2022/08/29(月) - 07:36
最大勾配24%の1級山岳レス・プラエレスでルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が逃げ切り勝利。ログリッチが遅れる一方で、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)がリードを拡大させた。
8月28日(日)第9ステージ
ビリャビシオサ〜レス・プラエレス 175.5km(山岳)
2022年ブエルタの第1週目を締めくくるのは、カンタブリア山脈が誇る5つの山岳が詰め込まれた登坂ステージ。2020年大会でも訪れたビリャビシオサをスタートしてまずは2級山岳アルト・デル・トルノ(距離7.6km/平均6%)をクリアし、1級、3級、3級山岳を立て続けに越えていく。
そして選手たちが最後に登り詰めるのは2018年大会に初登場した1級山岳レス・プラエレス(距離3.9km/平均12.9%)。砂埃の覆う舗装路が敷かれたこの山岳は前半から15%オーバーの勾配が断続的に続き、フィニッシュ直前に最大勾配24%を迎える激坂だ。今大会2度目の休息日を前に、距離171.4kmに獲得標高差3,600mに達する難関山岳コースが用意された。
この日はマイヨロホ争いに影響を及ぼすであろうクイックステップ・アルファヴィニルのピーター・セリー(ベルギー)とワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)が新型コロナウイルスの感染発覚で未出走に。また大会4連覇を目指すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)の重要な山岳アシスト、セップ・クス(アメリカ)も発熱のため棄権した。
2級山岳アルト・デル・トルノを前に形成されたのは9名の逃げ集団。この中には今年のツール・ド・フランスで3度目の総合8位入賞を果たしたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が入り、前日勝利を掴んだアルペシン・ドゥクーニンクは2名(ヤンセンスとスタナード)を送り込んだ。
逃げグループを形成した9名
サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)
エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)
ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
フィリッポ・コンカ(イタリア、ロット・スーダル)
ジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
ロバート・スタナード(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
ホセ・ディアス(スペイン、ブルゴスBH)
シモン・グリエルミ(フランス、アルケア・サムシック)
逃げグループで最も総合タイムが良いメインチェスでも8分28秒遅れと総合争いの驚異とはならないため、1級山岳ミラドール・デル・フィツを前にタイム差は5分に。それを7名となったクイックステップがペースを作り、序盤から世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス)が登坂区間で牽引した。
この日登場する5つの山岳のうち4つをスタナードが先頭通過して山岳ポイントを加算し、チームメイトであるジェイ・ヴァイン(オーストラリア)のマイヨモンターニャを守った。それを追うメイン集団では今大会積極的な走りが目立つフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)ら4名が残り48km地点で落車するシーンも。しかし全員無事に集団復帰を果たしている。
4つ目のカテゴリー山岳を越え、最終1級山岳レス・プラエレスを前にプロトンの差は4分13秒と逃げ切りがほぼ確定した。そして登坂を前にアドバンテージを築こうと、ジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)と元U23世界王者であるサムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)が飛び出した。
後続と30秒差つけてレス・プラエレスの登りに入ったヤンセンスとバティステッラだったが、重量級とも呼べる2人に平均15%の勾配は厳しく、残り2.6km地点で軽快なペダリングで迫ったメインチェスにかわされる。メインチェスはその後独走モードに突入し、ダンシングとシッティングを交互に織り交ぜながらリズム良く登坂。そして最後まで粘りの走りを見せたバティステッラの追走を引き離したメインチェスは、最大24%の勾配を越え、初のグランツール区間優勝を掴み取った。
「この勝利を実感するには暫く時間がかかるだろう。ワールドツアーレースで表彰台に上がることが引退までの目標だった」と語るメインチェスは、「アタックというよりむしろ(相手の関係ない)タイムトライアルのつもりで登っていた」と最後の登坂区間を振り返った。「この勝利は本当に嬉しく、繰り返しになるがこの勝利が現実と思うにはまだ時間が必要だ」とも。
一方、約3分遅れで最終山岳に突入したメイン集団は、アラフィリップが2018年にここで勝利を上げたサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)らを振り落とす急激なペースアップを敢行。クイックステップのアシスト陣が役割を終えると、今大会最年少であるフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)がマイヨロホを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)に対し攻撃を仕掛けた。
この加速に追従できたのはエヴェネプールとエンリク・マス(スペイン、モビスター)、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)という3名。しかし頂上まで3kmを示すゲートを前にエヴェネプールがアユソとログリッチ、そして苦悶の表情で食らいつくマスをも振り落とした。
15〜17%の勾配をエヴェネプールはシッティングかつハイケイデンスでベダルを回す。そして遅れてくる逃げ集団を次々と吸収しながら、追走との差を拡げたエヴェネプールがメインチェスに1分34秒遅れでフィニッシュ。第1週終了時点ながらも最終的なマイヨロホ獲得に向け、脚色の違いを見せつけた。
