無数の丘が続く第7ステージで5名による逃げ切り決まる。レース巧者のイヴ・ランパールト(ベルギー)がスプリントを制し、イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が総合首位のまま最終日を迎えることに。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)に声援を送る観客 photo:CorVos
ツアー・オブ・ブリテン2021コースプロフィール photo:www.tourofbritain.co.uk連日総合上位陣による争いが続く第17回ツアー・オブ・ブリテンも残り2日。スコットランドのホーイックをスタートし、首都エディンバラまで丘陵地帯を縫うように走る第7ステージは、無数のアップダウンによって獲得標高が2500mまで達するクラシックさながらのレイアウトだ。
序盤から積極的に仕掛けたダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)をきっかけに、チームメイトのイヴ・ランパールト(ベルギー)やマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)、パスカル・エーンコーン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)など強力な7名の逃げが形成された。最も総合タイムの良いジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)でも3分42秒遅れだったため、総合首位を擁するイネオス・グレナディアーズが連日の争いに休戦を告げるスローなテンポでメイン集団を牽引した。
ベルギー個人TT王者のランパールトを中心に、逃げ集団は最大8分差までリードを広げならがらカテゴリー山岳やスプリントポイントを通過していく。するとリーダーチームのペースメイクに異議を唱えたアルペシン・フェニックスが、残り35kmからメイン集団の先頭で追走のテンポを上げた。
最大8差で逃げた5名 photo:CorVos
曇り空のなか丘陵地帯を進んでいく photo:CorVos
MTB世界選手権でショートトラックのアルカンシエルを含む、メダル3つを獲得したクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ)とニコラウが遅れ5名になった逃げ集団は、フィニッシュまで20kmを過ぎてもプロトンと4分以上のタイム差をキープ。集団スプリントに持ち込みたいスイスナショナルチャンピオンのシルヴァン・ディリエ(アルペシン・フェニックス)にカハルラル・セグロスRGAやイスラエル・スタートアップネイションが加勢しながら追うものの、その努力が実ることはなかった。
2分45秒差で残り9kmを過ぎた逃げ集団から、ランパールトのアタックによって協調体制が崩される。この動きに22歳のヨルゲンソンが食らいつき、追走からマシュー・ギブソン(イギリス、リビル・ウェルドタイトプロサイクリング)が合流に成功。ステージ優勝の行方はこの3名に絞られた。
ギブソンの先頭固定でラスト1km地点を通過し、お互いの様子を伺いながら残り300mからランパールトがスプリントを開始する。反応が半拍ほど遅れたギブソンと、190cmの長い体躯を揺らし加速するヨルゲンソンを抑え込み、レース巧者のランパールトが先頭でフィニッシュ。今年2勝目を飾るとともに、チームにシーズン55勝目をもたらした。
並走するファンにボトルを渡すパスカル・エーンコーン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
生まれたばかりの息子に勝利を捧げるイヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
生後1ヶ月になる息子アロイス君に捧げるおしゃぶりポーズでフィニッシュしたランパールトは、「今年はチームのために走ることが多かったので、勝利できて本当に嬉しい。風が強くて道が狭く、登りが多く平坦区間のない厳しく長いステージだった。ダヴィデ(バッレリーニ)の存在は大きく、3人になった最後はみんな全力だった。冷静な状態から少し早目の残り200mでスプリントを開始して勝利を決めた」と語った。
トップから1分51秒遅れでフィニッシュにやってきたメイン集団は、リーダージャージを着用するイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が先着。「明日は多くのチームが勝利を狙う集団スプリントになりそうだ。そのためワウト(ファンアールト)とのスプリント勝負になるだろう。ステージ優勝を目指して頑張りたい」と、総合優勝のかかる最終日へ意気込んでいる。
トップから1分51秒遅れでフィニッシュしたイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
チームメイトの勝利を祝福するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos


序盤から積極的に仕掛けたダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)をきっかけに、チームメイトのイヴ・ランパールト(ベルギー)やマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)、パスカル・エーンコーン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)など強力な7名の逃げが形成された。最も総合タイムの良いジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)でも3分42秒遅れだったため、総合首位を擁するイネオス・グレナディアーズが連日の争いに休戦を告げるスローなテンポでメイン集団を牽引した。
ベルギー個人TT王者のランパールトを中心に、逃げ集団は最大8分差までリードを広げならがらカテゴリー山岳やスプリントポイントを通過していく。するとリーダーチームのペースメイクに異議を唱えたアルペシン・フェニックスが、残り35kmからメイン集団の先頭で追走のテンポを上げた。


MTB世界選手権でショートトラックのアルカンシエルを含む、メダル3つを獲得したクリストファー・ブレヴィンス(アメリカ)とニコラウが遅れ5名になった逃げ集団は、フィニッシュまで20kmを過ぎてもプロトンと4分以上のタイム差をキープ。集団スプリントに持ち込みたいスイスナショナルチャンピオンのシルヴァン・ディリエ(アルペシン・フェニックス)にカハルラル・セグロスRGAやイスラエル・スタートアップネイションが加勢しながら追うものの、その努力が実ることはなかった。
2分45秒差で残り9kmを過ぎた逃げ集団から、ランパールトのアタックによって協調体制が崩される。この動きに22歳のヨルゲンソンが食らいつき、追走からマシュー・ギブソン(イギリス、リビル・ウェルドタイトプロサイクリング)が合流に成功。ステージ優勝の行方はこの3名に絞られた。
ギブソンの先頭固定でラスト1km地点を通過し、お互いの様子を伺いながら残り300mからランパールトがスプリントを開始する。反応が半拍ほど遅れたギブソンと、190cmの長い体躯を揺らし加速するヨルゲンソンを抑え込み、レース巧者のランパールトが先頭でフィニッシュ。今年2勝目を飾るとともに、チームにシーズン55勝目をもたらした。


生後1ヶ月になる息子アロイス君に捧げるおしゃぶりポーズでフィニッシュしたランパールトは、「今年はチームのために走ることが多かったので、勝利できて本当に嬉しい。風が強くて道が狭く、登りが多く平坦区間のない厳しく長いステージだった。ダヴィデ(バッレリーニ)の存在は大きく、3人になった最後はみんな全力だった。冷静な状態から少し早目の残り200mでスプリントを開始して勝利を決めた」と語った。
トップから1分51秒遅れでフィニッシュにやってきたメイン集団は、リーダージャージを着用するイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が先着。「明日は多くのチームが勝利を狙う集団スプリントになりそうだ。そのためワウト(ファンアールト)とのスプリント勝負になるだろう。ステージ優勝を目指して頑張りたい」と、総合優勝のかかる最終日へ意気込んでいる。


ツアー・オブ・ブリテン2021第7ステージ結果
1位 | イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 4:35:56 |
2位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) | |
3位 | マシュー・ギブソン(イギリス、リビル・ウェルドタイトプロサイクリング) | |
4位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:35 |
5位 | パスカル・エーンコーン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:41 |
6位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:51 |
7位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | |
8位 | マックス・カンター(ドイツ、チームDSM) | |
9位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス) |
個人総合成績
1位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 22:53:32 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:04 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:21 |
4位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:35 |
5位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 0:54 |
6位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 1:08 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション) | 1:10 |
8位 | クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、アルペシン・フェニックス) | 1:37 |
9位 | マーク・ドノヴァン(イギリス、チームDSM) | 1:58 |
10位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 2:01 |
その他の特別賞
ポイント賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
山岳賞 | ジェイコブ・スコット(イギリス、キャニオンDHBサンゴッド) |
チーム総合成績 | ドゥクーニンク・クイックステップ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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