勾配5.8%の登坂スプリントでトップスプリンターたちが激突したツアー・オブ・ターキー第6ステージ。同じフィニッシュで争われた3年前は「勝負にすら絡めなかった」と語るカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が、進化した登坂力とスピードを見せつけ勝利を挙げた。



エドレミトを出発し、エジェアバトへと向かうターキー6日目エドレミトを出発し、エジェアバトへと向かうターキー6日目 photo:CorVos
6日目を迎えたツアー・オブ・ターキーの舞台となるのは、エドレミトからエジェアバトに至る201.5km。序盤に2級山岳を越え、その後は平坦基調の内陸部を通過して沿岸部へ。ラストに待ち受ける距離2.4km/平均勾配5.8%の2級山岳をスプリンターたちが耐えられるかに注目が集まった。

2019年大会でサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が勝利したコースで序盤からトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)などが逃げを試みる中、残り60km地点でようやくトルコ勢2人を含む4名の逃げグループに落ち着く。それを容認したプロトンでは、ロット・スーダルやボーラ・ハンスグローエなどのスプリンターチームがタイム差を4分以内に抑えながら広い幹線道路を進んでいった。

序盤から逃げに乗ろうと動いたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)序盤から逃げに乗ろうと動いたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
ポイント賞ジャージを着て走るヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)ポイント賞ジャージを着て走るヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
最後まで諦めず逃げ続けたジュリアン・ボレシュ(ドイツ、サリスルーヴィー・ザウアーラントチーム)も残り9kmで吸収され、ウノエックス・プロサイクリング チームやヒューマンパワードヘルスなどのプロチームが隊列を組みながら先頭へ。そこから本格的なスプリンターチームの戦いが始まった。

残り2.4kmから始まる登坂で、イスラエル・プレミアテックが集団の主導権を握りながら8.5%の勾配区間を越えていく。フラムルージュ(残り1km)でロット・スーダルの牽引に代わると、残り50mでミラノ〜サンレモのためここ数年登坂力向上させたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が飛び出し先頭へ。

3年前の勝者ベネットが早々に遅れ、代わりにエースを託されたダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)がそれに追随する。更に後方からダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)が猛追するものの、それを寄せ付けないスピードで突き進むユアンがフィニッシュラインで両手を挙げた。

スプリントでリードを奪うカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)スプリントでリードを奪うカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
3年前のリベンジを果たしたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)3年前のリベンジを果たしたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
「3年前は勝負にすら絡むことができなかった。だが鍛えた脚と登坂能力と共に再びここに戻ってきた。最後まで僕を完璧に導いてくれたチームメイトに感謝したい。この勝利は彼らのおかげだ。また、オーストラリアの歴史に残るここガリポリ(1915年の”ガリポリの戦い”においてオーストラリア軍が初の外国遠征した地)で勝利を挙げることができ、特別な気持ちがするよ」と、大会2勝目を挙げたオージースプリンターは語った。

翌第7ステージは2つの2級山岳が登場する132kmの丘陵ステージ。しかしフィニッシュまでは平坦路が続くため、再びユアンやフィリプセンらによるスピード勝負が予想される。
ツアー・オブ・ターキー2022第6ステージ結果
1位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) 4:54:00
2位 ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
5位 キャンベル・スチュアート(ニュージーランド、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
個人総合成績
1位 エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ) 24:12:07
2位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) 0:11
3位 ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、アルペシン・フェニックス) 0:25
4位 ハルム・ファンハウケ(ベルギー、ロット・スーダル) 0:37
5位 アンデシュ・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 0:46
その他の特別賞
ポイント賞 ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)
山岳賞 ノア・グラニガン(アメリカ、ワイルドファイヤージェネレーション・プロサイクリング)
チーム総合成績 エキポ・ケルンファルマ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos