イタリアのロッサノ・ベネトに拠点を構える老舗ウィリエールを扱う服部産業が2021年モデル展示会を開いた。イタリア文化会館の一室に発表されたばかりの新型ミドルグレード"Zero SL"、"Cento10 SL"が飾られていた。



イタリア文化会館の一室で開かれたウィリエール2021展示会イタリア文化会館の一室で開かれたウィリエール2021展示会
老舗バイクブランド・ウィリエールを取り扱う服部産業が、東京・九段下にあるイタリア文化会館で小規模な展示会を開催した。毎年、正面玄関のホールで行われていた展示会だったが、今年はこじんまりと会館内にある一室にバイクが並べられた。

ウィリエールは現在各地のショップで試乗会を開催しており、その道中である東京では展示会という形でショップスタッフが招かれた。とはいえ展示だけではなく、服部産業は試乗できる状態で自転車を持ち込んでいるため、その場で軽い試乗も行っているショップスタッフの姿もちらほら。

服部産業が大切にしているのは実際に自転車を見たり、乗ったりした時のフィーリング。ZERO SLRのラインアップに用意されているレッド(VELVET RED)は光沢感のある真紅色であり、カタログ画像でもその雰囲気を感じ取れることができる。しかし、実際に見てみると、「思っていたよりもメタリックだな」、「太陽光の下では黒みがかるな」など新たな発見があるのもまた事実。

継続ラインアップも充実しているウィリエール継続ラインアップも充実しているウィリエール
Zero SLRは次世代のウィリエールを象徴するハイスペック・レーシングバイクだZero SLRは次世代のウィリエールを象徴するハイスペック・レーシングバイクだ
昨年よりラインアップに加わっているGastaldello Internal昨年よりラインアップに加わっているGastaldello Internal Gastaldelloにはフィレット溶接モデルも用意されているGastaldelloにはフィレット溶接モデルも用意されている


余談だが筆者は最近新しい自転車を実車も見ずに購入したのだが、カタログ画像よりも好みに近い色味のペイントの自転車が納車され、テンションが上ったということもある。ただ、これはあくまで偶然良い方に転んだという話であり、逆ももちろんありうると考えると、やはり実車を確認してから購入したほうが幸せになれそう。乗った時のフィーリングが自分にマッチするかというのも大事な要素だ。スポーツ自転車は大きな買い物であるため、妥協せずに所有欲を満たせるものを選んで欲しい。

さて、ウィリエール2021の新型として登場したのは"Zero SL"と"Cento10 SL(チェント・ディエチ・SL)"の2種類。昨年デビューした軽量クライミングバイク"Zero SLR"が、Zero.6やZero.7のようにナンバリングから外れたように、2021年モデルもナンバリングではないモデル名が採用されている。

新たにラインアップに加わったZero SL新たにラインアップに加わったZero SL
多くのブランドがSLRをトップレンジとして置きSLをセカンドグレードとするように、ウィリエールの"SL"もSLRに次ぐレンジのバイクとなる。つまり今回登場した2車種はセカンドグレードに当たるバイクたち。Cento 10 SLに関しては上位グレードにSLRの設定は無いが、トップレンジであるCento10 PROに次ぐマシンだ。

いずれのマシンもディスクブレーキ専用のみの設定で、形状などはトップエンドを踏襲。カーボンをHU-MODという新しいセカンドグレード素材を採用することで、手を伸ばしやすい価格を実現。ちなみにZero SLRには"HUS-MOD+三菱65Tカーボン+L.C.P"が、Cento10 PROには"60Tカーボン"が用いられている。

クリーンなルックスのフロントセクションにあしらわれたトリエステの三叉槍クリーンなルックスのフロントセクションにあしらわれたトリエステの三叉槍 Zero SLに付属するステンマSL(ステム)Zero SLに付属するステンマSL(ステム)

細身のシートステーが高いトラクションを生み出す細身のシートステーが高いトラクションを生み出す エアロフレームではないもののカムテール状のチューブ形状が採用されているエアロフレームではないもののカムテール状のチューブ形状が採用されている


Zero SLは軽量クライミングバイクらしいシンプルな造形で、ワイヤー類を内装する設計が採用されている。フレーム側はマヴィックのスピードリリース規格に対応しており、専用のアクスルを用意すれば素早い着脱が可能となる。

Zero SLはフレームセット(34万5千円)とシマノULTEGRA DI2完成車(53万5千円)の2種類がラインアップされ、いずれもステンマSLというアルミ製新型ステムが付属する。これはフラッグシップSLRに付属するZEROバーがステム一体型ハンドルであることに対し、ハンドルから独立した一般的なステムだ。

もちろんフレームはケーブル類の内装化を前提として作られているため、ステンマSLを使用する場合はケーブルをステム下側に這わせ、ステアリングコラム前方からフレームへと挿入していく形となる。カムテール形状のコラムスペーサーとステンマSLと形状を合わせたワイヤー受けが用意されているため、統一感のある見た目を維持したまま、ハンドルとステム別体のパーツアセンブルが可能とされた。フレーム重量は990g。

ウィリエール Cento10 SLウィリエール Cento10 SL
Cento10 SLはカムテールデザインのチューブ形状を多用したエアロロード。フォーククラウン周りのインテグレーテッド設計や、空気を効率よく流すシートステーとシートチューブの集合部の空力向上を狙った造形が特徴だ。Cento10 SLはPROに設けられていたダウンチューブのプレートが廃止されるアップデートが加えられている。これによりフレームのエアロ性能が向上し、軽量化につながったという。なおDI2のジャンクションはバーエンドタイプとなる。

ラインアップはZero SL同様にフレームセット(42万円)とシマノULTEGRA DI2完成車(61万円)の2種類。フォークコラムがD型から丸型となっていることに加え、付属するステムとハンドルがウィリエールのオリジナルモデルであるステンマ(ステム)と"バッラ(ハンドル)となっている。

ヘッドから後方へとキレイに空気を流してくれそうなデザインヘッドから後方へとキレイに空気を流してくれそうなデザイン エッジの立ったカムテールデザインが採用されているエッジの立ったカムテールデザインが採用されている

フォークはもちろんカムテールデザインフォークはもちろんカムテールデザイン シートチューブはストレート形状というシンプルな造形シートチューブはストレート形状というシンプルな造形


新しいミドルグレード2車種が追加されたウィリエール。2021年モデルでもCento10 PROやCento10 NDR、Cento1 AIR、Cento1 NDR、Zero.9 LTDは健在。昨年登場したスチールモデルのGastaldelloやZaffiroなども引き続きラインアップされているため、自転車大国イタリアのクラシカルな風を感じたいサイクリストにはおすすめしたい。

服部産業は各地のショップで試乗会を開催しているため、気になる方はウィリエール日本語公式ページや服部産業のブログ、各取扱いショップの情報をチェックしそちらに足を運んでもらいたい。リンクは下記にて。Zero SLRの開発で次世代スペックへと飛躍したウィリエールのこれからは注目だ。

CWにも海外グランフォンド挑戦記を寄稿してくれる服部産業の北村さんが新モデルを案内してくれたCWにも海外グランフォンド挑戦記を寄稿してくれる服部産業の北村さんが新モデルを案内してくれた
text:Gakuto Fujiwara

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