同様、各ステージの成績を積算し、そのタイムが最も少ない選手が翌日のステージで着用する。そして最終日を終えた時点でマリアローザを着ている選手が、ジロ・デ・イタリアの総合優勝の栄冠に輝く。
また各ステージにはボーナスタイムも設定されており、個人TTを除く各ステージの上位3名(1位-10秒、2位-6秒、3位-4秒)と、中間スプリントポイント上位3名(1位-3秒、2位-2秒、3位-1秒)に与えられる。そのため山岳フィニッシュの着順が大きく総合タイムに影響を及ぼすことになる。
現地の下馬評ではエヴェネプール有利の頂上決戦
今大会最大の注目点は、33歳のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と23歳レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)による直接対決に尽きる。両者は既に3月下旬のボルタ・ア・カタルーニャで相まみえており、そこではログリッチが総合優勝に輝いたものの、共に区間2勝ずつとその差は拮抗している。
グランツールの経験ではブエルタ・ア・エスパーニャを3連覇しているログリッチに分があるが、直近に見せた調子と現地イタリアの予想ではエヴェネプールが上回る。昨年、ブエルタで総合優勝を挙げる直前にワンデーレースのドノスティア・サンセバスチャン・クラシコアを制したように、今回のリエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝も「大きなブーストとなる(本人談)」か。
エヴェネプールはログリッチのいるユンボ・ヴィスマと同じテネリフェのホテルに泊まり、1ヶ月の高地トレーニングを実施。そのため「過去最高の練習となり、自信に満ちあふれている」と順調そのもの。また「リエージュを走った1/3のメンバーがそのままジロを走るのでチームワークはばっちり」と語るメンバーには、ヤン・ヒルト(チェコ)やマティア・カッタネオ(イタリア)といった経験豊富な選手たちが揃う。
一方、ログリッチはティレーノ~アドリアティコと前述のカタルーニャで総合優勝を挙げるなど、ここまで隙のない強さを披露している。計3回訪れる個人タイムトライアル(総距離70.6km)も東京五輪のTT金メダリストには追い風となり(それはエヴェネプールも同じだが)、コロナ陽性でメンバーの入れ替えがあったものの、新加入ヤン・トラトニク(スロベニア)や強力クライマーのセップ・クス(アメリカ)など随一のチーム力が支える。
今年が現役ラストイヤーとの噂もあるゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)は、因縁あるジロで有終の美を飾れるか。過去2回(2017&2020年)を落車で途中棄権しているトーマスは、昨年ツールと同じように優勝候補の2人の後ろで漁夫の利を狙う。ちなみにイネオスのエースナンバーをつけるのはチームメイトで2020年覇者テイオ・ゲイガンハート(イギリス)で、前哨戦のツアー・オブ・ジ・アルプスで復活の総合優勝と、イネオスの手札は豊富だ。
直前に新型コロナウイルス感染したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)は不出場。ボーラ・ハンスグローエはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)、新城幸也の出場が急遽決まったバーレーン・ヴィクトリアスはジャック・ヘイグ(オーストラリア)をエースに2021年総合2位のダミアーノ・カルーゾ(イタリア)が揃って出場する。
UAEチームエミレーツは24歳のジョアン・アルメイダ(ポルトガル)を軸に、ツアー・ダウンアンダーで総合優勝しながらも膝の怪我で長期離脱を余儀なくされたジェイ・ヴァイン(オーストラリア)と2人で総合上位を狙う。また直近のツール・ド・ロマンディの難関山岳で快走を見せたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)や、40歳ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)も忘れてはならない存在だ。
イタリア半島の中部、アブルッツォ州フォッサチェジーアで開幕するジロ・デ・イタリア。その栄誉ある総合優勝者が着用するジャージが、1931年大会から続くピンクに彩られたマリアローザだ。
「バラ色ジャージ」と名付けられたマリアローザの由来はガゼッタ・デッロ・スポルト紙の色。今年で第106回目を迎える歴史深い大会を主催するのは、同紙と同じメディアグループのRCSスポルトで、ジャージスポンサーは引き続き元国営の電力会社であるエネル社が務める。
マリアローザはツール・ド・フランスのマイヨジョーヌと同様、各ステージの成績を積算し、そのタイムが最も少ない選手が翌日のステージで着用する。そして最終日を終えた時点でマリアローザを着ている選手が、ジロ・デ・イタリアの総合優勝の栄冠に輝く。
また各ステージにはボーナスタイムも設定されており、個人TTを除く各ステージの上位3名(1位-10秒、2位-6秒、3位-4秒)と、中間スプリントポイント上位3名(1位-3秒、2位-2秒、3位-1秒)に与えられる。そのため山岳フィニッシュの着順が大きく総合タイムに影響を及ぼすことになる。
現地の下馬評ではエヴェネプール有利の頂上決戦
