2021/12/29(水) - 17:24
2021年の国内レースシーンを全3回で振り返るプレーバック2021。第1回は、今年新たにスタートしたジャパンサイクルリーグ(JCL)を振り返る。
宇都宮での開幕2連戦は無事開催 その後はコロナ禍で長らく中止に
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続く中、国内ロードレースシーンも緊急事態宣言の発出具合によって左右されることになった2021年。そんな中、新たに始まることになったのが、「JCLプロロードレースツアー」だ。地域創生をキーワードに据え、ホームタウンを持つ地域密着型チーム9チームが参加して船出を迎えた。
3月27日の開幕戦の舞台となったのは、近年では自転車王国として高い認知度を誇る栃木県の真岡(もおか)市での「真岡芳賀ロードレース」。序盤は3名の逃げ集団とメイン集団という展開で進んだレースは、中盤を過ぎて逃げ集団がキャッチされるとアタック合戦に。終盤になると6名の先頭集団が形成され、その中から最終周に単独で抜け出した宇都宮ブリッツェンの増田成幸が優勝。2位にチームメートの西村大輝が入り、宇都宮ブリッツェンがホームレースでワンツーフィニッシュと好発進した。
第2戦はJBCF(一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟)のJプロツアーでも馴染みがある宇都宮市清原工業団地での「宇都宮清原クリテリウム」。雨の降るバッドコンディションで進むレースはゴールスプリントになり、宇都宮ブリッツェンの小野寺玲が4連覇となる優勝を飾った。
しかし、その後6月に予定されていたツール・ド・熊野は、緊急事態宣言の発出もあり延期(その後中止が決定)に。およそ3ヶ月空白ができることになった。
キナンとブリッツェンの2強を軸に進むシーズン
3ヶ月の中断の後に開催された7月10日の第3戦「広島ロードレース」ではキナンサイクリングチームの強さが際立った。序盤にできた逃げ集団に最多4名の選手を送り込むと、逃げ切りが濃厚になった段階から波状攻撃を開始。新城雄大と山本元喜がそろってワンツーフィニッシュを決めると、続いて山本大喜と畑中勇介が3、4位で続いて上位を独占する結果になった。
翌11日の第4戦「広島クリテリウム」は各チームのエーススプリンター同士が火花を散らすゴールスプリント勝負を制した沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)が創設初年度のチームに初優勝をもたらした。
8月8日に大分県のオートポリスで開催された第5戦でも、終盤に10名にまで絞られた先頭集団に5名を残したキナンサイクリングチームが主導権を握る展開に。残り3周で単独アタックを決めた畑中勇介が2017年の全日本選手権以来となる優勝を飾った。
9月11日と12日には、山口県で第6戦と第7戦が開催され、第6戦の山口ながとクリテリウムでは宇都宮ブリッツェンがワンツースリーフィニッシュを達成し、小坂光がロードレースで初優勝。第7戦秋吉台カルストロードレースでは最後の登坂勝負を制した山本大喜(キナンサイクリングチーム)が勝利を手にし、キナンサイクリングチームと宇都宮ブリッツェンの2強が勝利を分け合う結果になった。
中堅チーム勢が意地を見せた最終3戦
9月後半以降調整が続いていたレーススケジュールは、10月末から11月頭にかけて栃木県で3つのレースが開催されることになった。
10月31日の第8戦「湧水の郷しおやクリテリウム」。スプリント勝負に持ち込まれたレースを制したのは金子大介(那須ブラーゼン)。ホームレースにモチベーション高く臨んだ那須ブラーゼンがうれしいJCL初勝利を挙げた。
11月6日の「大田原ロードレース」は終盤にかけてサバイバルな展開になり、最後は各チームの精鋭11名に絞られた先頭集団での小集団スプリントに。僅差の争いを制した阿曽圭佑(ヴィクトワール広島)が自身初となる優勝。チームもJCL初勝利となった。
最終戦となった第10戦「那須塩原クリテリウム」。決定的な逃げが形成されないまま進んだレースは、終盤に入ってキナンサイクリングチームがペースアップを開始したことで集団がブラッシュアップ。有力チームのみが残ったゴールスプリント勝負は沢田に軍配が上り、今シーズン2勝目を挙げた。
コロナ禍で走り切った1年を糧に、来年さらなる進化を期待
スケジュールに変更が生じ、当初に発表されたレース数よりも少ない開催となったものの、なんとか1年目のシーズンを終えたJCLプロロードレースツアー。まずは1年しっかり走り切ったことは評価できるだろう。また、全レースで質の高いライブ中継を提供し、国内の中継クオリティを一段引き上げた点も同様に評価に値する。
来年は、この中継クオリティを維持したまま、年間を通してレース数をしっかりと確保することを期待したい。また、新型コロナウイルスの感染状況にも左右されるが、有観客開催になった際は会場イベントや出展ブースなどの充実も求められる。今シーズンは数レースしか開催できなかったホビーレースの開催も含め、パッケージとしての完成形が来シーズンに見られることを願いたい。
宇都宮での開幕2連戦は無事開催 その後はコロナ禍で長らく中止に
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続く中、国内ロードレースシーンも緊急事態宣言の発出具合によって左右されることになった2021年。そんな中、新たに始まることになったのが、「JCLプロロードレースツアー」だ。地域創生をキーワードに据え、ホームタウンを持つ地域密着型チーム9チームが参加して船出を迎えた。
3月27日の開幕戦の舞台となったのは、近年では自転車王国として高い認知度を誇る栃木県の真岡(もおか)市での「真岡芳賀ロードレース」。序盤は3名の逃げ集団とメイン集団という展開で進んだレースは、中盤を過ぎて逃げ集団がキャッチされるとアタック合戦に。終盤になると6名の先頭集団が形成され、その中から最終周に単独で抜け出した宇都宮ブリッツェンの増田成幸が優勝。2位にチームメートの西村大輝が入り、宇都宮ブリッツェンがホームレースでワンツーフィニッシュと好発進した。
