2021/06/01(火) - 12:00
老舗のフレンチホイールブランドのマヴィックが、リムブレーキ仕様の新作カーボンホイール"COSMIC SLR40"をリリースした。レースに対応する高い剛性と優れた乗り心地を備えたホイールを500kmのテストライドを通してインプレッションする。
老舗ホイールブランドのマヴィックは2021年モデルでラインアップの大幅な刷新を行った。ロード用カーボンホイールをCOSMIC、アルミホイールをKYSRIUMというモデル名に統一し、直感的にわかりやすいように整理されている。
COSMICシリーズはロープロファイルの32mmからディ―プリムの65mmまでが揃い、ディスクブレーキホイールを中心としながらも、リムブレーキモデルも健在のラインアップだ。今回リムブレーキ版のハイエンドモデル”COSMIC SLR40”が新たにラインナップに加えられた。
他の最新COSMICシリーズ同様にリム、ハブ、スポークにマヴィックの新しい技術がふんだんに投入されており、ディスクブレーキの普及が進む現在においてもマヴィックはリムブレーキモデルを本格的に開発していることが伝わる意欲作だ。
COSMIC SLR 40のリムは、平地の巡航性能やヒルクライムなど多くのシーンで使いやすい40mmハイトかつ、NACAエアロプロファイルとすることで、オールラウンドに活躍できる空力性能を確保。さらに外幅26mmとされており、横風を受けた時にも安定するようなリム形状になっている。リム内幅は19mmになっており、昨今のロードタイヤの標準になりつつある、25mmや28mmなどのワイドタイヤと相性が良い仕様だ。
加えて、リムにFORE CARBONテクノロジーが与えられたことで、リムベッドにニップルホールが空けられず、チューブレステープが不要の仕様を実現した。テープレスの仕様によりテープ分の軽量化を遂げるとともに、チューブレスタイヤを装着する時に空気漏れの心配も少なくなっている。リムベッドの形状が一新されタイヤの着脱がより容易に進化を遂げたUSTチューブレス仕様のリム形状も相まって、チューブレスタイヤの運用が行いやすくなっているはずだ。
また、FORE CARBONテクノロジーによるニップルホールレス仕様は、リムの耐久性を保ちつつ、剛性のあるリムとスポークの接合を実現していることも特徴だ。
ブレーキ面はマヴィック特許のレーザー加工が施されたiTgMAXブレーキトラックを採用している。特殊なカーボンレイアップと熱処理のプロセスにより、ドライでもウェットでも優れたブレーキ性能を発揮する。また、リムのブレーキ面以外のラミネートを新しいものに切り替え、リム1本当たり40gの軽量化を実現していることも新型リムの特徴だ。
ハブはインフィニティハブプラットフォームを採用。フリーボディにはインスタントドライブ360が用いられており、搭載されている40Tの面ラチェットが9度ごとに噛み合うことで、優れた反応性とパワー伝達性を実現している。取り外し可能なノイズパッドによりフリーホイールの音の調整も可能だ。また、QRM Autoというベアリングの自動調節機構が採用されており、玉当たり調整が不要となっている。
フリーボディを工具無しで交換でき、メンテナンス性能が高いことも特徴の一つ。標準でシマノとスラムに対応したフリーボディが装備されているが、別売オプションのカンパニョーロやスラムXDR、多くの肉抜き加工を施し通常モデルよりも軽量なライトフリーホイールボディにも組み替えやすい。
スポークにはマヴィックが特許を取得したダブルバテッドの楕円断面ブレードが用いられ、4ワット分のパワーがセーブできるだけのエアロダイナミクスを確保している。リムブレーキ仕様のホイールのため、フロントは18本をラジアル組、リアは20本をイソパルス組で構成されている。インフィニティハブプラットフォームにより、スポークの交差部分がコンタクトレスとなっており、ライド時にスポーク同士が擦れて音が鳴らないことも特徴だ。
重量はフロントが640g、リアが750gで前後重量は1390gとなっている。付属品はマヴィックの軽量なクイックリリース、カーボンブレーキシュー、チューブレス用USTバルブが付属してくる。価格は275,000円(税込)。
― 編集部インプレッション
ディスクブレーキモデルのホイールが続々登場する中、マヴィックがリリースしたリムブレーキ版の最新ハイエンド"COSMIC SLR 40"のインプレッションを行う。担当するのはロードレースやシクロクロスレース、トレーニング、自転車通勤でチューブレスホイールを愛用しているCW編集部員の高木だ。