今大会最大の注目点は、33歳のプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と23歳レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)による直接対決に尽きる。両者は既に3月下旬のボルタ・ア・カタルーニャで相まみえており、そこではログリッチが総合優勝に輝いたものの、共に区間2勝ずつとその差は拮抗している。
グランツールの経験ではブエルタ・ア・エスパーニャを3連覇しているログリッチに分があるが、直近に見せた調子と現地イタリアの予想ではエヴェネプールが上回る。昨年、ブエルタで総合優勝を挙げる直前にワンデーレースのドノスティア・サンセバスチャン・クラシコアを制したように、今回のリエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝も「大きなブーストとなる(本人談)」か。
エヴェネプールはログリッチのいるユンボ・ヴィスマと同じテネリフェのホテルに泊まり、1ヶ月の高地トレーニングを実施。そのため「過去最高の練習となり、自信に満ちあふれている」と順調そのもの。また「リエージュを走った1/3のメンバーがそのままジロを走るのでチームワークはばっちり」と語るメンバーには、ヤン・ヒルト(チェコ)やマティア・カッタネオ(イタリア)といった経験豊富な選手たちが揃う。
一方、ログリッチはティレーノ~アドリアティコと前述のカタルーニャで総合優勝を挙げるなど、ここまで隙のない強さを披露している。計3回訪れる個人タイムトライアル(総距離70.6km)も東京五輪のTT金メダリストには追い風となり(それはエヴェネプールも同じだが)、コロナ陽性でメンバーの入れ替えがあったものの、新加入ヤン・トラトニク(スロベニア)や強力クライマーのセップ・クス(アメリカ)など随一のチーム力が支える。
今年が現役ラストイヤーとの噂もあるゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)は、因縁あるジロで有終の美を飾れるか。過去2回(2017&2020年)を落車で途中棄権しているトーマスは、昨年ツールと同じように優勝候補の2人の後ろで漁夫の利を狙う。ちなみにイネオスのエースナンバーをつけるのはチームメイトで2020年覇者テイオ・ゲイガンハート(イギリス)で、前哨戦のツアー・オブ・ジ・アルプスで復活の総合優勝と、イネオスの手札は豊富だ。
直前に新型コロナウイルス感染したジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)は不出場。ボーラ・ハンスグローエはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)、新城幸也の出場が急遽決まったバーレーン・ヴィクトリアスはジャック・ヘイグ(オーストラリア)をエースに2021年総合2位のダミアーノ・カルーゾ(イタリア)が揃って出場する。
UAEチームエミレーツは24歳のジョアン・アルメイダ(ポルトガル)を軸に、ツアー・ダウンアンダーで総合優勝しながらも膝の怪我で長期離脱を余儀なくされたジェイ・ヴァイン(オーストラリア)と2人で総合上位を狙う。また直近のツール・ド・ロマンディの難関山岳で快走を見せたティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)や、40歳ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)も忘れてはならない存在だ。
歴代マリアローザ獲得選手
2022年 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア) |
2021年 | エガン・ベルナル(コロンビア) |
2020年 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス) |
2019年 | リチャル・カラパス(エクアドル ) |
2018年 | クリストファー・フルーム(イギリス) |
2017年 | トム・デュムラン(オランダ) |
2016年 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) |
2015年 | アルベルト・コンタドール(スペイン) |
2014年 | ナイロ・キンタナ(コロンビア) |
2013年 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア) |
2012年 | ライダー・ヘシェダル(カナダ) |
2011年 | ミケーレ・スカルポーニ(イタリア) |
2010年 | イヴァン・バッソ(イタリア) |
2009年 | デニス・メンショフ(ロシア) |
2008年 | アルベルト・コンタドール(スペイン) |
2007年 | ダニーロ・ディルーカ(イタリア) |
2006年 | イヴァン・バッソ(イタリア) |
2005年 | パオロ・サヴォルデッリ(イタリア) |
2004年 | ダミアーノ・クネゴ(イタリア) |
2003年 | ジルベルト・シモーニ(イタリア) |
2002年 | パオロ・サヴォルデッリ(イタリア) |
text:Sotaro.Arakawa
Amazon.co.jp