「最後の150m以外は何もしていない。全てはチームの力だ」と語るのは今大会3勝目を挙げたマーク・カヴェンディッシュ。2位ファンアールトやドゥクーニンクに攻撃を仕掛けたバイクエクスチェンジのマシューズ、明日のモンヴァントゥーについて話すポガチャルなど、ツール第10ステージを駆け抜けた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位&マイヨヴェール(ポイント賞) マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

しっかりと一人一人チームメイトを抱きしめるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)しっかりと一人一人チームメイトを抱きしめるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Luca Bettini
古き良き、教科書どおりのリードアウトだった。自転車雑誌にそのまま載っていてもおかしくないだろう。チームはフィニッシュまで誰も先頭に出れないほどのスピードで引いていた。以前ここでフィニッシュした時は(アンドレ)グライペルが勝利し、僕は集団からも遅れ15位にも入れなかった。だからそこから学び、最終コーナーで速度を緩めず駆け抜けることを意識していた。途中に横風で分断したが、スプリントに向かってスピードを上げていただけで意図的ではなかった。

ロンド・ファン・フラーンデレン覇者や世界チャンピオン、マディソンで五輪に出場するミケル・モルコフにオムループ・ヘットニュースブラッドの優勝者まで揃っているんだ。それほどの選手たちが僕のために力を尽くしてくれ、勝たないわけにはいかないだろ?だから僕は最後の150m以外は何もしていない。全てはチームの力だ。

PMUのマスコットの狼君に頬ずりするマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)PMUのマスコットの狼君に頬ずりするマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Makoto AYANO
彼ら(バイクエクスチェンジ)が仕掛けてくることはわかっていた。あくまでもステージを狙った結果マイヨヴェールを着ているだけであって、最初からこのジャージを狙っていたわけではない。だからリミットを超えてまでポイントを狙うことはしない。これはレースなので彼らの作戦は理解できるが、最終局面でマイケル(マシューズ)にはアシストが1人しか残っていなかった。彼らはあの動きによって自滅してしまったようだね。

久しぶりに言い訳のできない状態が、ここツールで整った。今年は機材やチーム、スプリントまでの準備の全てが完璧で、勝負できない理由がない。今日はチームメイトが僕をフィニッシュまで完璧に運んでくれ、特に力を尽くす必要がなかった。驚くべき働きをしてくれた彼らを誇りに思う。また、もし僕の走りが人々の刺激になっているのならば、それはこのツール・ド・フランスで得られる最大の喜びだろう。

ステージ2位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

勝利まで一歩及ばなかったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)勝利まで一歩及ばなかったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
最後のスプリントは混戦だったが、楽しかった。カヴェンディッシュのスリップストリームから飛び出したが、向かい風に阻まれ勝つことができなかった。彼の方が速かっただけで言い訳はない。マイク(テウニッセンス)の素晴らしい働きにより、スプリンターにとって理想的な位置につくことができた。今日はこれから来るステージに向けモチベーションに繋がったよ。明日はヨナス(ヴィンゲゴー)をアシストし、モンヴァントゥーで待つベルギーファンに会いたいな。

ステージ3位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)

ステージ3位のジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス)ステージ3位のジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
今日はドゥクーニンクが最強だった。最後のスプリントでの位置が定まらず、スピードはあったものの追い抜く前にフィニッシュラインがやってきてしまった。ステージ優勝を諦めたわけではないが、いまはただ残念だよ。

ステージ5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)

中間スプリントでポイントを稼ぎ、マイヨヴェール争いで2位につけるマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)中間スプリントでポイントを稼ぎ、マイヨヴェール争いで2位につけるマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) photo:Luca Bettini
残り30kmの登りで向かい風が吹き、ドゥクーニンク・クイックステップが集団分断を匂わす動きをしたものの、集団は再び一塊になった。ルカ(メズゲッツ)やチームメイトは素晴らしい働きをしてくれ、僕を良い位置まで連れて行ってくれた。だが、カヴェンディッシュが速すぎた。5位がやっとだったよ。

ステージ7位 アンドレ・グライペル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション)

今日は横風区間のため十分な準備をしていたつもりだったが、残念なことに遅れてしまった。その後ギヨーム(ボワヴァン)、リック(ツァベル)、オメル(ゴールドスタイン)のおかげで先頭集団に復帰することができ、僕も力を使わなければならなかった。集団復帰を果たし、残り3、4kmでリックが集団先頭まで連れて行ってくれた。そしてファンアールトの後ろについたのだが、最後は囲まれ行き場を失ってしまった。残念な結果になってしまったが、感覚としては今シーズンで一番良かった。

ステージ8位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

今日もスピードの速いステージで、チームはエシュロンを警戒しウィルコ(ケルデルマン)を集団内で守っていた。最終局面では集団前方にいたのが、最終コーナーで後ろに下がり過ぎてしまい結果的にスプリントに絡めなかった。膝の状態は良くなってきているし、このまま引き続き頑張りたい。

マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

マイヨジョーヌのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は笑顔マイヨジョーヌのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は笑顔 photo:Kei Tsuji
簡単なステージにはならず、ラスト10kmは向かい風が強くストレスフルだった。でも上手く切り抜け、心配すべきステージが1つ減ったよ。明日はこのツールで最も厳しいステージの1つだ。厳しい登りが2つ登場する、長く、タフなステージになるだろう。モンヴァントゥーは歴史の深い山岳で、開幕直前の一度しか登ったことがない。その時でさえ人がいたので、明日はどれほど多くの人が沿道にいるのか想像できないね。楽しみだよ。

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・スタートアップネイション)

もちろんモンヴァントゥーには複雑な気持ちがある。2013年の素晴らしい思い出と、2016年に苦しんだ記憶。それでもツール・ド・フランスにとってモンヴァントゥーは重要かつ象徴的な山岳だ。だが、正直一日一日に集中しているため、明日のことはあまり考えていない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)