ジャスパー・デブイストによる抜群のリードアウトからカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が圧巻の勝利。7kmの未舗装路区間が登場したサウジ・ツアー開幕戦でロット・スーダルが抜群のチーム力を見せつけた。
スプリンターチームを先頭に砂漠地帯を進む photo:CorVos
ツール・ド・フランスと同じくA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)が主催する中東ステージレース「サウジツアー(UCI.2.1)」。2020年に本格始動したアラビア半島を舞台にした5日間のステージレースが、昨年の中止を経て2年振りに戻ってきた。
コースはサウジアラビアの北西部に位置し、世界遺産もあるアル・ウラー周辺を巡るもの。多くは平坦基調のコースだが、第2ステージは登りフィニッシュ、第4ステージはフィニッシュ手前10km地点に距離3km/平均勾配12%の登りが登場するため、総合優勝争いもレース展開を複雑化させる。
五輪にも劣らない前日のチームプレゼンテーションに登場したのは、8つのワールドチームを含む15チーム。同じ中東に籍を置くフェルナンド・ガビリア(コロンビア)擁するUAEチームエミレーツやバーレーン・ヴィクトリアス、カレブ・ユアン(オーストラリア)を中心に強力なスプリントチームを揃えてきたロット・スーダル、移籍後初レースに臨むディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)ら出場。その他にも総合優勝を狙う元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)らが顔を揃えた。
逃げグループを形成するマルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)ら photo:CorVos
長時間メイン集団のコントロールを担当したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
第1ステージは今大会の中心地であるウィンターパークを発着点とする198kmの平坦ステージ。横風の心配を除けば起伏のほとんどない砂漠地帯を走るイージーなコースに見えるが、残り20km地点から7kmに渡り登場する未舗装路区間がスプリントの準備に勤しむチームのストレスとなる。
逃げ切るチャンスが極めて薄いコースではあるものの、集団からはワールドチーム昇格を目指すノルウェーの強豪ウノエックス・プロサイクリングチームのマルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー)を含む3名が先行。それをトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)がユアンのために長い時間メイン集団を牽引した。
早々に逃げを吸収したプロトンが残り20km地点のグラベル区間に飛び込むと、危険回避のため集団前方に位置を取っていたバジオーリが車道を区画する石にタイヤを奪われ落車。その左横に投げ出されたバイクに後続の4名が巻き込まれた。
スプリントを控え緊張感のあるなかグラベル区間を走行するプロトン photo:CorVos
落車による混乱から落ち着きを取り戻し、引き続き未走路の赤土を駆けるメイン集団の中からはニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタルエネルジー)をアシストするダニエル・オス(イタリア)が飛び出した。しかしこれを元チームメイトのジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)が潰し、再び舗装路に戻ったレースは一塊のまま最終スプリントに持ち込まれた。
残り2kmの直線で主導権を握ったのはボーラ・ハンスグローエ。左からクイックステップ・アルファヴィニル、右からバイクエクスチェンジ・ジェイコのトレインも徐々に先頭に上がっていくが、エースのフルーネウェーヘンがロット・スーダルの選手に接触。遅れたことでチャンスを失ってしまった。
各チームがアシストを使い果たしながらラスト300mの緩い右コーナーをクリアすると、ここまで姿を現さなかったロット・スーダルがジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル)の引きで一気に先頭に。フィニッシュライン100m手前でようやく腰を上げたユアンが、後ろにつくマーティン・ラース(エストニア、ボーラ・ハンスグローエ)とガビリアに寄せ付けることなく両手を挙げた。
スプリント勝利を飾ったカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)と共に手を挙げるリードアウトのジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
今季初勝利、チームとして早くも3勝目を挙げたユアンは「勝利という最良の形でシーズンインすることができた。勝利はもちろん、チームのパフォーマンスが何よりも嬉しい。僕は最後の100mをスプリントするだけだったからね。彼らには本当に感謝している」とコメント。
「出場チームの中でスプリントでは僕らが最も戦力の揃うチームだったのプレッシャーもあったが、新加入のリュディガー・ゼーリッヒとジャラッド・ドリズナーズが素晴らしいリードアウトをしてくれた」と、ユアンは昨年から更に戦力の厚みをましたスプリンターチームへの自信を語った。
表彰台に上がるカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
翌日はこの日の発着点に程近いタイバ大学から北上し、平坦基調のコースから最後は急勾配の登りフィニッシュするパンチャーに有利な164kmだ。