ホイールを手に持った時の印象は、想像以上の軽さに仕上がっているチューブレスホイールだった。今回USTシステムにタイヤ(YKSION PRO UST 2の25C)を初めて装着してみたのだが、タイヤレバーを使うこと無く素手で嵌められ、かつフロアポンプで簡単にビードをあげられてしまった。これまで多くのチューブレスホイールとタイヤを使用してきたが、装着の容易さに関しては、USTシステムのスムーズさに驚かされてしまった。
空気圧の設定は、折角なのでマヴィックがApp StoreとGoogle playでリリースしている「My Mavic」アプリに従って行った。装着したタイヤは25C、ライダーの体重は60kg、バイクの重量は7.3kgという条件で計算してみると、下記のようになっている。インプレッションを行ったのは梅雨時期で、この3つの設定で500kmのテストライドを実施した。
老舗ホイールブランドのマヴィックは2021年モデルでラインアップの大幅な刷新を行った。ロード用カーボンホイールをCOSMIC、アルミホイールをKYSRIUMというモデル名に統一し、直感的にわかりやすいように整理されている。
COSMICシリーズはロープロファイルの32mmからディ―プリムの65mmまでが揃い、ディスクブレーキホイールを中心としながらも、リムブレーキモデルも健在のラインアップだ。今回リムブレーキ版のハイエンドモデル”COSMIC SLR40”が新たにラインナップに加えられた。
他の最新COSMICシリーズ同様にリム、ハブ、スポークにマヴィックの新しい技術がふんだんに投入されており、ディスクブレーキの普及が進む現在においてもマヴィックはリムブレーキモデルを本格的に開発していることが伝わる意欲作だ。
COSMIC SLR 40のリムは、平地の巡航性能やヒルクライムなど多くのシーンで使いやすい40mmハイトかつ、NACAエアロプロファイルとすることで、オールラウンドに活躍できる空力性能を確保。さらに外幅26mmとされており、横風を受けた時にも安定するようなリム形状になっている。リム内幅は19mmになっており、昨今のロードタイヤの標準になりつつある、25mmや28mmなどのワイドタイヤと相性が良い仕様だ。
加えて、リムにFORE CARBONテクノロジーが与えられたことで、リムベッドにニップルホールが空けられず、チューブレステープが不要の仕様を実現した。テープレスの仕様によりテープ分の軽量化を遂げるとともに、チューブレスタイヤを装着する時に空気漏れの心配も少なくなっている。リムベッドの形状が一新されタイヤの着脱がより容易に進化を遂げたUSTチューブレス仕様のリム形状も相まって、チューブレスタイヤの運用が行いやすくなっているはずだ。
また、FORE CARBONテクノロジーによるニップルホールレス仕様は、リムの耐久性を保ちつつ、剛性のあるリムとスポークの接合を実現していることも特徴だ。
ブレーキ面はマヴィック特許のレーザー加工が施されたiTgMAXブレーキトラックを採用している。特殊なカーボンレイアップと熱処理のプロセスにより、ドライでもウェットでも優れたブレーキ性能を発揮する。また、リムのブレーキ面以外のラミネートを新しいものに切り替え、リム1本当たり40gの軽量化を実現していることも新型リムの特徴だ。
ハブはインフィニティハブプラットフォームを採用。フリーボディにはインスタントドライブ360が用いられており、搭載されている40Tの面ラチェットが9度ごとに噛み合うことで、優れた反応性とパワー伝達性を実現している。取り外し可能なノイズパッドによりフリーホイールの音の調整も可能だ。また、QRM Autoというベアリングの自動調節機構が採用されており、玉当たり調整が不要となっている。
フリーボディを工具無しで交換でき、メンテナンス性能が高いことも特徴の一つ。標準でシマノとスラムに対応したフリーボディが装備されているが、別売オプションのカンパニョーロやスラムXDR、多くの肉抜き加工を施し通常モデルよりも軽量なライトフリーホイールボディにも組み替えやすい。
スポークにはマヴィックが特許を取得したダブルバテッドの楕円断面ブレードが用いられ、4ワット分のパワーがセーブできるだけのエアロダイナミクスを確保している。リムブレーキ仕様のホイールのため、フロントは18本をラジアル組、リアは20本をイソパルス組で構成されている。インフィニティハブプラットフォームにより、スポークの交差部分がコンタクトレスとなっており、ライド時にスポーク同士が擦れて音が鳴らないことも特徴だ。
