2021/11/13(土) - 21:07
2年ぶりに野辺山、滝沢牧場に戻ってきたカウベルの音。ドライコンディションの高速レースで、沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)との一騎打ちを、渡部春雅(明治大学)が独走でレースを制した。
女子エリート:渡部春雅が圧倒的な力で独走勝利
名物の泥は姿を消し、代わりに土ほこり舞うドライコンディション下で開催された「Rapha弱虫ペダル スーパークロス野辺山」。コロナ禍での中止を挟み、2年ぶりに八ヶ岳山麓の標高1375m地点にある滝沢牧場にカウベルの音が帰ってきた。
午前中の一般カテゴリーを終え、30分間の試走時間を挟み13時ちょうどに号砲が鳴らされたエリート女子レース。これまで野辺山シクロクロスをはじめ日本オフロード界で覇権を握ってきた今井美穂がトップレースから退いた今、渡部春雅(明治大学)や中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)など、次代を担う若手選手たちの走りに注目が集まった。
スタートこそ失敗するも、その後すぐリードを奪ったのは渡部だった。「(パンクで3位に終わった)先週の幕張クロスの悔しさを晴らそうとスタート直後から踏みました。今日はスピードコースなのでガンガン攻めようと思った」と振り返る渡部は、1周回目の序盤戦で先頭に立ち、そのまま5秒、10秒とリードを積み重ねていった。
渡部の後ろを単独で矢吹優夏(B.B.Q)が追い、「テクニック面で弱いので踏めるところで踏もうと心がけた」と言う福田咲絵(AX cyclocross team)が後半に入って矢吹をキャッチ。元CX全日本チャンピオンであり、現在はMTB、シクロクロス、ロードと幅広い活動を行う松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)、中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)がその後方に続いた。
「後ろとの差をコーナーごとに確認し、コース外から教えてもらうタイム差を参考にしながら走った」と言う渡部は、パワフルかつ安定した走りを最後まで貫き、そのまま勝利。10月の開幕戦に続くJCXシリーズ今季2勝目を野辺山で上げると共に、目標としているシクロクロス世界選手権出場に向けて弾みをつけた。
福田と矢吹による2番手争いは「幕張では力を使いすぎてしまったので、今日は力を溜めて最後に思いきり踏み(相手の)気持ちを折ろうとした」と言う福田が、狙い通り最終周回のアスファルト登りで矢吹を振り落として先着。勝負に敗れたものの、「野辺山で表彰台に登る目標を叶えたので嬉しい」と笑顔を見せる矢吹が3位表彰台を獲得。MTBクロスカントリーを主戦場にする(シクロクロスは今季よりスタート)矢吹は2日目は出場せず、来週に迫ったMTB全日本選手権に向けて準備をするという。
男子エリート:沢田時が織田聖との一騎打ちを制する
八ヶ岳から冷たい風が吹き降ろす14時10分にスタートしたカテゴリー1に出走したのは90人弱。集団内で頻発する落車を尻目にホールショットを奪ったのは、2017年にこの会場で開催された全日本選手権を制した小坂光(宇都宮ブリッツェン)。しかしすぐさま、現在国内CX界をリードする沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭を奪い取った。
パワーに秀でる沢田と織田は、ドライコンディションのコースでぐいぐいスピードを上げ、食い下がる小坂との距離を広げ続ける。全10周回という野辺山史上屈指のハイスピードゆえ、最終的に完走人数17人というサバイバルレースが繰り広げられた。
先頭グループを形成した沢田と織田は、互いにペースアップとチェック、そして互いの得手不得手箇所を見極める心理戦を繰り広げながら突き進む。織田はコース再奥部の溝を飛び越える「キャニオン」やコーナーの立ち上がりで逐一加速するも、その度に安定感ある走りで沢田が食らいつく周回が続いた。
「これはラスト2周、あるいはゴールスプリントまでもつれるだろうと思いました。ただ先週(MTB全日本選手権)XCCを走り勝負勘は残っていたので自信はありました」と、後半戦の織田のアタックを封じ込め続けた沢田は言う。勝負の波を徐々に引き寄せ、最終周回に入って「あの場所で少し差が生まれるのは分かっていた」と振り返るキャンプ場のテクニカルコーナー区間で数秒のリードを得る。「(滑りやすいコーナーで)足をついてしまったのが痛かった」と悔やむ織田を、後に続く最後の舗装路区間で振り払った沢田。後方を何度も何度も確認し、両手を振り上げてフィニッシュラインを駆け抜けた。
