合計31.6kmに及ぶ未舗装路を走るストラーデビアンケ女子レースを、SDワークスが圧倒。元世界王者シャンタル・ブラーク(オランダ)が現イタリア王者エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)を破り初勝利した。與那嶺恵理(チームティブコSBV)は後半遅れ、47位だった。



2019年大会で13位という結果を残している與那嶺恵理(チームティブコSBV)も出走2019年大会で13位という結果を残している與那嶺恵理(チームティブコSBV)も出走 (c)本人提供3年連続勝利を目指すアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)3年連続勝利を目指すアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) (c)CorVos


男子レースと並行して行われたストラーデビアンケ女子レース。コース距離こそ136kmと男子レースよりも50kmほど短いものの、激しい起伏を持つトスカーナの丘陵地帯を駆け巡る、レースカレンダー屈指の難易度は共通だ。

未舗装路区間は合計8セクター(イタリア語でセットーレ)、距離にして31.6km。「モンテアペルティ(セクター6)」、「コッレ・ピンツート(セクター7)」、「レ・トルフェ(セクター8)」という終盤の3連続未舗装路区間を経て、サンタカテリーナ通りの石畳坂からカンポ広場へとフィニッシュする。

「白い道」を駆け抜けるプロトン「白い道」を駆け抜けるプロトン (c)CorVos
レース序盤に単独で飛び出したエレーナ・ピローネ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)レース序盤に単独で飛び出したエレーナ・ピローネ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) (c)CorVos
女子UCIワールドツアーの開幕戦となるこの日、スタートラインには世界王者のアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)を筆頭に、史上初の3年連続勝利を目指すアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)、自国イタリアチャンピオンのエリーザ・ロンゴボルギーニ(トレック・セガフレード)、先日のル・サミンを制したベルギー王者ロッタ・コペッキー(ベルギー、リブレーシング)、新規立ち上がったユンボ・ヴィズマ女子チームでロードデビューを飾るマリアンヌ・フォス(オランダ)といったトップ選手がフル集結。2019年大会で13位という結果を残している與那嶺恵理(チームティブコSBV)を先頭に、4時間弱に渡る激しいレースが幕明けた。

スタートフラッグが振られると同時に激しくアタックが掛かるものの、決定的なリードを奪う選手は現れない。スピーディーに距離を消化して、集団ひと塊りのまま「セクター1 ヴィドリッタ 全長2.1km」に突入。101kmを残してエレーナ・ピローネ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)が独走に持ち込んだ。

「セクター5 サンマルティーノ・イン・グラニア 全長9.5km」に入るとペースを上げた集団がピローネを飲み込み、ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)のアタックにコペッキーが同調する。有力チームの二人が先手を打ち、45秒リードを与えた集団内で與那嶺も「集団が伸びて縮むグラベルセクターでは自分でもびっくりするぐらい位置取りがうまくいって、今日はいけるな。と思いながらレースを進めました」と好調のままフィニッシュを目指した。

SDワークスがプロトンをコントロールするSDワークスがプロトンをコントロールする (c)CorVos
ベルギー王者ロッタ・コペッキー(ベルギー、リブレーシング)がニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)と飛び出すベルギー王者ロッタ・コペッキー(ベルギー、リブレーシング)がニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス)と飛び出す (c)CorVos
フィニッシュまで40kmを切って2人は捕まり、続いて昨年は逃げ切りが叶わなかったマビ・ガルシア(スペイン、アレBTVリュブリャナ)やシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)、エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)など各チームのエース/サブエースばかりが含まれた8名が先行する。続く全長0.8kmながら急勾配の「セクター6 モンテアペルティ」で先頭8名が分裂すると、先頭、追走、そしてメイン集団がそれぞれペースアップを行いながら突入した「セクター7 コッレ・ピンツート 全長2.4km」で、フォスがメイン集団を飛び立った。

大会初制覇を狙うフォスはすぐ先頭グループまで追いつき、間髪入れずファンフルーテンや、過去4度の表彰台経験を持つカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が合流。さらにファンデルブレッヘンやロンゴボルギーニも追いつき役者が揃ったが、その中に與那嶺の姿はなかった。

