2022/10/08(土) - 16:08
総合自転車メーカーのジャイアントより、ブランド初のカラーディスプレイ搭載GPSサイクルコンピューター「DASH」が新登場。パワーメーターの老舗Stages Cyclingと共同開発され、今季バイクエクスチェンジ・ジェイコに実戦投入されたハイエンドモデルだ。2種類のサイズ展開のうち、今回は小型モデル「DASH M200」のインプレッションをお届けする。
アパレルからホイールまで幅広い製品ラインナップを誇るジャイアントであるが、サイクルコンピューター(以下サイコン)も例外ではない。同社のハイエンドモデルはGPS対応モデル「NEOS TRACK」が長らく務めたが、新型のDASHはブランド初となるカラーディスプレイを搭載し、ソフトハード両面にブラッシュアップが施されている。
開発にあたりジャイアントがパートナーを組んだのは、クランク型パワーメーターに定評あるデバイスメーカー「Stages Cycling」だ。シーズン開幕と共にワールドツアーチーム「バイクエクスチェンジ・ジェイコ」に実戦投入され、マイケル・マシューズやディラン・フルーネウェーヘンらの勝利に貢献。デビューイヤーにして、レーシングスペックに相応しい信頼性を体現している。
まずはハードウェアのレビューから。
M200のサイズは、L81×W51×H22mm に対して、重量77g。IP57防塵・防水基準をクリアし、堅牢かつ優れた耐浸水性を確保している。台形状のボディはつなぎ目やボタンの隙間がほとんど排され、見た目にも水没の心配が少なそうだ。サイコンの顔であるディスプレイは、240x320ドットの2.2インチフルカラー仕様。GPSは3種類の衛星に対応し、位置情報を安定的に、高い精度にて捕捉する。
本体操作は左側面に1つ、ディスプレイ下部に4つの物理ボタンで行い、タッチスクリーンは非対応。充電端子はマイクロUSBで、密閉性の高いゴムカバーに覆われる。ボディはガーミン規格と互換性があり、おなじみの90度回転式マウントにて固定する。すでに市場に存在する、多様なサードパーティ製マウントを使用可能であることはもちろん、ジャイアント製アフターパーツも充実している。
次にセットアップについて。
まずは本機をUSB充電し、その間にマニュアルのQRコードからスマートフォンアプリ「Stages Cycling」をインストール。アプリはログ転送やファームウェアアップデートなど多数の機能を備え、DASHをフル活用するための母艦となる。ユーザー情報を入力したのち、DASHの画面に表示されたQRコードを読み込み、ペアリング完了となる。
DASH本体のUI、アプリともに日本語表記に対応し、かつメニュー階層は簡素で難しさは特段感じない。時おり日本語表記が怪しい部分はあれど、使い方を調べるまでもなく、いとも簡単にセットできた。いざ不明点があれば、ジャイアント公式HPのマニュアルをぜひ参照してほしい。
最後にセンサーのペアリングについて。
DASHはパワーメーターと心拍計はもちろん、ライト、Eバイク、スマートトレーナーなど数々のセンサーとペアリング可能だ。センサーは一覧にストックされ、一度ペアリング歴のあるものは起動時に自動接続される。バイク1、バイク2と個別にセットアップする手間がなく、複数バイクを跨いだ使用時の煩わしさが解消されている。
上記の流れでライドへの準備はおおむね完了。その他、背景色の切り替え(ライトモードかダークモード)、横画面表示(ランドスケープモード)、スマートフォンの通知表示など多数のカスタマイズ機能を内蔵し、慣れればより好みのセッティングへ寄せることができる。インプレッションは、ペアリング完了後からほぼ初期状態で行った。
インプレッション
早速結論だが、DASH M200は高精細カラーディスプレイと扱いやすいUIにより、ライドをよりデータリッチな体験へと昇華してくれる、プレミアムなGPSサイコンであった。
筆者は前モデルのNEOS TRACKを長らく使用しており、モノクロ画面ながらその使用感に不足は感じていなかった。加えて、高性能化(高価格化)が進む近年のハイエンドモデルには魅力を感じず、「自分には使いこなせない」と敬遠していたほどだ。その前提を踏まえて読み進めていただきたいのだが、デジモノ素人の筆者ですら、DASH M200のユーザー体験は期待以上のものであった。
