ヤコブセンの落車という苦い記憶の残るカトヴィツェでドゥクーニンク・クイックステップが躍進。ツール・ド・ポローニュ6日目の19km個人タイムトライアルでレミ・カヴァニャ(フランス)が優勝し、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル)がステージ2位に入り総合優勝に王手をかけた。



ステージ優勝を果たしたレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ステージ優勝を果たしたレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)Tour de Pologne
ツール・ド・ポローニュ最終日前日の第6ステージは、ポーランド南部の工業都市カトヴィツェを時計回りに巡る19.1kmの個人タイムトライアル。ストレートの多い平坦基調のコースではあるが、中盤は鋭角コーナーが連続するテクニカルなレイアウトになっている。

気温が30度を越えるなか、第1出走者のマルセル・シーベルグ(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)のスタートによって幕が上がる。序盤に出走したステイン・ステールス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)とトム・ボーリ(スイス、コフィディス)が同じ最終コーナーで落車した。

注意すべき区間の情報が各選手に共有されるなか、前半に出走した選手の中で22分28秒の暫定トップでフィニッシュしたのはミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)。平均時速が51kmを越えるこのタイムが後半に登場する総合上位勢の基準となった。その後、前日のステージ優勝者ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM)が気を吐く走りで10秒差まで迫るも届かない。するとこの日の優勝候補レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が全体の98番目でスタートを切った。

ステージ7位と快走を見せた前日のステージ優勝者ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM)ステージ7位と快走を見せた前日のステージ優勝者ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM) photo:CorVos
トップタイムをマークするもステージ3位に終わったマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)トップタイムをマークするもステージ3位に終わったマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) (c)Tour de Pologne
カヴァニャが8km地点に設定された中間計測でトップタイムを叩き出すと、先にスタートしていたマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)がビョーグのタイムを2秒上回る22分26秒でフィニッシュ。しかし、そのボドナルより16秒早い22分10秒、平均時速51.7kmの快走で大きく記録を塗り替えたカヴァニャがステージ優勝に輝いた。

「言葉にできないほど嬉しい。タイムトライアルスペシャリストとして、個人TTでの優勝は毎回大きな満足感がある。完璧なレース運びができなかったのにもかかわらず、練習の成果が現れた勝利は格別だ。今日は全力で踏み、自信を持って臨むことができた。次なる目標である9月の欧州選手権に向けて弾みがついたよ」と、4日前に26歳の誕生日を迎えたカヴァニャは語る。

総合優勝に王手をかけたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)総合優勝に王手をかけたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
総合首位から18秒遅れと逆転は叶わなかったマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)総合首位から18秒遅れと逆転は叶わなかったマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
一方、その後に登場した総合優勝を争う選手たちのなかで、もっとも良いタイムでフィニッシュしたのはリーダージャージを着用するジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。カヴァニャから13秒遅れのステージ2位に入った最終出走のアルメイダは、これで僅か2秒差で総合2位につけていたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)を20秒差まで引き離すことに成功した。

明日は平坦ステージであることから、総合優勝をほぼ確実なものにしたアルメイダ。「レミの勝利は嬉しいし、僕はリーダージャージを守ることができた。今日のコースは少しテクニカルで、なるべくリスクを取らない走りを心がけた。少し緊張していたが脚の調子は良く、日曜(最終日)を総合首位で迎えられることが嬉しいよ」と、昨年チームメイトのファビオ・ヤコブセン(オランダ)が大怪我を負ったカトヴィツェで喜びと安堵を語った。

ステージ優勝と総合優勝を決定づける会心の1日となったドゥクーニンク・クイックステップステージ優勝と総合優勝を決定づける会心の1日となったドゥクーニンク・クイックステップ (c)Tour de Pologne
最終日である明日第7ステージはザブジェからクラクフまでの145km。序盤に3級山岳を1つ越え、フィニッシュまでは完全な平坦が続くため、大会3日目で見られたような激しい集団スプリントが予想される。
ツール・ド・ポローニュ2021 第6ステージ結果
1位 レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 22:11
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:13
3位 マチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 0:16
4位 ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ) 0:18
5位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
6位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、クベカ・ネクストハッシュ) 0:21
7位 ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM) 0:27
8位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:28
9位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:31
10位 マティアス・ブレンドレ(オーストリア、イスラエル・スタートアップネイション) 0:32
114位 別府史之(EFエデュケーション・NIPPO) 2:23
個人総合成績
1位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 23:17:07
2位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:20
3位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) 0:27
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 0:37
5位 ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:53
6位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 0:57
7位 ジャイ・ヒンドレー(オーストリア、チームDSM) 1:06
8位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) 1:25
9位 ベン・トゥレット(イギリス、アルペシン・フェニックス) 1:28
10位 パスカル・エーンコーン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 1:30
その他の特別賞
ポイント賞 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)
山岳賞 ルーカス・オウシアン(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)
チーム総合成績 ドゥクーニンク・クイックステップ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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