2022/08/05(金) - 18:46
ディスクブレーキ化と、チューブレス化。今年のツール・ド・フランスで大きな機材変革を遂げたのがイネオス・グレナディアーズだ。ゲラント・トーマス(イギリス)を総合3位に送り込み、ステージ1勝とチーム総合成績優勝を果たした常勝チームのバイクに迫る。
総合優勝にこそ手が届かなかったものの、ゲラント・トーマス(イギリス)を総合3位に送り込み、トーマス・ピドコック(イギリス)のステージ優勝、そしてチームランキング総合優勝に沸いたのがイネオス・グレナディアーズ。使用バイクはもちろん昨年フルモデルチェンジを果たしたピナレロのDOGMA Fであり、パヴェ(石畳ステージ)も含めた全ロードステージを1モデルで走りきっている。
ホイール交換時のタイムロスを防ぐべく、これまで頑なにリムブレーキのDOGMAを使い続けてきた同チームだが、今年はついにTTバイクも含めてディスクブレーキ化を達成。さらにタイヤもチューブラーからチューブレスへの移行を完了するなど、機材面で大きく変化を遂げたツールとなった。
シマノのグローバルサポートチームだけに、当然コンポーネントとホイールはR9200シリーズのデュラエースDi2で統一。ただしパワーメーター付きクランク(FC-R9200-P)は世界的な品薄のためトーマスなど限られた選手にのみ供給され、ピドコックやアダム・イェーツ(イギリス)らのバイクにはFC-R9100-Pがセットされていた。
これまで同チームは(公式サポート外の)プリンストン・カーボンワークス製のホイールを広く使用してきたが、デュラエースホイールがモデルチェンジによって軽量化を遂げたことで大幅に使用率を回復させている。TTではノーロゴのプリンストン製超ディープリムホイールやバトンホイールを前輪に、ディスクホイールを後輪に使っていたが、TT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア)やトーマス、イェーツなどにはロゴ入りのホイールが充てがわれてたことが興味深い。
チューブレスシステムはデュラエースホイールとコンチネンタルのGRANDPRIX 5000S TRタイヤ、そしてマックオフのチューブレスバルブで構成される。パヴェステージには茶色サイドの同タイヤが投入されたほか、バーテープが二重巻き化された程度で大きな変化はなかった。
特徴的な工夫としては、ケーエッジのチェーンウォッチャーと、チェーンステー下側にセットされた3Dプリンター製ガイドを併用して二重のチェーン落ち対策を講じていたこと。"マージナルゲイン"を標榜するグランツール常勝チームらしい工夫と言えるだろう。
TTバイクは前哨戦ツール・ド・スイスで初投入され、その後公式発表に繋げたBOLIDE Fだ。ガンナにはアルカンシエルとピナレロお得意のメタリックペイントをあしらったスペシャルバイクが複数台投入され、トーマスとイェーツもチームカラーとメタリックを組み合わせたバイクを使用していた(なお3名以外の選手はBOLIDE TT)。
TT用のホイールはディスクホイール(後輪)に加えて超ディープとバトン(前輪)が用意されていたが、これらは全てプリンストンカーボンの「experimental prototype(実験的プロトタイプ)」。リムブレーキのサブバイクの後輪は昨年から引き続きプリンストンカーボンのBLUR 633がメインユースされていた。
また、ガンナとトーマス、イェーツのカスタムTTハンドルの先端部分は3Dチタンプリントと思われる金属パーツで構成され、さらにカスタムメイドのDI2変速スイッチが取り付けられていた。
text:So Isobe
photo:Makoto AYANO
総合優勝にこそ手が届かなかったものの、ゲラント・トーマス(イギリス)を総合3位に送り込み、トーマス・ピドコック(イギリス)のステージ優勝、そしてチームランキング総合優勝に沸いたのがイネオス・グレナディアーズ。使用バイクはもちろん昨年フルモデルチェンジを果たしたピナレロのDOGMA Fであり、パヴェ(石畳ステージ)も含めた全ロードステージを1モデルで走りきっている。
ホイール交換時のタイムロスを防ぐべく、これまで頑なにリムブレーキのDOGMAを使い続けてきた同チームだが、今年はついにTTバイクも含めてディスクブレーキ化を達成。さらにタイヤもチューブラーからチューブレスへの移行を完了するなど、機材面で大きく変化を遂げたツールとなった。
シマノのグローバルサポートチームだけに、当然コンポーネントとホイールはR9200シリーズのデュラエースDi2で統一。ただしパワーメーター付きクランク(FC-R9200-P)は世界的な品薄のためトーマスなど限られた選手にのみ供給され、ピドコックやアダム・イェーツ(イギリス)らのバイクにはFC-R9100-Pがセットされていた。
これまで同チームは(公式サポート外の)プリンストン・カーボンワークス製のホイールを広く使用してきたが、デュラエースホイールがモデルチェンジによって軽量化を遂げたことで大幅に使用率を回復させている。TTではノーロゴのプリンストン製超ディープリムホイールやバトンホイールを前輪に、ディスクホイールを後輪に使っていたが、TT世界王者フィリッポ・ガンナ(イタリア)やトーマス、イェーツなどにはロゴ入りのホイールが充てがわれてたことが興味深い。
チューブレスシステムはデュラエースホイールとコンチネンタルのGRANDPRIX 5000S TRタイヤ、そしてマックオフのチューブレスバルブで構成される。パヴェステージには茶色サイドの同タイヤが投入されたほか、バーテープが二重巻き化された程度で大きな変化はなかった。
特徴的な工夫としては、ケーエッジのチェーンウォッチャーと、チェーンステー下側にセットされた3Dプリンター製ガイドを併用して二重のチェーン落ち対策を講じていたこと。"マージナルゲイン"を標榜するグランツール常勝チームらしい工夫と言えるだろう。
TTバイクは前哨戦ツール・ド・スイスで初投入され、その後公式発表に繋げたBOLIDE Fだ。ガンナにはアルカンシエルとピナレロお得意のメタリックペイントをあしらったスペシャルバイクが複数台投入され、トーマスとイェーツもチームカラーとメタリックを組み合わせたバイクを使用していた(なお3名以外の選手はBOLIDE TT)。
TT用のホイールはディスクホイール(後輪)に加えて超ディープとバトン(前輪)が用意されていたが、これらは全てプリンストンカーボンの「experimental prototype(実験的プロトタイプ)」。リムブレーキのサブバイクの後輪は昨年から引き続きプリンストンカーボンのBLUR 633がメインユースされていた。
また、ガンナとトーマス、イェーツのカスタムTTハンドルの先端部分は3Dチタンプリントと思われる金属パーツで構成され、さらにカスタムメイドのDI2変速スイッチが取り付けられていた。
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