「本当は(織田の)後ろを取ろうと思っていたけれど、聖が後ろ狙いだったのでそれなら先行してやろうと。どこで抜かれるか、どこで抜き返せるかずっと考えていた」と振り返る沢田にとって、今回が野辺山シクロクロス初優勝。現シクロクロス全日本王者であり、先週XCC全日本王者に輝いたばかりの沢田が16歳から出場を続けていた野辺山でついに勝ち星を収めた。
「最後はスプリントを狙っていましたが、その前で差がついてしまった」と悔やむ織田、UCIレースとなる明日日曜日でのリベンジを狙う。「今日は牽制とアタックを続ける展開でしたが、明日はUCIなので積極的に走りたい」とその鼻息は荒い。
「二人が強いのは分かっていましたが、JCX開幕戦での大差を縮めることができました。明日はよりメンバーも濃くなるはずですので、競合いながらしっかり良いレースをし、全日本選手権で彼らと勝負できるまでコンディションを整えたい」と、長い単独走の末3位表彰台に滑り込んだ小坂は言う。4位には村上裕二郎(明治大学)が入り、最後尾スタートから追い上げ続け、後半戦で弟の裕二郎と4番手パックを組んだ村上功太郎(松山大学)が5位となった。
女子エリート:渡部春雅が圧倒的な力で独走勝利
名物の泥は姿を消し、代わりに土ほこり舞うドライコンディション下で開催された「Rapha弱虫ペダル スーパークロス野辺山」。コロナ禍での中止を挟み、2年ぶりに八ヶ岳山麓の標高1375m地点にある滝沢牧場にカウベルの音が帰ってきた。
午前中の一般カテゴリーを終え、30分間の試走時間を挟み13時ちょうどに号砲が鳴らされたエリート女子レース。これまで野辺山シクロクロスをはじめ日本オフロード界で覇権を握ってきた今井美穂がトップレースから退いた今、渡部春雅(明治大学)や中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)など、次代を担う若手選手たちの走りに注目が集まった。
スタートこそ失敗するも、その後すぐリードを奪ったのは渡部だった。「(パンクで3位に終わった)先週の幕張クロスの悔しさを晴らそうとスタート直後から踏みました。今日はスピードコースなのでガンガン攻めようと思った」と振り返る渡部は、1周回目の序盤戦で先頭に立ち、そのまま5秒、10秒とリードを積み重ねていった。
渡部の後ろを単独で矢吹優夏(B.B.Q)が追い、「テクニック面で弱いので踏めるところで踏もうと心がけた」と言う福田咲絵(AX cyclocross team)が後半に入って矢吹をキャッチ。元CX全日本チャンピオンであり、現在はMTB、シクロクロス、ロードと幅広い活動を行う松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)、中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)がその後方に続いた。
「後ろとの差をコーナーごとに確認し、コース外から教えてもらうタイム差を参考にしながら走った」と言う渡部は、パワフルかつ安定した走りを最後まで貫き、そのまま勝利。10月の開幕戦に続くJCXシリーズ今季2勝目を野辺山で上げると共に、目標としているシクロクロス世界選手権出場に向けて弾みをつけた。
福田と矢吹による2番手争いは「幕張では力を使いすぎてしまったので、今日は力を溜めて最後に思いきり踏み(相手の)気持ちを折ろうとした」と言う福田が、狙い通り最終周回のアスファルト登りで矢吹を振り落として先着。勝負に敗れたものの、「野辺山で表彰台に登る目標を叶えたので嬉しい」と笑顔を見せる矢吹が3位表彰台を獲得。MTBクロスカントリーを主戦場にする(シクロクロスは今季よりスタート)矢吹は2日目は出場せず、来週に迫ったMTB全日本選手権に向けて準備をするという。
男子エリート:沢田時が織田聖との一騎打ちを制する
八ヶ岳から冷たい風が吹き降ろす14時10分にスタートしたカテゴリー1に出走したのは90人弱。集団内で頻発する落車を尻目にホールショットを奪ったのは、2017年にこの会場で開催された全日本選手権を制した小坂光(宇都宮ブリッツェン)。しかしすぐさま、現在国内CX界をリードする沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭を奪い取った。
