アマチュアレーサー向けのステージレース「2days race in 木祖村」が5月20・21日に開催される。UCI未満のレースとして開催され、複数のステージを走り総合時間で争う本格的なステージレースが体験できる。


2days RACE in 木祖村2022より。補給ポイントでボトルを受け取って走る長丁場のレースだ

「2days race in 木祖村」は長野県木曽郡木祖村にある味噌川ダム周回コースで開催されるアマチュアレーサー向けのステージレースだ。UCIコンチネンタル登録をする国内有力チームが原則的に出場しないことなどから、アマチュアレーサーにとっては非常に貴重な「ステージレースを経験する機会」として高い人気を集めている。

レースは5月20日〜21日の2日間・3ステージで開催。1日目は個人タイムトライアル8.5km、同日の午後にロードレース81km、2日目には126kmのロードレースが行われ、3ステージ合計215kmのレースとして開催される。

ステージ1A、個人タイムトライアル 第一走者から1分間隔でスタート
ステージ1B序盤戦



ステージ2のスタート前。前日には各リーダージャージと同色のバーテープが授与されジャージを彩った
個人総合成績表彰台



レースのテクニカルガイドはHPにて2月5日に公開予定で、優先枠参加受付開始は2月5日からとなっている。大会ディレクターの藤森信行氏は、レース開催の思いを以下のように綴る。

大会ディレクター藤森信行氏よりメッセージ

国内で開催されているステージレースは多くがUCI国際レースとして開催されています。日本人実業団選手ならコンチネンタルチームに所属して応分な成績を収めていないと、大学生ならばインカレで上位の成績を収めていないと出場できないレースです。2days race in 木祖村は国内で唯一、コンチネンタルチーム未満の選手が出場することができる大会として2005年から開催されていました。しかし2016年に木祖村で発生した落石の影響でレースコースが閉鎖されてしまい、木島平村に場所を移して継続開催してまいりました。

人口3千人に届かない木祖川源流の小さな村が精いっぱいの努力で、落石個所の復旧工事を2002年秋までに完了。しかし2021大会は直前にコロナ禍のため開催を断念しました。翌2022年5月には5年ぶりに木祖村味噌川ダム湖周回コースで開催することができました。(10月に開催予定だった2days race in 木島平は中止)

■2days race in 木祖村の運営方針

国内のほとんどの競走がワンデイレースとして開催されています。距離は100km以下mのレースが多いのが現状です。集団から脱落したら、あとは完走狙いで走るしかない競走です。交通費、宿泊費をかけて参加した大会が30分で終わってしまうのは残念なことです。

国内のほとんどのレースが1チーム当たりの参加人数に制限をかけていません。Aチームはチームメイトが10人もいる。かたやBチームは単独参加か数名の参加。大人数のチームは力任せに、小人数のチームはひたすら着いていくことだけになる展開では面白くありませんし、技術水準の異なる選手が団子状に走ることは集団落車の原因となり、危険です。

国内開催のUCIステージレースは短いもので3日間(ツール・ド・北海道)、長いものでは8日間(ツアー・オブ・ジャパン)です。普段1日のレースしか走っていない選手がいきなり挑戦することは相当大きな負担に見えます。UCIステージレースを走る前に国内でもう少し短いステージレースに参加して、ステージレースの経験を積むことができないものでしょうか。

2days race in 木祖村は2日間しかない小さなステージレースです。土曜日の昼にチームカー伴走つきの個人タイムトライアル8.5km、土曜日の午後にロードレース81km。完走すると日曜日に126kmのロードレース。合計215kmのレースが用意されています。不運にも土曜の午後に完走できなかった選手にはコンソレーション(残念レース)として72kmレースが用意されていますので、最低でも合計161kmを走れます。

海外の若手トップ選手も3日間や1週間のステージレースに参加して経験を積みます。「国内のUCIステージレースに参加してみたい若手選手たちに経験を積ませてあげたい」こんな思いのある方々に支えられて、2days race in 木祖村は開催されます。

今年は地元長野県の選手を擁するチームや、昨年10月に開催予定だった2days race in 木島平村(コロナのため中止)に参加申し込みしていただいたチームに優先枠を差し上げます。一般申し込み枠の申し込み前に優先枠分の受付をします(優先枠受付開始2月5日、終了2月28日)。一般枠申し込みは2月11日から申し込みを始めます。優先枠を活用しなかったチームが出た場合は一般申し込み枠の数が増える仕組みです。(一般枠数確定告知は3月1日)。

2days race in 木祖村はチーム選手数に上限下限を設けています。最大5名、最低4名です。同じ人数のチーム同士がリーダージャージを奪い合うレースです。個人総合優勝を狙えるエース選手はそれほどいないものですが、個人総合優勝を狙う選手を助けることができるアシスト選手がいるチームは有利になります。コースがダム湖周回で、ほとんどがアウターギヤでこなせるコースだからです。

2days race in 木祖村では賞金を監督さんの口座に振り込みます。どの選手がこの成績を獲得するために役に立ったか、自分の成績を捨ててでもエース選手のために働いたかを勘案して、賞金を山分けすると思います。

■安全対策に配慮したレース実施形態

個人タイムトライアルは8.5kmですが、最後の500mが平均8%勾配の実力差が出る登り区間です。

土曜日午後のロードレースでは、集団の安全のためにタイムトライアルの結果により出走を30秒刻みに指定して、同じ程度の技術実力の選手でまとまって出走します。我々は技術、体力水準の大きく異なる選手が交じって走ることが事故の原因であると考えているからです。

そのまま6kmをローリングスタートして集団が一列棒状になるダム道路がレース開始の緑のフラッグが振られる場所です。前半に設定されたスプリント賞と補給周回以降に設定されたボーナスタイム付きスプリント賞によって集団は常に一列棒状で前に進む状態になるでしょう。飛び出した先頭集団を一列棒状で追走する状態になるように、レースがより安全になるように設計しています。テクニックが揃わない選手が密集した団子状態は大規模な落車を誘発する可能性が高いと考えているためです。

■全日本選手権ロードレース出場資格が取得できる

2days race in 木祖村は2015年から全日本選手権ロードレース出場資格が取得できる大会に指定されています。国体やUCIレースのように限られた選手しか参加できない大会ではありません。野心と熱意がある選手には小さな扉ですが 全日本選手権ロードレースへの扉が開いています(JCFには申請済み)。熱意ある皆さんの参加をお待ちしています。

2days race in 木祖村 2023
開催地:長野県木曽郡木祖村味噌川ダム周回コース
開催予定日:5月20〜21日(土~日)
種目:1日目 個人タイムトライアル(8.5km)、ロードレース(81km)
   2日目 ロードレース(126km)、コンソレーションレース(72km)