2022/08/03(水) - 18:10
総合優勝最右翼とされ、事実圧倒的な力を見せたタデイ・ポガチャル擁するUAEチームエミレーツ。ヴィンゲゴーとの真っ向勝負の末、2位に敗れたもののマイヨブランを獲得している。ツールを実戦テストに位置づける次世代フラッグシップバイクの試作機"PROTOTIPO"や最先端の空力デザインを与えられた新作TTバイク"TT1"にフォーカスを当てよう。
タデイ・ポガチャルによる3連覇をかけて、ツールへと臨んだUAEチームエミレーツ。ジョージ・ベネット(ニュージーランド)、やマルク・ソレル(スペイン)というクライマーを補強し盤石の体制でフランスへ乗り込んだが、ベネットやヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー)らがコロナ感染により途中でレースを去るなど、不運に見舞われた年ともなった。
それでもポガチャルは逆境を跳ね除ける強さを見せ、第6、7、17ステージで勝利。当初の目標であったマイヨジョーヌにこそ手は届かなかったものの、総合2位、そしてマイヨブランを手中にし、一定の成功を収めたツールとなった。
チームのメインバイクサプライヤーとなるのはイタリアの老舗、コルナゴ。昨年までは山岳オールラウンダーであるV3-RSを使用してきたUAEチームエミレーツだが、今ツールでは"PROTOTIPO"と名付けられた新型バイクに跨った。
イタリア語でプロトタイプという名が示すように、PROTOTIPOはV3-RSの次世代機の最終試作モデルだという。つまり、正式に市販される際には異なるモデル名(V4-RS?)となる可能性も高い。
PROTOTIPOはV3-RSに比べ、よりエッジの立った造形を与えられており、エアロダイナミクスを更に向上させているという。チュービングは同じで、カーボン積層の異なる5つのモデルを実戦テストに投入しているとのことだ。この新型機にはリムブレーキモデルは用意されていないのか、昨年はポガチャルが山岳ステージでリムブレーキバイクを使用する姿も見られたが、今年は全選手、全ステージでディスクブレーキに。
コンポーネントも昨年から変わらずカンパニョーロのSUPER RECORDを使用。ホイールもカンパニョーロのBORAシリーズで、ステージの特徴や選手の好みによって様々なモデルが使い分けられていた。オールラウンドなBORA ULTRA WTO 45をメインとしつつ、チューブラーを好むソレルなどはBORA ONEを使うシーンも。また、山岳ステージでは30㎜ハイト付近の未発表新作ホイールを使用する姿が多く見られた。
カンパニョーロにはBORA ULTRA WTO 33という33㎜ハイトモデルがあるが、今回使用されていたホイールはスポ―キングがG3パターンではなく、完全新モデルであると思われる。近しい関係を持つフルクラムがヒルクライムに特化したSPEED 25を既に発表しており、カンパニョーロからもヒルクライムホイールが登場してもおかしくはないタイミングだ。
なお、リムにはブランドロゴのみが貼られ、モデル名を示すものはない。BORAシリーズの一つとして出てくるのか、それとも通常のスポ―クパターンを採用しているヒルクライムホイールという位置づけとして、往年の名作であるHYPERONの名を復活させるのか。
また、足回りではタイヤをピレリのP-ZERO RACEシリーズへスイッチ。ポガチャルのバイクにはクリンチャーモデルが多くセットされており、パヴェの第5ステージではチューブレスレディのP-ZERO RACE TLRを使用するなど、ステージに応じて使い分けているようだ。
また、タイムトライアルについても機材を一新。コルナゴが満を持して発表した"TT1"は、ワイドスタンスのフォーク&シートステー、新UCI規則にマッチするチュービング、フレームと一体化する3Dプリントエアロボトルケージ、そしてディスクブレーキ化と、あらゆる要素を徹底的に煮詰めた最新のTTマシンへと進化している。
これまで油圧ディスクブレーキのTTコンポーネントをラインアップしてこなかったカンパニョーロだが、このバイクの発表に合わせる形でSUPER RECORD EPSのTT用油圧レバーを発表し、ついにレーシングコンポーネントとしての死角を無くした。
ホイールも前輪にBORA ULTRA WTO 80、後輪にBORA ULTRA WTO TTという新モデルを使用。これまでのBORA ULTRA WTOシリーズは33、45、60の3種類のみのラインアップであったが、ここにスーパーディープの80㎜ハイトモデルとディスクホイールが新たに加わることになりそうだ。
