2022/07/27(水) - 08:45
「シャンパーニュの丘」を駆け抜けた女子ツール・ド・フランス第3ステージでセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ)が先着。大舞台での勝利が待ち望まれていたルドヴィグが、前日の借りを返す大きな1勝を射止めた。
ツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)3日目の舞台は、ランスからエペルネーまでブドウ畑に囲まれたシャンパンの生産地を駆け抜ける。名だたるシャンパーニュメゾンが軒を連ねるエペルネーのフィニッシュラインは階段状に登る登坂の上に引かれ、その手前では「アルデンヌクラシック」に似通った丘陵コースを駆け抜ける。
ステージの大部分は平坦だが、後半に入って大地は上下にうねり始め、ワイン畑に覆われた丘が登場。ワイン畑に覆われた丘を直登する最後の3級山岳ミュティニー峠は距離900mで平均勾配12.2%という難易度で、続くボーナスポイントの丘モン・ブレノン頂上からフィニッシュまでは4kmしか離れていない。
2019年のツール・ド・フランス第3ステージで登場し、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)が独走劇の末ステージ優勝とマイヨジョーヌを獲得したコースに向け、前日集団落車に巻き込まれ負傷していたアマンダ・スプラット(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)を除く136名がスタートを切った。
序盤の4級山岳ではマイヨアポワを着るフェムケ・マーカス(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク)が先行して2ポイントを加算。70kmを残して逃げが捉えられ、横風分断の危険性がある平坦区間では各チームが激しい位置取り争いを繰り広げることとなる。
前日にダブルエースの1人(カヴァッリ)がリタイアし、もう一人(ルドヴィグ)も遅れるなど壊滅的な被害を受けたFDJ・スエズ・フチュロスコープや、チームDSM、あるいはSDワークスといった強豪チームが集団前方を固め、連続して訪れた4級山岳ではフェムケ・ジェリッツ(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク)が先頭通過。同ランキング1&2位のパークホテル勢がポイントを重ね、いよいよシャンパーニュの丘へと突入した。
活気付くメイン集団からはアレナ・アミアリウシク(ベラルーシ、キャニオン・スラム)が飛び出して1分リードを稼いたものの、その後ろも断続的なペースアップが止まらず、初日レース後に気分が悪くなり、食べも飲みもできない状況に陥っていたというアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が遅れかけるシーンも。
ペースを上げて終盤戦に入り、散発的な落車を出しながらもメイン集団は3級山岳ミュティニー峠に突入する。逃げを続けていたアミアリウシクを飲み込み、頂上まで100m、最大15%程度に達する急勾配区間でのハイペースを耐えたのはたった7名だけだった。
しかしそのペースアップを率いたデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)とリアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)は直後の左コーナーでタイヤを滑らせ連続落車してしまう。総合成績とステージ優勝が懸かった5名の先頭グループに対し、僅かに遅れたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ)が追走グループを作って復帰を目指した。
2つのグループが合流したのはフィニッシュまで7km地点。11名に膨れ上がった先頭グループはアタックと牽制を繰り返しつつ、3.9km地点で頂上を迎えるボーナスポイントの丘「モン・ブレノン」へ。今年パリ〜ルーベを制したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)が先頭通過する一方、調子の上がらないファンフルーテンは再び遅れてしまう。
アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)のため、落車から復帰したフォレリングが高速牽引してフィニッシュの丘へ。ロングスパートしたカタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)に合わせる形でフォスが踏み込み、必勝パターンに持ち込んだかと思いきや、その後方からデンマークチャンピオンジャージを着るルドヴィグが猛烈な伸びを披露した。
階段状の急勾配が続くフィニッシュの丘を30km/hに達するスピードで踏み込み、フォスたちを圧倒。デンマークチャンピオンが『シャンパーニュの首都』と呼ばれるエペルネのフィニッシュラインに両手を広げて飛び込んだ。
2019年ロンド・ファンフラーンデーレンで3位に入り、その後もトップレースで上位入賞を繰り返してトップレーサーの仲間入りを果たすものの、ゴール勝負での爆発力不足によって勝利を取りこぼし続けていたルドヴィグがついに勝った。もちろんツール・ド・フランスは昨年までのワンデーレース時代を含めても初勝利で、UCIワールドツアーレースも自身初。悪夢に見舞われたチームを救う、圧倒的とも言える強さで勝利した。
「残り1km地点でマリアンヌの後ろについていたけれど、ポジションを失い、その時点でカシア(ニエウィアドーマ)がアタック。でも自分自身に"諦めずに戦え、最低でも表彰台を"と言い聞かせながら諦めずに戦い続けた。そこから良い感触で踏めた」と、いつもの笑顔ではなく、泣きながらインタビューに答えたルドヴィグは言う。
「レース中ずっと励まし続けてくれたチームメイトが表彰台を見守ってくれているのを見たら涙が止まらなかった。本当に特別。今晩は(リタイアした)マルタもホテルにいるだろうから、彼女とシャンパンで乾杯して、"あなたのために"と伝えたいと思う」と加えている。
「昨日はフィニッシュできないとすら思っていたから、体調が良くなっているだけずっと良い」と言うファンフルーテンは残り1km地点で再合流したものの、最後のペースアップについていけず20秒遅れ。マイヨジョーヌは敗れたフォスがキープ中だ。
翌日は合計4ヶ所、総距離12.9kmに及ぶ未舗装路区間に挑む。3〜4級山岳と未舗装路が交互に登場する難関レイアウトで総合順位変動が起こりそうだ。
ツール・ド・フランス ファム(UCIワールドツアー)3日目の舞台は、ランスからエペルネーまでブドウ畑に囲まれたシャンパンの生産地を駆け抜ける。名だたるシャンパーニュメゾンが軒を連ねるエペルネーのフィニッシュラインは階段状に登る登坂の上に引かれ、その手前では「アルデンヌクラシック」に似通った丘陵コースを駆け抜ける。
ステージの大部分は平坦だが、後半に入って大地は上下にうねり始め、ワイン畑に覆われた丘が登場。ワイン畑に覆われた丘を直登する最後の3級山岳ミュティニー峠は距離900mで平均勾配12.2%という難易度で、続くボーナスポイントの丘モン・ブレノン頂上からフィニッシュまでは4kmしか離れていない。
2019年のツール・ド・フランス第3ステージで登場し、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)が独走劇の末ステージ優勝とマイヨジョーヌを獲得したコースに向け、前日集団落車に巻き込まれ負傷していたアマンダ・スプラット(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)を除く136名がスタートを切った。
序盤の4級山岳ではマイヨアポワを着るフェムケ・マーカス(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク)が先行して2ポイントを加算。70kmを残して逃げが捉えられ、横風分断の危険性がある平坦区間では各チームが激しい位置取り争いを繰り広げることとなる。
前日にダブルエースの1人(カヴァッリ)がリタイアし、もう一人(ルドヴィグ)も遅れるなど壊滅的な被害を受けたFDJ・スエズ・フチュロスコープや、チームDSM、あるいはSDワークスといった強豪チームが集団前方を固め、連続して訪れた4級山岳ではフェムケ・ジェリッツ(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク)が先頭通過。同ランキング1&2位のパークホテル勢がポイントを重ね、いよいよシャンパーニュの丘へと突入した。
活気付くメイン集団からはアレナ・アミアリウシク(ベラルーシ、キャニオン・スラム)が飛び出して1分リードを稼いたものの、その後ろも断続的なペースアップが止まらず、初日レース後に気分が悪くなり、食べも飲みもできない状況に陥っていたというアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が遅れかけるシーンも。
ペースを上げて終盤戦に入り、散発的な落車を出しながらもメイン集団は3級山岳ミュティニー峠に突入する。逃げを続けていたアミアリウシクを飲み込み、頂上まで100m、最大15%程度に達する急勾配区間でのハイペースを耐えたのはたった7名だけだった。
しかしそのペースアップを率いたデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)とリアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)は直後の左コーナーでタイヤを滑らせ連続落車してしまう。総合成績とステージ優勝が懸かった5名の先頭グループに対し、僅かに遅れたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ)が追走グループを作って復帰を目指した。
2つのグループが合流したのはフィニッシュまで7km地点。11名に膨れ上がった先頭グループはアタックと牽制を繰り返しつつ、3.9km地点で頂上を迎えるボーナスポイントの丘「モン・ブレノン」へ。今年パリ〜ルーベを制したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)が先頭通過する一方、調子の上がらないファンフルーテンは再び遅れてしまう。
アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス)のため、落車から復帰したフォレリングが高速牽引してフィニッシュの丘へ。ロングスパートしたカタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)に合わせる形でフォスが踏み込み、必勝パターンに持ち込んだかと思いきや、その後方からデンマークチャンピオンジャージを着るルドヴィグが猛烈な伸びを披露した。
階段状の急勾配が続くフィニッシュの丘を30km/hに達するスピードで踏み込み、フォスたちを圧倒。デンマークチャンピオンが『シャンパーニュの首都』と呼ばれるエペルネのフィニッシュラインに両手を広げて飛び込んだ。
2019年ロンド・ファンフラーンデーレンで3位に入り、その後もトップレースで上位入賞を繰り返してトップレーサーの仲間入りを果たすものの、ゴール勝負での爆発力不足によって勝利を取りこぼし続けていたルドヴィグがついに勝った。もちろんツール・ド・フランスは昨年までのワンデーレース時代を含めても初勝利で、UCIワールドツアーレースも自身初。悪夢に見舞われたチームを救う、圧倒的とも言える強さで勝利した。