まずは手持ちのマウントをガーミントレーに換装し、本機をバイクに装着すると、嵌合の良さに気が付く。アソビが一切なく、悪路で脱落する心配がいかにも少なそうで、高いボディ精度に信頼を覚えた。そしてバイクを外に出すやいなや、GPS捕捉のレスポンスが非常に早く、時計表示が自動的に日本時間に切り替わった。パワーメーターと心拍計も瞬時にペアリングされ、走り慣れた100kmのトレーニングライドに連れ出した。
本機最大の魅力は、その高精細カラーディスプレイがもたらす、優れた視認性にある。バックライト光量の自動調整機能のおかげで、太陽の下から木陰、トンネルなど様々な環境でテストしたが、不用な映り込みやチラつきが一切生じない。視野角は十分広く、ドットのザラザラ感がほとんど見えず、小さなボディにも関わらず優れた可読性を発揮する。この美麗なディスプレイ目当てで本機を導入する価値は十分にあり、もうモノクロには戻れないと感じたほどだ。
カラー表示のメリットは、より直感的かつ緻密にデータを閲覧できる点にある。その一例がカラーグラフだ。
アプリで設定したパワー/心拍値に応じて自動でゾーニングされ、 サークル形状のグラフに出力に応じた色を映し出す。イージーなら青〜緑、ハードなら赤〜紫と色が変化していくが、数値のみよりもパフォーマンスを容易に判別でき、わずかながら下を向く時間が短くなり、安全な走行に寄与するよう感じた。また、内蔵マップを表示した際も、小さな路地まで見やすく描写され、その再現性の高さに驚いた。
4つの操作ボタンはソフトなクリック感があり、素早いレスポンスでページが切り替わる。横並びのボタンは機能別のプリントがあり、すぐ操作に慣れることができた。プリセットページが初期状態から充実しており、表示項目は非常に豊富だ(アプリ経由でカスタムページの追加もできる)。さらに、ペアリングしたセンサーに応じて自動でページを選別してくれるため、「捨てページ」が表れないのは気が利いている。標高変化や心拍ゾーンがカラフルなグラフ上で推移する様は、目に楽しくてスマートだ。
4時間半のライドを終えてアプリを立ち上げると、DASHが自動認識されると共にワンタップで走行ログが転送できた。ログはSTRAVAやトレーニングピークスなど多数の外部サービスとの連携に対応し、アプリ単体でもグラフィカルなサマリーを閲覧可能だ。その他、ルートやワークアウト作成、ファームウェアアップデートなど数々の要素をアプリ経由で実行可能。ライド後の片付け中にデータを転送したりと、積極的にアプリを立ち上げていくと良いだろう。
以下余談だが、カラーグラフを意識したトレーニングは、「DASH」というネーミングに思わず膝を打つような意外な効果をもたらした。というのも、ターゲットゾーン(紫)から外れないよう登りをプッシュしたことで、セグメント数カ所で自己ベストを叩き出したのだ。
画面を見ながらペダリング、サイクリストにとってはごく普通な行為ではあるのだが、カラーグラフがキツい局面で「もうひと頑張り」を引き出してくれる。つけた瞬間自己ベスト、当然そんな魔法のようなデバイスではないものの、トレーニングの集中力を高める一助にはなるはずだ。ただ、走行中はくれぐれも画面を凝視しすぎないように。
100kmライド後のバッテリー残量は58%。駆動時間は省電力モードで公称18時間以上とあり、日を跨がない200km程度のロングライドであれば十分カバーできる。300kmオーバーのブルベなどは、モバイルバッテリーを別途携帯して不慮の電池切れに備えたいところだ。
総括すると、DASHは多機能化、高性能化のトレンドをもれなく抑えたハイエンドサイコンである。誰にでも扱いやすく、 カスタマイズ性と拡張性にも長けたプロダクトで、「多機能すぎて操作が複雑」という心配は一切なく、サイコンの進化ぶりに驚かされた。なお、より大画面が好みであれば、2.7インチディスプレイ搭載の「L200」も選択肢に入る。機能面での違いは無く、コストとサイズ感を天秤にかけると良いだろう。
その完成度の高さゆえ、ジャイアントユーザーに限定せず、ビギナーからベテランレーサーまで誰にでもオススメできる。マグネット+センサーのオールドスクールな電池式コンピューターからステップアップや、初めてのパワーメーター/心拍計のお供に本機を選ぶのも良いだろう。カラーディスプレイは誰にとってもメリットがあり、カスタム要素や拡張性においても抜かりはない。その機能をフル活用するのであれば、まずパワーメーターと心拍計は最低限用意したいところだ。
付言すると、「Eバイクとのペアリング機能」にぜひ注目したい。例えばジャイアントのE-MTBであるTRANCE E+ PROは、純正ではディスプレイを搭載せず、アシストボタンに仕込まれたLEDランプで大まかな情報しか取得できない。ここにDASHを導入することで、アシストモードやバッテリー残量、モーターパワー値などをモニタリング可能になり、圧倒的に利便性が向上すると想像できる。無線通信はANT+LEVという規格に対応する。
あえて重箱の隅を突くならば、「目新しさに欠ける」という点は少々気になった。というのも、上述のスペックは他社のハイエンドモデルでもれなく網羅しており、あいにくDASHが頭一つ抜けた存在とは言い難い。とはいえ、ワールドツアーを戦い抜くレーシング機材であることは前述の通りで、国内サイコン市場の雄であるガーミンや多くのプロダクトと比較しても、決して引けを取らないポテンシャルがある。カラー表示、長寿命バッテリー、アプリとの連携、ナビゲーション機能。これら現代ハイエンドサイコンの「must have」をDASHはしっかり抑えている。
Demystify Your Ride(ライドを紐解く)のスローガン通り、ライド中に眠る数々のデータを可視化して新たな気づきを与えてくれる、頼れる相棒となるはずだ。本記事では紹介しきれない数々の機能、スペック詳細はぜひ下段のリンクから確認してほしい。DASHはこれまでのライド体験を、データリッチで(文字通り)彩り鮮やかなものに昇華させてくれるだろう。
ジャイアント DASH M200
本体サイズ:81 x 51 x 22mm / 77g
ディスプレイ:2.2インチ Stages Everbrite(TM) カラーOCA(optically clear adhesive)
バッテリー稼働時間:通常モードで約10時間 省電力モードで18時間以上
内蔵メモリ:16GB
センサーとの通信方式:ANT+、Bluetooth
GPS性能:GPS、SBAS、QZSS(みちびき)
防水:IP57防塵・防水性能
パワーメーター:○
マップ:○(Open Street Map対応)
ルートナビ:○
Eバイク:○(ANT+ LEV)
スマートトレーナー:○(ANT+ FE-C)
サードパーティーApp:STRAVA、Training Peaks、Today's Plan、Komoot、StagesLink、RidewithGPS、Relive
価格:38,500円(税込)
text/photo : Ryota Nakatani
アパレルからホイールまで幅広い製品ラインナップを誇るジャイアントであるが、サイクルコンピューター(以下サイコン)も例外ではない。同社のハイエンドモデルはGPS対応モデル「NEOS TRACK」が長らく務めたが、新型のDASHはブランド初となるカラーディスプレイを搭載し、ソフトハード両面にブラッシュアップが施されている。
開発にあたりジャイアントがパートナーを組んだのは、クランク型パワーメーターに定評あるデバイスメーカー「Stages Cycling」だ。シーズン開幕と共にワールドツアーチーム「バイクエクスチェンジ・ジェイコ」に実戦投入され、マイケル・マシューズやディラン・フルーネウェーヘンらの勝利に貢献。デビューイヤーにして、レーシングスペックに相応しい信頼性を体現している。
まずはハードウェアのレビューから。
M200のサイズは、L81×W51×H22mm に対して、重量77g。IP57防塵・防水基準をクリアし、堅牢かつ優れた耐浸水性を確保している。台形状のボディはつなぎ目やボタンの隙間がほとんど排され、見た目にも水没の心配が少なそうだ。サイコンの顔であるディスプレイは、240x320ドットの2.2インチフルカラー仕様。GPSは3種類の衛星に対応し、位置情報を安定的に、高い精度にて捕捉する。
本体操作は左側面に1つ、ディスプレイ下部に4つの物理ボタンで行い、タッチスクリーンは非対応。充電端子はマイクロUSBで、密閉性の高いゴムカバーに覆われる。ボディはガーミン規格と互換性があり、おなじみの90度回転式マウントにて固定する。すでに市場に存在する、多様なサードパーティ製マウントを使用可能であることはもちろん、ジャイアント製アフターパーツも充実している。
次にセットアップについて。
まずは本機をUSB充電し、その間にマニュアルのQRコードからスマートフォンアプリ「Stages Cycling」をインストール。アプリはログ転送やファームウェアアップデートなど多数の機能を備え、DASHをフル活用するための母艦となる。ユーザー情報を入力したのち、DASHの画面に表示されたQRコードを読み込み、ペアリング完了となる。
