2022/12/20(火) - 18:29
10月にオープンした福島県玉川村「スキルパークたまかわ」で開催された、ファミリータイプのMTBエンデューロレース。ここにMTB全日本XCOチャンプ・平林安里(スコット・テラシステム)がゲスト参加。平林が乗るスコットの2023年モデル試乗会も行われ、スキルパークで自然にライダー同士のセッションが始まった。スコット2023年モデルの簡単なインプレと施設の利用方法も合わせてお伝えしよう。
23モデル試乗会にジャンプセッション、そして平林安里XCOチャンプもきた
12月11日、福島県玉川村の「スキルパークたまかわ」にてエンデューロレースが行われた。本気なガチ勢から将来有望なファミリーチームまで、ローカル主体のエンデューロレースでみんなが楽しめる1日となった。
福島県玉川村の「サイクルヴィレッジたまかわ」は、MTBを中心とした体験型の観光アクティビティ複合施設。福島空港内を含む周辺土地に作られた合計6.5km全5コースのトレールと今年10月にオープンしたばかりのMTB/BMX用ジャンプ&パンプトラックの「スキルパークたまかわ」がその中心地だ。
少し離れたところにBMX/スケートボード用の屋内パーク「アーバンスポーツたまかわ」や別のMTBトレイルなどもあり、これらライド施設群をまとめ「サイクルヴィレッジたまかわ」として、4年ほど前から管理運営を行なっている。
この福島空港周辺のトレイルコースとスキルパークを使って行われた11日の《トレイルライド&エンデューロレース》だ。これにゲストライダーとして2022年度MTB全日本XCOチャンピオンの平林安里選手が参加し、平林選手が乗るスコットも2023年新バイク群の試乗会を行った。
数年かけて走り締めた走行ライン、ここにはライドの文化がある
エンデューロレースでは全部で3つのステージを走った。SS1(第1ステージ)がパンプトラックのタイムアタック。SS2、SS3が空港の周囲を走る「空港トレイル」内の特設コースを走り、これら3つのタイムを合計する。
それぞれコースの設定は1分以内と短かったが、なかなかに本格的。トレイルの設置が行われ始めたのは4年前。そこから実際に走るライダートレイルのライン取りやメンテナンスを長くMTBに乗る人々が中心に行っているからだ。このトレイル・プロジェクトは4年ほど前から実施されており、だからこそコースは何年も走りこまれてきたほどにしっかりとラインができている。
コース自体も、愛好家らが何年も走り作り込んできただけあって、それぞれ異なった性質のトレイルラインとなっている。気軽なダブルトラックからフジテンのようなフロウ系まで、軽い起伏と地形をうまく利用したコースレイアウトで作られる。
エンデューロレースへの参加者の多くは地元のライダーで、その多くがファミリー層。トレイルライドをよく楽しんでいるなという風貌と走りだった。4年かけてこの「空港トレイル」を育ててきてくれたのだろう。特に子供たちが楽しそうに、しかも鋭く走っている姿が印象的だった。
さらに驚いたのは、そのライダーの多くがバシバシにジャンプを飛んでいたこと。スキルパークができてまだ2ヶ月も経っていないのに、一番大きなジャンプを子供から白髪まで皆飛んでいる。平林選手も皆に混じって、楽しそうに飛んでいる。そのライダーの数と幅広い年齢層に圧倒された。ここには走る文化が、小さくはない規模でできている。
このプロジェクトのリーダーとも言えるのが、一般社団法人サイクルヴィレッジたまかわ代表理事の國分洋平さん。20年以上MTBに乗ってきて、長距離レースからストリートトリックまでMTBでなんでもこなす。「自分が乗るトレイルが欲しかった、というのが、ここができたいちばんの理由です」。知り合いにいた自転車好きな県職員の方から少しずつツテをたぐっていって、「4年前から正式に事業化、今年から法人化しています」。
もう少し聞くとさらに切実な事情があった。「実は近い山には熊が出て、一度その姿を見てから走れなくなってしまって……」。その気持ちわかります。「でも空港近辺のこの辺りには熊が出ないので、どうしてもここにトレイルが欲しくて」その気持ち、心底わかります。
スコット'23モデル、SPARK RCとGENIUSを試乗した
スコットの2023年バイクに試乗した。ともにフルサスのSPARK RCとGENIUSだ。XCO、すなわちクロスカントリー・オリンピックの世界で、伝説のレーサーであるニノ・シューター(SCOTT-SRAM MTB Racing Team)と共に1位を走りつづけてきたスコット、両モデルともニノによる最強で最新の知見が詰まっている。
その大きな特徴が、BB部に一体化したリアサスペンションだ。サスユニットを一番下にしたことで、低重心の効果を得られてコーナリングでの車体の取り回しが軽くなる。走りの中で一番重みを感じにくい場所でもあるので、さらに車体の軽やかさを感じられる。