ツール・ド・フランスと同じくA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)が主催する中東ステージレース「サウジツアー(UCI.2.1)」。2020年に本格始動したアラビア半島を舞台にした5日間のステージレースが、昨年の中止を経て2年振りに戻ってきた。
コースはサウジアラビアの北西部に位置し、世界遺産もあるアル・ウラー周辺を巡るもの。多くは平坦基調のコースだが、第2ステージは登りフィニッシュ、第4ステージはフィニッシュ手前10km地点に距離3km/平均勾配12%の登りが登場するため、総合優勝争いもレース展開を複雑化させる。
五輪にも劣らない前日のチームプレゼンテーションに登場したのは、8つのワールドチームを含む15チーム。同じ中東に籍を置くフェルナンド・ガビリア(コロンビア)擁するUAEチームエミレーツやバーレーン・ヴィクトリアス、カレブ・ユアン(オーストラリア)を中心に強力なスプリントチームを揃えてきたロット・スーダル、移籍後初レースに臨むディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)ら出場。その他にも総合優勝を狙う元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)らが顔を揃えた。


第1ステージは今大会の中心地であるウィンターパークを発着点とする198kmの平坦ステージ。横風の心配を除けば起伏のほとんどない砂漠地帯を走るイージーなコースに見えるが、残り20km地点から7kmに渡り登場する未舗装路区間がスプリントの準備に勤しむチームのストレスとなる。
逃げ切るチャンスが極めて薄いコースではあるものの、集団からはワールドチーム昇格を目指すノルウェーの強豪ウノエックス・プロサイクリングチームのマルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー)を含む3名が先行。それをトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)がユアンのために長い時間メイン集団を牽引した。
早々に逃げを吸収したプロトンが残り20km地点のグラベル区間に飛び込むと、危険回避のため集団前方に位置を取っていたバジオーリが車道を区画する石にタイヤを奪われ落車。その左横に投げ出されたバイクに後続の4名が巻き込まれた。

落車による混乱から落ち着きを取り戻し、引き続き未走路の赤土を駆けるメイン集団の中からはニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタルエネルジー)をアシストするダニエル・オス(イタリア)が飛び出した。しかしこれを元チームメイトのジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)が潰し、再び舗装路に戻ったレースは一塊のまま最終スプリントに持ち込まれた。
残り2kmの直線で主導権を握ったのはボーラ・ハンスグローエ。左からクイックステップ・アルファヴィニル、右からバイクエクスチェンジ・ジェイコのトレインも徐々に先頭に上がっていくが、エースのフルーネウェーヘンがロット・スーダルの選手に接触。遅れたことでチャンスを失ってしまった。
各チームがアシストを使い果たしながらラスト300mの緩い右コーナーをクリアすると、ここまで姿を現さなかったロット・スーダルがジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル)の引きで一気に先頭に。フィニッシュライン100m手前でようやく腰を上げたユアンが、後ろにつくマーティン・ラース(エストニア、ボーラ・ハンスグローエ)とガビリアに寄せ付けることなく両手を挙げた。


今季初勝利、チームとして早くも3勝目を挙げたユアンは「勝利という最良の形でシーズンインすることができた。勝利はもちろん、チームのパフォーマンスが何よりも嬉しい。僕は最後の100mをスプリントするだけだったからね。彼らには本当に感謝している」とコメント。
「出場チームの中でスプリントでは僕らが最も戦力の揃うチームだったのプレッシャーもあったが、新加入のリュディガー・ゼーリッヒとジャラッド・ドリズナーズが素晴らしいリードアウトをしてくれた」と、ユアンは昨年から更に戦力の厚みをましたスプリンターチームへの自信を語った。

翌日はこの日の発着点に程近いタイバ大学から北上し、平坦基調のコースから最後は急勾配の登りフィニッシュするパンチャーに有利な164kmだ。
サウジツアー2022第1ステージ結果
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 4:41:52 |
2位 | マーティン・ラース(エストニア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) | |
5位 | ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタルエネルジー) | |
6位 | フェリックス・ガル(オーストリア、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | シモン・デヘア(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
8位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
9位 | ジェレミー・ルクロック(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
10位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) |
個人総合成績
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 4:41:42 |
2位 | マーティン・ラース(エストニア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:04 |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 0:06 |
4位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:07 |
5位 | マルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) | 0:08 |
6位 | ティム・デクレルク(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 0:09 |
7位 | ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:10 |
8位 | ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタルエネルジー) | |
9位 | フェリックス・ガル(オーストリア、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | シモン・デヘア(ベルギー、アルペシン・フェニックス) |
ポイント賞
1位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) | 15pts |
2位 | マーティン・ラース(エストニア、ボーラ・ハンスグローエ) | 12pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 9pts |
ヤングライダー賞
1位 | マルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) | 4:41:50 |
2位 | フェリックス・ガル(オーストリア、UAEチームエミレーツ) | 0:02 |
3位 | シモン・デヘア(ベルギー、アルペシン・フェニックス) |
チーム総合成績
1位 | ロット・スーダル | 9:23:46 |
2位 | UAEチームエミレーツ | |
3位 | B&Bホテルズ KTM |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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