DASH本体のUI、アプリともに日本語表記に対応し、かつメニュー階層は簡素で難しさは特段感じない。時おり日本語表記が怪しい部分はあれど、使い方を調べるまでもなく、いとも簡単にセットできた。いざ不明点があれば、ジャイアント公式HPのマニュアルをぜひ参照してほしい。
最後にセンサーのペアリングについて。
DASHはパワーメーターと心拍計はもちろん、ライト、Eバイク、スマートトレーナーなど数々のセンサーとペアリング可能だ。センサーは一覧にストックされ、一度ペアリング歴のあるものは起動時に自動接続される。バイク1、バイク2と個別にセットアップする手間がなく、複数バイクを跨いだ使用時の煩わしさが解消されている。
上記の流れでライドへの準備はおおむね完了。その他、背景色の切り替え(ライトモードかダークモード)、横画面表示(ランドスケープモード)、スマートフォンの通知表示など多数のカスタマイズ機能を内蔵し、慣れればより好みのセッティングへ寄せることができる。インプレッションは、ペアリング完了後からほぼ初期状態で行った。
インプレッション
早速結論だが、DASH M200は高精細カラーディスプレイと扱いやすいUIにより、ライドをよりデータリッチな体験へと昇華してくれる、プレミアムなGPSサイコンであった。
筆者は前モデルのNEOS TRACKを長らく使用しており、モノクロ画面ながらその使用感に不足は感じていなかった。加えて、高性能化(高価格化)が進む近年のハイエンドモデルには魅力を感じず、「自分には使いこなせない」と敬遠していたほどだ。その前提を踏まえて読み進めていただきたいのだが、デジモノ素人の筆者ですら、DASH M200のユーザー体験は期待以上のものであった。
まずは手持ちのマウントをガーミントレーに換装し、本機をバイクに装着すると、嵌合の良さに気が付く。アソビが一切なく、悪路で脱落する心配がいかにも少なそうで、高いボディ精度に信頼を覚えた。そしてバイクを外に出すやいなや、GPS捕捉のレスポンスが非常に早く、時計表示が自動的に日本時間に切り替わった。パワーメーターと心拍計も瞬時にペアリングされ、走り慣れた100kmのトレーニングライドに連れ出した。
本機最大の魅力は、その高精細カラーディスプレイがもたらす、優れた視認性にある。バックライト光量の自動調整機能のおかげで、太陽の下から木陰、トンネルなど様々な環境でテストしたが、不用な映り込みやチラつきが一切生じない。視野角は十分広く、ドットのザラザラ感がほとんど見えず、小さなボディにも関わらず優れた可読性を発揮する。この美麗なディスプレイ目当てで本機を導入する価値は十分にあり、もうモノクロには戻れないと感じたほどだ。
カラー表示のメリットは、より直感的かつ緻密にデータを閲覧できる点にある。その一例がカラーグラフだ。
アプリで設定したパワー/心拍値に応じて自動でゾーニングされ、 サークル形状のグラフに出力に応じた色を映し出す。イージーなら青〜緑、ハードなら赤〜紫と色が変化していくが、数値のみよりもパフォーマンスを容易に判別でき、わずかながら下を向く時間が短くなり、安全な走行に寄与するよう感じた。また、内蔵マップを表示した際も、小さな路地まで見やすく描写され、その再現性の高さに驚いた。
4つの操作ボタンはソフトなクリック感があり、素早いレスポンスでページが切り替わる。横並びのボタンは機能別のプリントがあり、すぐ操作に慣れることができた。プリセットページが初期状態から充実しており、表示項目は非常に豊富だ(アプリ経由でカスタムページの追加もできる)。さらに、ペアリングしたセンサーに応じて自動でページを選別してくれるため、「捨てページ」が表れないのは気が利いている。標高変化や心拍ゾーンがカラフルなグラフ上で推移する様は、目に楽しくてスマートだ。
4時間半のライドを終えてアプリを立ち上げると、DASHが自動認識されると共にワンタップで走行ログが転送できた。ログはSTRAVAやトレーニングピークスなど多数の外部サービスとの連携に対応し、アプリ単体でもグラフィカルなサマリーを閲覧可能だ。その他、ルートやワークアウト作成、ファームウェアアップデートなど数々の要素をアプリ経由で実行可能。ライド後の片付け中にデータを転送したりと、積極的にアプリを立ち上げていくと良いだろう。
