2022/12/30(金) - 16:22
2022年国内ロードレースのプレーバック。前編は、小林海とマトリックスパワータグの強さが目立ったJプロツアーと、シーズン終盤は3チームの競り合いとなったジャパンサイクルリーグを振り返る。
Jプロツアー3月〜6月 マトリックスパワータグ開幕7連勝
兵庫県立播磨中央公園で開幕したJプロツアー photo:Satoru Kato
3月28日、前年に引き続きJプロツアーは兵庫県の播磨中央公園で開幕した。新たに整備された1周7kmのコースを20周する140kmのレースは、マトリックスパワータグが圧倒。終盤に抜け出した小林海とレオネル・キンテロが逃げ切って1-2フィニッシュし、さらに後方集団から単独追走したフランシスコ・マンセボが3位となり、表彰台を独占した。
西日本ロードクラシックで開幕3連勝を決めた小林海(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
西日本ロードクラシックDAY2では4位までをマトリックスパワータグが占めた photo:Satoru Kato
4月の群馬CSCでは2日連続で小林海とレオネル・キンテロの1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato
6月の修善寺で6勝目を挙げた小林海(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
マトリックスパワータグの勢いはその後も止まらず、4月17日・18日の西日本ロードクラシック2連戦では小林が連勝した上、DAY2では2度目の表彰台独占。4月24日・25日の群馬CSCロードレース2連戦ではキンテロと小林で2日連続の1-2フィニッシュで開幕4連勝(DAY2はキンテロ優勝)。3年ぶりに日本サイクルスポーツセンターでのレースとなった東日本ロードクラシック修善寺大会でも小林が連勝し、開幕7戦で6勝を挙げる快進撃を見せた。
JCL4月〜8月 宇都宮ブリッツェンとキナンレーシングチームが競り合う
JCL2年目の開幕戦スタートライン photo:Nobumichi Komori
開幕戦は小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)が優勝 photo:Nobumichi Komori
第2戦はスプリンターチームとして完璧なレースを見せたスパークルおおいたの沢田桂太郎が優勝 photo:Nobumichi Komori
2年目を迎えたジャパンサイクルリーグ(以下JCL)は、4月16日に栃木県で開幕した。第1戦真岡芳賀ロードレースは、宇都宮ブリッツェンとキナンレーシングチームの勝負となり、小野寺玲が優勝。昨年優勝の増田成幸が2位となり、宇都宮ブリッツェンの1-2フィニッシュとなった。翌日の第2戦宇都宮清原クリテリウムは、スパークルおおいたレーシングチームの沢田桂太郎が優勝。小野寺の連覇記録をストップさせた。
全日本選手権直後、7月の広島中央公園で行われた第3戦広島ロードレースでは、キナンレーシングチームの山本元喜が増田成幸に競り勝って優勝。続く第4戦広島クリテリウムでは、単独逃げ切りでトマ・ルバが優勝し、キナンレーシングチームが2連勝とした。
独走で初日を制した増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:JCL
8月、大分県のオートポリスで行われた2連戦では、初日の第5戦で宇都宮ブリッツェンが増田・小野寺で今季2度目の1-2フィニッシュ。2日目の第6戦は小野寺が今季2勝目を挙げた。
Jプロツアー7月〜9月 潮目の変わったシーズン後半
石川クリテリウム チームブリヂストンサイクリングが1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato
Jプロツアーの開幕戦から続いたマトリックスパワータグの勢いが止まったのは7月の福島3連戦だった。第8戦石川クリテリウムは、チームブリヂストンサイクリングが終始レースの主導権を握り、松田祥位と窪木一茂で1-2フィニッシュを決めた。
石川ロード 山本大喜(キナンレーシングチーム)が力勝負で小林海(マトリックスパワータグ)を下す photo:Satoru Kato
初開催の古殿ロードレースはトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が優勝 photo:Satoru Kato
翌日の第9戦石川ロードレースでは、前年のJCLチャンピオン山本大喜と小林海の一騎討ちとなり、山本が優勝。さらに第10戦の古殿ロードレースではトマ・ルバが優勝し、キナンレーシングチームが2連勝した。
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が南魚沼クリテリウム 連覇 photo:Satoru Kato
南魚沼ロード 入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝 photo:Satoru Kato
初の団体優勝で深紅の輪翔旗を獲得した弱虫ペダルサイクリングチーム photo:Satoru Kato
2ヶ月のインターバルを経て9月の再開後は、これまでとまったく違う流れとなった。第11戦南魚沼クリテリウムでは、愛三工業レーシグチームの岡本隼が昨年に続き連覇を達成。翌日の第12戦南魚沼ロードレースでは入部正太朗が優勝。弱虫ペダルサイクリングチームが経済産業大臣旗を獲得するというクラブチームとしての快挙を成し遂げた。
入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)が2連勝 photo:Satoru Kato
河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が生涯初のロードレース優勝 ©️JBCF
赤城山ヒルクライム 圧倒的な力を見せたフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
9月最終週は群馬県内での3連戦。群馬CSCで行われた第13戦は、南魚沼の勢いそのままに入部が優勝して2連勝。翌日の第14戦は、河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が初優勝。河野にとっては人生初のロードレース優勝となった。3年ぶりの開催となった第15戦赤城山ヒルクライムは、終盤の独走で圧倒したフランシスコ・マンセボが優勝し、マトリックスパワータグが6月以来の勝利を挙げた。
JCL9月〜10月 チーム右京相模原が勝利重ねるも小野寺玲が総合優勝決める
初開催のキナン古座川ロードレースがスタート photo:JCL
精鋭グループのスプリントを制したネイサン・アール(Team UKYO SAGAMIHARA) photo:JCL
9月のJCLは初開催が続いた。第7戦は和歌山県古座川町でのロードレース。1周41.6kmという国内レースでは例を見ない大周回のコースを使用して行われたレースは、宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチーム、チーム右京相模原の三つ巴の勝負を、ネイサン・アール(チーム右京相模原)が制した。
自動車専用道路がコースに組み込まれた高知県宿毛市ロードレース photo:JCL
集団スプリントを制した孫崎大樹(Sparkle Oita Racing Team) photo:JCL
第8戦、四国の高知県宿毛市でのレースは、自動車専用道を組み込んだ1周12.5kmのコースで行われた。最大で2分以上の差をつけた逃げ集団は終盤に吸収され、スプリント勝負を孫崎大樹が制して優勝。スパークルおおいたに今季2勝目をもたらした。
JCL第9戦しおやクリテリウムはスタートするも集団落車によりキャンセルに Photo: KINAN Racing Team/Syunsuke FUKUMITSU
10月に入り、ふたたび栃木県内に戻ったJCLは、栃木県塩谷町で第9戦しおやクリテリウムを開催。しかしレース前半に起きた集団落車によりレースそのものがキャンセルとなった。この落車により増田成幸が重傷を負い、以降のレースに出場出来なくなることに。
那須塩原クリテリウム リーダージャージの小野寺玲ら4名で出走となった宇都宮ブリッツェン photo:宇都宮ブリッツェン
那須塩原クリテリウムを制したレイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京相模原) photo:JCL
翌日の第10戦那須塩原クリテリウムは、レイモンド・クレダー(チーム右京相模原)が優勝。2位に小野寺玲が入り、増田から引き継いだリーダージャージを守った。
山口ながとクリテリウム 僅差で勝利した沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム) photo:JCL
JCL最終戦はベンジャミ・プラデス(スペイン、チーム右京相模原)が優勝 Photo: JCL
第11戦の山口ながとクリテリウムは、沢田桂太郎と小野寺玲による僅差のスプリント勝負となり、写真判定の結果沢田が優勝した。翌日の最終戦第12戦秋吉台カルストロードレースは、チーム右京相模原とキナンレーシングチームが主導権を争う展開。最後は山本元喜とベンジャミ・プラデスの勝負となり、プラデスが優勝。このレースの数日前にチーム右京相模原に電撃復帰したプラデスが早速勝利を挙げて見せた。
2022年シーズンJCL個人ランキングトップとなった小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato
JCL12戦を終え、個人総合首位は小野寺玲が維持。ポイント対象レースのツール・ド・おきなわ(UCI1.2)を終えた後も変わらず、小野寺玲が2022年シーズンのチャンピオンとなった。
Jプロツアー10月〜11月 TTチャンピオン金子宗平が優勝 マトリックスパワータグ終盤連勝
4分45秒台をマークして優勝した金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) photo:Satoru Kato
第16戦は、Jプロツアー唯一の個人タイムトライアル大会。茨城県の霞ヶ浦湖畔でのタイムアタックは、全日本チャンピオンの金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が優勝。チャンピオンジャージお披露目レースを勝利で飾った。
かすみがうらロードレース ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が優勝 photo:Satoru Kato
翌日の第17戦かすみがうらロードレースは、最後までもつれた勝負をホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が制し、1年半ぶりの優勝を決めた。
今治クリテリウム レース距離の半分以上を逃げ切ったフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が優勝 photo:Satoru Kato
最終戦は、愛媛県今治市で初開催のクリテリウム。愛三工業レーシングチーム、弱虫ペダルサイクリングチームなどがチーム力を見せるものの、レース中盤を前に独走を開始したフランシスコ・マンセボが最後まで逃げ切って優勝し、今季2勝目を挙げた。
Jプロツアー個人総合優勝は小林海(マトリックスパワータグ、中央)2位入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム、左)、3位レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
Jプロツアー2022年個人総合優勝は小林海、チーム総合優勝はマトリックスパワータグとなり、2019年以来4年連続でマトリックスパワータグが個人とチームのダブルタイトルを達成した。一方で、弱虫ペダルサイクリングチームがチーム総合2位に躍進して見せた。
text:Satoru Kato
Jプロツアー3月〜6月 マトリックスパワータグ開幕7連勝
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3月28日、前年に引き続きJプロツアーは兵庫県の播磨中央公園で開幕した。新たに整備された1周7kmのコースを20周する140kmのレースは、マトリックスパワータグが圧倒。終盤に抜け出した小林海とレオネル・キンテロが逃げ切って1-2フィニッシュし、さらに後方集団から単独追走したフランシスコ・マンセボが3位となり、表彰台を独占した。
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マトリックスパワータグの勢いはその後も止まらず、4月17日・18日の西日本ロードクラシック2連戦では小林が連勝した上、DAY2では2度目の表彰台独占。4月24日・25日の群馬CSCロードレース2連戦ではキンテロと小林で2日連続の1-2フィニッシュで開幕4連勝(DAY2はキンテロ優勝)。3年ぶりに日本サイクルスポーツセンターでのレースとなった東日本ロードクラシック修善寺大会でも小林が連勝し、開幕7戦で6勝を挙げる快進撃を見せた。
JCL4月〜8月 宇都宮ブリッツェンとキナンレーシングチームが競り合う
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2年目を迎えたジャパンサイクルリーグ(以下JCL)は、4月16日に栃木県で開幕した。第1戦真岡芳賀ロードレースは、宇都宮ブリッツェンとキナンレーシングチームの勝負となり、小野寺玲が優勝。昨年優勝の増田成幸が2位となり、宇都宮ブリッツェンの1-2フィニッシュとなった。翌日の第2戦宇都宮清原クリテリウムは、スパークルおおいたレーシングチームの沢田桂太郎が優勝。小野寺の連覇記録をストップさせた。
全日本選手権直後、7月の広島中央公園で行われた第3戦広島ロードレースでは、キナンレーシングチームの山本元喜が増田成幸に競り勝って優勝。続く第4戦広島クリテリウムでは、単独逃げ切りでトマ・ルバが優勝し、キナンレーシングチームが2連勝とした。
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8月、大分県のオートポリスで行われた2連戦では、初日の第5戦で宇都宮ブリッツェンが増田・小野寺で今季2度目の1-2フィニッシュ。2日目の第6戦は小野寺が今季2勝目を挙げた。
Jプロツアー7月〜9月 潮目の変わったシーズン後半
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Jプロツアーの開幕戦から続いたマトリックスパワータグの勢いが止まったのは7月の福島3連戦だった。第8戦石川クリテリウムは、チームブリヂストンサイクリングが終始レースの主導権を握り、松田祥位と窪木一茂で1-2フィニッシュを決めた。
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JCL9月〜10月 チーム右京相模原が勝利重ねるも小野寺玲が総合優勝決める
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9月のJCLは初開催が続いた。第7戦は和歌山県古座川町でのロードレース。1周41.6kmという国内レースでは例を見ない大周回のコースを使用して行われたレースは、宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチーム、チーム右京相模原の三つ巴の勝負を、ネイサン・アール(チーム右京相模原)が制した。
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第8戦、四国の高知県宿毛市でのレースは、自動車専用道を組み込んだ1周12.5kmのコースで行われた。最大で2分以上の差をつけた逃げ集団は終盤に吸収され、スプリント勝負を孫崎大樹が制して優勝。スパークルおおいたに今季2勝目をもたらした。
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Jプロツアー10月〜11月 TTチャンピオン金子宗平が優勝 マトリックスパワータグ終盤連勝
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第16戦は、Jプロツアー唯一の個人タイムトライアル大会。茨城県の霞ヶ浦湖畔でのタイムアタックは、全日本チャンピオンの金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が優勝。チャンピオンジャージお披露目レースを勝利で飾った。
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最終戦は、愛媛県今治市で初開催のクリテリウム。愛三工業レーシングチーム、弱虫ペダルサイクリングチームなどがチーム力を見せるものの、レース中盤を前に独走を開始したフランシスコ・マンセボが最後まで逃げ切って優勝し、今季2勝目を挙げた。
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Jプロツアー2022年個人総合優勝は小林海、チーム総合優勝はマトリックスパワータグとなり、2019年以来4年連続でマトリックスパワータグが個人とチームのダブルタイトルを達成した。一方で、弱虫ペダルサイクリングチームがチーム総合2位に躍進して見せた。
text:Satoru Kato
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