しかもこのリアサスをカバーすることで、リアサスは汚れにくい。その機能がフレッシュなままである、というのが、特に選手として今年の平林にはとても重要だった。平林にはその話をじっくり聞いたが、これはまた別の記事でお届けする。
SPARK RC TEAM ISSUEは、平林選手も乗るXCO用レーシングモデル。前後サスは共に120mmトラベル、走りの味付けは文句なしのレーシングモデルである。バック部をピボットレスにして軽量性と剛性を高め、カーボンのしなり自体を加速性につなげるというのがデザインの狙いだ。
実際に乗ると、そのピボットレスの剛性とリアサスの挙動が、前に伸びるように送り出される感覚だ。試しにジャンプを飛ぶと前に出る。レーシングスタイルの低いエアを挿しやすくて気持ちいい。価格は968,000円(税込)。
一方の'23 GENIUS 930はトレイル/エンデューロ系のバイク。SPARK RCとその性質を大きく変える象徴が、チェーンステーのエンド部にピボットが追加されること。一つ増えた可動部のおかげでリア荷重時の挙動がよりまろやかに、衝撃を受け止めるように感じさせる。
軽めの乗り味で飛び出しも狙いやすく、大きく飛んでも安心できるオールマウンテン系の前160mm、後150mmトラベル。これで白馬イワタケの上のジャンプ部をリフトで回したい。ドライブトレインはシマノ XT/DEORE、そのレベルに合った実用的なパーツがついて価格は660,000円(税込)。
サイクルヴィレッジたまかわの施設を利用するには
サイクルヴィレッジたまかわの屋外施設である「空港トレイル」「岩法寺トレイル」と「スキルパークたまかわ」は、基本的に予約してガイド付きの利用となる。利用料金=ツアーガイド料金は、2022年12月時点では1人3時間2,500円~に設定される。ツアー時間は9:00~12:00、13:00~16:00に設定されている。何せ公共事業なので色々固そうだが、実際に相談してみればなんとかならなくもなさそうな気もする。
それ以外にもスキルパークは月に1度は一般オープン日が設定され(詳細はSNSにて告知)、実際に走れるイベントも積極的に開催している。今回スキルパークたまかわができたことで、トレイルエリアの目印にもなり、ライド前のウォームアップにもなる。もちろんガイドツアーと銘打って、ジャンプだけを楽しむ使い方もできる。ツアー詳細は公式Webページ並びに各SNSよりご確認を。
サイクルヴィレッジたまかわ公式サイト:https://cycle-village-tamakawa.com
SCOTT SPARK RC / GENIUS:https://www.scott-japan.com/publics/index/1087/
TEXT: Koichiro NAKAMURA
23モデル試乗会にジャンプセッション、そして平林安里XCOチャンプもきた
12月11日、福島県玉川村の「スキルパークたまかわ」にてエンデューロレースが行われた。本気なガチ勢から将来有望なファミリーチームまで、ローカル主体のエンデューロレースでみんなが楽しめる1日となった。
福島県玉川村の「サイクルヴィレッジたまかわ」は、MTBを中心とした体験型の観光アクティビティ複合施設。福島空港内を含む周辺土地に作られた合計6.5km全5コースのトレールと今年10月にオープンしたばかりのMTB/BMX用ジャンプ&パンプトラックの「スキルパークたまかわ」がその中心地だ。
少し離れたところにBMX/スケートボード用の屋内パーク「アーバンスポーツたまかわ」や別のMTBトレイルなどもあり、これらライド施設群をまとめ「サイクルヴィレッジたまかわ」として、4年ほど前から管理運営を行なっている。
この福島空港周辺のトレイルコースとスキルパークを使って行われた11日の《トレイルライド&エンデューロレース》だ。これにゲストライダーとして2022年度MTB全日本XCOチャンピオンの平林安里選手が参加し、平林選手が乗るスコットも2023年新バイク群の試乗会を行った。
数年かけて走り締めた走行ライン、ここにはライドの文化がある
エンデューロレースでは全部で3つのステージを走った。SS1(第1ステージ)がパンプトラックのタイムアタック。SS2、SS3が空港の周囲を走る「空港トレイル」内の特設コースを走り、これら3つのタイムを合計する。
それぞれコースの設定は1分以内と短かったが、なかなかに本格的。トレイルの設置が行われ始めたのは4年前。そこから実際に走るライダートレイルのライン取りやメンテナンスを長くMTBに乗る人々が中心に行っているからだ。このトレイル・プロジェクトは4年ほど前から実施されており、だからこそコースは何年も走りこまれてきたほどにしっかりとラインができている。
コース自体も、愛好家らが何年も走り作り込んできただけあって、それぞれ異なった性質のトレイルラインとなっている。気軽なダブルトラックからフジテンのようなフロウ系まで、軽い起伏と地形をうまく利用したコースレイアウトで作られる。
