レース終盤でフランス人選手が動きを作ったエトワール・ド・ベセージュ第2ステージ。最大12%の登坂フィニッシュでブライアン・コカール(フランス、コフィディス)がマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)との一騎打ちを制した。



サン・クリストル・レ・アレスの古い町並みを駆け抜けるサン・クリストル・レ・アレスの古い町並みを駆け抜ける photo:CorVos
フランス東部を巡るエトワール・ド・ベセージュ(2.1)第2ステージはサン・クリストル・レ・アレスから北のルソンを目指す156km。3つあるカテゴリー山岳はいずれも2級とインパクトはないものの、フィニッシュ手前から始まる2級山岳カステラ高原(距離1.6km/平均勾配6.4%)のラストは最大12%に達する。

B&Bホテルズ KTMやスポートフラーンデレン・バロワーズ、エキポ・ケルンファルマが選手を送った4名による逃げ集団は、プロトンとのタイム差を3分30秒前後で走行。最後から2つ目の2級山岳プラデ峠が近づくにつれタイム差は徐々に縮まり、残り27km地点でリーダーチームのトレック・セガフレードが指揮するメイン集団に吸収された。

続いて飛び出したレミ・ロシャス(フランス、コフィディス)がプラデ山岳の頂上を通過し、下りでセバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ)も合流する。しかしこのカウンターアタックもリチャル・カラパス(エクアドル)擁するイネオス・グレナディアーズとアルベルト・ベッティオル(イタリア)をエースに据えるEFエデュケーション・イージーポストによって引き戻される。

逃げグループを形成するイェンス・レインデルス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)逃げグループを形成するイェンス・レインデルス(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) photo:CorVos
メイン集団はトレック・セガフレードを中心にEFエデュケーション・イージーポストも力を貸したメイン集団はトレック・セガフレードを中心にEFエデュケーション・イージーポストも力を貸した photo:CorVos
登坂の前にリードを奪おうとプロチームの選手たちが次々とアタックするも全て失敗に終わり、フィニッシュ地点に続くカステラ高原の登りに突入すると、EFエデュケーション・イージーポストやアルケア・サムシックのアシストが代わる代わる先頭でペースを上げ続けた。

残り500mで各チームのアシストが姿を消し、ここからエース同士の戦いが幕開けた。先んじてコナー・スウィフト(イギリス、アルケア・サムシック)が加速するが、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)やマチュー・ビュルゴドー(フランス、トタルエネルジー)を引き離すには速度が足りず2日連続優勝を狙うピーダスンが前に出る。

ピーダスンのダンシングについていけたのはブライアン・コカール(フランス、コフィディス)とビュルゴドー、そして昨年のツール・ド・ラヴニールで総合優勝したトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)の4人。残り150mを過ぎてペースを緩めたピーダスンの隙を突いたコカールがフィニッシュライン直前で先頭に立った。

フィニッシュライン直前でマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を抜くブライアン・コカール(フランス、コフィディス)フィニッシュライン直前でマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を抜くブライアン・コカール(フランス、コフィディス) photo:CorVos
急勾配でマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を下したブライアン・コカール(フランス、コフィディス)急勾配でマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を下したブライアン・コカール(フランス、コフィディス) photo:CorVos
「とても難しいフィニッシュだった。最後までマッズ(ピーダスン)を抜けないかとも思ったが、懸命に踏み込み勝つことができた。本当に嬉しいよ。1年半振りの勝利だが、プロになってからここまで謙虚に努力を重ねてきた成果だ」と、2020年ルート・ド・オクシタニー第1ステージ以来の勝利を挙げたコカールは喜ぶ。「何よりも新しいジャージで腕を高々と突き上げることができた。僕たちのチームにとって良いシーズンのスタートになった」と今年B&Bホテルズ KTMからコフィディスに移籍し、早速チームに1勝をもたらしたコカールは語っている。

優勝は逃したものの、リーダージャージはピーダスンがキープし、2位とのタイム差も前日の5秒から17秒に伸ばしている。3位にはビュルゴドー、そして4位には22歳の若きクライマーであるヨハンネセンが入りヤングライダージャージを獲得した。

リーダージャージを守ったマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)リーダージャージを守ったマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:CorVos
ヤングライダー賞を獲得したトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)ヤングライダー賞を獲得したトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) photo:CorVos
エトワール・ド・ベセージュ2022第2ステージ結果
1位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) 3:41:46
2位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
3位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
4位 マチュー・ビュルゴドー(フランス、トタルエネルジー)
5位 アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) 0:04
6位 バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)
7位 コナー・スウィフト(イギリス、アルケア・サムシック)
8位 ミラン・メンテン(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)
9位 クレマン・シャンプッサン(フランス、AG2Rシトロエン)
10位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー)
個人総合成績
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) 7:14:17
2位 マチュー・ビュルゴドー(フランス、トタルエネルジー) 0:17
3位 アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) 0:21
4位 バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス) 0:27
5位 コナー・スウィフト(イギリス、アルケア・サムシック) 0:33
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー) 0:35
7位 ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) 0:38
8位 トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) 0:44
9位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) 0:47
10位 リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) 0:51
その他の特別賞
山岳賞 マルティ・マルケス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)
ポイント賞 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)
ヤングライダー賞 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
チーム総合成績 トタルエネルジー
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos