2021/08/28(土) - 07:30
ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージは久々の大集団スプリントに。今大会最速スプリンターであるファビオ・ヤコブセンの失速によって急遽エースを担うことになったリードアウト役のフロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がグランツール初勝利を飾った。
8月27日(金)第13ステージ
ベルメス〜ビリャヌエバ・デ・ラ・セレナ 203.7km
ベルメスからビリャヌエバ・デ・ラ・セレナまで北上する第13ステージの全長は今大会最長となる203.7km。その距離の長さに反して獲得標高差は1,417mしかなく、しかも後半にかけてフルフラットなレイアウトのため、ピュアスプリンターに再びチャンスが回ってきた。
翌日のスタート地点であるドン・ベニトでスプリントポイント(残り11km地点)を争ってから、その17分後にはステージ優勝を決める集団スプリントが繰り広げられる。スプリンターにはポイント量産のチャンスだが、あまりにも2つのスプリントの距離が近いのが気になるところ。連日のハイスピードな展開と暑さが最後の勝負に影響することになった。
スペインのUCIプロチーム御三家、ブルゴスBH、カハルラル・セグロスRGA、エウスカルテル・エウスカディの3チームがこの日も逃げにスペイン人選手を送り込んだ。気温35度程度の大地を2分強のリードで逃げたスパニッシュトリオ。メイン集団ではドゥクーニンク・クイックステップやグルパマFDJ、チームDSMがローテーションに人数を割いてタイム差を監視した。
逃げグループを形成した3名
ディエゴ・ルビオ(スペイン、ブルゴスBH)
アルバロ・クアドロス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ルイス・マテ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
横風&追い風が吹く残り60km地点で集団分断作戦が敢行され、一時的にメイン集団がエシュロンを形成して割れるシーンも見られたが、壊滅的なダメージを与えることなく集団は一つに戻る。スピードの上がったメイン集団はアクセルを緩めることなく残り29km地点で逃げを吸収。スプリントポイントを争うことなく先頭通過したマイヨプントスのファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が20ポイントを手にしている。
集団先頭を陣取るチームDSMやアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの後ろでタイミングを見計らったドゥクーニンク・クイックステップが残り5km地点でリードアウトをスタートさせた。ヤコブセンのために完全に主導権を握り、コーナーやラウンドアバウトが連続するビリャヌエバ・デ・ラ・セレナの街中を駆け抜ける。すると、残り5km地点からフィニッシュラインまで平均スピード59.6km/hで猛進したメイン集団では中切れが発生。先頭集団は約12名に絞られた。
ステージ3勝目に向けて順調に駒を進めたヤコブセンだったが、コーナーの出口で前走者との距離が開きがちに。すると残り2km地点を前に突如失速してしまう。「完璧なリードアウトだったけど、脚は乳酸でいっぱいだった。残り2kmの手前でそのことを認識し、フロリアン(セネシャル)に『スプリントで狙うんだ!』と告げたんだ」とヤコブセンは告白する。
こうして突如ドゥクーニンク・クイックステップはリードアウト役セネシャルでスプリントを狙う作戦に切り替えた。ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー)に牽引されたセネシャルは、ロングスプリントを仕掛けたアレクサンダー・クリーガー(ドイツ、アルペシン・フェニックス)に反応し、勾配2%ほどの最終ストレートでマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)と肩を突き合わせてスプリント。ヤコブセンの代理をしっかりと勤め上げたセネシャルがトレンティンを振り切った。
「ファビオが無線を通してパンクかメカトラだと告げてきたので作戦を変更した。ベルト・ファンレルベルフの後ろでタイミングを待ち、残り100mを全開でスプリントしたんだ。デマールやマシューズに追い抜かれるんじゃないかと思ったけど、誰も追いついてこなかった。家族や友人、妻に良いプレゼントになったよ」。ここまでのステージでヤコブセンのリードアウト役を務めてきたセネシャルがグランツール初勝利。2019年パリ〜ルーベで6位、2020年ヘント〜ウェヴェルヘムで2位、そして2021年E3サクソバンク・クラシックで2位、ロンド・ファン・フラーンデレンで9位の成績を残す28歳のクラシックレーサーがベルギーチームに今シーズン52勝目をもたらした。
ヤコブセンは勝負に絡めなかったもののスプリントポイントで稼いだ20ポイントによりポイント賞のリード拡大に成功。ピュアスプリンターには今大会チャンスがあと2回(第16ステージと第19ステージ)残されている。
中切れによって総合上位陣が11秒遅れでフィニッシュする中、6秒遅れのステージ10位に入ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)がライバルたちからタイム差5秒を奪うことに成功した。マイヨロホを着用するオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)がギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)から58秒、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)から1分56秒のリードをもって翌日の1級山岳ピコ・ビリュエルカス山頂フィニッシュに挑むことになった。
8月27日(金)第13ステージ
ベルメス〜ビリャヌエバ・デ・ラ・セレナ 203.7km
ベルメスからビリャヌエバ・デ・ラ・セレナまで北上する第13ステージの全長は今大会最長となる203.7km。その距離の長さに反して獲得標高差は1,417mしかなく、しかも後半にかけてフルフラットなレイアウトのため、ピュアスプリンターに再びチャンスが回ってきた。
翌日のスタート地点であるドン・ベニトでスプリントポイント(残り11km地点)を争ってから、その17分後にはステージ優勝を決める集団スプリントが繰り広げられる。スプリンターにはポイント量産のチャンスだが、あまりにも2つのスプリントの距離が近いのが気になるところ。連日のハイスピードな展開と暑さが最後の勝負に影響することになった。
スペインのUCIプロチーム御三家、ブルゴスBH、カハルラル・セグロスRGA、エウスカルテル・エウスカディの3チームがこの日も逃げにスペイン人選手を送り込んだ。気温35度程度の大地を2分強のリードで逃げたスパニッシュトリオ。メイン集団ではドゥクーニンク・クイックステップやグルパマFDJ、チームDSMがローテーションに人数を割いてタイム差を監視した。
逃げグループを形成した3名
ディエゴ・ルビオ(スペイン、ブルゴスBH)
アルバロ・クアドロス(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ルイス・マテ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
横風&追い風が吹く残り60km地点で集団分断作戦が敢行され、一時的にメイン集団がエシュロンを形成して割れるシーンも見られたが、壊滅的なダメージを与えることなく集団は一つに戻る。スピードの上がったメイン集団はアクセルを緩めることなく残り29km地点で逃げを吸収。スプリントポイントを争うことなく先頭通過したマイヨプントスのファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が20ポイントを手にしている。
