2022/06/17(金) - 08:54
ツールを予定していた強豪勢がコロナ陽性で未出走となったスイス5日目。激しいアタック合戦の末に生まれた先頭集団のスプリントでアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)が先着。総合首位に浮上している。
ツール・ド・フランスに向けての重要な前哨戦、ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)の5日目は本格的な山岳決戦を前にした最後の丘陵ステージ。ファビアン・カンチェラーラ(スイス)の圧倒的な個人TT優勝を打ち立てた2009年世界選手権開催地メンドリシオ地方のノヴァッツァノを目指すコースはまさにアップダウンの連続だ。
コース中盤までは特別難しいポイントは無いものの、後半から合計3周するノヴァッツァノ周回コースは3級山岳を筆頭に短くもパンチ力ある登坂区間が多数含まれ、平坦らしい平坦区間は皆無。気温36度に達する厳しい条件下で、総合成績にも関係する厳しいサバイバルレースが繰り広げられた。
この日は各チームで新型コロナウイルスの感染が発覚し、多数の選手たちが未出走に。ユンボ・ヴィスマはチーム丸ごと、さらにアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やチームDSMのセーアン・クラーウアナスンとカスパー・ピーダスン(共にデンマーク)とケース・ボル(オランダ)らが未出走に。ユンボは誰が感染したかを明らかにしておらず、「当面ツールの最終候補リストに影響はないものの、これからの数日間経過観察をしていく」とプレスリリースに綴っている。
スタート地点アンブリのアイスホッケー場を出発すると、スイス勢を中心とした5名の逃げグループが先行を開始した。スイスチャンピオンのシルヴァン・ディリエ(アルペシン・フェニックス)を筆頭にした逃げは8分弱、距離にして5.5km分のリードを積み重ねて逃げ続ける。一方メイン集団では総合首位スティーブン・ウィリアムズ(イギリス)擁するバーレーン・ヴィクトリアスやUAEチームエミレーツ勢が牽引役を担った。
逃げグループ内で最強だったのはディリエ。後半のアップダウン区間に入ってもなおペースを維持し、最後まで粘っていたアレクサンダー・カンプ(デンマーク)を振り落として単独先行を開始した。かつてパリ〜ルーべで2位に入ったスイスチャンピオンは大歓声に後押しされながら、1分15秒リードを維持して周回コースを駆け抜けたものの、酷暑も重なり次第にペースを落としてしまう。
ヤコブ・フルサン(デンマーク)のためにイスラエル・プレミアテックがメイン集団のペースを引き上げてディリエを飲み込むと、前日2位のリベンジを狙うべく粘っていたマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が脱落。その直後に中継カメラは力なく遅れるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)を映し出した。
「今日はタイムを失わないことが目標だったけれど、プロトンがかなりハイペース、そしてこの暑さでは一度オーバーヒートになったり遅れてしまえばその代償を払うことになる」と言うエヴェネプールは最終的に2分近く遅れて総合争いから脱落することに。「まだこの先には今までと異なる山岳コースと個人TTがある。2分差がついた現状はポジティブではないけれど、完全に終わったとはまだ言えない」とコメントしている。
フルサンのアタックをきっかけにトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が畳み掛け、気づけば残っていたのは屈指のパンチャーやクライマーたちばかり。牽制をついて残り4kmからフルサンが独走に持ち込むも決まらず、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)とシャフマン、ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)、そしてゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の合流を許した。
牽制を挟んで、先頭グループ5名がフィニッシュライン手前の登坂区間へ。ドイツ王者シャフマンが残り200mまでリードアウト役を務め、その背後から飛び出したフルサンに合わせる形でウラソフがスプリントを開始する。フルサンは伸びず、追い込むポーレスを抑えきったウラソフが両手を挙げた。
「メイン集団が少なくなった時もチームメイト4人が残り僕を助けてくれたんだ。厳しい暑さの中仕事を担ってくれた彼らに感謝しかないよ」と言うウラソフは、遅れたウィリアムズに代わって総合首位に浮上。「まだまだ重要で厳しいステージがあるけれど最後までジャージを守りたい。チームの仕事量が増えるものの、強いチームメイトが揃っているので全力を尽くす」と、ツール・ド・ロマンディに続く総合優勝を狙う構えを見せている。
コースプロフィール以上に過酷な一日を終え、総合首位ウラソフに対してフルサンが6秒遅れの総合2位、トーマスが7秒遅れの総合3位。ポーレスは総合15位から7位へのジャンプアップに成功している。ペニンアルプス西部の超級山岳モーサルプ山頂にフィニッシュする翌日に更なる総合順位変動が起こるだろう。
ツール・ド・フランスに向けての重要な前哨戦、ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)の5日目は本格的な山岳決戦を前にした最後の丘陵ステージ。ファビアン・カンチェラーラ(スイス)の圧倒的な個人TT優勝を打ち立てた2009年世界選手権開催地メンドリシオ地方のノヴァッツァノを目指すコースはまさにアップダウンの連続だ。
コース中盤までは特別難しいポイントは無いものの、後半から合計3周するノヴァッツァノ周回コースは3級山岳を筆頭に短くもパンチ力ある登坂区間が多数含まれ、平坦らしい平坦区間は皆無。気温36度に達する厳しい条件下で、総合成績にも関係する厳しいサバイバルレースが繰り広げられた。
この日は各チームで新型コロナウイルスの感染が発覚し、多数の選手たちが未出走に。ユンボ・ヴィスマはチーム丸ごと、さらにアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やチームDSMのセーアン・クラーウアナスンとカスパー・ピーダスン(共にデンマーク)とケース・ボル(オランダ)らが未出走に。ユンボは誰が感染したかを明らかにしておらず、「当面ツールの最終候補リストに影響はないものの、これからの数日間経過観察をしていく」とプレスリリースに綴っている。
スタート地点アンブリのアイスホッケー場を出発すると、スイス勢を中心とした5名の逃げグループが先行を開始した。スイスチャンピオンのシルヴァン・ディリエ(アルペシン・フェニックス)を筆頭にした逃げは8分弱、距離にして5.5km分のリードを積み重ねて逃げ続ける。一方メイン集団では総合首位スティーブン・ウィリアムズ(イギリス)擁するバーレーン・ヴィクトリアスやUAEチームエミレーツ勢が牽引役を担った。
逃げグループ内で最強だったのはディリエ。後半のアップダウン区間に入ってもなおペースを維持し、最後まで粘っていたアレクサンダー・カンプ(デンマーク)を振り落として単独先行を開始した。かつてパリ〜ルーべで2位に入ったスイスチャンピオンは大歓声に後押しされながら、1分15秒リードを維持して周回コースを駆け抜けたものの、酷暑も重なり次第にペースを落としてしまう。
ヤコブ・フルサン(デンマーク)のためにイスラエル・プレミアテックがメイン集団のペースを引き上げてディリエを飲み込むと、前日2位のリベンジを狙うべく粘っていたマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が脱落。その直後に中継カメラは力なく遅れるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)を映し出した。
「今日はタイムを失わないことが目標だったけれど、プロトンがかなりハイペース、そしてこの暑さでは一度オーバーヒートになったり遅れてしまえばその代償を払うことになる」と言うエヴェネプールは最終的に2分近く遅れて総合争いから脱落することに。「まだこの先には今までと異なる山岳コースと個人TTがある。2分差がついた現状はポジティブではないけれど、完全に終わったとはまだ言えない」とコメントしている。
フルサンのアタックをきっかけにトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やマキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が畳み掛け、気づけば残っていたのは屈指のパンチャーやクライマーたちばかり。牽制をついて残り4kmからフルサンが独走に持ち込むも決まらず、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)とシャフマン、ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)、そしてゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の合流を許した。
牽制を挟んで、先頭グループ5名がフィニッシュライン手前の登坂区間へ。ドイツ王者シャフマンが残り200mまでリードアウト役を務め、その背後から飛び出したフルサンに合わせる形でウラソフがスプリントを開始する。フルサンは伸びず、追い込むポーレスを抑えきったウラソフが両手を挙げた。
「メイン集団が少なくなった時もチームメイト4人が残り僕を助けてくれたんだ。厳しい暑さの中仕事を担ってくれた彼らに感謝しかないよ」と言うウラソフは、遅れたウィリアムズに代わって総合首位に浮上。「まだまだ重要で厳しいステージがあるけれど最後までジャージを守りたい。チームの仕事量が増えるものの、強いチームメイトが揃っているので全力を尽くす」と、ツール・ド・ロマンディに続く総合優勝を狙う構えを見せている。
コースプロフィール以上に過酷な一日を終え、総合首位ウラソフに対してフルサンが6秒遅れの総合2位、トーマスが7秒遅れの総合3位。ポーレスは総合15位から7位へのジャンプアップに成功している。ペニンアルプス西部の超級山岳モーサルプ山頂にフィニッシュする翌日に更なる総合順位変動が起こるだろう。
ツール・ド・スイス2022第5ステージ結果
1位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:30:28 |
2位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
3位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) | |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
5位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | +0:05 |
6位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:06 |
7位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | |
8位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ) | +0:09 |
個人総合成績
1位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | 22:16:56 |
2位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) | +0:06 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:07 |
4位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) | +0:14 |
5位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +0:16 |
6位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | ニールソン・ポーレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:28 |
8位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:40 |
9位 | セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ) | +0:43 |
10位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:44 |
その他の特別賞
ポイント賞 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) |
山岳賞 | クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) |
チーム総合成績 | ボーラ・ハンスグローエ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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