2022/05/29(日) - 11:57
「クライマーではない僕が勝つ唯一の方法だった」と勝因を語ったアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)。カラパスからマリアローザを奪ったヒンドレーなど、ジロ20日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。
ステージ優勝:アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
昨年のジロで2度、あと一歩の所で勝利を逃していた。だからこそステージ優勝が欲しかった。今年はアルメイダが総合優勝を目指しており、僕の役割は彼のアシストだった。しかし残念ながらアルメイダがコロナに感染してしまい、チームの目標がステージ優勝へと切り替わった。僕の勝てるステージは限られており、この3つのステージ(第18〜20)を狙っていたんだ。
距離のある地点から飛び出したのは僕がクライマーじゃないから。勝利のためには登りに入る前にリードを拡げておく必要があった。その判断が間違いではなかったと勝利によって証明することができた。本当に嬉しいよ。最後はフルガスで行くだけだった。脚の痛みなんて気にならなかった。全力を出せばどうせずっと痛いのだからね。とにかくベストを尽くして掴んだ勝利。本当に嬉しいよ。
マリアローザ:ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
今日がきわめて重要かつ過酷な終盤の待つステージだと分かっていた。脚の調子が良ければ大きな違いが作れるとも思っていた。だからこのステージまで仕掛けるのを我慢していたんだ。レナード(ケムナ)が前で待つ完璧な作戦を僕らは実行した。あれ以上ない完璧なタイミングでレナードは牽引してくれた。そしてカラパスが遅れたと聞いた瞬間から、がむしゃらに踏み込んだ。
3週間のグランツールを締めくくるタイムトライアルは決して簡単なものではない。だが僕にできることはマリアローザのために力の限りを尽くすのみ。ジロはまだ終わっていないものの、僕たちチームには自信があるよ。
前待ちからヒンドレーをアシストしたレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
本当に素晴らしい。全てがほぼ完璧に進み、これ以上の結果は望めないだろう。全ては作戦通りだった。逃げに入ってジャイ(ヒンドレー)を待ち、最後はオールアウトするまで全力で牽引した。カラパスが遅れたことには驚いた。また同時に嬉しかったね。レース後のジャイに「よくやった!」と声を掛けたのだが、精根尽き果てた彼は僕の声に反応することすらできていなかったね。
カラパスについて語るパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
僕らはできる限りのことをしたものの、これがこのスポーツの残酷な所だ。リチャルよりもジャイの方が強かっただけ。ジャイを振り落とすべくリチャルの得意な高い標高をハイペースで牽引したのだが、ジャイが遅れることはなかった。たった17kmのタイムトライアルで1分半もの差をひっくり返すのは厳しいだろう。それが現実。だが僕たちは決して諦めるなんてことはしない。
ステージ2位:ドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
2位という結果はいつも失望しかない。ベストを尽くしたものの、ほんの少し足りなかった。でもこれが自転車レースであり、来年またステージ優勝を目指して戻ってきたい。
ステージ9位&総合3位:ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
最後の山岳ステージの調子は良くなかった。そんななかでもベストを尽くすことはできた。ドメン(ノヴァク)が逃げに乗り、メイン集団では僕らがハイペースで牽引した。追い風に苦しめられ、最終山岳ではただただ全力で登った。早い段階で遅れてしまったものの、その後は自分のペースで登ってカラパスからタイムを奪うことができた。総合2位に上がるには十分ではないかもしれないが、良い結果には変わらない。明日は個人TTが待っている。最後の最後までレースは終わらない。
ステージ16位&マリアビアンカ:フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)
このジロは初日から信じられないことの連続だ。エトナ山でのアタックからマリアローザ獲得、そしていまはマリアビアンカを着用している。それと同時に挑戦の日々でもあった。僕にとって最初のジロを経験豊富なチームメイトが支えてくれた。明日はヴェローマでの最終日を楽しみたい。アリーナで迎える最後はきっと素晴らしいものになるのだろうね。
ステージ17位&総合4位:ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン)
もちろん来年ここに戻ってくる気はない。特に今日みたいな大変なステージの後はね。いま僕の中を占めている感情は「疲れた」ということ。マルモラーダはいつだって厳しく、ゾンコランの方がまだ易しい。ここは急勾配が続くため、呼吸すらまともにできないんだ。だから今日は自分のテンポを守り、タイムを失わないことを目標に登った。何度も表彰台に上がったジロは自分のホームみたいなもの。ジロはいつも僕に様々な感情を起こさせる。
この春は身体に問題を抱え、全てを投げ出したいとすら思った。だが(2018年よりニバリを担当する理学療法士の)マルティーノが「自転車に跨って気の向くままに走りなさい」という言葉をかけてくれた。そのおかげで僕は再びトレーニングを再開し、いまここにいる。そして満足とも言えるジロを走ることができたんだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ステージ優勝:アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
