2つの1級山岳を越えるツアー・オブ・ノルウェー第3ステージで、残り5kmから飛び出したエヴェネプールが圧倒的な登坂力を見せつけ勝利。トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)から総合首位奪還に成功した。



この日も複雑に入り組んだフィヨルドを縫うように進むこの日も複雑に入り組んだフィヨルドを縫うように進む photo:CorVos
首都オスロ北西の山岳地帯をゴールからスタブストロまで巡る175.8kmで行われたツアー・オブ・ノルウェー第3ステージ。コース中盤の2級山岳ホーガセンと1級山岳イミンフェル(距離7.3km/平均6.5%)を越え、最後に待つのは別名ガウスタトッペンとも呼ばれる1級山岳スタブストロ(距離12.1km/平均7.6%)だ。

獲得標高差3,371mのクイーンステージで逃げたのは8名。総合で1分45秒遅れのフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)や長きに渡りワールドツアーで走ったベンジャミン・キング(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス)などが逃げグループを形成。最大2分20秒差で1級山岳イミンフェルを通過した。

ルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が中心となり横風分断が発生ルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が中心となり横風分断が発生 photo:Tour of Norway
横風分断により遅れていく集団後方の選手たち横風分断により遅れていく集団後方の選手たち photo:CorVos
1級山岳から約20kmに及ぶ長い下りでリーダージャージのウノエックス・プロサイクリング チームが牽引するプロトンが逃げを捉えると、ここからレースが慌ただしく動き出す。残り70km地点の吹きさらし区間に入るとルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が集団先頭へ。すると横風が選手たちを襲いメイン集団はバラバラに崩壊した。

アシストに守られたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)やイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)などが先頭集団には危なげなく残った一方で、遅れを取ったのはエスデバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)。しかしチーム一丸となった懸命な追走によって、残り40km地点で合流を果たした。

終盤にメイン集団から飛び出したミヒェル・ヘスマン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)終盤にメイン集団から飛び出したミヒェル・ヘスマン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
一時ミヒェル・ヘスマン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)が単独で飛び出し最大1分30秒差をつけたものの、 1級山岳スタブストロ(距離12.1km/平均7.6%)の序盤で吸収。レース前に「僕に今日の山岳は厳しすぎる」と語ったヘイターが遅れていき、イネオス・グレナディアーズは21歳ルーク・プラップ(オーストラリア)に勝利を託すことに。

チャベスがペースアップした残り8kmから本格的な登坂バトルが幕開けると、ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・フェニックス)の2度に渡るアタックが先頭集団の人数を減らした。しかしエヴェネプールやプラップを引き離すには至らず、そして先頭集団からヨハンネセンが遅れたことで、勝負はエヴェネプールとプラップ、ヴァインの3名に絞り込まれた。

頂上に近づくにつれ勾配も緩やかになる登りで、残り4.5kmからエヴェネプールがペースを上げる。「残り距離は把握していなかったが構わず仕掛けた」と語るエヴェネプールにプラップがたまらず遅れ、ヴァインも脱落。最後の30分を約6.5倍W/kg、ラスト15分を約6.86.5倍W/kgの出力で登り続けたヴェネプールがトップで1級山岳スタブストロを登りきった。

最終1級山岳で先頭を牽引するウノエックス・プロサイクリング チーム最終1級山岳で先頭を牽引するウノエックス・プロサイクリング チーム photo:Tour of Norway
圧倒的な登坂力で今大会2勝目を挙げたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)圧倒的な登坂力で今大会2勝目を挙げたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
「自分でもあれほどの出力を持続できたことに驚いた。後続のヴァインとの差が分からないまま急勾配区間に入ったので、その後はがむしゃらに踏み続けたんだ。今日の勝利は僕自身はもちろん、チームにも喜びをもらたしたのじゃないかな」と語るエヴェネプールは、ステージ優勝と共にリーダージャージの奪還に成功。またヤングライダー賞に加え山岳賞のジャージも手にしている。

2位のヴァインはエヴェネプールから27秒遅れでフィニッシュ。ヴァインは総合でも6位から総合2位(46秒遅れ)まで順位を上げ、ステージ3位はフラップ(1分5秒遅れ)、ヨハンネセンは4位(1分21秒遅れ)でクイーンステージを終えている。

リーダージャージを奪還したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)リーダージャージを奪還したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
ツアー・オブ・ノルウェー2022第3ステージ結果
個人総合成績
1位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 11:54:35
2位 ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・フェニックス) 0:46
3位 ルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 1:24
4位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 1:30
5位 マルコ・ブレンナー(ドイツ、チームDSM) 2:16
その他の特別賞
ポイント賞 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
山岳賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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