2023/04/24(月) - 12:45
世界王者ファンフルーテンの攻撃を退け、ロンゴボルギーニをマッチスプリントで下したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)がリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファムを優勝。オランダの次世代スターがアルデンヌクラシック完全制覇を達成した。
UCI女子ワールドツアーレース第14戦であるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファムが、4月23日(日)に開催された。そのコースは男子レースの往路とほぼ重なるバストーニュからリエージュまで北上する142.1km。距離こそ半分だが「コート・ド・ラ・ルドゥット(距離2km/平均8.9%)」や最終登坂「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(距離1.2km平均11%)」を含む9つの丘は健在で、獲得標高差は2,625mにも及ぶ。
スタートラインの先頭には前回覇者のアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が並び、アムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌを制しアルデンヌ完全制覇に王手のかかるデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)や與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)らが顔を揃えた。
レースは序盤からセヴリーヌ・エロー(フランス、コフィディス)が単独で飛び出し、メイン集団と最大2分半のタイム差をつける展開。しかしこの日最初の丘「コート・ド・モンルソア」でエローは捉まり、その後の「コート・ド・ストック」で今度はアマンダ・スプラット(オーストラリア、トレック・セガフレード)ら5名が飛び出した。
この中には優勝候補にも挙げられるカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)やヘント〜ウェヴェルヘムを制したマーレン・ローセル(スイス、SDワークス)が入り、ここに選手を送り込むことができたなかったモビスターが中心となりプロトンを牽引。フィニッシュまで残り60km地点の「コル・ドゥ・ロジエ」を過ぎ、逃げメイン集団との差は1分前後で推移する。
そしてニエウィアドマがパンクで脱落した先頭グループは、昨年ファンフルーテンがアタックした勝負所「コート・ド・ラ・ルドゥット」に突入。シッティングのまま一糸乱れぬペダリングで踏み続けるローセルが加速し、それに登坂力に長けたスプラットでさえも脱落。ローセルが残り35kmにして単独でレース先頭に立つ。
その1分後方を走るメイン集団では、ルドゥットの登りでリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)のハイペースからファンフルーテンがアタック。しかし調子の上がらない世界王者に昨年のようなキレはなく、集団に残るライバルたちを振るい落とせない。それどころか最後から2つ目の丘「コート・デ・フォルジュ(残り23km地点)」を前にローセルとの差が最大1分40秒まで拡大した。
コート・デ・フォルジュでもリッパートとファンフルーテンはアタックし、理想的なレース展開を見せるSDワークスに攻撃を仕掛ける。しかしこれも成功することはなく、スプラットを飲み込んだプロトンからは最後の丘「コート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(残り13km地点)」でエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)が飛び出す。
ロンゴボルギーニは反応したエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)と共に集団からリードを奪うことに成功する。しかし、この動きへの反応が遅れたフォレリングが淡々と一定のリズムで踏み続けながら追いつき、3名は頂上手前200mでローセルを吸収。さらに後方から全身を揺らすダンシングでファンフルーテンが合流し、トップコンデイションではない世界王者が意地を見せた。
先頭6名で頂上を越え、下りでローセルが再び集団からスルスルと抜け出す。これに今度はロンゴボルギーニが追従し、追走集団ではファンフルーテンがアタックするもののフォレリングたちは振り切れない。そしてここまでほとんど脚を使っていないフォレリングが、ローセルと入れ替わる形で先頭集団に加わり、ロンゴボルギーニと2人で先頭に立った。
そしてフォレリングとロンゴボルギーニはローテーションを回しながら大観衆が待ち構えるケ・デ・アルデンヌのホームストレートへ。残り150mでロンゴボルギーニが先んじて腰を上げ、一瞬遅れてスプリントを開始したフォレリングが横に並ぶ。そして残り50mで先頭に出たフォレリングが、トップでフィニッシュラインを通過した。
SDワークスで監督を務めるアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が、2017年に達成して以来となるアルデンヌクラシック(アムステル、フレーシュ、リエージュ)の完全制覇を達成したフォレリング。
涙を流し、大きく深呼吸をした後、「素晴らしいチームワークによる信じられない勝利。幸運にもエリーザ(ロンゴボルギーニ)が協力してくれ、最後はギャンブルのような(牽制し合う)スプリントとなった。だが先頭集団にマーレン(ローセル)がいてくれたおかげで、スプリントに自信を持って臨むことができた」と、2021年に続く自身2度目のリエージュ制覇を喜んだ。
22秒遅れでやってきた3位争いは、オランダ王者のリーアンヌ・マルクス(ユンボ・ヴィスマ)を下したローセルが先着。春のクラシックを席巻するSDワークスが、最終戦のリエージュでも2人を表彰台に送り込んだ。
UCI女子ワールドツアーレース第14戦であるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファムが、4月23日(日)に開催された。そのコースは男子レースの往路とほぼ重なるバストーニュからリエージュまで北上する142.1km。距離こそ半分だが「コート・ド・ラ・ルドゥット(距離2km/平均8.9%)」や最終登坂「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(距離1.2km平均11%)」を含む9つの丘は健在で、獲得標高差は2,625mにも及ぶ。
