2021/08/17(火) - 13:23
7月にJEROBOAMのショートコース版であるDEMI RIDEと、プロショップのベルエキップによるビギナー向けライド"チョロボーム"という3Tのクラブライドが開催された。短い距離ながら濃密な時間を過ごしたライドの様子をお届けしよう。
2021年5月末、宮城県北部で日本初開催となったJEROBOAM。ワインのボトルにちなみ300km(JEROBOAM)、150km(MAGNUM)、75km(STANDARD)の3つのルート設定を行ったが、実はこの他に3Tの地元イタリアでは37.5kmのDEMIというもう一つの距離設定がある。グラベルビギナーも気軽に楽しめる距離のDEMIのルートに加え、宮城県仙台市に店舗を構えるベルエキップによるビギナー向けに“ちょろっと“グラベルを走るショートグラベルライド“CHOROBOAM”で走った2日間の3Tクラブライドをレポートする。
JEROBOAM DEMI RIDE with サイクルハウスWISH
7月10日朝8時30分。ほんの1か月ほど前に行ったJEROBOAM JAPAN GRAVEL CHALLENGEの舞台、宮城県加美町の薬莱地区。厚い雲が上空を埋め尽くしているものの、なんとか天気は持ちそうな気配。DEMI RIDEのルートは、JEROBOAM JAPANでJEROBOAM300kmクラス初日の前半部分に登場する、牧草地から深い森の中を走り抜ける37.5km。蜘蛛の巣のように無数に存在する加美のグラベルの中でも短い距離にグラベル感が凝縮されているお気に入りの場所だ。
DEMIライドには群馬県から5名の方に参加いただいた。前橋市のサイクルハウスWISH下田店長、過去の3T XPDTN JAPANクラブライドにも度々参加されている2名、そして4月の武尊グラベルミーティングが初めてのグラベル体験だったという2名の合計5名。スタート直後は少しパラパラっと雨が降っていたが、いざ走り始めると雨もやみテンションが上がったグループが森を目指してワイワイと走っていく。
水たまりのできた未舗装路を走る。未体験のライドに慎重さと微笑みが顔に表れる。普段できない、いやあえてしようとは思わない泥コンディションでの走行。真顔と笑顔が入り乱れて撮影していても面白い。
開けた牧草地を抜けると森の中だ。5月に訪れた時よりも鬱蒼さが増した緑、雨上がりの湿度の高さもあって雰囲気はまるでジャングルの中。「一人じゃ絶対来ない」や「こういう事が無ければ来れないところ」といった感想が漏れてくる。
視界が開け、この日のピーク付近にかかった。ペースはのんびり。休憩も頻繁に入れながらのライトなグラベルライドだ。しかし、この後の森の中で後続を待つ間に茂みの奥から何か獣のうめき声のようなものが聞こえたため、当初予定のルートを走らずに折り返して別ルートで下山を始めた。周辺は熊の生息域。雨上がりとあって野生動物も動き始める午前中。深追いはせずに引き返しての別ルート。様々なルートをとれる加美町ならでは。
下り区間に入ると楽しさは一気に倍増する。いずれも650Bホイールを履いた3T EXPLORO / EXPLORO MAXを駆る参加者達は軽快に駆け下りていった。
舗装に出て雨水が流れるところで休憩。曇っているとはいえサウナのような森の中、寝転んで身体を冷やす面々。夏休みの雰囲気が楽しい。
舗装から平地に出たところで再びグラベルを走り帰っていく。茂みの中に獣はいたのか?熊なのかどうか?誰も見てはいないが、気配はあったというのが全員一致の見解。引き返して少し短くなった距離にも野趣溢れるライドに高い満足度で帰路についた。
CHOROBOAM with BELLE EQUIPE
7月11日宮城県大和町了美ワイナリー。深い霧がかかるブドウ畑がこの日のスタート&フィニッシュエリアだ。
イタリアのJEROBOAMではまさしくブドウ畑の中を走るグラベル区間があり、このブドウ畑の広がる景色はイタリアでのJEROBOAMを思い出させてくれて木々を見ているだけでも気分が盛り上がってくる。
ちょろっと走るからチョロボーム。ベルエキップが時々開催しているグラベルビギナー向けショップライドだ。30km程度、朝から走り始めてランチを食べて解散。休日の午前中にフィールドで遊んで美味しいものを食べて帰ってくる。距離や獲得標高、そして悪路といったハードなイメージがあるグラベルライドをライトに楽しんでもらおうという企画で人気がある。
今回の参加者は5名。ベルエキップの遠藤社長が軽トラで伴走をするのもビギナーには安心して参加できるポイントだ。