第2戦はJBCF(一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟)のJプロツアーでも馴染みがある宇都宮市清原工業団地での「宇都宮清原クリテリウム」。雨の降るバッドコンディションで進むレースはゴールスプリントになり、宇都宮ブリッツェンの小野寺玲が4連覇となる優勝を飾った。
しかし、その後6月に予定されていたツール・ド・熊野は、緊急事態宣言の発出もあり延期(その後中止が決定)に。およそ3ヶ月空白ができることになった。
キナンとブリッツェンの2強を軸に進むシーズン
3ヶ月の中断の後に開催された7月10日の第3戦「広島ロードレース」ではキナンサイクリングチームの強さが際立った。序盤にできた逃げ集団に最多4名の選手を送り込むと、逃げ切りが濃厚になった段階から波状攻撃を開始。新城雄大と山本元喜がそろってワンツーフィニッシュを決めると、続いて山本大喜と畑中勇介が3、4位で続いて上位を独占する結果になった。
翌11日の第4戦「広島クリテリウム」は各チームのエーススプリンター同士が火花を散らすゴールスプリント勝負を制した沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)が創設初年度のチームに初優勝をもたらした。
8月8日に大分県のオートポリスで開催された第5戦でも、終盤に10名にまで絞られた先頭集団に5名を残したキナンサイクリングチームが主導権を握る展開に。残り3周で単独アタックを決めた畑中勇介が2017年の全日本選手権以来となる優勝を飾った。
9月11日と12日には、山口県で第6戦と第7戦が開催され、第6戦の山口ながとクリテリウムでは宇都宮ブリッツェンがワンツースリーフィニッシュを達成し、小坂光がロードレースで初優勝。第7戦秋吉台カルストロードレースでは最後の登坂勝負を制した山本大喜(キナンサイクリングチーム)が勝利を手にし、キナンサイクリングチームと宇都宮ブリッツェンの2強が勝利を分け合う結果になった。
中堅チーム勢が意地を見せた最終3戦
9月後半以降調整が続いていたレーススケジュールは、10月末から11月頭にかけて栃木県で3つのレースが開催されることになった。
10月31日の第8戦「湧水の郷しおやクリテリウム」。スプリント勝負に持ち込まれたレースを制したのは金子大介(那須ブラーゼン)。ホームレースにモチベーション高く臨んだ那須ブラーゼンがうれしいJCL初勝利を挙げた。
11月6日の「大田原ロードレース」は終盤にかけてサバイバルな展開になり、最後は各チームの精鋭11名に絞られた先頭集団での小集団スプリントに。僅差の争いを制した阿曽圭佑(ヴィクトワール広島)が自身初となる優勝。チームもJCL初勝利となった。
最終戦となった第10戦「那須塩原クリテリウム」。決定的な逃げが形成されないまま進んだレースは、終盤に入ってキナンサイクリングチームがペースアップを開始したことで集団がブラッシュアップ。有力チームのみが残ったゴールスプリント勝負は沢田に軍配が上り、今シーズン2勝目を挙げた。
コロナ禍で走り切った1年を糧に、来年さらなる進化を期待
スケジュールに変更が生じ、当初に発表されたレース数よりも少ない開催となったものの、なんとか1年目のシーズンを終えたJCLプロロードレースツアー。まずは1年しっかり走り切ったことは評価できるだろう。また、全レースで質の高いライブ中継を提供し、国内の中継クオリティを一段引き上げた点も同様に評価に値する。
来年は、この中継クオリティを維持したまま、年間を通してレース数をしっかりと確保することを期待したい。また、新型コロナウイルスの感染状況にも左右されるが、有観客開催になった際は会場イベントや出展ブースなどの充実も求められる。今シーズンは数レースしか開催できなかったホビーレースの開催も含め、パッケージとしての完成形が来シーズンに見られることを願いたい。
JCLプロロードレースツアー 年間ランキング
1位 | 山本大喜(キナンサイクリングチーム) | 806 |
2位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | 619 |
3位 | 阿曽圭佑(ヴィクトワール広島) | 541 |
4位 | 畑中勇介(キナンサイクリングチーム) | 475 |
5位 | 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) | 453 |
6位 | 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム) | 399 |
U23ランキング
1位 | 宇賀隆貴(チーム右京相模原) | 220 |
2位 | 本多晴飛(VC福岡) | 210 |
3位 | 渡邊諒馬(ヴィクトワール広島) | 78 |
4位 | 宮崎泰史(スパークルおおいたレーシングチーム) | 73 |
5位 | 新開隆人(那須ブラーゼン) | 30 |
6位 | 佐藤宇志(那須ブラーゼン) | 30 |
スプリント賞
1位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | 81 |
2位 | 沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム) | 60 |
3位 | 畑中勇介(キナンサイクリングチーム) | 55 |
山岳賞
1位 | 山本元喜(キナンサイクリングチーム) | 30 |
2位 | 山本大喜(キナンサイクリングチーム) | 23 |
3位 | 宮崎泰史(スパークルおおいたレーシングチーム) | 15 |
チームランキング
1位 | 宇都宮ブリッツェン |
2位 | キナンサイクリングチーム |
3位 | スパークルおおいたレーシングチーム |
text:Nobumichi KOMORI
edit:Satoru Kato
Amazon.co.jp