重量はフロントが640g、リアが750gで前後重量は1390gとなっている。付属品はマヴィックの軽量なクイックリリース、カーボンブレーキシュー、チューブレス用USTバルブが付属してくる。価格は275,000円(税込)。
― 編集部インプレッション
ディスクブレーキモデルのホイールが続々登場する中、マヴィックがリリースしたリムブレーキ版の最新ハイエンド"COSMIC SLR 40"のインプレッションを行う。担当するのはロードレースやシクロクロスレース、トレーニング、自転車通勤でチューブレスホイールを愛用しているCW編集部員の高木だ。
ホイールを手に持った時の印象は、想像以上の軽さに仕上がっているチューブレスホイールだった。今回USTシステムにタイヤ(YKSION PRO UST 2の25C)を初めて装着してみたのだが、タイヤレバーを使うこと無く素手で嵌められ、かつフロアポンプで簡単にビードをあげられてしまった。これまで多くのチューブレスホイールとタイヤを使用してきたが、装着の容易さに関しては、USTシステムのスムーズさに驚かされてしまった。
空気圧の設定は、折角なのでマヴィックがApp StoreとGoogle playでリリースしている「My Mavic」アプリに従って行った。装着したタイヤは25C、ライダーの体重は60kg、バイクの重量は7.3kgという条件で計算してみると、下記のようになっている。インプレッションを行ったのは梅雨時期で、この3つの設定で500kmのテストライドを実施した。
My Mavicを使用して計算した適正空気圧
コンディション | フロントの空気圧 | リアの空気圧 |
---|---|---|
ドライ | 5.0bar(73PSI) | 5.2bar(75PSI) |
ウェット | 4.7bar(68PSI) | 4.9bar(71PSI) |
ミックス(ドライ&ウェット) | 4.8bar(70PSI) | 5.0bar(73PSI) |
COSMIC SLR 40を漕ぎ出してまず感じるのは、チューブレスシステム特有の漕ぎ出しの軽さ。そして、ホイールは非常に高い剛性を足に伝えてくる。重量自体も軽く、チューブレスの軽快さを感じるリムブレーキモデルだが、ディスクブレーキ用ホイールのような硬さも感じるのだ。
加速感としては瞬発的にスピードが伸びるというより、穏やかに加速していくような印象がある。ダッシュが苦手というわけではなく、高いパワーを入力すればホイールは応えてくれ、一気に加速してくれる性能は有している。
一方で非常に高い剛性を備えているということもあり、COSMIC SLR40にマッチするのは7割程の出力で徐々にスピードを上げるような踏み方だ。体力を残すことをイメージして踏んであげることが、脚の疲労を抑えつつロングライドを楽しむことに繋がるだろう。
スプリントにおいては高剛性のおかげで、踏み込んだ力が全て推進力に変わっている感覚があった。低速から高速域まで、どんな速度域からスプリントをしても、加速感は優れている印象がある。また、ハンドルを左右に振りながら加速する場面でも、軸がぶれない安定性も感じることができた。
COSMIC SLR 40で巡航する時のスイートスポットは30~40km/hにあり、40mmのミドルハイトながら平地巡航しやすいホイールという印象もある。これはタイヤ変形時のエネルギーロスがチューブレスタイヤは少なく、低転がり抵抗を実現しているためだろう。また、ワイドリムの恩恵もあり、テスト中に横風を受けてもハンドルが取られてしまうことがなく、常に快適な状態で走り続けられたのも好印象だ。
斜度10%以上の激坂でも、重量とチューブレスによる軽快感と高い剛性が、軽やかな走り心地を提供してくれる。また、登りではスポーク同士が擦れて音が鳴るホイールがあるが、COSMIC SLR40は新しいハブになり、スポークが重ならない構造になっているため、静かに登ることができた。ホイールから軋み音が発生しないことは、走行中の快適さに繋がっているかも知れない。
下りは乗り心地の良さと安定感に優れ、峠の下りも安心して走れた。ブレーキ面にはレーザー加工が施されていることによって、ドライコンディションではブレーキの効きが良く、平地や下りでスピードを微調整するようなブレーキタッチが可能。