了美ワイナリーを出発してすぐにグラベルが始まった。全員がクマよけの鈴を鳴らしながら進む姿は山伏に似ていて重なり合う音色が美しく森の中に響いていく。
グラベルの登り区間は10分かからない程度で終了。その後は長めの下り区間だ。マッドでスリッピーな路面に参加者達は慎重にバイクをコントロールしながら下っていく。ブラケットを持つスタイルに初めてのグラベルライドがにじみ出ている。
途中の分岐で紙地図を広げて場所を確認する。周辺の山や地形を見ながら、山談義をする時間も楽しい。複雑に入り組む林道群、こまめに場所を確認するのが道に迷わないテクニックの一つ。このチョロボームでは、道中急ぐことは無い事も教えられる。
ちょろっと走ったら休憩、そしてまたちょろっと走る。最初は少し怖がって走っていた下りのグラベルも走る度に安定さが増して、楽しめるようになってきたのが伝わってきた。
グラベルを抜ける頃にはバイクはもちろんの事、全身が泥だらけに。洗濯が心配になると、「地面に置いて高圧洗浄機で」と声がかかる。シクロクロスもそうだが、大人の泥んこ遊びは普段できない事もあって非常に楽しい。
舗装路に出てからしばらくは、どしゃ降りに見舞われたが了美ワイナリーまでの登り坂にさしかかると先程までの雨が嘘のように上がってきた。スタート前、「最後の登りがきつそうだよ」と言ってスタートしていったが案外簡単に登りをこなしていく面々。ちょろっと走るチョロボームだからか、最後に長い登りがあっても苦にならない。了美ワイナリーに到着したら着替えて、ランチのハンバーガーでお腹を満たす。ずぶ濡れで靄がかかるレンズに、この日の思い出が重なった。
協力:サイクルハウスWISH、KAMIFUJI、BELLE EQUIPE、了美ワイナリー
text&photo:Hayato Higuchi
3T XPDTN JAPAN CLUB RIDE
次回は8月末に長野県で予定している。
筆者プロフィール:樋口準人(3Tマーケティング担当)
ロングライド、ヒルクライム、シクロクロスと四季を通じて自転車に乗りながら、最近は毎週林道に出かけ空撮を楽しむドローングラファー。3TのグラベルロードEXPLOROを知り尽くし、日本各地で開催している3T XPDTN JAPAN CLUB RIDEをアテンドしている。
2021年5月末、宮城県北部で日本初開催となったJEROBOAM。ワインのボトルにちなみ300km(JEROBOAM)、150km(MAGNUM)、75km(STANDARD)の3つのルート設定を行ったが、実はこの他に3Tの地元イタリアでは37.5kmのDEMIというもう一つの距離設定がある。グラベルビギナーも気軽に楽しめる距離のDEMIのルートに加え、宮城県仙台市に店舗を構えるベルエキップによるビギナー向けに“ちょろっと“グラベルを走るショートグラベルライド“CHOROBOAM”で走った2日間の3Tクラブライドをレポートする。
JEROBOAM DEMI RIDE with サイクルハウスWISH
7月10日朝8時30分。ほんの1か月ほど前に行ったJEROBOAM JAPAN GRAVEL CHALLENGEの舞台、宮城県加美町の薬莱地区。厚い雲が上空を埋め尽くしているものの、なんとか天気は持ちそうな気配。DEMI RIDEのルートは、JEROBOAM JAPANでJEROBOAM300kmクラス初日の前半部分に登場する、牧草地から深い森の中を走り抜ける37.5km。蜘蛛の巣のように無数に存在する加美のグラベルの中でも短い距離にグラベル感が凝縮されているお気に入りの場所だ。
DEMIライドには群馬県から5名の方に参加いただいた。前橋市のサイクルハウスWISH下田店長、過去の3T XPDTN JAPANクラブライドにも度々参加されている2名、そして4月の武尊グラベルミーティングが初めてのグラベル体験だったという2名の合計5名。スタート直後は少しパラパラっと雨が降っていたが、いざ走り始めると雨もやみテンションが上がったグループが森を目指してワイワイと走っていく。
水たまりのできた未舗装路を走る。未体験のライドに慎重さと微笑みが顔に表れる。普段できない、いやあえてしようとは思わない泥コンディションでの走行。真顔と笑顔が入り乱れて撮影していても面白い。
開けた牧草地を抜けると森の中だ。5月に訪れた時よりも鬱蒼さが増した緑、雨上がりの湿度の高さもあって雰囲気はまるでジャングルの中。「一人じゃ絶対来ない」や「こういう事が無ければ来れないところ」といった感想が漏れてくる。
