タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)らプロ選手の足元を支えるイタリアンシューズブランドのDMTから3Dニットアッパーを使用したロードシューズ”KR30”が登場。高いフィット感と剛性感を備えたミドルグレードのロードシューズをテストした。



DMT KR30(ブラック/ブラック) photo:Michinari TAKAGI


イタリアンシューズブランド"DMT"の現在のラインアップはロード用、オフロード用どちらもニット素材のアッパーを使用したモデルが充実しており、その数15モデル以上。そのラインアップにKR3の後継モデルとなるKR30が新たに追加された。

KR30のアッパー素材ももちろんフルエンジニアード3Dニット製。爪先からアウトソールに近い部分と踵周りをコーティングすることで、ニットのしなやかさとシューズに求められる強度と剛性感を両立させていることが特徴だ。

クロージャ―はBOAのL6ダイヤルが1つのみ搭載される。つま先にかけて八の字を描くようにワイヤールーティングとなっているため、つま先までのフィット感も良いだろう。

BOA L6ダイヤルを1つ搭載 photo:Michinari TAKAGI

BOAのワイヤーは八の字を描くようなルーティング photo:Michinari TAKAGI

踵部分にはエルゴノミックヒールカップを採用している。さらに、シューズの内側にグリッパーが搭載され、踵をホールドしてくれる。踵のポジションがずれないためペダリング効率が向上し、安定したペダリングが可能だ。

高剛性なエアテックカーボンアウトソールには、8mmの可変クリートマウントが採用されている。調整エリアが広がっているため自身に合ったクリートポジションにセッティングすることができる。

エルゴノミックヒールカップを採用 photo:Michinari TAKAGI
踵のグリッパーにより、足をホールドしてくれる photo:Michinari TAKAGI
踵には挿し色のオレンジラインとブランドロゴが入る photo:Michinari TAKAGI


エアテックカーボンアウトソールを搭載 photo:Michinari TAKAGI

重量は42サイズで220gと上位モデルのSH10と同等な重量スペックになっている。カラーはモノトーンでウェアコーディネートに加えやすいブラック/ブラックとホワイト/ブラック、高級感があるサンド/ブラックの3色展開となっている。踵部分にはオレンジのラインが入り、ラインの中にDMTのロゴが配置される。

サイズは37~44まで幅広くラインアップされ、40.5~43.5までハーフサイズが展開されているため、自身の足にフィットした1足が見つけられるはず。価格は36,300円(税込)。取り扱いはミズタニ自転車だ。それではインプレッションに移ろう。



ー編集部インプレッション

ロードシューズKR30をCW編集部の高木がテストする

今回、DMT KR30をインプレッションするのは前回のKR30を担当したCW編集部の高木。足のサイズは27.0cm、普段のレースやトレーニングで着用しているジャイアントのシューズは42サイズ。シマノやスペシャライズドでは42サイズ、ジロを履く場合は43サイズを選択している。

これまでにDMTのロードシューズではKR1とSH10などをインプレッションしてきたが、両モデル共に42.5サイズがジャストサイズだった。今回は42.5と43サイズを借り受け、履き比べてみたが、今回も42.5サイズが丁度良く感じる。今回のモデルも含め4モデルを試してきたが、どのモデルもサイズ感が同様なため、ブランド内で用途に合わせたほとんどの場合で同じサイズで問題ないはずだ。

ソックスを履くようにシューズを履いていく

足を通してみると、SH10よりも履きやすく、これまでに試したDMTの中でも非常に履きやすい印象だった。BOAダイヤルが1つだけということもあり、ニット素材のアッパーがよりしなやかに感じるため、脱ぎ履きがしやすかった。

シューズのタンがない、ニット素材の一体設計により、足の甲に優しく包み込むようなフィット感で、アッパーが干渉することで足の甲が痛くなるサイクリストにお勧めしたい一足。しかし、ペダリングの中で引き足を強めに使ってしまうと、アッパーが伸びている感覚があった。

パワフルなペダリングをするような場合はBOAダイヤルを2つ搭載しているSH10の方がアッパーが伸びにくく、シューズにホールド感を求めるライダーにはSH10の方が良いだろう。

シューズのタンがなく、ニット素材による一体成型 photo:Michinari TAKAGI
足首の動きにも一体感が出る

スプリントをしてみても足裏全体がカーボンアウトソールに支えられ、全くよれないため安定感があるスプリントができた。また、踵に搭載されたグリッパーにより、踵がホールドされるため、ロスなく踏み込むことができる。

通気性に関しては、アウトソールのつま先のエアインテイクが搭載される他、ニット素材のアッパーを採用しているためシューズ全体から空気が入り込み、シューズ内の熱気を排気してくれるためシューズ内は蒸れることなく快適だった。

高剛性なカーボンアウトソールのおかげで、足裏全体で踏み込める

シューズのしなやかさのおかげで連続コーナーの動きもスムーズ

今回テストを実施したKR30は高剛性なカーボンアウトソールを備えレーサーに好まれる仕様でありながら、伸縮性に優れるニット素材のアッパーにより足を包み込んでくれるフィット感。近場のサイクリングから長距離のロードレースまで幅広く対応してくれるため、多くのサイクリストにマッチするだろう。履き心地が良いビンディングシューズを探している方にお勧めしたいシューズだった。



DMT KR30
アッパー素材:フルエンジニアード3Dニットアッパー
アウトソール:エアテックカーボンアウトソール
クロージャ―:BOA L6
サイズ:37~44(40.5~43.5までハーフサイズあり)
重量:220g(サイズ42)
カラー:ブラック/ブラック、ホワイト/ブラック、サンド/ブラック
価格:36,300円(税込)

text:Michinari TAKAGI
photo:Michinari TAKAGI&Gakuto Fujiwara
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