ロード、TTバイクともにハンドル周りはデダ、サドルはプロロゴ、ボトルケージはエリートとイタリアンな組み合せ。パワーメーターはSRM、ペダルはルックを使用する。
text:Naoki Yasuoka
タデイ・ポガチャルによる3連覇をかけて、ツールへと臨んだUAEチームエミレーツ。ジョージ・ベネット(ニュージーランド)、やマルク・ソレル(スペイン)というクライマーを補強し盤石の体制でフランスへ乗り込んだが、ベネットやヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー)らがコロナ感染により途中でレースを去るなど、不運に見舞われた年ともなった。
それでもポガチャルは逆境を跳ね除ける強さを見せ、第6、7、17ステージで勝利。当初の目標であったマイヨジョーヌにこそ手は届かなかったものの、総合2位、そしてマイヨブランを手中にし、一定の成功を収めたツールとなった。
チームのメインバイクサプライヤーとなるのはイタリアの老舗、コルナゴ。昨年までは山岳オールラウンダーであるV3-RSを使用してきたUAEチームエミレーツだが、今ツールでは"PROTOTIPO"と名付けられた新型バイクに跨った。
イタリア語でプロトタイプという名が示すように、PROTOTIPOはV3-RSの次世代機の最終試作モデルだという。つまり、正式に市販される際には異なるモデル名(V4-RS?)となる可能性も高い。
PROTOTIPOはV3-RSに比べ、よりエッジの立った造形を与えられており、エアロダイナミクスを更に向上させているという。チュービングは同じで、カーボン積層の異なる5つのモデルを実戦テストに投入しているとのことだ。この新型機にはリムブレーキモデルは用意されていないのか、昨年はポガチャルが山岳ステージでリムブレーキバイクを使用する姿も見られたが、今年は全選手、全ステージでディスクブレーキに。
コンポーネントも昨年から変わらずカンパニョーロのSUPER RECORDを使用。ホイールもカンパニョーロのBORAシリーズで、ステージの特徴や選手の好みによって様々なモデルが使い分けられていた。オールラウンドなBORA ULTRA WTO 45をメインとしつつ、チューブラーを好むソレルなどはBORA ONEを使うシーンも。また、山岳ステージでは30㎜ハイト付近の未発表新作ホイールを使用する姿が多く見られた。
カンパニョーロにはBORA ULTRA WTO 33という33㎜ハイトモデルがあるが、今回使用されていたホイールはスポ―キングがG3パターンではなく、完全新モデルであると思われる。近しい関係を持つフルクラムがヒルクライムに特化したSPEED 25を既に発表しており、カンパニョーロからもヒルクライムホイールが登場してもおかしくはないタイミングだ。
なお、リムにはブランドロゴのみが貼られ、モデル名を示すものはない。BORAシリーズの一つとして出てくるのか、それとも通常のスポ―クパターンを採用しているヒルクライムホイールという位置づけとして、往年の名作であるHYPERONの名を復活させるのか。
また、足回りではタイヤをピレリのP-ZERO RACEシリーズへスイッチ。ポガチャルのバイクにはクリンチャーモデルが多くセットされており、パヴェの第5ステージではチューブレスレディのP-ZERO RACE TLRを使用するなど、ステージに応じて使い分けているようだ。
また、タイムトライアルについても機材を一新。コルナゴが満を持して発表した"TT1"は、ワイドスタンスのフォーク&シートステー、新UCI規則にマッチするチュービング、フレームと一体化する3Dプリントエアロボトルケージ、そしてディスクブレーキ化と、あらゆる要素を徹底的に煮詰めた最新のTTマシンへと進化している。
これまで油圧ディスクブレーキのTTコンポーネントをラインアップしてこなかったカンパニョーロだが、このバイクの発表に合わせる形でSUPER RECORD EPSのTT用油圧レバーを発表し、ついにレーシングコンポーネントとしての死角を無くした。
ホイールも前輪にBORA ULTRA WTO 80、後輪にBORA ULTRA WTO TTという新モデルを使用。これまでのBORA ULTRA WTOシリーズは33、45、60の3種類のみのラインアップであったが、ここにスーパーディープの80㎜ハイトモデルとディスクホイールが新たに加わることになりそうだ。
ロード、TTバイクともにハンドル周りはデダ、サドルはプロロゴ、ボトルケージはエリートとイタリアンな組み合せ。パワーメーターはSRM、ペダルはルックを使用する。
text:Naoki Yasuoka
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