2010/07/01(木) - 15:00
今年も花形スプリンターたちがゴール前を熱くする。グリーンジャージを意味するマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)はスプリンター最高の栄誉。今年もマイヨヴェールを狙って世界屈指のスプリンターたちが集結する。カヴェンディッシュ(イギリス)vsライバルスプリンターという勢力図は今年も変わらない。
今年で97回目の開催を迎えるツール・ド・フランスには9つの平坦ステージが設定されている。その中で集団スプリント向きと思われるのは、最終日シャンゼリゼを含めて8ステージ。実際のチャンスはそれよりも少ないかも知れない。
昨年ステージ6勝と圧倒的な力を見せた「マン島の超特急」マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)は、今年もレンショー(オーストラリア)を始めとする強力なHTCコロンビアトレインを従えての出場だ。
しかし今年のカヴェンディッシュは波に乗れていない。歯の治療の影響でシーズンインが遅れ、未だに持ち味を発揮出来ないでいる。今シーズンの勝利は、ボルタ・ア・カタルーニャ、ツール・ド・ロマンディ、ツアー・オブ・カリフォルニアでの3勝だけ。暫定シーズン最多勝(12勝)のアンドレ・グライペル(ドイツ)に大きく水をあけられている。
しかも直前のツール・ド・スイス第4ステージではゴール前の斜行で大落車を引き起こしてしまい、その後の態度の悪さからライバルたちを少し敵に回した感がある。このツールで勝負勘と名声を取り戻したいところだ。
昨年はステージ1勝のトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)がステージ6勝のカヴを押しのけてポイント賞トップに輝いた。その秘訣は上位入賞を繰り返したことと、山岳ステージでも積極的にポイントを狙ったこと。第17ステージではマイヨヴェールを着ての単独山岳エスケープまで披露した。
サーヴェロの誤算は、ハウッスラー(ドイツ)が膝の痛みによりツール欠場を決めたこと。チームはフースホフトのマイヨヴェール獲得を優先的に狙ってくるだろう。
今年のジロ・デ・イタリアで唯一複数ステージで優勝を飾ったタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)は、念願のツール初勝利を目指す。若手スプリンターとしてはゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)やエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)の活躍にも期待したい。
出場選手中最もマイヨヴェールの獲得経験(3回)があるのは、38歳の誕生日を迎えたばかりのロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)。全盛期の爆発的なスプリントは影を潜めているが、それでもステージ優勝に絡む走りは健在だ。
ベテランとしては今年ミラノ〜サンレモで3度目の優勝を飾ったオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)や「アレ=ジェット」ことアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)も忘れてはならない。安定したスプリントを見せるホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)は今年もポイント賞上位に絡んでくるはずだ。
序盤のベルギーステージでの活躍が期待されたトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)は、残念ながら膝の故障によって欠場する。
2009年ツールのポイント賞ラインキング(チーム名は当時の所属チーム)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム) 280pts
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)270pts
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム) 148pts
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ) 126pts
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) 122pts
6位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) 119pts
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・スリップストリーム) 110pts
8位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) 104pts
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 101pts
10位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) 89pts
歴代マイヨヴェール受賞者
2009年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2008年 オスカル・フレイレ(スペイン)
2007年 トム・ボーネン(ベルギー)
2006年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2005年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2004年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2003年 バーデン・クック(オーストラリア)
2002年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2001年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2000年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1999年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1998年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1997年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1996年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1993年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1992年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1991年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1990年 オラフ・ルードヴィッヒ(ドイツ)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
今年で97回目の開催を迎えるツール・ド・フランスには9つの平坦ステージが設定されている。その中で集団スプリント向きと思われるのは、最終日シャンゼリゼを含めて8ステージ。実際のチャンスはそれよりも少ないかも知れない。
昨年ステージ6勝と圧倒的な力を見せた「マン島の超特急」マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)は、今年もレンショー(オーストラリア)を始めとする強力なHTCコロンビアトレインを従えての出場だ。
しかし今年のカヴェンディッシュは波に乗れていない。歯の治療の影響でシーズンインが遅れ、未だに持ち味を発揮出来ないでいる。今シーズンの勝利は、ボルタ・ア・カタルーニャ、ツール・ド・ロマンディ、ツアー・オブ・カリフォルニアでの3勝だけ。暫定シーズン最多勝(12勝)のアンドレ・グライペル(ドイツ)に大きく水をあけられている。
しかも直前のツール・ド・スイス第4ステージではゴール前の斜行で大落車を引き起こしてしまい、その後の態度の悪さからライバルたちを少し敵に回した感がある。このツールで勝負勘と名声を取り戻したいところだ。
昨年はステージ1勝のトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)がステージ6勝のカヴを押しのけてポイント賞トップに輝いた。その秘訣は上位入賞を繰り返したことと、山岳ステージでも積極的にポイントを狙ったこと。第17ステージではマイヨヴェールを着ての単独山岳エスケープまで披露した。
サーヴェロの誤算は、ハウッスラー(ドイツ)が膝の痛みによりツール欠場を決めたこと。チームはフースホフトのマイヨヴェール獲得を優先的に狙ってくるだろう。
今年のジロ・デ・イタリアで唯一複数ステージで優勝を飾ったタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)は、念願のツール初勝利を目指す。若手スプリンターとしてはゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)やエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)の活躍にも期待したい。
出場選手中最もマイヨヴェールの獲得経験(3回)があるのは、38歳の誕生日を迎えたばかりのロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)。全盛期の爆発的なスプリントは影を潜めているが、それでもステージ優勝に絡む走りは健在だ。
ベテランとしては今年ミラノ〜サンレモで3度目の優勝を飾ったオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)や「アレ=ジェット」ことアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)も忘れてはならない。安定したスプリントを見せるホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)は今年もポイント賞上位に絡んでくるはずだ。
序盤のベルギーステージでの活躍が期待されたトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)は、残念ながら膝の故障によって欠場する。
2009年ツールのポイント賞ラインキング(チーム名は当時の所属チーム)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム) 280pts
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)270pts
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム) 148pts
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ) 126pts
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) 122pts
6位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) 119pts
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・スリップストリーム) 110pts
8位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) 104pts
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) 101pts
10位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) 89pts
歴代マイヨヴェール受賞者
2009年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2008年 オスカル・フレイレ(スペイン)
2007年 トム・ボーネン(ベルギー)
2006年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2005年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2004年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2003年 バーデン・クック(オーストラリア)
2002年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2001年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2000年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1999年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1998年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1997年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1996年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1993年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1992年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1991年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1990年 オラフ・ルードヴィッヒ(ドイツ)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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