2021/07/08(木) - 03:06
前日の集団スプリントで2位に入ったワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)がモンヴァントゥーを2度登る難関山岳ステージで逃げ切り勝利。ツール・ド・フランス第11ステージで、チームメイトのヨナス・ヴィンゲゴーが登りでマイヨジョーヌを引き離す走りを見せた。
7月7日(水)第11ステージ
ソルグ〜マロセーヌ
距離:198.9km
獲得標高差:4,600m
天候:晴れ
気温:18〜30度
ツール・ド・フランス第11ステージには「魔の山」を2度登る難関コースが用意された。遠方からその姿を仰ぐことができる「プロヴァンスの巨人」こと単独峰モンヴァントゥーを2回登っては下るを繰り返すコースの獲得標高差は4,600mに達する。
「風の山」という名前が示す通り、モンヴァントゥーは一年を通して風が強く、荒凉とした禿山には風や太陽から身を守る樹木が存在しない。1回目がカテゴリー1級で、2回目がカテゴリー超級。アンテナ塔が立ったモンヴァントゥー頂上の2回目にはボーナスタイム(8秒、5秒、2秒)が設定されており、そこから22kmにわたるダウンヒルをこなしてようやくフィニッシュにたどり着く。
スタート時点ですでに気温は高く、この日は最高気温が30度まで上昇。前日同様に雷雨の予報が出ていたが、プロヴァンスにはほぼ1日を通して夏らしい熱い太陽が降り注いだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
32.1km地点 4級山岳フォンテーヌ=ド=ボークリューズ峠(全長1.9km・平均6%)
40.2km地点 スプリントポイント
43.7km地点 4級山岳ゴルド峠(全長2.5km・平均5.1%)
83.6km地点 1級山岳ラ・リギエール峠(全長9.3km・平均6.7%)
122.5km地点 1級山岳モンヴァントゥー(全長22km・平均5.1%)
176.9km地点 ボーナス/超級山岳モンヴァントゥー(全長15.7km・平均8.8%)
アラフィリップにファンアールトが合流し、モンヴァントゥーへ
正式スタートともに始まったアタック合戦で逃げへの意欲を見せたのはジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)。マイヨアポワを守るためになんとしても逃げに乗りたいナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)を振り切って独走に持ち込んだ世界チャンピオンには、ステージ序盤の2連続4級山岳でダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)とアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)、そして1回目の休息日の記者会見で質問されるまで「モンヴァントゥーの山頂フィニッシュだと思っていた」というピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ・KTM)の3名が追いついた。
アラフィリップグループの後方ではワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)やジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)、グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、アージェードゥーゼール・シトロエン)、ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)ら13名が追走グループを組織したものの、先頭に追いつくことができないまま続く1級山岳ラ・リギエール峠へ。ツール初登場のこの登りをマーティンが先頭で初登頂を果たすと、30秒遅れで追走グループ、5分遅れでイネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団が続いた。
セミが乾いた泣き声を響かせ、オリーブの樹やラベンダー畑が広がる下界を離れ、いよいよ選手たちの目の前には「魔の山」モンヴァントゥーが現れる。全長22kmに達する1級山岳の突入前に、長らく追走していたグループが先頭4名に合流。セレクションの末にアラフィリップやファンアールトら7名が抜け出した。
イネオス・グレナディアーズが牽引するメイン集団は5分遅れのまま、総合10位ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)やマイヨアポワのキンタナをふるい落としながら1回目の「魔の山」を登っていく。濃霧と晴れを頻繁に切り替える頂上が近づくと先頭に追走モレマが追いつき、アラフィリップを先頭に下り区間に突入した。
2回目のモンヴァントゥーでファンアールトとヴィンゲゴーが動く
先頭に3名(エリッソンド、モレマ、ベルナール)を揃えたトレック・セガフレードが逃げグループを率い、やがて最後の超級山岳モンヴァントゥーの登りでベルナールが力尽きるとエリッソンドがアタック。後方では、ベルギーチャンピオンのファンアールトが世界チャンピオンのアラフィリップらを振り切って単独追走モードに入る。
西側からの2回目のモンヴァントゥー登坂は東側からの1回目よりも距離は短いものの勾配が大きい。延々と10%前後の勾配が続く登坂前半に先頭エリッソンドに追いついたファンアールトは、頂上まで11kmを残して、フィニッシュまで33kmを残して独走に持ち込んだ。