エンデューロレースへの参加者の多くは地元のライダーで、その多くがファミリー層。トレイルライドをよく楽しんでいるなという風貌と走りだった。4年かけてこの「空港トレイル」を育ててきてくれたのだろう。特に子供たちが楽しそうに、しかも鋭く走っている姿が印象的だった。
さらに驚いたのは、そのライダーの多くがバシバシにジャンプを飛んでいたこと。スキルパークができてまだ2ヶ月も経っていないのに、一番大きなジャンプを子供から白髪まで皆飛んでいる。平林選手も皆に混じって、楽しそうに飛んでいる。そのライダーの数と幅広い年齢層に圧倒された。ここには走る文化が、小さくはない規模でできている。
このプロジェクトのリーダーとも言えるのが、一般社団法人サイクルヴィレッジたまかわ代表理事の國分洋平さん。20年以上MTBに乗ってきて、長距離レースからストリートトリックまでMTBでなんでもこなす。「自分が乗るトレイルが欲しかった、というのが、ここができたいちばんの理由です」。知り合いにいた自転車好きな県職員の方から少しずつツテをたぐっていって、「4年前から正式に事業化、今年から法人化しています」。
もう少し聞くとさらに切実な事情があった。「実は近い山には熊が出て、一度その姿を見てから走れなくなってしまって……」。その気持ちわかります。「でも空港近辺のこの辺りには熊が出ないので、どうしてもここにトレイルが欲しくて」その気持ち、心底わかります。
スコット'23モデル、SPARK RCとGENIUSを試乗した
スコットの2023年バイクに試乗した。ともにフルサスのSPARK RCとGENIUSだ。XCO、すなわちクロスカントリー・オリンピックの世界で、伝説のレーサーであるニノ・シューター(SCOTT-SRAM MTB Racing Team)と共に1位を走りつづけてきたスコット、両モデルともニノによる最強で最新の知見が詰まっている。
その大きな特徴が、BB部に一体化したリアサスペンションだ。サスユニットを一番下にしたことで、低重心の効果を得られてコーナリングでの車体の取り回しが軽くなる。走りの中で一番重みを感じにくい場所でもあるので、さらに車体の軽やかさを感じられる。
しかもこのリアサスをカバーすることで、リアサスは汚れにくい。その機能がフレッシュなままである、というのが、特に選手として今年の平林にはとても重要だった。平林にはその話をじっくり聞いたが、これはまた別の記事でお届けする。
SPARK RC TEAM ISSUEは、平林選手も乗るXCO用レーシングモデル。前後サスは共に120mmトラベル、走りの味付けは文句なしのレーシングモデルである。バック部をピボットレスにして軽量性と剛性を高め、カーボンのしなり自体を加速性につなげるというのがデザインの狙いだ。
実際に乗ると、そのピボットレスの剛性とリアサスの挙動が、前に伸びるように送り出される感覚だ。試しにジャンプを飛ぶと前に出る。レーシングスタイルの低いエアを挿しやすくて気持ちいい。価格は968,000円(税込)。
一方の'23 GENIUS 930はトレイル/エンデューロ系のバイク。SPARK RCとその性質を大きく変える象徴が、チェーンステーのエンド部にピボットが追加されること。一つ増えた可動部のおかげでリア荷重時の挙動がよりまろやかに、衝撃を受け止めるように感じさせる。
軽めの乗り味で飛び出しも狙いやすく、大きく飛んでも安心できるオールマウンテン系の前160mm、後150mmトラベル。これで白馬イワタケの上のジャンプ部をリフトで回したい。ドライブトレインはシマノ XT/DEORE、そのレベルに合った実用的なパーツがついて価格は660,000円(税込)。
サイクルヴィレッジたまかわの施設を利用するには
サイクルヴィレッジたまかわの屋外施設である「空港トレイル」「岩法寺トレイル」と「スキルパークたまかわ」は、基本的に予約してガイド付きの利用となる。利用料金=ツアーガイド料金は、2022年12月時点では1人3時間2,500円~に設定される。ツアー時間は9:00~12:00、13:00~16:00に設定されている。何せ公共事業なので色々固そうだが、実際に相談してみればなんとかならなくもなさそうな気もする。
それ以外にもスキルパークは月に1度は一般オープン日が設定され(詳細はSNSにて告知)、実際に走れるイベントも積極的に開催している。今回スキルパークたまかわができたことで、トレイルエリアの目印にもなり、ライド前のウォームアップにもなる。もちろんガイドツアーと銘打って、ジャンプだけを楽しむ使い方もできる。ツアー詳細は公式Webページ並びに各SNSよりご確認を。
サイクルヴィレッジたまかわ公式サイト:https://cycle-village-tamakawa.com
SCOTT SPARK RC / GENIUS:https://www.scott-japan.com/publics/index/1087/
TEXT: Koichiro NAKAMURA
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