今シーズンに新たに発足した地域密着型サイクリングチーム「Avenir Yamanashi Yamanakako」がチームプレゼンテーションを開催。所属選手の発表に加え、来シーズンのトップカテゴリーレースへの参戦を視野に入れたレーススケジュール、地域との取り組みなどを公表した。



地域の子供たちやその家族に応援され、また夢を与えるチームとして活動が始まった「アヴニール・ヤマナシ・ヤマナカコ」地域の子供たちやその家族に応援され、また夢を与えるチームとして活動が始まった「アヴニール・ヤマナシ・ヤマナカコ」
東京オリンピックロードレースのコースともなる山梨県の山中湖村。風光明媚な景観と走りやすい環境でサイクリストたちからの人気も高いこの地域を拠点としたロードレースチームが新たに誕生した。

その名は「Avenir Yamanashi Yamanakako」(アヴニール・ヤマナシ・ヤマナカコ)。2月には山中湖村から「ホームタウン認定」を受けた地域密着型チームだ。運営を務める合同会社アヴニールサイクリングは、2020年より「山中湖サイクリングクラブ」として、村内の小中学生や山梨県内外の中高生、一般サイクリストを対象にしたスクールや育成レース・イベントの運営を行ってきた。

今シーズンより、子供たちの育成だけでなく国内レースを走るプロチームとしての活動を本格始動することに。チームが掲げる理念は「地域密着型チーム」と「世界的育成型チーム」という2つ。

子供たちにエスコートされて選手たちが登場 子供たちにエスコートされて選手たちが登場 
「地域密着型チーム」という理念に関しては、従来の活動であった地元の子供たちへのスクール活動を軸としつつ、独自のレースイベントを開催することで、山梨における自転車文化の醸成やロードレースの認知向上を狙っていく。

一方の「世界的育成型チーム」というコンセプトは、世界トップレベルを目指すことが自転車文化の発展に寄与するという考えのもと、ロードレースの本場であるフランスとの交流を図り、そこで走ることができる選手の育成を通じて競技レベルの底上げを狙っていくという。

チーム監督はフランスのトップレースを経験してきたトム・ボシスが務める一方、プレイングGMとしてキナンや那須ブラ―ゼンに所属し、海外レースの経験も豊富な水野恭兵が就任し、国内レースを走っていく。

発足メンバーとなる選手たち 左から岩田、瀬戸口、水野、トム、下島、風間発足メンバーとなる選手たち 左から岩田、瀬戸口、水野、トム、下島、風間
所属するのは元那須ブラ―ゼンの下島将輝、U17全日本優勝や国体での優勝経験を有する岩田聖矢、笛吹市出身で現在は法政大で活躍する風間竜太、全日本選手権MTBのU17で3位に入ったほか、フランスでレースを走る瀬戸口瑛に加え、フランスのトップカテゴリーである1カテゴリーで走るティボー・ジャネスらの7名。

チームバイクはフレンチブランドのS1NEO、ジャージはライフログが供給し、NNLLレーシングサイクルがメカニックサポートを提供。備品類は山梨中央銀行、チームカーはベストバイ、カーラッピングは高村広芸と地元のサポートを受けつつ、活動を開始する。

アヴニール・ヤマナシ・ヤマナカコ 2021シーズン ジャージデザイン(暫定版)アヴニール・ヤマナシ・ヤマナカコ 2021シーズン ジャージデザイン(暫定版)
結成1年目となる今年は、JPTやJCLといったトップカテゴリーへの参戦は見送り、全日本選手権を最大の目標としつつ、JBCFのE1カテゴリーや木祖村や木島平といったステージレースやAACAなどのクリテリウムに参戦していく。

更にアヴニールカップとして、オリジナルのレースシリーズの運営を手掛けていくという。初年度となる今年は境川競技場を利用したトラックレースイベントを中心としつつ、来年以降はクリテリウムやロードレースへと、段階的に幅を広げていき、将来的には山梨県全域を駆ける「ツール・ド・やまなし」の開催を目指す。

左からチーム監督のトム・ボシス、GMの水野恭兵左からチーム監督のトム・ボシス、GMの水野恭兵
育成型チームらしく、若手に焦点を当てた年齢別カテゴリー(U13、U15、U17、U19)を設けるとともに、レースの運営についてもUCIが推薦する世界標準での方式にこだわり、世界へと繋がるようなレースシリーズにする試みだ。今シーズンのアヴニールカップの詳細については、続報を用意しているとのこと。

また、育成プロジェクトの一環として、フランスのトップチームでアシスタントディレクターを務めるクレマン・セレ氏の協力を得て、現地での受け入れ態勢を構築。選手として走る予定のティボー・ジャネスが日本で世界レベルの経験を伝えるのと合わせて、世界に挑戦する選手を輩出する体制を整えていく予定だ。

チーム代表を務める久保田政孝氏チーム代表を務める久保田政孝氏
チーム結成にあたり、久保田代表は以下のようにコメントしている。

「これまで、地域の子供たちの自転車スクールやシクロクロスコースの開設など、地域に根差した活動を続けてきました。その結果として、山中湖村からホームタウン認定を受けることが出来たのですが、レーシングチームを発足してもその思いは変わりません。

素晴らしい選手が集まったこともあり、2022年のプロチーム化を目指し、しっかりと今年一年で実績を作っていきたいですね。私たちの原点でもある子供たちにとって、アヴニール・ヤマナシ・ヤマナカコが憧れとなるようなチームとして活動していければと思っています。」

子供たちにサインする下島選手 フレンドリーなチームとしてスタートを切った子供たちにサインする下島選手 フレンドリーなチームとしてスタートを切った