スタートラインの先頭には前回覇者のアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が並び、アムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌを制しアルデンヌ完全制覇に王手のかかるデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)や與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)らが顔を揃えた。
レースは序盤からセヴリーヌ・エロー(フランス、コフィディス)が単独で飛び出し、メイン集団と最大2分半のタイム差をつける展開。しかしこの日最初の丘「コート・ド・モンルソア」でエローは捉まり、その後の「コート・ド・ストック」で今度はアマンダ・スプラット(オーストラリア、トレック・セガフレード)ら5名が飛び出した。
この中には優勝候補にも挙げられるカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)やヘント〜ウェヴェルヘムを制したマーレン・ローセル(スイス、SDワークス)が入り、ここに選手を送り込むことができたなかったモビスターが中心となりプロトンを牽引。フィニッシュまで残り60km地点の「コル・ドゥ・ロジエ」を過ぎ、逃げメイン集団との差は1分前後で推移する。
そしてニエウィアドマがパンクで脱落した先頭グループは、昨年ファンフルーテンがアタックした勝負所「コート・ド・ラ・ルドゥット」に突入。シッティングのまま一糸乱れぬペダリングで踏み続けるローセルが加速し、それに登坂力に長けたスプラットでさえも脱落。ローセルが残り35kmにして単独でレース先頭に立つ。
その1分後方を走るメイン集団では、ルドゥットの登りでリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)のハイペースからファンフルーテンがアタック。しかし調子の上がらない世界王者に昨年のようなキレはなく、集団に残るライバルたちを振るい落とせない。それどころか最後から2つ目の丘「コート・デ・フォルジュ(残り23km地点)」を前にローセルとの差が最大1分40秒まで拡大した。
コート・デ・フォルジュでもリッパートとファンフルーテンはアタックし、理想的なレース展開を見せるSDワークスに攻撃を仕掛ける。しかしこれも成功することはなく、スプラットを飲み込んだプロトンからは最後の丘「コート・ド・ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(残り13km地点)」でエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)が飛び出す。
ロンゴボルギーニは反応したエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)と共に集団からリードを奪うことに成功する。しかし、この動きへの反応が遅れたフォレリングが淡々と一定のリズムで踏み続けながら追いつき、3名は頂上手前200mでローセルを吸収。さらに後方から全身を揺らすダンシングでファンフルーテンが合流し、トップコンデイションではない世界王者が意地を見せた。
先頭6名で頂上を越え、下りでローセルが再び集団からスルスルと抜け出す。これに今度はロンゴボルギーニが追従し、追走集団ではファンフルーテンがアタックするもののフォレリングたちは振り切れない。そしてここまでほとんど脚を使っていないフォレリングが、ローセルと入れ替わる形で先頭集団に加わり、ロンゴボルギーニと2人で先頭に立った。
そしてフォレリングとロンゴボルギーニはローテーションを回しながら大観衆が待ち構えるケ・デ・アルデンヌのホームストレートへ。残り150mでロンゴボルギーニが先んじて腰を上げ、一瞬遅れてスプリントを開始したフォレリングが横に並ぶ。そして残り50mで先頭に出たフォレリングが、トップでフィニッシュラインを通過した。
SDワークスで監督を務めるアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)が、2017年に達成して以来となるアルデンヌクラシック(アムステル、フレーシュ、リエージュ)の完全制覇を達成したフォレリング。
涙を流し、大きく深呼吸をした後、「素晴らしいチームワークによる信じられない勝利。幸運にもエリーザ(ロンゴボルギーニ)が協力してくれ、最後はギャンブルのような(牽制し合う)スプリントとなった。だが先頭集団にマーレン(ローセル)がいてくれたおかげで、スプリントに自信を持って臨むことができた」と、2021年に続く自身2度目のリエージュ制覇を喜んだ。
22秒遅れでやってきた3位争いは、オランダ王者のリーアンヌ・マルクス(ユンボ・ヴィスマ)を下したローセルが先着。春のクラシックを席巻するSDワークスが、最終戦のリエージュでも2人を表彰台に送り込んだ。
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファム2023結果
1位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | 3:50:47 |
2位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
3位 | マーレン・ローセル(スイス、SDワークス) | +0:22 |
4位 | リーアンヌ・マルクス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | |
5位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | |
6位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | |
7位 | ガイア・レアリーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | +0:25 |
8位 | リアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター) | +1:24 |
9位 | ソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム) | |
10位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス) | |
95位 | 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) | +16:35 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp