2010/06/28(月) - 10:39
2週間前の全日本選手権タイムトライアルで圧勝した萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)が再び魅せた。ゴールまで80kmを残して独走態勢に持ち込んだ萩原は、他を寄せ付けない走りでゴールまで独走。タイムトライアルと二冠を達成するとともに、念願の日本チャンピオンジャージを手にした。
女子スタート前 photo:Hideaki.TAKAGI2010年6月27日、広島県立中央森林公園サイクリングロードで開催された第13回全日本選手権ロードレース女子。広島空港を取り囲む起伏に富んだ12.3kmの周回コースを7周、合計86.1kmでレースは行なわれた。
前日に行なわれたジュニアやU23のレースを濡らした大雨は、少し勢いを弱めながらも降り続いた。山間部に位置するコースには霧が立ち込め、路面はウェットなコンディション。
女子5周目、萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)が独走 photo:Hideaki.TAKAGIスタートラインに並んだのは46名の選手たち。2008年に引退した沖美穂(全日本11連覇)に代わって昨年日本チャンピオンに輝いた西加南子(LUMINARIA)や、2週間前の全日本選手権タイムトライアルで優勝した萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)、MTBクロスカントリーで好成績を残し、ロードレースでも存在感を見せる片山梨絵(SPECIALIZED)らが最前列に。小雨が降る中、朝8時にスタートが切られた。
周回コースの最大の勝負どころとなるのは、後半に登場する展望所に向かう上り(三段坂)だ。高低差100mほどのこの上りで、1周目から萩原が動いた。
エリート女子の集団で走るジュニア女子カテゴリートップの福本千佳(ReadyGoJapan) photo:Makoto.AYANO人数を減らした集団からアタックを仕掛けて飛び出した萩原。レース後、萩原はこう振り返る。「フェイントのように飛び出したら誰も付いてこなかったんです。昨年、自分を信じることができず、不甲斐ない結果になりましたが、今日は自分に自信があったのでそのまま行こうと思いました」。
独走態勢に入った萩原は、順調に後続とのタイムを広げて行く。周回を重ねる度にタイム差は1分、2分、3分と拡大。そんな中、優勝候補の一角である森田正美(チームブリヂストン・アンカー)が落車で後退し、追走中のパンクも影響して戦線から脱落してしまう。
女子、片山梨絵(SPECIALIZED)らメイン集団 photo:Hideaki.TAKAGIまとまってメイン集団を牽引するチームはおらず、萩原独走のままレース終盤へ。タイム差は3分を推移していたが、ゴールまで2周回を切るとメイン集団が活発化。萩原の唯一のチームメイトである牧瀬翼はライバルたちをマークし、アタックを封じ込める動きを見せた。
ゴールまで1周半を残して、展望所に至る上りで片山、西、明珍裕子(朝日大学)がアタックを成功させ、牧は堪らず千切れてしまう。片山、西、明珍の3名は萩原から1分28秒遅れで最終周回に突入した。
女子、優勝の萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) photo:Hideaki.TAKAGI牧は何とか片山率いる追走グループに合流し、逆にここから明珍が脱落。ハイペースで萩原を追い上げる追走3名。しかし萩原のペースは最後まで崩れず、後続を30秒以上引き離したままゴールへ。80kmに渡る独走を成功させた萩原が両手を大きく広げ、観客が詰めかけたゴールに飛び込んだ。
2週間前の全日本選手権タイムトライアルで3連覇を達成した萩原。ロードレースでは2006年に2位、2008年に3位という成績を残している。これが初めての全日本選手権ロードレース優勝だ。
女子表彰 photo:Hideaki.TAKAGI「逃げながら最後脚が攣ってしまったので、追いかけてくる選手がいたら危なかったです。今日は勝てたけれど、満足はしていません。また練習してもっと強くなりたいと思います」。
萩原から37秒遅れの追走グループは、ディフェンディングチャンピオンの西を先頭にゴール。片山が2年連続3位に入った。萩原のチームメイト牧瀬は4位でレースを終えている。
同時スタートのジュニア女子は、対象選手の中で唯一エリート選手と渡り合う走りを見せた福本千佳(Ready Go JAPAN)が優勝。青木志都加(北桑田高校)が2位、中村友香(奈良北高校)が3位に入った。
全日本選手権ロードレース2010エリート女子結果
1位 萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) 2h34'18"
2位 西加南子(LUMINARIA) +37"
3位 片山梨絵(SPECIALIZED) +38"
4位 牧瀬翼(サイクルベースあさひレーシング) +40"
5位 明珍裕子(朝日大学) +1'42"
6位 高橋奈美(SEKIみちのく) +2'24"
7位 上野みなみ(鹿屋体育大学) +3'18"