バカンスシーズンに入ったこともあり、前週よりも明らかに多いベルギー人応援団に後押しされてファンアールトが独走。樹々に覆われた登りを終えて、5年前にクリストファー・フルーム(イギリス)がランニングした中腹のシャレ・レナールを通り過ぎ、横風が吹き付ける登り後半に差し掛かる。遅れたエリッソンドはモレマとともに追走を続けたものの、一定ペースで登り続ける先頭ファンアールトとのタイム差は広がっていった。
イネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団はモンヴァントゥー前半の急勾配区間で人数を減らし、ここで総合2位ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン)が脱落。イネオス・グレナディアーズのリッチー・ポート(オーストラリア)に続いてミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が集団先頭に立ち、ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)もペースアップに尽力。アシスト陣が姿を消してエースの勝負に持ち込まれると、総合4位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が仕掛けた。
頂上まで2kmを残したタイミングで加速したヴィンゲゴーにはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だけがしっかりと反応。しかし、しばらくしてマイヨジョーヌが遅れ始めた。
今大会初とも言えるポガチャルの失速。トレック・セガフレードの2人に1分05秒差をつけて先頭でモンヴァントゥーを登り切ったファンアールトから1分20秒遅れでヴィンゲゴー、2分遅れでポガチャル、2分05秒遅れでリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)とリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)という位置関係でフィニッシュに至る下り区間へ。
ファンアールトの超級山岳モンヴァントゥー(全長15.7km・平均8.8%)登坂タイムは51分53秒。ヴィンゲゴーは48分24秒だった。参考までに2009年にアンディ・シュレク(ルクセンブルク)とアルベルト・コンタドール(スペイン)は48分56秒、2013年にフルームは48分35秒で登坂。歴代最高記録は2004年にイバン・マヨ(スペイン)がドーフィネの個人TTで記録した45分47秒で、1994年マルコ・パンターニ(イタリア)の46分00秒が続く。
エリッソンドとモレマの懸命の追走も届かずに、トップスピードが100km/hを超えるモンヴァントゥーの下りをスムーズに走ったファンアールトがステージ優勝。2019年のステージ1勝と2020年のステージ2勝に続いて、難関山岳ステージでステージ通算4勝目を飾った。
「まさかこのステージで勝てるとは思っていなかった。昨日になって、もし逃げに乗ることができれば、ステージ優勝のチャンスがあるんじゃないかと感じたんだ。ロードレースにおいて最も象徴的な登りであるモンヴァントゥーでの勝利。キャリア最大の勝利かもしれない。できると信じていれば全て可能だと思っていた。自分が成し遂げたことを誇りに思う」と26歳のファンアールトは語る。引き続きヴィンゲゴーのアシストを担うが、自身も総合13位に浮上している。
下り区間でヴィンゲゴーはリードを失い、40秒近いタイム差を詰めたポガチャルとウラン、カラパスが合流。今大会最も登れているこの4名は、ファンアールトから1分38秒遅れでフィニッシュにたどり着いた。
5分35秒遅れたオコーナーが総合2位から総合5位まで順位を下げたのに対し、総合首位ポガチャルがリードを守り、ウランとヴィンゲゴーがそれぞれ総合2位と総合3位に浮上。25分以上遅れたゴデュに代わってペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が総合トップ10入りしている。
初めてのモンヴァントゥーでマイヨジョーヌを守ったポガチャルは「2回目の登坂は麓からずっとハイペースだった。ヨナス・ヴィンゲゴーがアタックした時、ただ着いていくことができなかった。彼のペースに着いて行こうとした結果、失速してしまったんだ。ヴィンゲゴーから遅れてからはとにかく落ち着いて自分のペースを保とうと努めた。それに、頂上手前だったので、下りで追いつけると思った。幸いウランとカラパスと協力して彼を引き戻すことができたので、良い一日になったよ」とコメントする。総合2位以下とは依然として5分以上の大差がついている。
ポガチャルに対して攻撃に出たユンボ・ヴィスマとイネオス・グレナディアーズ。しかしそれぞれトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)とルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)という平坦ステージで重要な役割を担うルーラーを失う結果になっている。マルティンは落車によりリタイア。ロウはタイムリミット内に走り切ることができなかった。
この日のタイムリミットは47分39秒遅れ(ステージ優勝者+15%)。この日もマイヨヴェールのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)はチームメイトに守られて走り切った。グルペットから一人遅れたセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)タイムリミットまで3秒でフィニッシュに滑り込んでいる。マルティンとロウの他にもヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ)やティシュ・ベノート (ベルギー、チームDSM)ら合計8名がレースを去った。