「残り1km地点でマリアンヌの後ろについていたけれど、ポジションを失い、その時点でカシア(ニエウィアドーマ)がアタック。でも自分自身に"諦めずに戦え、最低でも表彰台を"と言い聞かせながら諦めずに戦い続けた。そこから良い感触で踏めた」と、いつもの笑顔ではなく、泣きながらインタビューに答えたルドヴィグは言う。
「レース中ずっと励まし続けてくれたチームメイトが表彰台を見守ってくれているのを見たら涙が止まらなかった。本当に特別。今晩は(リタイアした)マルタもホテルにいるだろうから、彼女とシャンパンで乾杯して、"あなたのために"と伝えたいと思う」と加えている。
「昨日はフィニッシュできないとすら思っていたから、体調が良くなっているだけずっと良い」と言うファンフルーテンは残り1km地点で再合流したものの、最後のペースアップについていけず20秒遅れ。マイヨジョーヌは敗れたフォスがキープ中だ。
翌日は合計4ヶ所、総距離12.9kmに及ぶ未舗装路区間に挑む。3〜4級山岳と未舗装路が交互に登場する難関レイアウトで総合順位変動が起こりそうだ。
ツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト2022第3ステージ結果
1位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | 3:22:54 |
2位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | +0:02 |
3位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | +0:05 |
4位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | |
5位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
6位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
7位 | マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ) | +0:06 |
8位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | +0:08 |
9位 | ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) | +0:11 |
10位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | +0:20 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 8:30:36 |
2位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | +0:16 |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
4位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | +0:21 |
5位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) | +0:51 |
6位 | マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ ) | +0:55 |
7位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | +0:57 |
8位 | ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) | +1:05 |
9位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | +1:14 |
10位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | +1:48 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 160pts |
2位 | ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) | 113pts |
3位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) | 102pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | フェムケ・ジェリッツ(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク) | 8pts |
2位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | 3pts |
3位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | 3pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ジュリー・デウェルド(ベルギー、プラントゥール・プラ) | 8:33:33 |
2位 | ジュリア・ボルグストローム(スウェーデン、AGインシュランス・NXTGチーム) | +0:16 |
3位 | ファイファー・ジョルジ(オランダ、チームDSM) | +0:22 |
チーム総合成績
1位 | キャニオン・スラム | 25:37:49 |
2位 | SDワークス | +0:28 |
3位 | トレック・セガフレード | +1:11 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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