8位 金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形) +3'30"
9位 森本朱美(スミタ・ラバネロ) +6'11"
10位 豊岡英子(パナソニック・レディース) +8'41"
11位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ) +9'05"
12位 福本千佳(Ready Go JAPAN) +10'23"
13位 木村亜美(鹿屋体育大学) +11'20"
14位 井上玲美(チームフォーカス) +12'47"
15位 堀記理子(クラブシルベスト) +16'35"
16位 智野真央(MUUR ZERO) +16'38"
17位 米田和美(Ready Go JAPAN)
18位 志村みち子(ラヴニールあずみの) +16'44"
19位 加瀬加奈子(新潟県) +18'11"
20位 青木志都加(北桑田高校) +18'40"
21位 中村友香(奈良北高校) +24'49"
22位 唐見実世子(MUUR ZERO) +26'11"
text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji, Hideaki Takagi, Makoto Ayano
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前日に行なわれたジュニアやU23のレースを濡らした大雨は、少し勢いを弱めながらも降り続いた。山間部に位置するコースには霧が立ち込め、路面はウェットなコンディション。
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周回コースの最大の勝負どころとなるのは、後半に登場する展望所に向かう上り(三段坂)だ。高低差100mほどのこの上りで、1周目から萩原が動いた。
独走態勢に入った萩原は、順調に後続とのタイムを広げて行く。周回を重ねる度にタイム差は1分、2分、3分と拡大。そんな中、優勝候補の一角である森田正美(チームブリヂストン・アンカー)が落車で後退し、追走中のパンクも影響して戦線から脱落してしまう。
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ゴールまで1周半を残して、展望所に至る上りで片山、西、明珍裕子(朝日大学)がアタックを成功させ、牧は堪らず千切れてしまう。片山、西、明珍の3名は萩原から1分28秒遅れで最終周回に突入した。
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2週間前の全日本選手権タイムトライアルで3連覇を達成した萩原。ロードレースでは2006年に2位、2008年に3位という成績を残している。これが初めての全日本選手権ロードレース優勝だ。
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萩原から37秒遅れの追走グループは、ディフェンディングチャンピオンの西を先頭にゴール。片山が2年連続3位に入った。萩原のチームメイト牧瀬は4位でレースを終えている。
同時スタートのジュニア女子は、対象選手の中で唯一エリート選手と渡り合う走りを見せた福本千佳(Ready Go JAPAN)が優勝。青木志都加(北桑田高校)が2位、中村友香(奈良北高校)が3位に入った。
全日本選手権ロードレース2010エリート女子結果
1位 萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング) 2h34'18"
2位 西加南子(LUMINARIA) +37"
3位 片山梨絵(SPECIALIZED) +38"
4位 牧瀬翼(サイクルベースあさひレーシング) +40"
5位 明珍裕子(朝日大学) +1'42"
6位 高橋奈美(SEKIみちのく) +2'24"
7位 上野みなみ(鹿屋体育大学) +3'18"
8位 金子広美(イナーメ・アイランド信濃山形) +3'30"
9位 森本朱美(スミタ・ラバネロ) +6'11"
10位 豊岡英子(パナソニック・レディース) +8'41"
11位 星川恵利奈(湘南ベルマーレ) +9'05"
12位 福本千佳(Ready Go JAPAN) +10'23"
13位 木村亜美(鹿屋体育大学) +11'20"
14位 井上玲美(チームフォーカス) +12'47"
15位 堀記理子(クラブシルベスト) +16'35"
16位 智野真央(MUUR ZERO) +16'38"
17位 米田和美(Ready Go JAPAN)
18位 志村みち子(ラヴニールあずみの) +16'44"
19位 加瀬加奈子(新潟県) +18'11"
20位 青木志都加(北桑田高校) +18'40"
21位 中村友香(奈良北高校) +24'49"
22位 唐見実世子(MUUR ZERO) +26'11"
text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji, Hideaki Takagi, Makoto Ayano
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