2021/03/27(土) - 21:26
「日本初の自転車ロードレースのプロリーグ」として新たに設立されたJCLプロロードレースツアーがいよいよ開幕。開幕戦となる第1戦真岡芳賀ロードレースが3月27日、栃木県真岡市と芳賀町にまたがる公道特設周回コースで開催され、6名の逃げ集団から最終周に単独で抜け出した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が独走勝利。2位にはチームメイトの西村大輝が入り、地元開催の新ツアー開幕戦でワンツーフィニッシュを飾った。
ついに開幕を迎えた新リーグ「三菱地所JCLプロサイクルロードツアー」
メイン会場となる真岡井頭公園に出場チームが集結する photo:Nobumichi Komori
開会宣言をする片山右京チェアマン photo:Nobumichi Komori
昨年秋にその船出が発表されたJCLプロロードレースツアー。地域創生をキーワードに据え、ホームタウンを持つ地域密着型チームや国内UCIコンチネンタルチームが9チーム参加。年間を通して全国各地でレースを行い、それぞれのレースでの獲得ポイントで個人総合をはじめとする各タイトルを決定する。
華やかなテープカットで新ツアーが幕を開ける photo:Nobumichi Komori
地元チームとして好走を見せたい那須ブラーゼンがステージに登壇 photo:Nobumichi Komori
記念すべき開幕戦の舞台となったのは栃木県真岡市の井頭公園をスタート・フィニッシュ地点に、隣接する芳賀町にまたがる公道を使用した1周7.6kmの特設周回コース。このコースを20周する152kmのレースで開幕を迎えることになった。
激しいアタック合戦の序盤から3名の逃げが形成される
真岡の井頭公園を選手たちがスタート。JCL ジャパンサイクルリーグが開幕 photo:Makoto.AYANO
午前11時15分にスタートしたレースは、序盤から各チームが積極的にアタックを仕掛け合う激しい展開に。数名の選手が飛び出しては集団が吸収する状況がしばらく続いたが、4周目に入ると単独アタックで飛び出した横塚浩平(チーム右京 相模原)に内田宇海(ヴィクトワール広島)と持留叶汰郎(VC福岡)がジョイン。この3名の逃げを集団が容認し、レースは3名の逃げ集団とメイン集団という展開で落ち着くことになった。
のどかな真岡の風景の中をメイン集団が進む photo:Nobumichi Komori
序盤から激しいアタック合戦が続く photo:Nobumichi Komori
その後、レースは3名の逃げ集団と那須ブラーゼンやスパークルおおいたレーシングチームがコントロールするメイン集団という展開のまま周回を重ねていく状態が続く。
内田宇海(ヴィクトワール広島)、横塚浩平(チーム右京 相模原)、持留叶汰郎(VC福岡)の3人が逃げ集団を形成する photo:Nobumichi Komori
最大で2分40秒ほどまで開いた逃げ集団とメイン集団のタイム差が縮まり始めたのは、レースも折り返しとなる10周目。メイン集団のコントロールに宇都宮ブリッツェンが加わったことでペースが上がり、13周目に入るところでメイン集団が逃げ集団をキャッチし、レースは振り出しに戻った。
メイン集団は那須ブラーゼンとスパークルおおいたレーシングチームがコントロール photo:Nobumichi Komori
有力選手の勝ち逃げグループから飛び出した増田が独走勝利
宇都宮ブリッツェンがコントロールに加わり、メイン集団のペースが上がる photo:Nobumichi Komori
小石祐馬(チーム右京 相模原)のアタックにライバルチームの有力選手勢が反応する photo:Nobumichi Komori
振り出しに戻った集団は再び激しいアタック合戦となったが、その中から15周目に増田、西村、トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)、鈴木龍(レバンテ富士静岡)、小石祐馬と石原悠希(チーム右京相模原)の6名が逃げ集団を形成する展開に。
有力チームのエース級の選手が入ったこの逃げ集団に対し、メイン集団は選手を送り込めなかったチーム勢が先頭に立って追走を試みるが、強力な逃げ集団とのタイム差は縮まるどころか開いていく。残り3周に入る段階でその差は40秒ほどあり、逃げ集団の逃げ切りが濃厚な状況になった。
有力選手がそろう逃げ集団がメイン集団とのタイム差を広げていく photo:Nobumichi Komori
メイン集団とのタイム差を40秒程度にまで広げた逃げ集団は、しっかりと協調しながら着実に残り距離を減らしていく。2名ずつが入った宇都宮ブリッツェンとチーム右京相模原が有利だが、スプリントになれば最もスプリント力があると目される鈴木に分がある状況で、レースはついに最終周に入る。