集団先頭を陣取るチームDSMやアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの後ろでタイミングを見計らったドゥクーニンク・クイックステップが残り5km地点でリードアウトをスタートさせた。ヤコブセンのために完全に主導権を握り、コーナーやラウンドアバウトが連続するビリャヌエバ・デ・ラ・セレナの街中を駆け抜ける。すると、残り5km地点からフィニッシュラインまで平均スピード59.6km/hで猛進したメイン集団では中切れが発生。先頭集団は約12名に絞られた。
ステージ3勝目に向けて順調に駒を進めたヤコブセンだったが、コーナーの出口で前走者との距離が開きがちに。すると残り2km地点を前に突如失速してしまう。「完璧なリードアウトだったけど、脚は乳酸でいっぱいだった。残り2kmの手前でそのことを認識し、フロリアン(セネシャル)に『スプリントで狙うんだ!』と告げたんだ」とヤコブセンは告白する。
こうして突如ドゥクーニンク・クイックステップはリードアウト役セネシャルでスプリントを狙う作戦に切り替えた。ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー)に牽引されたセネシャルは、ロングスプリントを仕掛けたアレクサンダー・クリーガー(ドイツ、アルペシン・フェニックス)に反応し、勾配2%ほどの最終ストレートでマッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)と肩を突き合わせてスプリント。ヤコブセンの代理をしっかりと勤め上げたセネシャルがトレンティンを振り切った。
「ファビオが無線を通してパンクかメカトラだと告げてきたので作戦を変更した。ベルト・ファンレルベルフの後ろでタイミングを待ち、残り100mを全開でスプリントしたんだ。デマールやマシューズに追い抜かれるんじゃないかと思ったけど、誰も追いついてこなかった。家族や友人、妻に良いプレゼントになったよ」。ここまでのステージでヤコブセンのリードアウト役を務めてきたセネシャルがグランツール初勝利。2019年パリ〜ルーベで6位、2020年ヘント〜ウェヴェルヘムで2位、そして2021年E3サクソバンク・クラシックで2位、ロンド・ファン・フラーンデレンで9位の成績を残す28歳のクラシックレーサーがベルギーチームに今シーズン52勝目をもたらした。
ヤコブセンは勝負に絡めなかったもののスプリントポイントで稼いだ20ポイントによりポイント賞のリード拡大に成功。ピュアスプリンターには今大会チャンスがあと2回(第16ステージと第19ステージ)残されている。
中切れによって総合上位陣が11秒遅れでフィニッシュする中、6秒遅れのステージ10位に入ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)がライバルたちからタイム差5秒を奪うことに成功した。マイヨロホを着用するオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ)がギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)から58秒、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)から1分56秒のリードをもって翌日の1級山岳ピコ・ビリュエルカス山頂フィニッシュに挑むことになった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第13ステージ結果
1位 | フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 4:58:23 |
2位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM) | 0:00:02 |
4位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、バイクエクスチェンジ) | 0:00:03 |
5位 | スタン・デウルフ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
6位 | ピート・アレハールト(ベルギー、コフィディス) | |
7位 | イタマル・アインホルン(イスラエル、イスラエル・スタートアップネイション) | |
8位 | アントニオ・ソト(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) | |
9位 | ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:00:06 |
22位 | オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ) | 0:00:11 |
25位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
92位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:01:05 |
DNS | オマール・フライレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
DNS | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) |
マイヨロホ 個人総合成績
1位 | オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオ) | 50:31:52 |
2位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:00:58 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:01:56 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:02:31 |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) | 0:03:28 |
6位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:03:55 |
7位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:04:41 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:04:57 |
9位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:03 |
10位 | フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:05:38 |
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 200pts |
2位 | マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) | 114pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 106pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 31pts |
2位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | 27pts |
3位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM) | 17pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 50:36:33 |
2位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:27 |
3位 | ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:02:13 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 151:44:11 |
2位 | UAEチームエミレーツ | 0:01:54 |
3位 | モビスター | 0:04:17 |
text:Kei Tsuji
Amazon.co.jp