石畳区間や急坂が詰め込まれたベルギーのセミクラシック「ノケレ〜クールセ」。緩斜面スプリントでティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が勝利し、與那嶺恵理も出場した女子レースはロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が制した。
パスカル・アッカーマン(ドイツ)をエースにメンバーを揃えてきたUAEチームエミレーツ photo:CorVos
ノケレ〜クールセ2022コースプロフィール photo:www.nokerekoerse.be/3月23日開催のブルッヘ〜デパンネ(1.UWT)から本格化するベルギー・クラシックに先立ち、前哨戦となる第76回ノケレ〜クールセ(1.Pro)が開催された。ベルギー北西部フランドル地方のダインゼを出発し、石畳や急登坂を越えるコースは190km。レース中盤からはノケレ市内の周回コースを2周し、途中に石畳の坂「ノケレベルフ」を含む26ヶ所の石畳区間を通過。そしてラスト350mは石畳の緩傾斜登坂が待ち受ける。
10のワールドチームを含む20チームが揃ったスタートラインには、3日後に行われるミラノ〜サンレモではなくベルギーのクラシックを見据える重量級クラシックライダーが集結。スプリンター向きのレイアウトであるため、ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)を始めパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)やジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)といった面々が集結した。
昨年大会で逃げ切り勝利を掴んだビンゴール・パウェルスソースWBを中心に、序盤から吸収とアタックを繰り返すものの、なかなか逃げが決まらない。ノケレの周回コースに入ったレース後半でようやくカスパー・ファンウデン(オランダ、チームDSM)を含む4名による逃げ集団が形成されると、石畳区間を1分差以内のリードで駆け抜けた。
フランドル地域特有の地形を進むプロトン photo:CorVos
ボーラ・ハンスグローエやロット・スーダルが牽引するメイン集団が最終周回の残り20km地点で逃げグループを飲み込む。そしてサミュエル・ワトソン(イギリス、グルパマ・エフデジ)などスプリンターのいないチームによるアタックを潰しながら、プロトンは最終スプリントへと突入していった。
グルパマ・エフデジを先頭にノケレの中心を貫く石畳に入っていくと、アシストのいないメルリールが1人で一気に番手を上げていく。最終ストレートに続く緩い左コーナーをメルリールがイン側から加速すると、そのスピードはライバル勢を圧倒。唯一食らいついたマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、コフィディス)をも振り切ったメルリールが、地元フランドルで勝利を挙げた。
余裕のスプリントで勝利したティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
「2017年のナセル・ブアニが勝ったスプリントを手本に、早めにスプリントを開始したんだ。変速でチェーンが上手くかからなかったものの、後ろからヴァルシャイドが迫っていたのでそのままのギヤで踏み込んだんだ。かなり重いギヤだったが、それが逆に良かったのかもしれない。地元ということもあり、プレッシャーもあったが勝利できて本当に良かったよ」と、フィニッシュ地点からも程近いコルトレイクで生まれ育ったメルリールは喜んだ。
優勝のシャンパンを口にするティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
圧巻のスピードで勝利を掴んだロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVos
同日に行われた女子レースには與那嶺が今季2レース目として出場。距離は男子より60kmほど短い125.9kmなものの、石畳は13箇所とタフなレースであり、落車が続出しながら勝負は集団スプリントで決着した。
フィニッシュ手前350mで主導権を握ったのは、20歳の若手スプリンターであるノエミ・リュエッグ(スイス)をエースに据えるユンボ・ヴィズマ。だが右コーナーを前に右側を取ったウィーベスが先頭で最終ストレートに入ると、緩斜面の登りを圧倒的なスピードで駆け抜け勝利した。
「終始レースをコントロールし、シャーロッテ(コール)が主に逃げを潰した。最後はコペッキーの後ろにつき、そこから踏み込み勝利を掴んだ」と2019年大会に続く2度目の勝利を挙げたウィーベスは振り返る。ウィーベスは今季初勝利を挙げたGPウーティンゲンから、ロンド・ファン・ドレンテに続き3戦3勝と好調を維持しており、次戦は3月23日のオキシクリーンクラシック・ブルッヘ〜デパンネ(WTW)に臨む。
なお、與那嶺はトップと同タイムの47位でフィニッシュしている。
これで3戦3勝と好調のロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVos


10のワールドチームを含む20チームが揃ったスタートラインには、3日後に行われるミラノ〜サンレモではなくベルギーのクラシックを見据える重量級クラシックライダーが集結。スプリンター向きのレイアウトであるため、ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)を始めパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)やジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)といった面々が集結した。
昨年大会で逃げ切り勝利を掴んだビンゴール・パウェルスソースWBを中心に、序盤から吸収とアタックを繰り返すものの、なかなか逃げが決まらない。ノケレの周回コースに入ったレース後半でようやくカスパー・ファンウデン(オランダ、チームDSM)を含む4名による逃げ集団が形成されると、石畳区間を1分差以内のリードで駆け抜けた。

ボーラ・ハンスグローエやロット・スーダルが牽引するメイン集団が最終周回の残り20km地点で逃げグループを飲み込む。そしてサミュエル・ワトソン(イギリス、グルパマ・エフデジ)などスプリンターのいないチームによるアタックを潰しながら、プロトンは最終スプリントへと突入していった。
グルパマ・エフデジを先頭にノケレの中心を貫く石畳に入っていくと、アシストのいないメルリールが1人で一気に番手を上げていく。最終ストレートに続く緩い左コーナーをメルリールがイン側から加速すると、そのスピードはライバル勢を圧倒。唯一食らいついたマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、コフィディス)をも振り切ったメルリールが、地元フランドルで勝利を挙げた。

「2017年のナセル・ブアニが勝ったスプリントを手本に、早めにスプリントを開始したんだ。変速でチェーンが上手くかからなかったものの、後ろからヴァルシャイドが迫っていたのでそのままのギヤで踏み込んだんだ。かなり重いギヤだったが、それが逆に良かったのかもしれない。地元ということもあり、プレッシャーもあったが勝利できて本当に良かったよ」と、フィニッシュ地点からも程近いコルトレイクで生まれ育ったメルリールは喜んだ。


同日に行われた女子レースには與那嶺が今季2レース目として出場。距離は男子より60kmほど短い125.9kmなものの、石畳は13箇所とタフなレースであり、落車が続出しながら勝負は集団スプリントで決着した。
フィニッシュ手前350mで主導権を握ったのは、20歳の若手スプリンターであるノエミ・リュエッグ(スイス)をエースに据えるユンボ・ヴィズマ。だが右コーナーを前に右側を取ったウィーベスが先頭で最終ストレートに入ると、緩斜面の登りを圧倒的なスピードで駆け抜け勝利した。
「終始レースをコントロールし、シャーロッテ(コール)が主に逃げを潰した。最後はコペッキーの後ろにつき、そこから踏み込み勝利を掴んだ」と2019年大会に続く2度目の勝利を挙げたウィーベスは振り返る。ウィーベスは今季初勝利を挙げたGPウーティンゲンから、ロンド・ファン・ドレンテに続き3戦3勝と好調を維持しており、次戦は3月23日のオキシクリーンクラシック・ブルッヘ〜デパンネ(WTW)に臨む。
なお、與那嶺はトップと同タイムの47位でフィニッシュしている。

ノケレ〜クールセ2022結果
1位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 4:20:04 |
2位 | マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、コフィディス) | |
3位 | アルノー・デリー(ベルギー、ロット・スーダル) | |
4位 | ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
5位 | ブラム・ウェルテン(オランダ、グルパマ・エフデジ) | |
6位 | ラスムス・ティレル(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | |
7位 | ユーゴ・オフステテール(フランス、アルケア・サムシック) | |
8位 | ピエール・バルビエ(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
9位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | ヤニック・シュタイムレ(ドイツ、クイックステップ・アルファヴィニル) |
ノケレ〜クールセ2022女子レース結果
1位 | ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) | 3:14:47 |
2位 | ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) | 0:01 |
3位 | マルタ・バスティアネッリ(イタリア、UAEチームADQ) | |
4位 | キアラ・コンソンニ(イタリア、バルカー・トラベル&サービス) | |
5位 | マリョレイン・ファントフルーフ(オランダ、ルコル・ワフー) | |
6位 | バルバラ・グアリスキ(イタリア、モビスター) | |
7位 | ノエミ・リュエッグ(スイス、ユンボ・ヴィスマ) | |
8位 | ユージェニー・デュヴァル(フランス、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) | |
9位 | レティツィア・ボルゲージ(イタリア、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) | |
10位 | シャリ・ボサイト(ベルギー、キャニオン・スラム) | |
47位 | 與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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