最大勾配13%超の急勾配で繰り広げられたツアー・オブ・オマーン頂上決戦。残り2kmから加速したヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が勝利し、総合でもファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)を逆転してトップに立った。
ポイント賞ジャージを手に笑顔を見せるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
最終日を前にしたツアー・オブ・オマーン第5ステージは、サマイルから標高1,217mアフダル山頂を目指す山岳コース。スタートからフィニッシュ手前6kmまで平坦路が続き、アフダル山(距離6km/平均勾配9.9%)のラスト2kmは勾配が13%にも及ぶタフな登坂だ。翌日は平坦ステージのため総合成績をかけたクライマーによる激しい戦いが繰り広げられた。
オマーン最古のモスクがあるサマイルを出発し逃げグループを形成したのは、ここまで毎日逃げに選手を送り込んでいるエウスカルテル・エウスカディとノボノルディスクを含む6名。一方で横風分断の危険も孕むメイン集団をアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオがレース序盤からコントロールした。
予想されていた通りレース中盤で強い横風が選手たちを襲うものの、集団分断にやる気を見せるチームは現れない。しかし、その混乱の中ポイント賞ジャージを着用するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)がイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、グルパマ・エフデジ)の後輪に接触し、両者が地面に叩きつけられた。「幸い打撲と擦過傷で済んだ」と語ったカヴェンディッシュはコノヴァロヴァスとともに無事集団に復帰している。
逃げグループを形成する6名 photo:CorVos
落車したイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、グルパマ・エフデジ) photo:CorVos
牽引がクイックステップ・アルファヴィニルにスイッチしたメイン集団は、横風でペースが上がった勢いのまま逃げ集団を残り57km地点で吸収。順調に距離を消化して、最終山岳の手前に設定されたスプリントポイントを右側のジャージが破れたカヴェンディッシュが2番目で通過していった。
ヤン・ヒルト(チェコ)で勝利を狙うアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオを先頭に、プロトンがアフダルの登り(距離6km/平均9.9%)に突入する。12名に絞られたプロトンの先頭をレイン・タラマエ(エストニア)が残り2kmで引き終えると、ヒルトが加速。反対にリーダージャージのマスナダはこの13%の勾配に耐えきれず蛇行しながら遅れていった。
ヒルトの独走を阻むべくアルケア・サムシックのフランス人ケヴィン・ヴォークランとエリー・ジェベールが追走するが、延々とダンシングでペースを刻むヒルトについていけない。そのまま後続に39秒差をつけたヒルトが、クイーンステージの山頂フィニッシュを制した。
独走でフィニッシュにたどり着いたヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
総合優勝に王手をかけたヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) photo:CorVos
「スタートから自分がこの中で1番強いクライマーだと思っていた。そのぐらいコンディションが良かったんだ。チーム全体が集中していて、みんなやる気に溢れていた。彼らの犠牲心なしにこの勝利はなかった。完璧な1日になったよ」。2016年の9月以来、実に5年7ヶ月ぶりの勝利を挙げたヒルトは語った。
マスナダが1分48秒遅れのステージ11位でフィニッシュしたため、総合首位で優勝に王手をかけたヒルト。「リーダージャージはケーキの上のさくらんぼみたいなものだ。6kmの登りでまさかマスナダとの1分差を逆転できるとは思わなかった。僕には強いチームがいるので最終ステージも自信があるよ」と、31歳のクライマーは喜んだ。
翌日の最終日はスプリントポイントが2箇所設定された平坦ステージ。それぞれ区間1勝を挙げているカヴェンディッシュとフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)の直接対決が再び繰り広げられる。

最終日を前にしたツアー・オブ・オマーン第5ステージは、サマイルから標高1,217mアフダル山頂を目指す山岳コース。スタートからフィニッシュ手前6kmまで平坦路が続き、アフダル山(距離6km/平均勾配9.9%)のラスト2kmは勾配が13%にも及ぶタフな登坂だ。翌日は平坦ステージのため総合成績をかけたクライマーによる激しい戦いが繰り広げられた。
オマーン最古のモスクがあるサマイルを出発し逃げグループを形成したのは、ここまで毎日逃げに選手を送り込んでいるエウスカルテル・エウスカディとノボノルディスクを含む6名。一方で横風分断の危険も孕むメイン集団をアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオがレース序盤からコントロールした。
予想されていた通りレース中盤で強い横風が選手たちを襲うものの、集団分断にやる気を見せるチームは現れない。しかし、その混乱の中ポイント賞ジャージを着用するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)がイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、グルパマ・エフデジ)の後輪に接触し、両者が地面に叩きつけられた。「幸い打撲と擦過傷で済んだ」と語ったカヴェンディッシュはコノヴァロヴァスとともに無事集団に復帰している。


牽引がクイックステップ・アルファヴィニルにスイッチしたメイン集団は、横風でペースが上がった勢いのまま逃げ集団を残り57km地点で吸収。順調に距離を消化して、最終山岳の手前に設定されたスプリントポイントを右側のジャージが破れたカヴェンディッシュが2番目で通過していった。
ヤン・ヒルト(チェコ)で勝利を狙うアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオを先頭に、プロトンがアフダルの登り(距離6km/平均9.9%)に突入する。12名に絞られたプロトンの先頭をレイン・タラマエ(エストニア)が残り2kmで引き終えると、ヒルトが加速。反対にリーダージャージのマスナダはこの13%の勾配に耐えきれず蛇行しながら遅れていった。
ヒルトの独走を阻むべくアルケア・サムシックのフランス人ケヴィン・ヴォークランとエリー・ジェベールが追走するが、延々とダンシングでペースを刻むヒルトについていけない。そのまま後続に39秒差をつけたヒルトが、クイーンステージの山頂フィニッシュを制した。


「スタートから自分がこの中で1番強いクライマーだと思っていた。そのぐらいコンディションが良かったんだ。チーム全体が集中していて、みんなやる気に溢れていた。彼らの犠牲心なしにこの勝利はなかった。完璧な1日になったよ」。2016年の9月以来、実に5年7ヶ月ぶりの勝利を挙げたヒルトは語った。
マスナダが1分48秒遅れのステージ11位でフィニッシュしたため、総合首位で優勝に王手をかけたヒルト。「リーダージャージはケーキの上のさくらんぼみたいなものだ。6kmの登りでまさかマスナダとの1分差を逆転できるとは思わなかった。僕には強いチームがいるので最終ステージも自信があるよ」と、31歳のクライマーは喜んだ。
翌日の最終日はスプリントポイントが2箇所設定された平坦ステージ。それぞれ区間1勝を挙げているカヴェンディッシュとフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)の直接対決が再び繰り広げられる。
ツアー・オブ・オマーン2022第5ステージ結果
1位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 3:35:39 |
2位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・サムシック) | 0:39 |
3位 | エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック) | 0:48 |
4位 | ケヴィン・コッレオーニ(イタリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 0:57 |
5位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベール) | 1:11 |
7位 | アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | |
8位 | ヘンリ・ファンデンアベーレ(ベルギー、チームDSM) | 1:19 |
9位 | ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM) | 1:43 |
10位 | マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) |
個人総合成績
1位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 18:25:27 |
2位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) | 1:00 |
3位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 1:16 |
4位 | エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック) | 1:18 |
5位 | アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | |
6位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・サムシック) | 1:38 |
7位 | ケヴィン・コッレオーニ(イタリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 1:50 |
8位 | レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベール) | 1:51 |
9位 | ヘンリ・ファンデンアベーレ(ベルギー、チームDSM) | 1:54 |
10位 | マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 2:01 |
その他特別賞
ポイント賞 | ヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) |
ヤングライダー賞 | アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム) |
チーム総合成績 | アルケア・サムシック |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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