7月7日(水)第11ステージ
ソルグ〜マロセーヌ
距離:198.9km
獲得標高差:4,600m
天候:晴れ
気温:18〜30度
ツール・ド・フランス第11ステージには「魔の山」を2度登る難関コースが用意された。遠方からその姿を仰ぐことができる「プロヴァンスの巨人」こと単独峰モンヴァントゥーを2回登っては下るを繰り返すコースの獲得標高差は4,600mに達する。
「風の山」という名前が示す通り、モンヴァントゥーは一年を通して風が強く、荒凉とした禿山には風や太陽から身を守る樹木が存在しない。1回目がカテゴリー1級で、2回目がカテゴリー超級。アンテナ塔が立ったモンヴァントゥー頂上の2回目にはボーナスタイム(8秒、5秒、2秒)が設定されており、そこから22kmにわたるダウンヒルをこなしてようやくフィニッシュにたどり着く。
スタート時点ですでに気温は高く、この日は最高気温が30度まで上昇。前日同様に雷雨の予報が出ていたが、プロヴァンスにはほぼ1日を通して夏らしい熱い太陽が降り注いだ。
カテゴリー山岳とスプリントポイント
32.1km地点 4級山岳フォンテーヌ=ド=ボークリューズ峠(全長1.9km・平均6%)
40.2km地点 スプリントポイント
43.7km地点 4級山岳ゴルド峠(全長2.5km・平均5.1%)
83.6km地点 1級山岳ラ・リギエール峠(全長9.3km・平均6.7%)
122.5km地点 1級山岳モンヴァントゥー(全長22km・平均5.1%)
176.9km地点 ボーナス/超級山岳モンヴァントゥー(全長15.7km・平均8.8%)
アラフィリップにファンアールトが合流し、モンヴァントゥーへ
正式スタートともに始まったアタック合戦で逃げへの意欲を見せたのはジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)。マイヨアポワを守るためになんとしても逃げに乗りたいナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)を振り切って独走に持ち込んだ世界チャンピオンには、ステージ序盤の2連続4級山岳でダニエル・マーティン(アイルランド、イスラエル・スタートアップネイション)とアントニー・ペレス(フランス、コフィディス)、そして1回目の休息日の記者会見で質問されるまで「モンヴァントゥーの山頂フィニッシュだと思っていた」というピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ・KTM)の3名が追いついた。
アラフィリップグループの後方ではワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)やジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)、グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、アージェードゥーゼール・シトロエン)、ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)ら13名が追走グループを組織したものの、先頭に追いつくことができないまま続く1級山岳ラ・リギエール峠へ。ツール初登場のこの登りをマーティンが先頭で初登頂を果たすと、30秒遅れで追走グループ、5分遅れでイネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団が続いた。
セミが乾いた泣き声を響かせ、オリーブの樹やラベンダー畑が広がる下界を離れ、いよいよ選手たちの目の前には「魔の山」モンヴァントゥーが現れる。全長22kmに達する1級山岳の突入前に、長らく追走していたグループが先頭4名に合流。セレクションの末にアラフィリップやファンアールトら7名が抜け出した。
イネオス・グレナディアーズが牽引するメイン集団は5分遅れのまま、総合10位ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)やマイヨアポワのキンタナをふるい落としながら1回目の「魔の山」を登っていく。濃霧と晴れを頻繁に切り替える頂上が近づくと先頭に追走モレマが追いつき、アラフィリップを先頭に下り区間に突入した。
2回目のモンヴァントゥーでファンアールトとヴィンゲゴーが動く
先頭に3名(エリッソンド、モレマ、ベルナール)を揃えたトレック・セガフレードが逃げグループを率い、やがて最後の超級山岳モンヴァントゥーの登りでベルナールが力尽きるとエリッソンドがアタック。後方では、ベルギーチャンピオンのファンアールトが世界チャンピオンのアラフィリップらを振り切って単独追走モードに入る。
西側からの2回目のモンヴァントゥー登坂は東側からの1回目よりも距離は短いものの勾配が大きい。延々と10%前後の勾配が続く登坂前半に先頭エリッソンドに追いついたファンアールトは、頂上まで11kmを残して、フィニッシュまで33kmを残して独走に持ち込んだ。
バカンスシーズンに入ったこともあり、前週よりも明らかに多いベルギー人応援団に後押しされてファンアールトが独走。樹々に覆われた登りを終えて、5年前にクリストファー・フルーム(イギリス)がランニングした中腹のシャレ・レナールを通り過ぎ、横風が吹き付ける登り後半に差し掛かる。遅れたエリッソンドはモレマとともに追走を続けたものの、一定ペースで登り続ける先頭ファンアールトとのタイム差は広がっていった。
イネオス・グレナディアーズ率いるメイン集団はモンヴァントゥー前半の急勾配区間で人数を減らし、ここで総合2位ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン)が脱落。イネオス・グレナディアーズのリッチー・ポート(オーストラリア)に続いてミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が集団先頭に立ち、ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)もペースアップに尽力。アシスト陣が姿を消してエースの勝負に持ち込まれると、総合4位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が仕掛けた。
頂上まで2kmを残したタイミングで加速したヴィンゲゴーにはタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だけがしっかりと反応。しかし、しばらくしてマイヨジョーヌが遅れ始めた。
今大会初とも言えるポガチャルの失速。トレック・セガフレードの2人に1分05秒差をつけて先頭でモンヴァントゥーを登り切ったファンアールトから1分20秒遅れでヴィンゲゴー、2分遅れでポガチャル、2分05秒遅れでリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO)とリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)という位置関係でフィニッシュに至る下り区間へ。
ファンアールトの超級山岳モンヴァントゥー(全長15.7km・平均8.8%)登坂タイムは51分53秒。ヴィンゲゴーは48分24秒だった。参考までに2009年にアンディ・シュレク(ルクセンブルク)とアルベルト・コンタドール(スペイン)は48分56秒、2013年にフルームは48分35秒で登坂。歴代最高記録は2004年にイバン・マヨ(スペイン)がドーフィネの個人TTで記録した45分47秒で、1994年マルコ・パンターニ(イタリア)の46分00秒が続く。
エリッソンドとモレマの懸命の追走も届かずに、トップスピードが100km/hを超えるモンヴァントゥーの下りをスムーズに走ったファンアールトがステージ優勝。2019年のステージ1勝と2020年のステージ2勝に続いて、難関山岳ステージでステージ通算4勝目を飾った。
「まさかこのステージで勝てるとは思っていなかった。昨日になって、もし逃げに乗ることができれば、ステージ優勝のチャンスがあるんじゃないかと感じたんだ。ロードレースにおいて最も象徴的な登りであるモンヴァントゥーでの勝利。キャリア最大の勝利かもしれない。できると信じていれば全て可能だと思っていた。自分が成し遂げたことを誇りに思う」と26歳のファンアールトは語る。引き続きヴィンゲゴーのアシストを担うが、自身も総合13位に浮上している。
下り区間でヴィンゲゴーはリードを失い、40秒近いタイム差を詰めたポガチャルとウラン、カラパスが合流。今大会最も登れているこの4名は、ファンアールトから1分38秒遅れでフィニッシュにたどり着いた。
5分35秒遅れたオコーナーが総合2位から総合5位まで順位を下げたのに対し、総合首位ポガチャルがリードを守り、ウランとヴィンゲゴーがそれぞれ総合2位と総合3位に浮上。25分以上遅れたゴデュに代わってペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が総合トップ10入りしている。
初めてのモンヴァントゥーでマイヨジョーヌを守ったポガチャルは「2回目の登坂は麓からずっとハイペースだった。ヨナス・ヴィンゲゴーがアタックした時、ただ着いていくことができなかった。彼のペースに着いて行こうとした結果、失速してしまったんだ。ヴィンゲゴーから遅れてからはとにかく落ち着いて自分のペースを保とうと努めた。それに、頂上手前だったので、下りで追いつけると思った。幸いウランとカラパスと協力して彼を引き戻すことができたので、良い一日になったよ」とコメントする。総合2位以下とは依然として5分以上の大差がついている。
ポガチャルに対して攻撃に出たユンボ・ヴィスマとイネオス・グレナディアーズ。しかしそれぞれトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)とルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)という平坦ステージで重要な役割を担うルーラーを失う結果になっている。マルティンは落車によりリタイア。ロウはタイムリミット内に走り切ることができなかった。
この日のタイムリミットは47分39秒遅れ(ステージ優勝者+15%)。この日もマイヨヴェールのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)はチームメイトに守られて走り切った。グルペットから一人遅れたセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)タイムリミットまで3秒でフィニッシュに滑り込んでいる。マルティンとロウの他にもヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ)やティシュ・ベノート (ベルギー、チームDSM)ら合計8名がレースを去った。
ツール・ド・フランス2021第11ステージ結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 5:17:43 |
2位 | ケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード) | 0:01:14 |
