2023/04/20(木) - 14:30
プレミアムコンポーネントブランド、カデックスのラインアップの中からエアロと軽量性、安定性を高い次元でバランスさせたロードホイール"CADEX 50 ULTRA"をテスト。リム、スポーク、ハブ全てを一新した新型と、合わせて開発されたAERO TUBELESS TIREとの組み合わせでの使用感をお届けしよう。
プレミアムコンポーネントブランドとして最先端の研究、技術を結集したプロダクトを揃えるカデックス。今回はハイエンドホイールCADEX 50 ULTRAをピックアップ。ジェイコ・アルウラーと共に世界最高峰のレースを戦うオールラウンドホイールだ。
CADEX 50 ULTRAは、ブランドがローンチされた2019年に発表された42mm、65mmハイトの中間に位置する50mmハイトのモデル。しかし、今作はカデックスのラインアップに揃えられた各モデルとは一線を画す"ULTRA"の称号が与えられ、リム、スポーク、ハブの設計が全てブラッシュアップされている。50mmハイトのホイールながらペア重量1349g(前595g、後754g)という軽さを手に入れていることもアドバンテージだ。
2019年にカデックスがローンチされた当時よりタイヤ幅の拡大は進んでおり、現在のスタンダードに合わせた22.4mmというリム内幅が採用されることに。その結果推奨タイヤサイズが25C〜32Cまでに設定されている。このリム幅で最大のエアロ効果を発揮する形状に開発が行われていることがCADEX 50 ULTRAの特徴だ。
さらにカーボン製のエアロスポークもこれまで以上に幅が広く、いかにも風を切り裂きそうな見た目に。フランジも片側を平滑な面として空気の流れを乱さないエアロ仕様とすることで、CADEX 50 ULTRAを風洞実験においてカテゴリー最速の結果を打ち出すエアロホイールを実現した。
これらの設計はエアロだけはなくコントロール性や剛性、反応性向上にも寄与しており、全てが噛み合うことでペダリングやコーナリングでのロスを低減。特にカーボンスポークは横方向への撓みを最小限に抑える設計が施されているという。また、駆動効率を高めるためにカデックスはR3-C40というセラミックベアリングと40Tの面ラチェットフリーを搭載するハブを採用することで、優れたパワー伝達性を実現した。
また、フックレスリムのチューブレスレディ仕様も特徴の一つ。ハイボリュームタイヤに最適化し、片側最大3.8mm幅まで拡大したビード部の厚みによって、タイヤのサイドウォールをサポートすることが可能になるという。これによって支えられたタイヤは形状が円形に保たれ、タイヤが備える性能を引き出せる。
そして、カデックスの強みはホイールだけではなくタイヤも開発していること。CADEX 50 ULTRAと合わせてタイヤのAERO TUBELESS TIREも開発を行なっており、両者を組み合わせたときに最大のパフォーマンスを発揮するように調整されている。ホイールはホイール、タイヤはタイヤと分かれることが当然の環境の中で、一つのパッケージとして設計を行うことは1ワットでも改善したいアスリートのアドバンテージとなるだろう。
AERO TUBELESS TIREの特徴は、サイドウォールが薄く、センター部が厚い楕円の形状に形作られていること。これはフックレスリムと組み合わせたときにタイヤとリムの段差が最も小さくなり高いエアロダイナミクスを発揮するためのものだ。加えてシリカベースのRR-Aコンパウンドを採用し、低転がり抵抗、サイドグリップを確保。ケーシングにケブラー素材を組み込むRACE SHIELD耐パンクレイヤーが加えられた、Supple Race Casingによってしなやかな乗り心地を実現していることも魅力のひとつ。
最高のパフォーマンスを発揮するために一つのパッケージとして開発されたCADEX 50 ULTRA(ホイール)とCADEX AERO TUBELESS TIREを、なるしまフレンドの小西裕介がテスト。プレミアムブランドとして高品質なプロダクトを届けるカデックスの実力は如何に。
−インプレッション
このホイールはなるしまフレンドでも人気が高いモデルの一つで、何度か試乗したことがありました。今回のテストで改めて乗ってみて感じたのは、軽さによる加速感の気持ち良さが光ることでした。50mmハイトのホイールでは風に煽られてしまうような強めの風が吹き付ける中でテストしたのですが、CADEX 50 ULTRAは不安感なく走れる安定性があり、非常に優秀なホイールということがわかりました。
公表されている推奨タイヤの中から選ばないといけないことにやや疑問があったのですが、今回カデックスのタイヤも合わせて使用してみたところ、様々なブランドのハイエンドモデルと遜色ない性能があって良い意味で驚きでした。推奨とされるものが限られますが、そのネガティブな要素は払拭されました。”この組み合わせで良いんだ”と思えただけでも、今回テストできて良い経験となりました。
タイヤの精度も非常に高いのでしょう。たまに形状が安定しないタイヤもありますが、カデックスのタイヤとホイールのセットで綺麗な路面を走行してみても常に丸い断面が維持されていて、スムースに、軽やかに走ってくれました。
ホイールの性能という面で考えてみても平地での巡航性は優れているし、登りでもスピードが失速しません。剛性感も高いと言えるぐらいしっかりしていて、どのような状況でもブレないのでスプリントやコーナリング中も安定しています。