以下余談だが、カラーグラフを意識したトレーニングは、「DASH」というネーミングに思わず膝を打つような意外な効果をもたらした。というのも、ターゲットゾーン(紫)から外れないよう登りをプッシュしたことで、セグメント数カ所で自己ベストを叩き出したのだ。
画面を見ながらペダリング、サイクリストにとってはごく普通な行為ではあるのだが、カラーグラフがキツい局面で「もうひと頑張り」を引き出してくれる。つけた瞬間自己ベスト、当然そんな魔法のようなデバイスではないものの、トレーニングの集中力を高める一助にはなるはずだ。ただ、走行中はくれぐれも画面を凝視しすぎないように。
100kmライド後のバッテリー残量は58%。駆動時間は省電力モードで公称18時間以上とあり、日を跨がない200km程度のロングライドであれば十分カバーできる。300kmオーバーのブルベなどは、モバイルバッテリーを別途携帯して不慮の電池切れに備えたいところだ。
総括すると、DASHは多機能化、高性能化のトレンドをもれなく抑えたハイエンドサイコンである。誰にでも扱いやすく、 カスタマイズ性と拡張性にも長けたプロダクトで、「多機能すぎて操作が複雑」という心配は一切なく、サイコンの進化ぶりに驚かされた。なお、より大画面が好みであれば、2.7インチディスプレイ搭載の「L200」も選択肢に入る。機能面での違いは無く、コストとサイズ感を天秤にかけると良いだろう。
その完成度の高さゆえ、ジャイアントユーザーに限定せず、ビギナーからベテランレーサーまで誰にでもオススメできる。マグネット+センサーのオールドスクールな電池式コンピューターからステップアップや、初めてのパワーメーター/心拍計のお供に本機を選ぶのも良いだろう。カラーディスプレイは誰にとってもメリットがあり、カスタム要素や拡張性においても抜かりはない。その機能をフル活用するのであれば、まずパワーメーターと心拍計は最低限用意したいところだ。
付言すると、「Eバイクとのペアリング機能」にぜひ注目したい。例えばジャイアントのE-MTBであるTRANCE E+ PROは、純正ではディスプレイを搭載せず、アシストボタンに仕込まれたLEDランプで大まかな情報しか取得できない。ここにDASHを導入することで、アシストモードやバッテリー残量、モーターパワー値などをモニタリング可能になり、圧倒的に利便性が向上すると想像できる。無線通信はANT+LEVという規格に対応する。
あえて重箱の隅を突くならば、「目新しさに欠ける」という点は少々気になった。というのも、上述のスペックは他社のハイエンドモデルでもれなく網羅しており、あいにくDASHが頭一つ抜けた存在とは言い難い。とはいえ、ワールドツアーを戦い抜くレーシング機材であることは前述の通りで、国内サイコン市場の雄であるガーミンや多くのプロダクトと比較しても、決して引けを取らないポテンシャルがある。カラー表示、長寿命バッテリー、アプリとの連携、ナビゲーション機能。これら現代ハイエンドサイコンの「must have」をDASHはしっかり抑えている。
Demystify Your Ride(ライドを紐解く)のスローガン通り、ライド中に眠る数々のデータを可視化して新たな気づきを与えてくれる、頼れる相棒となるはずだ。本記事では紹介しきれない数々の機能、スペック詳細はぜひ下段のリンクから確認してほしい。DASHはこれまでのライド体験を、データリッチで(文字通り)彩り鮮やかなものに昇華させてくれるだろう。
ジャイアント DASH M200
本体サイズ:81 x 51 x 22mm / 77g
ディスプレイ:2.2インチ Stages Everbrite(TM) カラーOCA(optically clear adhesive)
バッテリー稼働時間:通常モードで約10時間 省電力モードで18時間以上
内蔵メモリ:16GB
センサーとの通信方式:ANT+、Bluetooth
GPS性能:GPS、SBAS、QZSS(みちびき)
防水:IP57防塵・防水性能
パワーメーター:○
マップ:○(Open Street Map対応)
ルートナビ:○
Eバイク:○(ANT+ LEV)
スマートトレーナー:○(ANT+ FE-C)
サードパーティーApp:STRAVA、Training Peaks、Today's Plan、Komoot、StagesLink、RidewithGPS、Relive
価格:38,500円(税込)
text/photo : Ryota Nakatani
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