昨年のジロで2度、あと一歩の所で勝利を逃していた。だからこそステージ優勝が欲しかった。今年はアルメイダが総合優勝を目指しており、僕の役割は彼のアシストだった。しかし残念ながらアルメイダがコロナに感染してしまい、チームの目標がステージ優勝へと切り替わった。僕の勝てるステージは限られており、この3つのステージ(第18〜20)を狙っていたんだ。
距離のある地点から飛び出したのは僕がクライマーじゃないから。勝利のためには登りに入る前にリードを拡げておく必要があった。その判断が間違いではなかったと勝利によって証明することができた。本当に嬉しいよ。最後はフルガスで行くだけだった。脚の痛みなんて気にならなかった。全力を出せばどうせずっと痛いのだからね。とにかくベストを尽くして掴んだ勝利。本当に嬉しいよ。
マリアローザ:ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
今日がきわめて重要かつ過酷な終盤の待つステージだと分かっていた。脚の調子が良ければ大きな違いが作れるとも思っていた。だからこのステージまで仕掛けるのを我慢していたんだ。レナード(ケムナ)が前で待つ完璧な作戦を僕らは実行した。あれ以上ない完璧なタイミングでレナードは牽引してくれた。そしてカラパスが遅れたと聞いた瞬間から、がむしゃらに踏み込んだ。
3週間のグランツールを締めくくるタイムトライアルは決して簡単なものではない。だが僕にできることはマリアローザのために力の限りを尽くすのみ。ジロはまだ終わっていないものの、僕たちチームには自信があるよ。
前待ちからヒンドレーをアシストしたレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
本当に素晴らしい。全てがほぼ完璧に進み、これ以上の結果は望めないだろう。全ては作戦通りだった。逃げに入ってジャイ(ヒンドレー)を待ち、最後はオールアウトするまで全力で牽引した。カラパスが遅れたことには驚いた。また同時に嬉しかったね。レース後のジャイに「よくやった!」と声を掛けたのだが、精根尽き果てた彼は僕の声に反応することすらできていなかったね。
カラパスについて語るパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)
僕らはできる限りのことをしたものの、これがこのスポーツの残酷な所だ。リチャルよりもジャイの方が強かっただけ。ジャイを振り落とすべくリチャルの得意な高い標高をハイペースで牽引したのだが、ジャイが遅れることはなかった。たった17kmのタイムトライアルで1分半もの差をひっくり返すのは厳しいだろう。それが現実。だが僕たちは決して諦めるなんてことはしない。
ステージ2位:ドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
2位という結果はいつも失望しかない。ベストを尽くしたものの、ほんの少し足りなかった。でもこれが自転車レースであり、来年またステージ優勝を目指して戻ってきたい。
ステージ9位&総合3位:ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)
最後の山岳ステージの調子は良くなかった。そんななかでもベストを尽くすことはできた。ドメン(ノヴァク)が逃げに乗り、メイン集団では僕らがハイペースで牽引した。追い風に苦しめられ、最終山岳ではただただ全力で登った。早い段階で遅れてしまったものの、その後は自分のペースで登ってカラパスからタイムを奪うことができた。総合2位に上がるには十分ではないかもしれないが、良い結果には変わらない。明日は個人TTが待っている。最後の最後までレースは終わらない。
ステージ16位&マリアビアンカ:フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)
このジロは初日から信じられないことの連続だ。エトナ山でのアタックからマリアローザ獲得、そしていまはマリアビアンカを着用している。それと同時に挑戦の日々でもあった。僕にとって最初のジロを経験豊富なチームメイトが支えてくれた。明日はヴェローマでの最終日を楽しみたい。アリーナで迎える最後はきっと素晴らしいものになるのだろうね。
ステージ17位&総合4位:ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン)
もちろん来年ここに戻ってくる気はない。特に今日みたいな大変なステージの後はね。いま僕の中を占めている感情は「疲れた」ということ。マルモラーダはいつだって厳しく、ゾンコランの方がまだ易しい。ここは急勾配が続くため、呼吸すらまともにできないんだ。だから今日は自分のテンポを守り、タイムを失わないことを目標に登った。何度も表彰台に上がったジロは自分のホームみたいなもの。ジロはいつも僕に様々な感情を起こさせる。
この春は身体に問題を抱え、全てを投げ出したいとすら思った。だが(2018年よりニバリを担当する理学療法士の)マルティーノが「自転車に跨って気の向くままに走りなさい」という言葉をかけてくれた。そのおかげで僕は再びトレーニングを再開し、いまここにいる。そして満足とも言えるジロを走ることができたんだ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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