コーナーへの進入時にフルブレーキングをしても高い剛性によってホイールがよれることがなく、コーナーリング中にも狙ったラインをトレースできる。安定性が高くスピードを維持しやすいのでコーナーの立ち上がりでは、スムーズに駆け抜けて行ってくれる。レースのように加速しながら立ち上がる場合でも少し踏み込むだけで加速に対応出来るのは、ハイエンドらしい性能だ。
どんなシチュエーションでも高いレベルで走ることができるマヴィック COSMIC SLR 40は万能なハイエンドカーボンホイールを探しているサイクリストにピッタリだと思う。ロードレースやヒルクライム、一定ペースで走るサーキットエンデューロやサイクリングなどで走る楽しみを味わいたいライダーに是非試してもらいたい。
マヴィック COSMIC SLR 40
リム:カーボン、USTチューブレス
リムサイズ:ハイト40mm、内幅19mm
ハブ:Infinity Hub、ID360
スポーク:MAVIC特許のエアロスポーク
重量:1390g
価格:275,000円(税込)
impression:Michinari TAKAGI
photo:Gakuto Fujiwara、Michinari TAKAGI
加速感としては瞬発的にスピードが伸びるというより、穏やかに加速していくような印象がある。ダッシュが苦手というわけではなく、高いパワーを入力すればホイールは応えてくれ、一気に加速してくれる性能は有している。
一方で非常に高い剛性を備えているということもあり、COSMIC SLR40にマッチするのは7割程の出力で徐々にスピードを上げるような踏み方だ。体力を残すことをイメージして踏んであげることが、脚の疲労を抑えつつロングライドを楽しむことに繋がるだろう。
スプリントにおいては高剛性のおかげで、踏み込んだ力が全て推進力に変わっている感覚があった。低速から高速域まで、どんな速度域からスプリントをしても、加速感は優れている印象がある。また、ハンドルを左右に振りながら加速する場面でも、軸がぶれない安定性も感じることができた。
COSMIC SLR 40で巡航する時のスイートスポットは30~40km/hにあり、40mmのミドルハイトながら平地巡航しやすいホイールという印象もある。これはタイヤ変形時のエネルギーロスがチューブレスタイヤは少なく、低転がり抵抗を実現しているためだろう。また、ワイドリムの恩恵もあり、テスト中に横風を受けてもハンドルが取られてしまうことがなく、常に快適な状態で走り続けられたのも好印象だ。
斜度10%以上の激坂でも、重量とチューブレスによる軽快感と高い剛性が、軽やかな走り心地を提供してくれる。また、登りではスポーク同士が擦れて音が鳴るホイールがあるが、COSMIC SLR40は新しいハブになり、スポークが重ならない構造になっているため、静かに登ることができた。ホイールから軋み音が発生しないことは、走行中の快適さに繋がっているかも知れない。
下りは乗り心地の良さと安定感に優れ、峠の下りも安心して走れた。ブレーキ面にはレーザー加工が施されていることによって、ドライコンディションではブレーキの効きが良く、平地や下りでスピードを微調整するようなブレーキタッチが可能。
コーナーへの進入時にフルブレーキングをしても高い剛性によってホイールがよれることがなく、コーナーリング中にも狙ったラインをトレースできる。安定性が高くスピードを維持しやすいのでコーナーの立ち上がりでは、スムーズに駆け抜けて行ってくれる。レースのように加速しながら立ち上がる場合でも少し踏み込むだけで加速に対応出来るのは、ハイエンドらしい性能だ。
どんなシチュエーションでも高いレベルで走ることができるマヴィック COSMIC SLR 40は万能なハイエンドカーボンホイールを探しているサイクリストにピッタリだと思う。ロードレースやヒルクライム、一定ペースで走るサーキットエンデューロやサイクリングなどで走る楽しみを味わいたいライダーに是非試してもらいたい。
マヴィック COSMIC SLR 40
リム:カーボン、USTチューブレス
リムサイズ:ハイト40mm、内幅19mm
ハブ:Infinity Hub、ID360
スポーク:MAVIC特許のエアロスポーク
重量:1390g
価格:275,000円(税込)
impression:Michinari TAKAGI
photo:Gakuto Fujiwara、Michinari TAKAGI
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