アユソに34秒、マスに44秒、ログリッチに52秒差をつけたエヴェネプールは「僕が登りで遅れた時のことを考え、ライバルたちにボーナスタイムを取られないよう逃げ切りを容認した。ピーター(セリー)のコロナ陽性という不運に見舞われながらも、皆と会話しながらチームとして上手く走ることができた」とコメント。「最後の登坂では既に脚は疲れていたものの”皆も同じだろう”と思い踏み込んだ。2年前の出来事で僕は新しく生まれ変わったんだ。とにかく今日の仲間の走りに感動している」と、チームメイトへの感謝を語った。
選手たちはこの後スペイン南東部のアリカンテに移動して、暑さ厳しい第2週目を前に、今大会2度目の休息日を迎える。
8月28日(日)第9ステージ
ビリャビシオサ〜レス・プラエレス 175.5km(山岳)
2022年ブエルタの第1週目を締めくくるのは、カンタブリア山脈が誇る5つの山岳が詰め込まれた登坂ステージ。2020年大会でも訪れたビリャビシオサをスタートしてまずは2級山岳アルト・デル・トルノ(距離7.6km/平均6%)をクリアし、1級、3級、3級山岳を立て続けに越えていく。
そして選手たちが最後に登り詰めるのは2018年大会に初登場した1級山岳レス・プラエレス(距離3.9km/平均12.9%)。砂埃の覆う舗装路が敷かれたこの山岳は前半から15%オーバーの勾配が断続的に続き、フィニッシュ直前に最大勾配24%を迎える激坂だ。今大会2度目の休息日を前に、距離171.4kmに獲得標高差3,600mに達する難関山岳コースが用意された。
この日はマイヨロホ争いに影響を及ぼすであろうクイックステップ・アルファヴィニルのピーター・セリー(ベルギー)とワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)が新型コロナウイルスの感染発覚で未出走に。また大会4連覇を目指すプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)の重要な山岳アシスト、セップ・クス(アメリカ)も発熱のため棄権した。
2級山岳アルト・デル・トルノを前に形成されたのは9名の逃げ集団。この中には今年のツール・ド・フランスで3度目の総合8位入賞を果たしたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が入り、前日勝利を掴んだアルペシン・ドゥクーニンクは2名(ヤンセンスとスタナード)を送り込んだ。
逃げグループを形成した9名
サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)
エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)
ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
フィリッポ・コンカ(イタリア、ロット・スーダル)
ジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
ロバート・スタナード(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
ホセ・ディアス(スペイン、ブルゴスBH)
シモン・グリエルミ(フランス、アルケア・サムシック)
逃げグループで最も総合タイムが良いメインチェスでも8分28秒遅れと総合争いの驚異とはならないため、1級山岳ミラドール・デル・フィツを前にタイム差は5分に。それを7名となったクイックステップがペースを作り、序盤から世界王者ジュリアン・アラフィリップ(フランス)が登坂区間で牽引した。
この日登場する5つの山岳のうち4つをスタナードが先頭通過して山岳ポイントを加算し、チームメイトであるジェイ・ヴァイン(オーストラリア)のマイヨモンターニャを守った。それを追うメイン集団では今大会積極的な走りが目立つフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)ら4名が残り48km地点で落車するシーンも。しかし全員無事に集団復帰を果たしている。
4つ目のカテゴリー山岳を越え、最終1級山岳レス・プラエレスを前にプロトンの差は4分13秒と逃げ切りがほぼ確定した。そして登坂を前にアドバンテージを築こうと、ジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)と元U23世界王者であるサムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)が飛び出した。
後続と30秒差つけてレス・プラエレスの登りに入ったヤンセンスとバティステッラだったが、重量級とも呼べる2人に平均15%の勾配は厳しく、残り2.6km地点で軽快なペダリングで迫ったメインチェスにかわされる。メインチェスはその後独走モードに突入し、ダンシングとシッティングを交互に織り交ぜながらリズム良く登坂。そして最後まで粘りの走りを見せたバティステッラの追走を引き離したメインチェスは、最大24%の勾配を越え、初のグランツール区間優勝を掴み取った。
「この勝利を実感するには暫く時間がかかるだろう。ワールドツアーレースで表彰台に上がることが引退までの目標だった」と語るメインチェスは、「アタックというよりむしろ(相手の関係ない)タイムトライアルのつもりで登っていた」と最後の登坂区間を振り返った。「この勝利は本当に嬉しく、繰り返しになるがこの勝利が現実と思うにはまだ時間が必要だ」とも。
一方、約3分遅れで最終山岳に突入したメイン集団は、アラフィリップが2018年にここで勝利を上げたサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)らを振り落とす急激なペースアップを敢行。クイックステップのアシスト陣が役割を終えると、今大会最年少であるフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)がマイヨロホを着るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)に対し攻撃を仕掛けた。
この加速に追従できたのはエヴェネプールとエンリク・マス(スペイン、モビスター)、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)という3名。しかし頂上まで3kmを示すゲートを前にエヴェネプールがアユソとログリッチ、そして苦悶の表情で食らいつくマスをも振り落とした。