逃げに選手を乗せられなかったチーム勢が先頭に立ってペースを上げようとするも上がらない photo:Nobumichi Komori
最終周に入るとほどなくして増田が渾身のアタックを仕掛けて単独で抜け出すと、残るメンバーは互いの思惑が噛み合わずにペースダウン。最後までペースを落とすことなく踏み切った増田が、独走で記念すべき新ツアー最初の勝利を飾った。
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が鮮やかな独走勝利で新ツアー最初の勝者となった photo:Nobumichi Komori
2位争いのスプリントを西村大輝が制し、宇都宮ブリッツェンがワンツーフィニッシュを達成 photo:Nobumichi Komori
2位争いのスプリントはチームメートの西村が落ち着いて制し、宇都宮ブリッツェンが地元開催の新ツアー開幕戦でワンツーフィニッシュを達成した。
増田成幸のコメント
「最初に逃げが3人できて緩い展開になってしまう可能性もありましたが、自分たちとしてはそういう展開にしたくなかったので、チームメートの中村選手と堀選手にメイン集団のコントロールに加わってもらって逃げ集団とのタイム差を縮めた中から厳しい展開に持ち込もうと考えました。
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)はツアーリーダーの証であるマイヨプリエにも袖を通した photo:Nobumichi Komori
そうした中から自分と西村選手が抜け出すことができて思った通りの展開にできましたし、ワンツーフィニッシュも決められたのでこれ以上ない結果だったと思います。(最後のアタックの場面は)後ろの集団とも30~40秒ぐらいで行ったり来たりしていて、あまり早い段階で逃げ集団の協調を崩しても良くないと思っていましたし、同じ集団内には鈴木龍選手がいて最後まで一緒に行ってしまったら勝てないということは分かっていたので、何とかしてあの逃げ集団の中でもさらに厳しい状況を作っていきたいと考えた時に、最終周のあのタイミングで仕掛けるのがいいと思っていたので決まって良かったです」
増田成幸と西村大輝がワンツーフィニッシュ、3位にはトマ・ルバが入った photo:Nobumichi Komori
ベストアシストライダーは小石祐馬(チーム右京 相模原)が獲得 photo:Nobumichi Komori
序盤から逃げ続けた横塚浩平(チーム右京 相模原)がベストアグレッシブライダーに photo:Nobumichi Komori
23歳未満の選手で争われるマイヨエスポワールは本多晴飛(VC福岡)が獲得 photo:Nobumichi Komori
スプリント賞ジャージのマイヨラファールは優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の手に photo:Nobumichi Komori
JCLチェアマンの片山右京氏 photo:Makoto.AYANO片山右京チェアマンのコメント
「コロナ禍でどんなスポーツも苦境に立たされている中にあって開催にこぎつけたことは言葉で表せない喜びです。これは地元の人、審判団、スポンサー、スタッフなど関係者すべてが力を合わせた結果。新しいリーグでは各チームがレースを開く、という形態。それが日本でどんどん増えていく。まず日本に自転車文化を広めていく。そしてサポートできる人たちを増やしていく。そのために配信にも力を入れていく。
やりたいことの10分の1もできなかったとはいえ、こうしてスタートを切れたことは関係してくれた人たちのおかげ。僕自身はオリンピックの準備で何もできないなか、本当に皆さんのおかげで、ホッとしています。でもここからもまた皆さんの力をお借りしてやっていかなくてはいけない。気を引き締めて頑張っていきます」
ハイライト動画
ついに開幕を迎えた新リーグ「三菱地所JCLプロサイクルロードツアー」
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昨年秋にその船出が発表されたJCLプロロードレースツアー。地域創生をキーワードに据え、ホームタウンを持つ地域密着型チームや国内UCIコンチネンタルチームが9チーム参加。年間を通して全国各地でレースを行い、それぞれのレースでの獲得ポイントで個人総合をはじめとする各タイトルを決定する。
