2021/05/18(火) - 10:56
「大会初日から調子が良かったのだが、ようやく勝てた」と語るのは、休息日前日のジロ第10ステージを制したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。一歩届かなかったガビリアや、中間スプリントで見せ場を作ったベルナル、批判に対するユアンらのコメントを紹介します。
ステージ1位&ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
チームにとって最高に一日になった。チームメイトに多大な感謝を伝えたい。タフなステージにするべく僕らは全力を尽くし、何人かのピュアスプリンターは振り落とせたが、それでも集団には数名残っていた。一日中速いペースを保てば僕らにとって楽な展開になる。このジロでは初日から今日までずっと脚が良かったのだが、スタートから150kmをゆっくりと進み、そして残り30kmからしか動きがない展開ではピュアスプリンターたちを倒すのは難しい。これでマリアチクラミーノを獲得することができたが、まだジロは半分しか終わっていない。戦いはまだまだ続いていくし、一日一日が勝負だ。
(ここしばらく勝利のないエリア・ヴィヴィアーニについて)
このジロでエリアはいつも集団前方でフィニッシュしている。登りもこなせているので、他の選手たちのように運が足りないだけだ。僕も序盤のスプリントステージでフェンスに激突しかけ勝利を逃す不運があった。それがなければ勝てたかもしれない。エリアも同じく運が巡ってきていないだけで、3位に2度入っている。君たち(ジャーナリスト)は誰かが勝てないとすぐに「あいつは終わった」と書くが、批判についていま一度考え直すべきだ。
ステージ2位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
最後のスプリントは複雑で、残り1kmで危うく落車するところだった。サガンはとても強く、今日の勝利にふさわしい走りだった。コンディションは良く、しかし絶好調だからといって勝てるわけではない。勝利まであと一歩のところまで近づけたことに満足しているし、調子も良いので2週目は勝利に貪欲に走りたい。
ステージ3位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)
2度の2位、そして今日は3位だ。今日こそは勝ちたかったが、最後の登りでチームによる素晴らしい働きがあり、それに3位という結果で応えられ満足している。完璧な一日にするには勝利が足りなかったが、スプリントステージがまだあと2日残っているので、次こそはステージ優勝を掴みたい。特に僕の出身地で行われるレースでは勝ちたい。明日の休息日が楽しみだ。目覚ましをセットしなくていいし、今夜はピザも食べられるかもね。
マリアローザ&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
今日はハードなステージで、登りでのボーラは見事だった。彼らのペースはとても速く、全員がフルガスだったんじゃないかな。今朝予想した展開よりも数倍厳しいレースになったが、無事に走り終えることができて嬉しいよ。
(中間スプリントについて)
ジャンニ・モスコンとジョナタン・ナルバエスがスプリントする予定だったのだが、タイム差が取れるチャンスが見えたのでフィリッポ(ガンナ)の後ろについて行った。彼の後ろはすごく楽で、タイム差を一秒奪ったのに力は全く使わなかった。楽しかったよ。
レムコ(エヴェネプール)は強い選手の1人だが、ライバルは彼だけじゃない。このジロには強く経験豊富な選手がたくさんいるし、みんな(総合タイムが)1分差の中にいる。ジャーナリストたちは僕とエヴェネプールのデュエルを期待しているのかもしれないが、僕自身はそう思っていない。
マリアローザを着て走るレースは夢のようだし、実力以上の力も与えてくれる。しかし同時に責任も負わなければならず、まだ半分しか終わっていないジロを集中し、ミラノまでこのジャージで走りたい。
ステージ61位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
今日は強風が吹いていて、どんなステージになるか分からなかった。チームはヤン(トラトニック)を逃げに乗せ(決まりそうなメンバーなら)、そしてダミアーノ(カルーゾ)のタイムを失わないのがこのステージの目標だった。
始まってみれば、5人逃げの緩い展開になるかと思ったが、ボーラ・ハンズグローエがゴールまで60kmを残したところでスプリンターを苦しめるきつい展開に持っていき、全く平和な1日では無くなった。強烈なペースで登りも下りも走ったが、幸い自分は山岳をメイン集団でこえることが出来て、ダミアーノのサポートをゴールまですることが出来た。
ここまで登りは苦しんだが、平坦では脚の調子良さが確認出来た。まだ1週目が終わっただけ。これからがジロ本番が待ち構えている。明日はしっかりとパワーをチャージして2週目備えたいと思う。
批判に対して応える第8ステージで棄権したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
僕の怪我を心配するメッセージを送ってくれた人たちに感謝したい。第8ステージで発生した膝の痛みのため、ポジション調整に励んでいる。痛みが完全に消えた後に、ツールに向けたトレーニングを再開する予定だ。
正直、今日のジロのスプリントを観るのは辛かった。また第13ステージもここに向けて調整するつもりだったので尚更(残念)だ。(途中棄権が)ジロに対してリスペクトに欠ける行為だと思った人に対して、そう思わせてしまったならば謝りたい。僕がこのレースにどれだけ敬意を払い、また準備に費やしてきたかを見てもらえれば、そのようには思わないだろう。このジロをリタイアする選択は誰よりも僕が一番残念に思っているのだから。
ボーラ・ハンスグローエのヤン・バラク監督
今日は勝利のチャンスが巡ってくると思っていた。しかし、前回のスプリントステージとは違い距離が短く休息日の前日ということもあり、コントロールが難しいレースになるとも予想していた。第一目標である逃げ集団とのタイム差を抑えることに成功し、他のスプリンターチームと一緒に集団を牽引していたのだが、その4、5チームは(そこまで積極的ではなく)動きを制限し、集団スプリントに持ち込めればと思うにすぎなかった。
だから我々はレースをより厳しくするため登りでスプリンターを振り落とし、集団の縮小を試みたんだ。選手一人一人が力を尽くし、ラスト1kmまで完璧な働きをしてくれた。そしてペテルが素晴らしいスプリントで勝利を挙げた。とても嬉しい勝利だよ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ステージ1位&ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
チームにとって最高に一日になった。チームメイトに多大な感謝を伝えたい。タフなステージにするべく僕らは全力を尽くし、何人かのピュアスプリンターは振り落とせたが、それでも集団には数名残っていた。一日中速いペースを保てば僕らにとって楽な展開になる。このジロでは初日から今日までずっと脚が良かったのだが、スタートから150kmをゆっくりと進み、そして残り30kmからしか動きがない展開ではピュアスプリンターたちを倒すのは難しい。これでマリアチクラミーノを獲得することができたが、まだジロは半分しか終わっていない。戦いはまだまだ続いていくし、一日一日が勝負だ。
(ここしばらく勝利のないエリア・ヴィヴィアーニについて)
このジロでエリアはいつも集団前方でフィニッシュしている。登りもこなせているので、他の選手たちのように運が足りないだけだ。僕も序盤のスプリントステージでフェンスに激突しかけ勝利を逃す不運があった。それがなければ勝てたかもしれない。エリアも同じく運が巡ってきていないだけで、3位に2度入っている。君たち(ジャーナリスト)は誰かが勝てないとすぐに「あいつは終わった」と書くが、批判についていま一度考え直すべきだ。
ステージ2位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
最後のスプリントは複雑で、残り1kmで危うく落車するところだった。サガンはとても強く、今日の勝利にふさわしい走りだった。コンディションは良く、しかし絶好調だからといって勝てるわけではない。勝利まであと一歩のところまで近づけたことに満足しているし、調子も良いので2週目は勝利に貪欲に走りたい。
ステージ3位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)