残り15kmで集団からドロップした與那嶺恵理(チームティブコSBV)残り15kmで集団からドロップした與那嶺恵理(チームティブコSBV) (c)本人提供
「上手くトラブルを避けながらレースを進めましたが、終盤に入ると身体に力が入らず。パワーも低下してメイン集団に残るのが精一杯。エースのローレンとクリスティンをフォローしながらでしたが、力が入らず」と、メイン集団から残り15km、もっともきつい最後のグラベルセクションでドロップ」とその時の様子を振り返っている。

こうして超強力な12名が抜け出し、この中に4名(ファンデルブレッヘン、ブラーク、ムールマン、フォラーリング)を送り込んだSDワークスがチームプレーに打って出る。ファンフルーテンによる「セクター8 レ・トルフェ 全長1.1km」でのアタックを封じこめ、激しいアタック合戦の末に残り6kmでブラークが再びアタック。追従したロンゴボルギーニと共に後続グループを引き離しに掛かった。

カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)ら有力選手が揃ったレース終盤カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)ら有力選手が揃ったレース終盤 (c)CorVos
SDワークスが追走グループの足並みを乱し、先頭のブラークとロンゴボルギーニは20秒リードで最後のサンタカテリーナ通りの石畳坂に突入する。平均勾配12.5%のシエナ旧市街地への登坂を進み、残り500mでブラークが渾身のアタックを繰り出した。

「普段私よりも彼女の方が登りで強く、このレースにかける彼女の想いを知っていたのでかなり怖かった。残り1kmで彼女が苦しんでいた一方、私にはまだ脚が残っていた」と振り返る2017年のロード世界チャンピオンが独走。今季限りでの引退を表明しているブラークが勝利した。

追走グループの先頭を抑え3位フィニッシュしたファンデルブレッヘンと、そしてSDワークスのチームメイトたちと抱擁したブラークは、「事前に話し合った作戦全てを実行し、チームとして強い走りを見せることができた」とチーム力をアピール。ファンフルーテンは最後の登坂でファンデルブレッヘンの先行を許し、4位でレースを終えている。

残り6kmで飛び出したシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)残り6kmで飛び出したシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス) (c)CorVos
ロンゴボルギーニを振り切ったシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)が優勝ロンゴボルギーニを振り切ったシャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)が優勝 (c)CorVos
チーム力を発揮したSDワークスがブラークの優勝を祝うチーム力を発揮したSDワークスがブラークの優勝を祝う (c)CorVos全てを絞り出したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)全てを絞り出したエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) (c)CorVos


また、與那嶺は5分半遅れの47位でフィニッシュし、「私が一番残念です。レースシーズンが始まって8日目。3レースを行い少し修正が必要な感じ。周りが昨年に比べてとても強い。ちょっとショックです」とコメント。以下のように問題点と修正点を話している。與那嶺の次戦は1週間後のベルギーレースだ。

「今回の問題は、長時間の陸路移動。今週はチームハウス滞在で十分なトレーニングが出来なかった必要な栄養の不足。分かっているのですが、今回は仕方がない環境もあります。けどこのチームには自由と安全がある。

今日のレースデータを分析しました。火曜日のレースの後半1時間で出せているデータに比べ今日のレースでは後半1時間で大きくデータが落ちていました。その理由を今コーチが分析しています。すぐに修正をして、トレーニングブロックを再構築して次のレースへ。シーズンは始まったばかりです」。

2位:エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)、1位:シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)、3位:アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス)2位:エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)、1位:シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス)、3位:アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) (c)CorVos
ストラーデビアンケ2021女子レース結果
1位 シャンタル・ブラーク(オランダ、SDワークス) 3:54:40
2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 0:07
3位 アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス) 0:09
4位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) 0:11
5位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
6位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)
7位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) 0:23
8位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 0:27
9位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) 0:30
10位 エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード) 0:32
47位 與那嶺恵理(チームティブコSBV) 5:28

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