15〜17%の勾配をエヴェネプールはシッティングかつハイケイデンスでベダルを回す。そして遅れてくる逃げ集団を次々と吸収しながら、追走との差を拡げたエヴェネプールがメインチェスに1分34秒遅れでフィニッシュ。第1週終了時点ながらも最終的なマイヨロホ獲得に向け、脚色の違いを見せつけた。
アユソに34秒、マスに44秒、ログリッチに52秒差をつけたエヴェネプールは「僕が登りで遅れた時のことを考え、ライバルたちにボーナスタイムを取られないよう逃げ切りを容認した。ピーター(セリー)のコロナ陽性という不運に見舞われながらも、皆と会話しながらチームとして上手く走ることができた」とコメント。「最後の登坂では既に脚は疲れていたものの”皆も同じだろう”と思い踏み込んだ。2年前の出来事で僕は新しく生まれ変わったんだ。とにかく今日の仲間の走りに感動している」と、チームメイトへの感謝を語った。
選手たちはこの後スペイン南東部のアリカンテに移動して、暑さ厳しい第2週目を前に、今大会2度目の休息日を迎える。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2022第9ステージ結果
1位 | ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 4:32:39 |
2位 | サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン) | 1:01 |
3位 | エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 1:14 |
4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 1:34 |
5位 | フィリッポ・コンカ(イタリア、ロット・スーダル) | 1:58 |
6位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 2:08 |
7位 | シモン・グリエルミ(フランス、アルケア・サムシック) | |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 2:18 |
9位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 2:20 |
10位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 2:26 |
12位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 2:37 |
13位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン) | 2:58 |
14位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 3:06 |
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 34:02:32 |
2位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 1:12 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 1:53 |
4位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 2:33 |
5位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 2:36 |
6位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 3:08 |
7位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 4:32 |
8位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン) | 5:03 |
9位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 5:36 |
10位 | パヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | 5:39 |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 147pts |
2位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 142pts |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 40pts |
2位 | ロバート・スタナード(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 21pts |
3位 | ジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 17pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 34:02:32 |
2位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +2:33 |
3位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +2:36 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 101:27:48 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +1:44 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +9:34 |
text:So Isobe
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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