一昔前までは軽く、硬いホイールが路面のギャップに跳ね返されるということもありましたが、今はチューブレスタイヤやタイヤ幅が広がっており、タイヤのチョイスでコントロールすることが可能となっています。カデックスについても同じで、今回試乗した組み合わせではネガティブを感じることはありませんでした。軽くて剛性の高いこのホイールは武器になると思いますよ。
ジャイアントが抱えるブランドというイメージを持たれる方もいると思いますが、今回のテストのようにスペシャライズドのAethosにつければ、カデックスの軽量性を活かしたヒルクライムバイクを完成させられますし、武器として選んでみて欲しいです。
カデックス 50 ULTRA DISC WHEELSYSTEM
リム素材:カーボン
リムタイプ:フックレス(チューブレスレディ)
推奨タイヤサイズ:700×25C〜32C
リムハイト:50mm
リム外幅:30mm
リム内幅:22.4mm
ETRTO:622-22
フロントハブ:Low Friction CADEX R3-C Aero Hub, Centerlock
リアハブ:Low Friction CADEX R3-C40 Aero Hub, 40T Ratchet Driver, Centerlock
対応カセット:Shimano 11 / SRAM XDR 12 / Campagnolo
ベアリング:CADEX Ceramic Bearings
スポーク:Super Aero Carbon Spoke
スポーク組:フロントDBL, 21H、リアDBL, 24H
ニップル:アルミ
重量:1349g(フロント595g、リア754g)
税込価格:フロント/165,000円、リア/220,000円
カデックス AERO TUBELESS TIRE (TUBELESS READY)
タイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x25C
ケーシング:170 TPI Supple Race Casing (SRC)
コンパウンド:RR-A Compound
重量:290g
税込価格:12,100円
インプレッションライダーのプロフィール
小西裕介(なるしまフレンド)
なるしまフレンド神宮店メカニックチーフ。長年実業団登録選手として活躍し、国内トップレベルのレーサーとしてホビーレースで数多くの優勝経験を持つ。レース歴は20年以上に及び走れるスタッフとして信頼を集めながらもメカニックの知識も豊富で、走りからメカまで幅広いアドバイスをお客さんに提供する。
なるしまフレンド神宮店
CWレコメンドショップページ
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO
プレミアムコンポーネントブランドとして最先端の研究、技術を結集したプロダクトを揃えるカデックス。今回はハイエンドホイールCADEX 50 ULTRAをピックアップ。ジェイコ・アルウラーと共に世界最高峰のレースを戦うオールラウンドホイールだ。
CADEX 50 ULTRAは、ブランドがローンチされた2019年に発表された42mm、65mmハイトの中間に位置する50mmハイトのモデル。しかし、今作はカデックスのラインアップに揃えられた各モデルとは一線を画す"ULTRA"の称号が与えられ、リム、スポーク、ハブの設計が全てブラッシュアップされている。50mmハイトのホイールながらペア重量1349g(前595g、後754g)という軽さを手に入れていることもアドバンテージだ。
2019年にカデックスがローンチされた当時よりタイヤ幅の拡大は進んでおり、現在のスタンダードに合わせた22.4mmというリム内幅が採用されることに。その結果推奨タイヤサイズが25C〜32Cまでに設定されている。このリム幅で最大のエアロ効果を発揮する形状に開発が行われていることがCADEX 50 ULTRAの特徴だ。
さらにカーボン製のエアロスポークもこれまで以上に幅が広く、いかにも風を切り裂きそうな見た目に。フランジも片側を平滑な面として空気の流れを乱さないエアロ仕様とすることで、CADEX 50 ULTRAを風洞実験においてカテゴリー最速の結果を打ち出すエアロホイールを実現した。
これらの設計はエアロだけはなくコントロール性や剛性、反応性向上にも寄与しており、全てが噛み合うことでペダリングやコーナリングでのロスを低減。特にカーボンスポークは横方向への撓みを最小限に抑える設計が施されているという。また、駆動効率を高めるためにカデックスはR3-C40というセラミックベアリングと40Tの面ラチェットフリーを搭載するハブを採用することで、優れたパワー伝達性を実現した。
また、フックレスリムのチューブレスレディ仕様も特徴の一つ。ハイボリュームタイヤに最適化し、片側最大3.8mm幅まで拡大したビード部の厚みによって、タイヤのサイドウォールをサポートすることが可能になるという。これによって支えられたタイヤは形状が円形に保たれ、タイヤが備える性能を引き出せる。
そして、カデックスの強みはホイールだけではなくタイヤも開発していること。CADEX 50 ULTRAと合わせてタイヤのAERO TUBELESS TIREも開発を行なっており、両者を組み合わせたときに最大のパフォーマンスを発揮するように調整されている。ホイールはホイール、タイヤはタイヤと分かれることが当然の環境の中で、一つのパッケージとして設計を行うことは1ワットでも改善したいアスリートのアドバンテージとなるだろう。