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記念すべき開幕戦の舞台となったのは栃木県真岡市の井頭公園をスタート・フィニッシュ地点に、隣接する芳賀町にまたがる公道を使用した1周7.6kmの特設周回コース。このコースを20周する152kmのレースで開幕を迎えることになった。
激しいアタック合戦の序盤から3名の逃げが形成される
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午前11時15分にスタートしたレースは、序盤から各チームが積極的にアタックを仕掛け合う激しい展開に。数名の選手が飛び出しては集団が吸収する状況がしばらく続いたが、4周目に入ると単独アタックで飛び出した横塚浩平(チーム右京 相模原)に内田宇海(ヴィクトワール広島)と持留叶汰郎(VC福岡)がジョイン。この3名の逃げを集団が容認し、レースは3名の逃げ集団とメイン集団という展開で落ち着くことになった。
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有力選手の勝ち逃げグループから飛び出した増田が独走勝利
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振り出しに戻った集団は再び激しいアタック合戦となったが、その中から15周目に増田、西村、トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)、鈴木龍(レバンテ富士静岡)、小石祐馬と石原悠希(チーム右京相模原)の6名が逃げ集団を形成する展開に。
有力チームのエース級の選手が入ったこの逃げ集団に対し、メイン集団は選手を送り込めなかったチーム勢が先頭に立って追走を試みるが、強力な逃げ集団とのタイム差は縮まるどころか開いていく。残り3周に入る段階でその差は40秒ほどあり、逃げ集団の逃げ切りが濃厚な状況になった。
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メイン集団とのタイム差を40秒程度にまで広げた逃げ集団は、しっかりと協調しながら着実に残り距離を減らしていく。2名ずつが入った宇都宮ブリッツェンとチーム右京相模原が有利だが、スプリントになれば最もスプリント力があると目される鈴木に分がある状況で、レースはついに最終周に入る。
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最終周に入るとほどなくして増田が渾身のアタックを仕掛けて単独で抜け出すと、残るメンバーは互いの思惑が噛み合わずにペースダウン。最後までペースを落とすことなく踏み切った増田が、独走で記念すべき新ツアー最初の勝利を飾った。
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2位争いのスプリントはチームメートの西村が落ち着いて制し、宇都宮ブリッツェンが地元開催の新ツアー開幕戦でワンツーフィニッシュを達成した。
増田成幸のコメント
「最初に逃げが3人できて緩い展開になってしまう可能性もありましたが、自分たちとしてはそういう展開にしたくなかったので、チームメートの中村選手と堀選手にメイン集団のコントロールに加わってもらって逃げ集団とのタイム差を縮めた中から厳しい展開に持ち込もうと考えました。
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やりたいことの10分の1もできなかったとはいえ、こうしてスタートを切れたことは関係してくれた人たちのおかげ。僕自身はオリンピックの準備で何もできないなか、本当に皆さんのおかげで、ホッとしています。でもここからもまた皆さんの力をお借りしてやっていかなくてはいけない。気を引き締めて頑張っていきます」
ハイライト動画
JCLジャパンサイクルリーグ カンセキ真岡芳賀ロードレース152km 結果
1位 | 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) | 3時間41分43秒 |
2位 | 西村大輝(宇都宮ブリッツェン) | +20秒 |
3位 | トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム) | +21秒 |
4位 | 鈴木龍(レバンテ富士静岡) | +22秒 |
5位 | 石原悠希(チーム右京 相模原) | +25秒 |
6位 | 小石祐馬(チーム右京 相模原) | +39秒 |
text&photo:Nobumichi Komori
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