3位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:01:38 |
5位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | |
6位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | |
7位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | |
8位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:01:56 |
9位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:03:02 |
11位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:03:28 |
12位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:04:05 |
15位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:05:35 |
73位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:25:07 |
OTL | ルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
DNF | マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ) | |
DNF | ダニエル・マクレー(イギリス、アルケア・サムシック) | |
DNF | クレモン・ルッソ(フランス、アルケア・サムシック) | |
DNF | ティシュ・ベノート (ベルギー、チームDSM) | |
DNF | トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル) | |
DNF | トニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ) | |
DNF | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・ネクストハッシュ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 43:44:38 |
2位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:05:18 |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:32 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 0:05:33 |
5位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:05:58 |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:06:16 |
7位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:06:30 |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 0:07:11 |
9位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 0:09:29 |
10位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:10:28 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 218pts |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | 160pts |
3位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 142pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) | 50pts |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 44pts |
3位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | 42pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 43:44:38 |
2位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:05:32 |
3位 | オレリアン・パレパントル(フランス、アージェードゥーゼール・シトロエン) | 0:24:44 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 132:09:11 |
2位 | アージェードゥーゼール・シトロエン | 0:10:01 |
3位 | イネオス・グレナディアーズ | 0:12:47 |
text:Kei Tsuji in Mont Ventoux, France
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