AERO TUBELESS TIREの特徴は、サイドウォールが薄く、センター部が厚い楕円の形状に形作られていること。これはフックレスリムと組み合わせたときにタイヤとリムの段差が最も小さくなり高いエアロダイナミクスを発揮するためのものだ。加えてシリカベースのRR-Aコンパウンドを採用し、低転がり抵抗、サイドグリップを確保。ケーシングにケブラー素材を組み込むRACE SHIELD耐パンクレイヤーが加えられた、Supple Race Casingによってしなやかな乗り心地を実現していることも魅力のひとつ。
最高のパフォーマンスを発揮するために一つのパッケージとして開発されたCADEX 50 ULTRA(ホイール)とCADEX AERO TUBELESS TIREを、なるしまフレンドの小西裕介がテスト。プレミアムブランドとして高品質なプロダクトを届けるカデックスの実力は如何に。
−インプレッション
このホイールはなるしまフレンドでも人気が高いモデルの一つで、何度か試乗したことがありました。今回のテストで改めて乗ってみて感じたのは、軽さによる加速感の気持ち良さが光ることでした。50mmハイトのホイールでは風に煽られてしまうような強めの風が吹き付ける中でテストしたのですが、CADEX 50 ULTRAは不安感なく走れる安定性があり、非常に優秀なホイールということがわかりました。
公表されている推奨タイヤの中から選ばないといけないことにやや疑問があったのですが、今回カデックスのタイヤも合わせて使用してみたところ、様々なブランドのハイエンドモデルと遜色ない性能があって良い意味で驚きでした。推奨とされるものが限られますが、そのネガティブな要素は払拭されました。”この組み合わせで良いんだ”と思えただけでも、今回テストできて良い経験となりました。
タイヤの精度も非常に高いのでしょう。たまに形状が安定しないタイヤもありますが、カデックスのタイヤとホイールのセットで綺麗な路面を走行してみても常に丸い断面が維持されていて、スムースに、軽やかに走ってくれました。
ホイールの性能という面で考えてみても平地での巡航性は優れているし、登りでもスピードが失速しません。剛性感も高いと言えるぐらいしっかりしていて、どのような状況でもブレないのでスプリントやコーナリング中も安定しています。
一昔前までは軽く、硬いホイールが路面のギャップに跳ね返されるということもありましたが、今はチューブレスタイヤやタイヤ幅が広がっており、タイヤのチョイスでコントロールすることが可能となっています。カデックスについても同じで、今回試乗した組み合わせではネガティブを感じることはありませんでした。軽くて剛性の高いこのホイールは武器になると思いますよ。
ジャイアントが抱えるブランドというイメージを持たれる方もいると思いますが、今回のテストのようにスペシャライズドのAethosにつければ、カデックスの軽量性を活かしたヒルクライムバイクを完成させられますし、武器として選んでみて欲しいです。
カデックス 50 ULTRA DISC WHEELSYSTEM
リム素材:カーボン
リムタイプ:フックレス(チューブレスレディ)
推奨タイヤサイズ:700×25C〜32C
リムハイト:50mm
リム外幅:30mm
リム内幅:22.4mm
ETRTO:622-22
フロントハブ:Low Friction CADEX R3-C Aero Hub, Centerlock
リアハブ:Low Friction CADEX R3-C40 Aero Hub, 40T Ratchet Driver, Centerlock
対応カセット:Shimano 11 / SRAM XDR 12 / Campagnolo
ベアリング:CADEX Ceramic Bearings
スポーク:Super Aero Carbon Spoke
スポーク組:フロントDBL, 21H、リアDBL, 24H
ニップル:アルミ
重量:1349g(フロント595g、リア754g)
税込価格:フロント/165,000円、リア/220,000円
カデックス AERO TUBELESS TIRE (TUBELESS READY)
タイプ:チューブレスレディ
サイズ:700x25C
ケーシング:170 TPI Supple Race Casing (SRC)
コンパウンド:RR-A Compound
重量:290g
税込価格:12,100円
インプレッションライダーのプロフィール
小西裕介(なるしまフレンド)
なるしまフレンド神宮店メカニックチーフ。長年実業団登録選手として活躍し、国内トップレベルのレーサーとしてホビーレースで数多くの優勝経験を持つ。レース歴は20年以上に及び走れるスタッフとして信頼を集めながらもメカニックの知識も豊富で、走りからメカまで幅広いアドバイスをお客さんに提供する。
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CWレコメンドショップページ
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO
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