2度の2位、そして今日は3位だ。今日こそは勝ちたかったが、最後の登りでチームによる素晴らしい働きがあり、それに3位という結果で応えられ満足している。完璧な一日にするには勝利が足りなかったが、スプリントステージがまだあと2日残っているので、次こそはステージ優勝を掴みたい。特に僕の出身地で行われるレースでは勝ちたい。明日の休息日が楽しみだ。目覚ましをセットしなくていいし、今夜はピザも食べられるかもね。
マリアローザ&ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
今日はハードなステージで、登りでのボーラは見事だった。彼らのペースはとても速く、全員がフルガスだったんじゃないかな。今朝予想した展開よりも数倍厳しいレースになったが、無事に走り終えることができて嬉しいよ。
(中間スプリントについて)
ジャンニ・モスコンとジョナタン・ナルバエスがスプリントする予定だったのだが、タイム差が取れるチャンスが見えたのでフィリッポ(ガンナ)の後ろについて行った。彼の後ろはすごく楽で、タイム差を一秒奪ったのに力は全く使わなかった。楽しかったよ。
レムコ(エヴェネプール)は強い選手の1人だが、ライバルは彼だけじゃない。このジロには強く経験豊富な選手がたくさんいるし、みんな(総合タイムが)1分差の中にいる。ジャーナリストたちは僕とエヴェネプールのデュエルを期待しているのかもしれないが、僕自身はそう思っていない。
マリアローザを着て走るレースは夢のようだし、実力以上の力も与えてくれる。しかし同時に責任も負わなければならず、まだ半分しか終わっていないジロを集中し、ミラノまでこのジャージで走りたい。
ステージ61位 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)
今日は強風が吹いていて、どんなステージになるか分からなかった。チームはヤン(トラトニック)を逃げに乗せ(決まりそうなメンバーなら)、そしてダミアーノ(カルーゾ)のタイムを失わないのがこのステージの目標だった。
始まってみれば、5人逃げの緩い展開になるかと思ったが、ボーラ・ハンズグローエがゴールまで60kmを残したところでスプリンターを苦しめるきつい展開に持っていき、全く平和な1日では無くなった。強烈なペースで登りも下りも走ったが、幸い自分は山岳をメイン集団でこえることが出来て、ダミアーノのサポートをゴールまですることが出来た。
ここまで登りは苦しんだが、平坦では脚の調子良さが確認出来た。まだ1週目が終わっただけ。これからがジロ本番が待ち構えている。明日はしっかりとパワーをチャージして2週目備えたいと思う。
批判に対して応える第8ステージで棄権したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
僕の怪我を心配するメッセージを送ってくれた人たちに感謝したい。第8ステージで発生した膝の痛みのため、ポジション調整に励んでいる。痛みが完全に消えた後に、ツールに向けたトレーニングを再開する予定だ。
正直、今日のジロのスプリントを観るのは辛かった。また第13ステージもここに向けて調整するつもりだったので尚更(残念)だ。(途中棄権が)ジロに対してリスペクトに欠ける行為だと思った人に対して、そう思わせてしまったならば謝りたい。僕がこのレースにどれだけ敬意を払い、また準備に費やしてきたかを見てもらえれば、そのようには思わないだろう。このジロをリタイアする選択は誰よりも僕が一番残念に思っているのだから。
ボーラ・ハンスグローエのヤン・バラク監督
今日は勝利のチャンスが巡ってくると思っていた。しかし、前回のスプリントステージとは違い距離が短く休息日の前日ということもあり、コントロールが難しいレースになるとも予想していた。第一目標である逃げ集団とのタイム差を抑えることに成功し、他のスプリンターチームと一緒に集団を牽引していたのだが、その4、5チームは(そこまで積極的ではなく)動きを制限し、集団スプリントに持ち込めればと思うにすぎなかった。
だから我々はレースをより厳しくするため登りでスプリンターを振り落とし、集団の縮小を試みたんだ。選手一人一人が力を尽くし、ラスト1kmまで完璧な働きをしてくれた。そしてペテルが素晴らしいスプリントで勝利を挙げた。とても嬉しい勝利だよ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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