パワーに秀でる沢田と織田は、ドライコンディションのコースでぐいぐいスピードを上げ、食い下がる小坂との距離を広げ続ける。全10周回という野辺山史上屈指のハイスピードゆえ、最終的に完走人数17人というサバイバルレースが繰り広げられた。
先頭グループを形成した沢田と織田は、互いにペースアップとチェック、そして互いの得手不得手箇所を見極める心理戦を繰り広げながら突き進む。織田はコース再奥部の溝を飛び越える「キャニオン」やコーナーの立ち上がりで逐一加速するも、その度に安定感ある走りで沢田が食らいつく周回が続いた。
「これはラスト2周、あるいはゴールスプリントまでもつれるだろうと思いました。ただ先週(MTB全日本選手権)XCCを走り勝負勘は残っていたので自信はありました」と、後半戦の織田のアタックを封じ込め続けた沢田は言う。勝負の波を徐々に引き寄せ、最終周回に入って「あの場所で少し差が生まれるのは分かっていた」と振り返るキャンプ場のテクニカルコーナー区間で数秒のリードを得る。「(滑りやすいコーナーで)足をついてしまったのが痛かった」と悔やむ織田を、後に続く最後の舗装路区間で振り払った沢田。後方を何度も何度も確認し、両手を振り上げてフィニッシュラインを駆け抜けた。
「本当は(織田の)後ろを取ろうと思っていたけれど、聖が後ろ狙いだったのでそれなら先行してやろうと。どこで抜かれるか、どこで抜き返せるかずっと考えていた」と振り返る沢田にとって、今回が野辺山シクロクロス初優勝。現シクロクロス全日本王者であり、先週XCC全日本王者に輝いたばかりの沢田が16歳から出場を続けていた野辺山でついに勝ち星を収めた。
「最後はスプリントを狙っていましたが、その前で差がついてしまった」と悔やむ織田、UCIレースとなる明日日曜日でのリベンジを狙う。「今日は牽制とアタックを続ける展開でしたが、明日はUCIなので積極的に走りたい」とその鼻息は荒い。
「二人が強いのは分かっていましたが、JCX開幕戦での大差を縮めることができました。明日はよりメンバーも濃くなるはずですので、競合いながらしっかり良いレースをし、全日本選手権で彼らと勝負できるまでコンディションを整えたい」と、長い単独走の末3位表彰台に滑り込んだ小坂は言う。4位には村上裕二郎(明治大学)が入り、最後尾スタートから追い上げ続け、後半戦で弟の裕二郎と4番手パックを組んだ村上功太郎(松山大学)が5位となった。
エリート男子レース結果
1位 | 沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) |
2位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) |
3位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) |
4位 | 村上裕二郎(明治大学) |
5位 | 村上功太郎(松山大学) |
6位 | 加藤健悟(臼杵レーシング) |
7位 | 松本一成(RIDE MASHUN SPECIALIZED) |
8位 | 中村龍吉(acs-power RACING TEAM) |
9位 | 比護任 |
10位 | 舟山祥弘(AKIRUNO-Cycling Academy Project) |
エリート女子レース結果
1位 | 渡部春雅(明治大学) | 42:52 |
2位 | 福田咲絵(AX cyclocross team) | 0:26 |
3位 | 矢吹優夏(B.B.Q) | 0:33 |
4位 | 松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED) | 1:58 |
5位 | 中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 2:08 |
6位 | 西形舞(TRC PANAMAREDS) | 3:27 |
7位 | 林口幸恵(LiveGARDEN bicistelle) | 3:38 |
8位 | 川崎路子(PAXPROJECT) | 3:52 |
9位 | 平田千枝(Club La.sista Offroad Team) | 3:58 |
10位 | 鵜飼知春(andmore) | 4:36 |
text:So Isobe
photo:Makoto AYANO
photo:Makoto AYANO
Amazon.co.jp
CANNONDALE(キャノンデール) HDロック バイロ 120 ワイヤーロック [ブラック 4D(4mmダブル)×1200mm] CP1270U10OS
CANNONDALE(キャノンデール)
¥4,290