視界が開け、この日のピーク付近にかかった。ペースはのんびり。休憩も頻繁に入れながらのライトなグラベルライドだ。しかし、この後の森の中で後続を待つ間に茂みの奥から何か獣のうめき声のようなものが聞こえたため、当初予定のルートを走らずに折り返して別ルートで下山を始めた。周辺は熊の生息域。雨上がりとあって野生動物も動き始める午前中。深追いはせずに引き返しての別ルート。様々なルートをとれる加美町ならでは。
下り区間に入ると楽しさは一気に倍増する。いずれも650Bホイールを履いた3T EXPLORO / EXPLORO MAXを駆る参加者達は軽快に駆け下りていった。
舗装に出て雨水が流れるところで休憩。曇っているとはいえサウナのような森の中、寝転んで身体を冷やす面々。夏休みの雰囲気が楽しい。
舗装から平地に出たところで再びグラベルを走り帰っていく。茂みの中に獣はいたのか?熊なのかどうか?誰も見てはいないが、気配はあったというのが全員一致の見解。引き返して少し短くなった距離にも野趣溢れるライドに高い満足度で帰路についた。
CHOROBOAM with BELLE EQUIPE
7月11日宮城県大和町了美ワイナリー。深い霧がかかるブドウ畑がこの日のスタート&フィニッシュエリアだ。
イタリアのJEROBOAMではまさしくブドウ畑の中を走るグラベル区間があり、このブドウ畑の広がる景色はイタリアでのJEROBOAMを思い出させてくれて木々を見ているだけでも気分が盛り上がってくる。
ちょろっと走るからチョロボーム。ベルエキップが時々開催しているグラベルビギナー向けショップライドだ。30km程度、朝から走り始めてランチを食べて解散。休日の午前中にフィールドで遊んで美味しいものを食べて帰ってくる。距離や獲得標高、そして悪路といったハードなイメージがあるグラベルライドをライトに楽しんでもらおうという企画で人気がある。
今回の参加者は5名。ベルエキップの遠藤社長が軽トラで伴走をするのもビギナーには安心して参加できるポイントだ。
了美ワイナリーを出発してすぐにグラベルが始まった。全員がクマよけの鈴を鳴らしながら進む姿は山伏に似ていて重なり合う音色が美しく森の中に響いていく。
グラベルの登り区間は10分かからない程度で終了。その後は長めの下り区間だ。マッドでスリッピーな路面に参加者達は慎重にバイクをコントロールしながら下っていく。ブラケットを持つスタイルに初めてのグラベルライドがにじみ出ている。
途中の分岐で紙地図を広げて場所を確認する。周辺の山や地形を見ながら、山談義をする時間も楽しい。複雑に入り組む林道群、こまめに場所を確認するのが道に迷わないテクニックの一つ。このチョロボームでは、道中急ぐことは無い事も教えられる。
ちょろっと走ったら休憩、そしてまたちょろっと走る。最初は少し怖がって走っていた下りのグラベルも走る度に安定さが増して、楽しめるようになってきたのが伝わってきた。
グラベルを抜ける頃にはバイクはもちろんの事、全身が泥だらけに。洗濯が心配になると、「地面に置いて高圧洗浄機で」と声がかかる。シクロクロスもそうだが、大人の泥んこ遊びは普段できない事もあって非常に楽しい。
舗装路に出てからしばらくは、どしゃ降りに見舞われたが了美ワイナリーまでの登り坂にさしかかると先程までの雨が嘘のように上がってきた。スタート前、「最後の登りがきつそうだよ」と言ってスタートしていったが案外簡単に登りをこなしていく面々。ちょろっと走るチョロボームだからか、最後に長い登りがあっても苦にならない。了美ワイナリーに到着したら着替えて、ランチのハンバーガーでお腹を満たす。ずぶ濡れで靄がかかるレンズに、この日の思い出が重なった。
協力:サイクルハウスWISH、KAMIFUJI、BELLE EQUIPE、了美ワイナリー
text&photo:Hayato Higuchi
3T XPDTN JAPAN CLUB RIDE
次回は8月末に長野県で予定している。
筆者プロフィール:樋口準人(3Tマーケティング担当)
ロングライド、ヒルクライム、シクロクロスと四季を通じて自転車に乗りながら、最近は毎週林道に出かけ空撮を楽しむドローングラファー。3TのグラベルロードEXPLOROを知り尽くし、日本各地で開催している3T XPDTN JAPAN CLUB RIDEをアテンドしている。
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